ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 9972
レビュー : 1276
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062763301

作品紹介・あらすじ

ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった-。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に一度だけ。これはぼくの闘いだ。

感想・レビュー・書評

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  • エピローグの衝撃。
    彼は本当に恐ろしい相手に立ち向かっていたのだと気付く。
    自身の「力」ひとつで。
    「ぼく」のメジャースプーンで。

    たとえば、それを「悪」と呼ぶのであれば、悪とは過剰なものではなく、むしろ欠落であるような気がする。
    愛や敬意や美意識、その他いろいろな生活や心を豊かにする感情。
    人間を人間足らしめているものの欠落。

    主義や主張、方向性の違いで衝突するのであれば理解できる。
    でも、何かが足りない人と向き合う自信はない。
    極道の親分は恐いとは思うが、まだ話せばわかる気がする。
    それよりも、たとえば花壇にカップラーメンの食べ残しを容器ごと捨てていく人間のほうが、僕は恐ろしい。

    小学校二年生にして、すでに心に「メジャースプーン」を持つ少女、ふみちゃん。
    もし僕が同級生であったとして、彼女のその魅力に気付くことができるかといえば怪しいところだが、いま身近にこんな娘がいたら確実に好きになっていただろう。
    それだけに「犯人」に、ふみちゃんのことを「萌える」「萌えない」といった尺度で判断された瞬間、煮えたぎった液体が胸までこみ上げてくるようだった。

    透明な石がついたキラキラに輝く三本のスプーンと、百円ショップで叩き売りされているような安物のスケール。
    大切なのは生きてきた時間の長さではない。
    その時間をどのように使ったかということだろう。

    哲学の基本は対話であるというが「秋先生」と「ぼく」の一週間のレッスンは、まさに師匠と弟子のそれである。
    罪と罰、生命とは、裁判と量刑など正解のない問答に、読んでいる僕まで深く考えさせられた。
    ミステリ、エンタテインメントとして単純に読んでも面白いのに、この趣向の中に深遠なテーマを織り込んで、尚かつどちらの魅力も損なわない辻村深月は本当に凄い。

    ふみちゃんからメジャースプーンを譲り受けていた「ぼく」は、すでに認められていたはずだ。
    それを持つ資格があると。

    料理の苦手な人ほど調味料を量らない。
    腕のいい料理人でも最初はきっちり計量カップやスプーンを使い、しっかりと基本を身体に染み込ませていく。
    そうして身体の中に自分なりの尺度を作り上げていった上で、はじめて「適当」や「いい加減」ができるのだ。

    僕のメジャースプーンは輝いているだろうか。
    欠けて狂ってはいないだろうか。

    • kwosaさん
      まろんさん!

      コメントありがとうございます。

      『スロウハイツの神様』で辻村深月さんを知り、次は短めなものをと図書館で予約。
      手に届いた順...
      まろんさん!

      コメントありがとうございます。

      『スロウハイツの神様』で辻村深月さんを知り、次は短めなものをと図書館で予約。
      手に届いた順番で、この本を読みました。
      次に『凍りのくじら』が控えていますよ。

      おすすめされた『子どもたちは夜と遊ぶ』も『名前探しの放課後』も絶対読みます!
      読むのにベストな順番というのはあるのでしょうが、ああ、どれから読んでいいのか悩みます。
      でも『名前探しの放課後』を一番最後にというのがいいんでしょうかね?
      2013/05/02
    • まろんさん
      kwosaさん!

      次に『凍りのくじら』が控えているなんて。。。
      ベストな順番です!
      さすがkwosaさん、本の神様に愛されていますね♪

      ...
      kwosaさん!

      次に『凍りのくじら』が控えているなんて。。。
      ベストな順番です!
      さすがkwosaさん、本の神様に愛されていますね♪

      辻村さんの作品は、できるだけ発表順に読んだほうがいいとは言われていますが
      私としては、『凍りのくじら』のあとは、メジャースプーンの感動が冷めやらないうちに
      『名前探しの放課後』を読んでいただきたいなぁと思ってしまいます。
      というか、正直に告白すると、辻村さんの本の中では
      『名前探しの放課後』が飛びぬけていちばん好きなので
      kwosaさんがどんなふうに読んで、どんなレビューを書いてくださるのか
      気になってしかたがないのです。

      でも、メジャースプーンのエピローグに思ってもみなかった深い解釈をしてくださったkwosaさんなので
      『子どもたちは夜と遊ぶ』のラストをどんなふうに読み解かれるのかも
      とてもとても気になっていたりするのですが。。。
      2013/05/03
    • kwosaさん
      まろんさん!

