- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062762328
作品紹介・あらすじ
「十一歳の時、私はなぜ、"この作品には何かがある"と直覚したのだろう。最近になってやっと、その正体が見えてきた」。『赤毛のアン』には、「幸福」とは何か、その秘密が隠されている。「仮想」「受容」「奇蹟」「ひたむきさ」「偶有性」「セレンディピティ」…。茂木健一郎が読み解く「幸福論」。
感想・レビュー・書評
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まず、冒頭から「赤毛のアン」をまた読みたくなった。そして、読んでいくうちに、一番好きな本である理由が、どんどんわかっていった。確かに、アン・シャーリーの生き方に感動し夢心地になり、まるで一緒に生きている気分になる。そして、アンのように、自分で気づかないと幸福感は味わえない。そんな風に読み上げられるのは、大人になってからなのかもしれない。今が読み時かもしれない。この本を読んでいる間に、来春3月31日からNHK連続テレビ小説で「花子とアン」というタイトルのドラマが始まる。内容は、「赤毛のアン」最初の翻訳者である村岡花子さんの波乱な半生とのこと。「アンのゆりかご」(村岡花子さんの娘である村岡理恵さん著書)も読んでみたいと思った。
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数年前にNHKテレビ番組「100分 de 名著」で脳科学者として有名な茂木健一郎さんが『赤毛のアン』の解説をされていて、その意外性と番組の面白さからその後コツコツ『赤毛のアン』を読み進めている私、茂木さんは私とアンを結ぶきっかけとなって下さった方といっても過言ではありません。
その茂木さんが赤毛のアンについて、自分にとっての『赤毛のアン』から始まり、幸福につながる人としての生き方についてを語っています。脳科学者ではある著者が児童文学のフィールドに留まらず、歴史や民族、脳科学的な考え方まで広くカバーしながらアンを語っているところが大変新鮮でした。
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赤毛のアンは、中学生の頃に読んだ。
イメージは、お転婆なやつだ というような感じしか
残っていなかった。茂木健一郎にしてみれば、『赤毛のアン様』という
ほどのしたいぶりなのだ。原文で全部読破したというから、すごいのである。
さらに彼は、原節子を女神に思っているようだが。
この本は、その赤毛のアン様を、広い視点で考察しようという試みである。
真摯な自分を貫き、偶然の出会いをどう活かし、今までの世界観が変わるような出来事を
うけいれ、自分自身をどう変えるのか。
それを、赤毛のアン様を通じて、明らかにしようというのだ。
赤毛のアンの世界に、『敗戦体験』をしたという。
それは、生活感に溢れていて、そこに行きたいと願望が生まれ、
懸賞論文に応募し入賞して、カナダに行くことになったという。
赤毛のアンの中にある 洗練されず、垢抜けしない『ぎこちなさ』の中に
生命の躍動を感じた。
アンの口ぐせ『ここは、想像力の広がる余地がある』
まだ見ぬ世界。新しい感動。知らないこと。そこにアンは想像力を働かせる。
そして、周りを感化させる。その源泉は、欠乏感に他ならなかった。
アンは、見た目は赤毛で、ソバカスがあり、ガリガリに痩せ、器量も良くない。
そういうハンディというか、コンプレックスを魅力のあるものに
変換して行くことで、運命に出会いが始まる。
ギルバートとの出会いは、最悪だったが、そのことが、大きな運命となる。
成長するとともに、喪失して行くものがある。
幸福であるということは、自分の居場所を見つけることだ。
アンは、奇跡を起こした。それは、ひたむきに生きたからだ。
茂木健一郎の生きるためのクオリアが、赤毛のアンを通して、
爽やかに、説明されている。 -
もじゃもじゃ先生の赤毛のアンの解説本だなぁと思って、赤毛のアンを知る良い機会だなと思って読んだ。アンの話もしっかりあったが、どちらかというとこの本は茂木先生の自伝的な人生論の本であった。
