ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 1294
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062763301

感想・レビュー・書評

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  • 心に深い傷を負った幼なじみの女の子のために、主人公の男の子がある力を使って悪意に立ち向かう話。
    と言うと児童文学のように思えるが、話のメインは主人公が力の使い方を教えて貰う先生との哲学的な問答にある。

    主人公達が出会った事件は、小学生には量りきれないものだけど、罪とは、罰とは、反省とは、復讐とはといった答えの出せない問題に、匙を投げずに向き合う主人公に勇気を貰う。
    その思いは幼なじみの女の子や先生や、そして読者の私にも響いてくる。
    主人公と共に考える一冊でした

  • 「何かをしなければ、ひどいことがおきる」という、相手の行動を縛ることができる、そんな呪文を他人に使うことができる不思議な力をもった小学4年生の「ぼく」

    ある日、小学校でかわいがっていたウサギが殺されてしまう事件がおこる。大好きなお友達のふみちゃんは、そのショックで学校に来ることもできなくなり、感情も言葉も、笑顔も失ってしまう。大切な人を壊されてしまった悲しみは怒りに変わり、「ぼく」は、その不思議な力を犯人に使いたいと考える。

    そのチカラについて詳しく知るために、同じチカラを持つ大学教授の叔父(オトナ)訪ねる。犯人に直接会うまでの6日間、自分のチカラを使うかどうかを考える。 自分なりの答えを出そうと苦悩する小学生の「ぼく」、罰の重さを量る数日間の話。



    小学生、ウサギ、不思議なチカラ・・・子どものファンタジーのようだけど、 実はかなり現実的な、罪と罰のついて。犯人はオトナの大学生、器物破損しか罪を問われず、反省のかけらもない愉快犯、社会的にも、コドモにとっても理不尽でしかない犯罪。一方のオトナである教授は、論理的、哲学的にチカラの影響力をぼくに伝える、それをコドモの「ぼく」が、まっすぐに、健気に、慎重に考える。 弱者のコドモだけど、不思議なチカラを使える点では、優位な立場。オトナとコドモの違いや、罪には罰、はたして復讐は正義なのか。 読んでいるうちにいつのまにか自分も考えているような物語。


    ぼくの答えは衝撃的。 正しいのかどうかはわからないけど、ぼくだからこその考え抜いた結果。自分だったらもっと感情を抑えられない気がするなぁ。

  • 「ぼく」が友人のふみちゃんのために、精一杯の勇気を出す話。
    不思議な力を持った「ぼく」は、ある事件で心を壊されたふみちゃんのために、その力を使えないかと考える。

    持っている力を正しく使うためにどうすればいいか、先生と一緒に考える7日間がとても濃密。
    悪意の塊にどう立ち向かえばいいのか。
    罪と罰について、復讐とは何か、命の重さ。小学4年生が考える。「ぼく」はどうしたいのか。

    「ぼく」が下した結論はとても驚いた。

    力に頼らずに迎えたラストはとても良かった。「ぼく」が悪意と真剣に向き合っていたとき、戦っていたのは「ぼく」だけじゃなかった。

    人は他人のために泣けないというのは、真実かもしれない。でも秋先生の言葉もまた、心に残る。
    「そうやって、『自分のため』の気持ちで結びつき、相手に執着する。その気持ちを、人はそれでも愛と呼ぶんです」

    最後に。章タイトルの付け方、とても好き。

  • 2013.1.3 読了。どんどん読み進められて著者のほかの作品も読んでみたくなった。
    主人公が小4という幼さだと思えないところもあるくらい、命、罪、友情?愛情?についての深い深い話。考えさせられる。私はこんな陳腐な感想しか述べられないけど、人に薦めたい作品だな。

    改めて作品のあらすじを書くと・・・ネタバレになると

  • 神がかり的な「力」が、自分にあると仮定して、もし自分がどうしようもない暴力に巻き込まれ、そこで大事なものが奪われた場合、その犯人にはどんな罰がふさわしいか?
    この問題を巡る、主人公「ぼく」と秋山先生の対話は非常にスリリング。

