甲子園への遺言 伝説の打撃コーチ高畠導宏の生涯 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062762175

作品紹介・あらすじ

「あなたの将来を後押ししてくれる本です」――<福岡ソフトバンクホークス、小久保裕紀>天才バッティングコーチ高畠導宏の生涯を描いた傑作。小久保裕紀、田口壮などの一流プロ野球選手を育てあげた彼は高校の教師となり、高校野球の監督として甲子園での全国制覇を目指す。ところが、突然発覚した病気のために……。NHKドラマ『フルスイング』として感動を呼んだ名著が文庫化。(講談社文庫)

感想・レビュー・書評

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  • とても良かった。

    落合博満や小久保裕紀、田口壮などの名選手を育てたバッティングコーチの物語です。

    それぞれの選手の良さを引き出す数多の練習メニュー、プロコーチの職にありながら心理学を通信制の大学で学ぶ勤勉さ。
    そしてこれまでの経験を高校球児に伝えて甲子園に行きたいと50歳にして教員免許を取得し、晴れて教師となったのちすぐに病魔に襲われた不運。
    それでも泣き言一つ言わず闘い続けた名コーチ高畠導宏の生涯です。

    正直、氏のことは存じ上げませんでしたが、スタッフ教育に携わる私にとってとても良い気付きを与えていただきました。
    50歳でこれまでの安定した暮らしを手放してでも夢にチャレンジした姿勢も素敵です。

    感動間違いなし。オススメです!

  • プロ野球の打撃コーチという存在は、その人がどんなに優れた名コーチだったとしても、世間的にはあまり知られた存在ではないと思う。
    実際、リアルタイムでその活動を共に過ごしていた時期があったにも関わらず、この高畠コーチという人を全く覚えていない。
    そんな黒子的存在の人物の生涯を、これほどドラマティックに描ける手腕は、さすが門田隆将だ。

  • 落合博満、小久保裕紀、田口壮などを一流選手に育てた功労者でバッティングコーチ、高畠導宏。まだプロ野球球団からコーチ依頼があったのに、高校の先生になって甲子園を目指す決心を。50歳を超えて勉強しはじめ教員免許を取得するも1年足らずでその志半ばですい臓がんで亡くなる。生前から交友関係のあった作者が精魂込めて書き記した男の記録。本作品はNHKドラマ「フルスイング」としても放送されました。

  • 2023.03.15 品川読書会で紹介を受ける。名コーチ。落合博満、小久保裕紀、山崎武司、田口壮らを育てる。2004年没。享年60歳。

  • いやぁ、これは良い本でした。
    野球はまったく詳しくないので、高畠さんという方は存じ上げませんでしたが、こんな人がいたんだとは!
    その人の生き方に加え、過去のプロ野球の様子もわかりました。
    最後の女子剣道部のくだりは・・・、ここがいちばんじんときました・・・。

  • 高畠さんは、選手時代に輝かしい成績を長きにわたって残したわけではないっぽいのに、ずっとどこかしらのコーチをやっている人。
    …この本を読むまではその程度の認識でした。
    なのでプロ入団前~現役時代の話は全く知らず、読んでいてただただ驚くばかりでした。
    コーチとして長く歩まれたことを思えば「災い転じて福となす」だったのかもしれないけれど、些細なケガの傷口が大きくなりすぎてしまったこと、当時のケア体制の不十分さが本当に悔やまれてならないです。
    付随して、私がプロ野球を見始めたころは既にかなりの弱小だった南海の強かった時代のこと、うっすらとしか知らなかった球団ゴタゴタの話も新鮮でした。

    アイディアマンと言われただけあって、この本で紹介されている練習法はどれもとても興味深かったです。
    かつてスポ紙でも話題になった「●×●×ブラブラ打法」は瞬発的に関心を引くのに最高なネーミングだし、その内容もフィジカル的に理解しやすく(自分は女性なので実感はできないですが)本当に秀逸だなと改めて思いました。

    「短所に目をつぶって長所を伸ばす」
    言葉にすると簡単でも、指導者という立場ではなかなかできないであろうことをずっと徹底されていたその姿勢に本書で触れ、尊敬の気持ちを抱くとともに夢半ばで早逝されたことが本当に残念で自分のことのように悔しく思いました。

    最後の解説文で、教え子の一人である小久保裕紀(当時は現役)が高畠コーチとの想い出を述懐した最後に
    「私も遠い将来、高校野球の監督になりたい。高さんの夢と同じように。」と綴っていました。
    亡くなられて数年たった後でも「高さんならどう言うだろう、どう答えてくれるだろうか」と考えるそうです。
    奇しくも今年、WBC監督として若い才能を率いて世界との戦いに挑む小久保監督。どんな采配になるのか楽しみです。

  • いつも通り丹念に関係者の話をもとに物語をつないでいくスタイル。野球ファンなら誰でも知っているような名前がたくさん出てきて、影響力がある人だったのだと実感。

  • 珍しくノンフィクションを読んでみた。やっぱ野球はいいなぁ。恥ずかしながら高畠さんという名前くらいしか知らなかったけど、ロッテファンということもあって親近感を感じた。早くシーズン始まれ〜

  • 田口(オリックス)、小久保(ホークス)、高沢(1996年首位打者・ロッテ)、西村(1998年首位打者・ロッテ)など数多くの好打者を育てた名コーチ・高畠導宏氏。30年に渡るプロ野球コーチの経験の後、高校野球の指導者を目指した志半ばで肝臓癌でお亡くなりになられました。高畠氏の壮絶な一生を教え子のプロ野球選手や関係者の証言で辿るノンフィクション。
    高畠氏がプロ野球に在籍した1980年代のプロ野球の舞台裏を知るスポーツノンフィクションとして、部下や生徒を指導する指導者の心得を知る本として、様々な人に印象深く残る本だと思います。数多くのプロ野球選手を見てきた高畠氏が語る、伸びる人の共通点とは「1.素直であること、2.几帳面であること、3.準備を怠らないこと、4.好奇心旺盛であること、5.忍耐強いこと、6.気配りができること、7.夢を持ち、高い目標を持ち続けること」です。高畠氏の座右の銘は「覚悟に勝る決断なし」です。一つ一つの言葉に説得力があります。

  • 先輩に紹介されて読んだ本。
    しんどい時こそ、信念、氣力。
    単純にもっと頑張れというよりは、信念、氣力を大切に考えてれば頑張れる。自分はそんな風に受け取りました。

    それから、人への指導論を語っている本でもあります。人にバレーボールを教えるとき、こうやって伝えたほうがいのかな、とヒントを得られたような。

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著者プロフィール

作家、ジャーナリスト。1958年、高知県生まれ。中央大学法学部卒業後、新潮社入社。『週刊新潮』編集部記者、デスク、次長、副部長を経て2008年独立。『この命、義に捧ぐ─台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡』(集英社、後に角川文庫)で第19回山本七平賞受賞。主な著書に『死の淵を見た男─吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)、『日本、遥かなり─エルトゥールルの「奇跡」と邦人救出の「迷走」』(PHP研究所)、『なぜ君は絶望と闘えたのか─本村洋の3300日』(新潮文庫)、『甲子園への遺言』(講談社文庫)、『汝、ふたつの故国に殉ず』(KADOKAWA)、『疫病2020』『新聞という病』(ともに産経新聞出版)、『新・階級闘争論』(ワック)など。

「2022年 『“安倍後”を襲う日本という病 マスコミと警察の劣化、極まれり!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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