人間は本の高さだけ成長できると言う言葉は読書好きのものにとっての素晴らしい贈り物だと思った。
以下、注目点
・人間は読んだ本の高さだけ成長できる。
・土地の精霊出会うには、様々な本を読み、知識を蓄え、文学的感性を高めていなければならない。
・想像力には社会の秩序をも揺るがし得る力があるという危険性。
・自分自身が安全基地になるしかない。
・コンブレックスはあくまで主観的なもの。
・文学とはさまざまな不幸の形を描くもの。
・今の自分にやれることを全てやった上で、後は前向きに構えて待つ。
・日本にいて世界と戦う -
赤毛のアンを読むと何故か心が落ち着いてあたたかくなるのはなぜ?と以前から微かに感じていた疑問に茂木さんが科学的な見地から解説しており、より深く赤毛のアンの良さを知った。
解説本のようなところもあったが、それを踏まえて今もう一度読み直したい、できれば原書でそのままの赤毛のアンを知りたい!!と意欲が湧く。
話は変わり、自分の精神的な在り方から日本人全体のあるべき姿勢にも言及されている。日本がもつビジョンは何なのか?日本人であることを忘れずに世界に影響を与えられる存在になれるよう、アンのようなひたむきさを大切にすべきではないだろうか、
そんなメッセージを感じた本でした。 -
最高の1冊でした。2020年が明けていきなり赤毛のアンにハマったのですが、この本はアンの読者でなくとも興味深く読むことができる本だと思います。人生についても深く考えさせられる本でした。茂木さんはなんかぼんやりした脳科学者のイメージが強かったので(失礼)かなり見直しました。茂木さんが赤毛のアンに持つ熱意が素晴らしいです。
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・・・強烈なポテンシャル(想像力・優秀な成績・人気・・・)をもったアンが、世界をどんどん広げていって人にも認められて・・・
広がるのは大学卒業まで。
職業と住居と家族の3つが決定すると
無限に幅広くなっていた行く道が
結局は細い一本の小道になる。
旗から見たらどんなに幅広そうな人の人生も結局は小道なんだと。
自分が選択したその小道に咲く花を楽しむのが人生だと。
はー 深かった。思春期の子供にぜひ読ませたい。 -
著者と同年代の私も著者同様「赤毛のアン」が大好きで、シリーズは全て読みました。でも、なかなか「赤毛のアン」が好きとは、中年のおじさんとしては言い難いものです。でも、本書を読むと何故「赤毛のアン」が好きだったのか、共感をもって振り返えれるような気がします。結局ここには幸せの原型が書かれているんですね。人生に迷ったら「赤毛のアン」にひととき帰ってくるのもいいのかもしれません。
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茂木健一郎さんの赤毛のアンへの想いがひしひしと伝わってきた。
学生で、原文に挑戦できるのもすごいし、
背景知識も豊富なのも、読み応えがあった。
そして、赤毛のアンからの人生論もとても勉強になるところが多くあった。
アンのシリーズは、1つ目の赤毛のアンしか読んだことなかったけど、その後のシリーズも読んでみようかなと思った。
先程はフォローして頂きありがとうございました。開設したばかりのところでとても嬉しかったです。
赤毛のアン...
先程はフォローして頂きありがとうございました。開設したばかりのところでとても嬉しかったです。
赤毛のアンをこんなにじっくりと深読みするのはほぼ初めてなんです。マリラ目線だったのはきっと二人の娘たちが小さかった頃のことを思い出し、アンは娘に、マリラは自分に、と気持ちを被せていたからだと思います。アンのような女の子が自分の子供だったらどんな子育てをしていただろうかと思うとね。あの跳ねっ返りなアンにはらはらさせられちゃって。(笑)
こちらの本も読んでみたいですね。参考にさせて頂き近いうちにぜひ読んでみたいと思います。名前変えました。yumiie です。よろしくお願い致します。