      辻村深月を全部読みたい! はやく読みたい! でも読み尽くしてしまうのはもったいない!
      そんなジレンマに陥りそうです。

      でも...
      まろんさん!

      辻村深月を全部読みたい! はやく読みたい! でも読み尽くしてしまうのはもったいない!
      そんなジレンマに陥りそうです。

      でも、しっかり読んで、まろんさんを始めブクログのお仲間達がどんなレビューを書いていらっしゃるのかをはやく知りたいです。
      これほど感想を語り合いたくなる作家はなかなかいないです。
      2013/05/03
  • かなり前に読んだ本で、
    自分が初めて
    辻村さんの小説に触れた一冊。

    頭の中では
    読んでる間中ずっと
    the pillowsの
    「My girl」が流れてました。


    どんな言葉より
    どんな光より
    僕を救ってくれた女の子
    キミに会いたいな
    キミに触れたいな
    だけどたぶんもう
    別人みたいさ

    my girl
    come back to me…




    っていうやつ。



    若い作家だとは聞いてたけど
    丁寧に丁寧に心理描写を重ねた
    エモーショナルに胸を打つ構成に、
    駅のベンチであるにも関わらず
    込み上げてくるものを抑えられなかった。

    それくらい衝撃を受けた作品です。



    相手を縛る不思議な力を持った
    小学4年生の「ぼく」。

    「ぼく」の同級生で、
    分厚い眼鏡をかけ
    頭脳明晰でうさぎ好き、
    みんなから慕われるも
    凛とした一匹狼の
    ふみちゃん。


    ある日、
    学校のうさぎを
    バラバラにするという
    猟奇的事件が発生。
    誰よりもうさぎが好きで世話をしていた
    第一発見者のふみちゃんは、
    犯人の圧倒的な悪意に
    心を壊してしまう…。


    人は大事なものを
    失くしたり
    傷付けられた時、
    どう乗り越えていけばいいんだろう。

    既存のモラルなど通用しない
    圧倒的な悪の存在にどう立ち向かえばいいのか。


    たった一人の理解者である
    ふみちゃんを暗闇から救い出すために、
    ふみちゃんの宝物であるメジャースプーンを手に
    「ぼく」は犯人と
    戦うことを誓います。


    「ぼく」と同じ力を持つ秋先生とのやりとりや
    ぼくの葛藤が綴られた中盤は
    少しクドく感じられるけど、

    復讐というものの重さと
    それによって負うことになる責任を
    読む者に提示するためには、
    この長さは絶対に必要だったんだろうな。


    失ったものは取り戻せないけれど、
    やり直すことは出来る。

    誰かのために頑張ることは
    決して偽善なんかじゃなく、
    「好き」から始まる
    行動力だけが
    変わらない何かを
    変える
    唯一の力になるんだと自分は思います。


    果たして
    不思議な力を使う「ぼく」は
    圧倒的な「悪の王様」に
    罰を与えることができるのか。

    そして心が壊れてしまったふみちゃんに
    いつか光が射す日は来るのか。


    あまりに老成した
    「ぼく」のキャラ設定に若干の違和感は残るけど、

    間違いなく心に響いて、
    読む者の記憶に
    残り続けるであろう小説です。

    • まろんさん
      『凍りのくじら』に感動して以来、気になってる作家、辻村深月さん。

      読み始めると、かなり入り込んで、
      他のことが手につかなくなる印象の作家さ...
      『凍りのくじら』に感動して以来、気になってる作家、辻村深月さん。

      読み始めると、かなり入り込んで、
      他のことが手につかなくなる印象の作家さんなので
      上下巻の上だけ買ってあるものとか、何冊かストックしてあるのだけれど
      次に何を読もうか、かなり迷ってました。

      円軌道の外さんが、これだけ衝撃を受けた作品なら
      次はこれにしてみようかな(*^_^*)
      2012/06/08
    • 円軌道の外さん

      まろんさん、
      まったくその通りで
      自分もどっぷりのめり込んじゃうほうなので、
      いろんな意味で心に余裕ある時じゃないと
      辻村さんの...