  • 小学生の「ぼく」が秋先生と色々考えてふみちゃんを救おうとするのにとても感動した。まず、秋先生が「子ども達は夜と遊ぶ」の秋先生で「力」を持っていたなんて…!でも色々納得するところがあった^^小学生とは思えないほどの賢さと大人の部分を持ったぼくが健気で悲しくて強く見えた。うさぎ殺しの罪で「声の力」についてあんなに考えさせられた辻村さんはすごい…!ふみちゃんの今後も気になるけど、ひとまず秋先生と生徒達の今後が少し見られて満足(*´∀`*)

  • 直木賞作家の作品なので、読んでみた。
    最後に僕の出した答えは、予想してなかったので、驚きと感動。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「予想してなかったので」
      辻村深月って、心地良く予想を裏切られるので、いつも読むのが楽しみなんです。。。
      「予想してなかったので」
      辻村深月って、心地良く予想を裏切られるので、いつも読むのが楽しみなんです。。。
      2013/06/26
  • 反省しない犯人にどのような罰を与えればいいのか。
    復讐の方法、命や罪の重さなど、とても深く答えの出ない問いかけが
    たくさん、それでいてとてもわかりやすく書かれていました。
    作者さんが教育学部を出ているというのに納得がいきます。

    一番ひどい復讐の方法の話、私だったらじわじわと精神的に
    追いつめるか自分がされたことをそっくりそのままやり返すことを
    考えてみたけど、でも結局は怖くて何も出来ないと思います。
    ペットとして飼っている動物を殺すことと食用としての
    動物を殺すことの違いもすごく考えさせられました。

    引用にもあげた「あなたが立ち向かわなければならない
    存在は『悪意』なんですね」という先生の台詞がとても印象的です。
    最後の最後にあるミステリーのような謎解きも面白かったです。
    あれが伏線だったのか!とびっくりました。

    純粋で繊細な二人の子供がとても愛おしく感じました。
    どうか幸せな未来が二人に訪れますように。

  • この本を読んで、誰かに伝えたくなってブクログを始めました。

    直木賞を受賞した人の本です。
    主人公は小学4年生だけど、内容は侮れません。どんどん物語に引き込まれていきます。
    ある<力>を持っている「ぼく」が、ある事件で心を閉ざしてしまった「ふみちゃん」を救うために、ぼくと同じ力を持っている「先生」に助けを求めに行く話。

    大切なふみちゃんのために、一番いい結末を一生懸命考えるぼく。
    それを優しく見守り、冷静に教える先生。
    悪とは、罪とは何か?命の重さは平等なのか?
    哲学的で、とても考えさせられる話。

    ひとつだけ難を言えば、主人公の話す言葉があまりにも大人っぽすぎて、かなり難しい言葉も理解してしまうところ。そこにはいちいち引っかかりながら読んでいました。
    でも、それを含めても星5つ。面白かった。

    辻村さんの本はいっぱい読んだけど、今のところこの本が一番好き。
    (次点は「凍りのくじら」)
    この人は本当に人の描写がうまいと思う。
    ラストもよかったです。

  • H24.08.14
    直木賞受賞された方。
    受賞された本の隣においてあって。そっちよりもこのタイトルが気に入って買った。
    この作品、買って良かった。巡り会えてありがとうって思った。
    ずっと泣きそうになって、電車のなかで読むのはつらかったけど全ての言葉が文章がいい感じでした。
    登場人物がみんなしっかり存在して、まるで映画を見てる感じだった。

    はじめて買った作者さんだけどリンクもあるみたいなので他の作品も読みたいな。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「ずっと泣きそうになって」
      どの作品も素敵ですが、この作品の切なさに泣けてきますよね。

      「リンクもあるみたいなので」
      ふふふ(意味不明な笑...
      「ずっと泣きそうになって」
      どの作品も素敵ですが、この作品の切なさに泣けてきますよね。

      「リンクもあるみたいなので」
      ふふふ(意味不明な笑い)、そう、それに気付くのが愉しみなんですヨ← 辻村深月の術に嵌っている?
      2012/08/24
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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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