      まろんさん、
      まったくその通りで
      自分もどっぷりのめり込んじゃうほうなので、
      いろんな意味で心に余裕ある時じゃないと
      辻村さんの作品は
      しんどいんスよね〜(笑)(^_^;)


      ただホンマに
      辻村さんの小説は
      心理描写を描くのが上手くて、
      一気読みしちゃう中毒性がありますよね。

      自分も「凍りのくじら」から入って
      この作品読んだんやけど、

      辻村さんの小説はどれも
      結構昔の作品ともリンクしていて
      登場人物も
      過去の作品の人たちがチラチラ出てくるみたいなんで、

      できれば伊坂さんの作品のように
      デビュー作から順番に読むのが
      一番楽しめる読み方なんかもなぁ〜って
      最近は感じてます(笑)

      2012/06/13
    • まろんさん
      おお、やっぱり他の作品とリンクしてたり、っていうのがあるんですね?!
      (↑そういうの大好きなので、かなりテンションがあがっている♪)

      デビ...
      おお、やっぱり他の作品とリンクしてたり、っていうのがあるんですね?!
      (↑そういうの大好きなので、かなりテンションがあがっている♪)

      デビュー作から順番にって、確かにそれが一番いいかも。。。
      図書館だと作品全部そろってないみたいだったので
      いったんネットでデビューからの流れを追ってみます!
      アドバイスありがとうございます(*^_^*)
      2012/06/13
  • メジャースプーン。
    調味料を丁寧に「量る」ためのこの道具を
    ふみちゃんの宝物としてランドセルにぶら下げ
    タイトルに持ってくる、辻村深月さんって、やっぱりすごい!

    だってこれは、小学4年生の「ぼく」が
    好きで、憧れて、尊敬してやまないふみちゃんの心を
    くだらない自己顕示欲と悪意で踏みつけて壊した犯人の
    罪の重さを、生真面目にいろんな角度から「量ろう」とし、
    自分の特殊能力を使って、それに見合う罰を正しく与えようと
    その「匙加減」に悩みながら、闘う物語だから。

    それにしても、『凍りのくじら』のバス停で
    表情も言葉も失くして痛ましい姿を見せていたふみちゃんが
    もともとはあんなにおしゃべりで溌剌とした少女だったなんて。
    そんな彼女のために、犯人に「ぼく」が仕掛けた「ダブルバインド」は
    大人には無謀に思えても、子どもらしい真摯さに裏打ちされていて
    その想いの深さに、涙が溢れます。

    それでも、『子どもたちは夜と遊ぶ』で、
    ふみちゃんと同じように心に深い傷を負った月子が立ち直り、
    秋先生や恭司と共に「ぼく」とふみちゃんの支えになろうと
    心を砕いていることに救われて

    大・中・小と、ひとつのリングで繋がっていて
    それぞれにつけられた赤・青・白のうさぎ形の石がぶつかることなく
    三本重ねるとぴったりと一つに重なるという
    ふみちゃんの宝物のメジャースプーンのように

    人を赦すことの得意なふみちゃんと
    罪と罰の重さを量ることの難しさを知った「ぼく」は
    やさしく補い合い、あたたかく寄り添って、きっと生きていくのだと
    深い感動に浸りながら信じられる、すばらしい作品です。

    • まろんさん
      kwosaさん!

      なんて深くて、kwosaさんらしい感動的な解釈でしょう。
      このコメントをいただいて、今週は図書館から本が8冊も届いたとい...
      kwosaさん!

      なんて深くて、kwosaさんらしい感動的な解釈でしょう。
      このコメントをいただいて、今週は図書館から本が8冊も届いたというのに
      今読んでいる本そっちのけで、また『ぼくのメジャースプーン』を読み返してしまいました。

      私も、まず、ピアノ発表会では力の発動はなかったのだと思いました。
      あの時はまだ、「ぼく」は自分が持っているかもしれない力のことを全く知らなかったし
      ふみちゃんは、「いつも堂々としているふみちゃんと仲がいいことが自慢なんだ」と
      「ぼく」に言ってもらったことが何よりうれしくて、ステージに戻っていったんですよね。

      でも、同級生のトモくんの件からは、明らかに自分の意志で、言葉を選んで発していたので
      力の発動はあったのだ、と考えて読んでいたんです。
      実は辻村さんの他の作品を読むと、この件に関連するできごとが出てくるので
      その部分についてもkwosaさんには、ぜひご意見を聴かせていただきたいのですが
      それとは別に、実は「ぼく」に関しては力は遺伝していなかった、
      自らの衝動に突き動かされて市川は「ぼく」の首を絞め
      「ぼく」は特殊能力の後押しなしで市川の悪意と暴力に勝ったのだ
      と考えると、新たな感動がわき上がります。

      私が否定することしかできなかった米澤穂信さんの『ボトルネック』といい
      今回のこの本といい、kwosaさんはいつも
      人間の底力を信じて希望に満ちた解釈を見せてくださって、読書の喜びをさらに深めていただいています。
      ありがとうございます!

      そしてそして、他の辻村さん作品、近いうちにぜひまた感想を聞かせてくださいね!
      2013/05/03
    • kwosaさん
      まろんさん!

      ああ、なるほど。
      ピアノ発表会「だけ」は力の発動がなかったという可能性にはまったく思い至っていませんでした。
      もう、力は遺伝...
      まろんさん!

      ああ、なるほど。
      ピアノ発表会「だけ」は力の発動がなかったという可能性にはまったく思い至っていませんでした。
      もう、力は遺伝していなかったと思い込んでいて......

      趣味が「妄想」なものですから、頭のなかに勝手に物語を作り上げ、ときおり作者の意図を越えた深読みをして、ひとりで感動したりしてしまいます。

      辻村作品は読んだ人どうしでいろいろ語り合うのが楽しそうですね。
      はやく他の作品も読まねば!
      2013/05/03
    • まろんさん
      kwosaさん!

      趣味、妄想♪
      お仲間がふえてうれしいです!
      小さい頃から、お話の結末が悲し過ぎたりすると
      頭の中で勝手に筋を考えてハッピ...
      kwosaさん!

      趣味、妄想♪
      お仲間がふえてうれしいです!
      小さい頃から、お話の結末が悲し過ぎたりすると
      頭の中で勝手に筋を考えてハッピーエンドに作り替えちゃったりして
      いつのまにか、どれが本当のラストだかわからなくなるような子だったので。。。

      辻村さんの本は、いろんな解釈ができて
      妄想をふくらませ放題なところもまた、いいですよね!
      kwosaさんには、「この本のここ、どう思われました?」とか
      「あのラストってどういう意味があるんでしょう?」とか
      お聞きしたいことが山のように(?!)あるのです。
      次はどの本を読んでくださるのか、わくわくしています♪
      2013/05/04
  • 主人公の少年がもつ特殊な能力。
    それは現実世界の私たちも持っているものだと思います。

    私たちが口にする言葉や書き出す文字は、意識するしないに関わらず
    周りの誰かや時に自分を縛ることがあります。
    例えば夢を諦めさせたり、人間不信に陥らせたり、自己不信に陥らせたり。
    言葉は簡単に人を傷つけることが出来る。
    だからこそ大切にしなければいけない。
    そんなメッセージを感じたような気がしました。


    物語りとしては最後の意表をつく展開に驚き、そして改めて考えさせられました。

    「自分の中に何が正しいかをきちんと用意して持っている」かどうか。

    自分にとって大事なものは何なのか。目の前のことはどの程度大切なものなのか。
    分かれ道を目の前にしたときに、照らし合わせる信念(メジャースプーン)は
    大人になった今、決して失うことが出来ない、自分が自分である為に必要なもの。

    少年が突きつけるテーマに思わず考えさせられます。

  • 最終章で涙がこぼれた。久しぶりに泣いた小説。

    正義って?復讐って?命の重さって?哲学的だけども、主人公が小学生だからとても読みやすい。まあこの主人公、10歳だとはとても思えない賢さだけれど...!

    サンタクロースのエピソードにじーんときたな。節目節目で読み返したい一冊になりました。

    「わかりあえない者同士は、無理に一緒にいる必要はない。正しいとか正しくないというのは、それを話すのが人間同士である以上、簡単に変化していくんです。けれど、そんな中でどうすることが自分の心に一番恥じないのか。何を一番いいと信じるのか。それだけはきちんと胸に置いておく必要があります」

  • うわー!!素敵な本と出会ってしまった!!

    何が正しいか、何が間違っているのか。
    命の重さと軽さ。

    綺麗事だけではなく、つい目を背けたくなるようなグサっとくる事が書いてありました。


    周りの皆より少しだけ早く大人の心を持ってしまった、小さな2人の子。

    胸が締め付けられてしまって、何度も涙が落ちそうになってしまいました。



    この人の書くちょっと不思議な世界観。
    私、好きだなぁー!

  • こちらも会社の方からお借りした一冊。
    ってか10冊くらい纏めてお借りしたので8月は会社の方からお借りした本を読みまくろう月間となるだろう(笑)



    僕には他の人にはない不思議な能力がある。

    ふみちゃんは僕の幼馴染。
    ふみちゃんはクラスの中心人物で、誰とでも仲がいい。明るくはきはきし、困っている人がいると助けてあげる。
    僕たちは小学四年生になった。小学四年生になるとうさぎの飼育当番をすることが出来る。
    ふみちゃんの喜びようは相当だった。

    僕らのクラスにテレビ局が取材に来ることになった。脚を怪我したうさぎに、車椅子を作ってあげたからだ。
    しかしこれがきっかけになり、陰惨な事件が起こってしまう。。。



    主人公は小学生だが、この本は凄いな。
    哲学的要素が凄い。

    罪と罰とは少し違うかもしれないが、そのくらい重く考えさせられる本ではないだろうか。

    難しい言葉は無いのだが、本の内容に重みを感じた。この本を読書感想文にしたら面白いのではないか?とも感じた。

    少年の覚悟も、エピローグにもぐっとくる。

    読んでいると自分ならどうする?何を言う?どう条件を作る??悩むこと間違いないのではないだろうか?

    物語の進行と同時に、自分も一緒になって考えさせられるそんな深い一冊だった。

  • 久しぶりの辻村作品。500頁もあるのに一気読みさせる筆力に相変わらず脱帽。
    小さい頃に深く考えず、うやむやにしてきたこと、逃げてきたこと、胡麻化してきたこと、納得したつもりでいたこと...。自分のエゴや他者への関心とその欺瞞...。
    最終章のぼくと秋山先生の遣り取りは圧巻。最後のふみちゃんにほっこりさせられるとともに、全編を通じて、他者への献身が人を磨く、強くする、成長することを感じさせてくれる...。

  • 幼馴染のふみちゃんの心を壊した市川雄太。
    「ぼく」は「力」を使い、彼に復讐する。

    小学4年生だからと、舐めないほうがいい。
    「ぼく」はお母さんと先生などの周りの大人と、そして私たち読者が思っているよりずっと、賢くて、優しくて、傷ついている。
    「ぼく」は最初から、お母さんと、先生と、そして私たち読者を騙します。
    彼は、ふみちゃんの心が壊された日から、きっと犯人に与える条件を決めていたのでしょう。


    これは、「ぼく」の復讐と償いのお話だと思います。


    「ぼく」が持つ、声の力は恐ろしいものです。
    人を殺すことも、自分を殺させることもできるのだから。
    でも、果たしてその力は彼が特別に持っている力でしょうか。
    私たちも、弱い力だけど、少しは持っているのではないのでしょうか。
    「ぼく」は、初めてふみちゃんに対して力を使ったとき、彼の意志で力を使ったのではありません。彼の本心による言葉で、ふみちゃんはピアノを弾いたと思います。

    私たちの言葉も、時には人を生かしも殺しもします。
    この本は、なんだか、自分の発する言葉の重みを考えさせられました。


    とても、悲しくて、優しい本でした。

  • ファンタジーではないのに、ぼくはある”力”を使う。設定は現実離れしているのに胸にリアルに刺さる、そんな物語。文庫の解説者いわく、作者は「わずか10歳の登場人物に読者を感情移入させる並外れた才能の持ち主」。それは筆者がませたこどもを描いているのではなく、読者の誰もが10年前20年前を振り返った時に出会ったりすれ違ったりしてきたと感じられる経験を描き出しているからかなぁと思いました。やっぱり辻村さんの作品大好きです。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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