ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 10115
レビュー : 1288
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062763301

感想・レビュー・書評

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  • かなり前に読んだ本で、
    自分が初めて
    辻村さんの小説に触れた一冊。

    頭の中では
    読んでる間中ずっと
    the pillowsの
    「My girl」が流れてました。


    どんな言葉より
    どんな光より
    僕を救ってくれた女の子
    キミに会いたいな
    キミに触れたいな
    だけどたぶんもう
    別人みたいさ

    my girl
    come back to me…




    っていうやつ。



    若い作家だとは聞いてたけど
    丁寧に丁寧に心理描写を重ねた
    エモーショナルに胸を打つ構成に、
    駅のベンチであるにも関わらず
    込み上げてくるものを抑えられなかった。

    それくらい衝撃を受けた作品です。



    相手を縛る不思議な力を持った
    小学4年生の「ぼく」。

    「ぼく」の同級生で、
    分厚い眼鏡をかけ
    頭脳明晰でうさぎ好き、
    みんなから慕われるも
    凛とした一匹狼の
    ふみちゃん。


    ある日、
    学校のうさぎを
    バラバラにするという
    猟奇的事件が発生。
    誰よりもうさぎが好きで世話をしていた
    第一発見者のふみちゃんは、
    犯人の圧倒的な悪意に
    心を壊してしまう…。


    人は大事なものを
    失くしたり
    傷付けられた時、
    どう乗り越えていけばいいんだろう。

    既存のモラルなど通用しない
    圧倒的な悪の存在にどう立ち向かえばいいのか。


    たった一人の理解者である
    ふみちゃんを暗闇から救い出すために、
    ふみちゃんの宝物であるメジャースプーンを手に
    「ぼく」は犯人と
    戦うことを誓います。


    「ぼく」と同じ力を持つ秋先生とのやりとりや
    ぼくの葛藤が綴られた中盤は
    少しクドく感じられるけど、

    復讐というものの重さと
    それによって負うことになる責任を
    読む者に提示するためには、
    この長さは絶対に必要だったんだろうな。


    失ったものは取り戻せないけれど、
    やり直すことは出来る。

    誰かのために頑張ることは
    決して偽善なんかじゃなく、
    「好き」から始まる
    行動力だけが
    変わらない何かを
    変える
    唯一の力になるんだと自分は思います。


    果たして
    不思議な力を使う「ぼく」は
    圧倒的な「悪の王様」に
    罰を与えることができるのか。

    そして心が壊れてしまったふみちゃんに
    いつか光が射す日は来るのか。


    あまりに老成した
    「ぼく」のキャラ設定に若干の違和感は残るけど、

    間違いなく心に響いて、
    読む者の記憶に
    残り続けるであろう小説です。

    • まろんさん
      『凍りのくじら』に感動して以来、気になってる作家、辻村深月さん。

      読み始めると、かなり入り込んで、
      他のことが手につかなくなる印象の作家さ...
      『凍りのくじら』に感動して以来、気になってる作家、辻村深月さん。

      読み始めると、かなり入り込んで、
      他のことが手につかなくなる印象の作家さんなので
      上下巻の上だけ買ってあるものとか、何冊かストックしてあるのだけれど
      次に何を読もうか、かなり迷ってました。

      円軌道の外さんが、これだけ衝撃を受けた作品なら
      次はこれにしてみようかな(*^_^*)
      2012/06/08
    • 円軌道の外さん

      まろんさん、
      まったくその通りで
      自分もどっぷりのめり込んじゃうほうなので、
      いろんな意味で心に余裕ある時じゃないと
      辻村さんの...

      まろんさん、
      まったくその通りで
      自分もどっぷりのめり込んじゃうほうなので、
      いろんな意味で心に余裕ある時じゃないと
      辻村さんの作品は
      しんどいんスよね〜(笑)(^_^;)


      ただホンマに
      辻村さんの小説は
      心理描写を描くのが上手くて、
      一気読みしちゃう中毒性がありますよね。

      自分も「凍りのくじら」から入って
      この作品読んだんやけど、

      辻村さんの小説はどれも
      結構昔の作品ともリンクしていて
      登場人物も
      過去の作品の人たちがチラチラ出てくるみたいなんで、

      できれば伊坂さんの作品のように
      デビュー作から順番に読むのが
      一番楽しめる読み方なんかもなぁ〜って
      最近は感じてます(笑)

      2012/06/13
    • まろんさん
      おお、やっぱり他の作品とリンクしてたり、っていうのがあるんですね?!
      (↑そういうの大好きなので、かなりテンションがあがっている♪)

      デビ...
      おお、やっぱり他の作品とリンクしてたり、っていうのがあるんですね?!
      (↑そういうの大好きなので、かなりテンションがあがっている♪)

      デビュー作から順番にって、確かにそれが一番いいかも。。。
      図書館だと作品全部そろってないみたいだったので
      いったんネットでデビューからの流れを追ってみます!
      アドバイスありがとうございます(*^_^*)
      2012/06/13
  • メジャースプーン。
    調味料を丁寧に「量る」ためのこの道具を
    ふみちゃんの宝物としてランドセルにぶら下げ
    タイトルに持ってくる、辻村深月さんって、やっぱりすごい!

    だってこれは、小学4年生の「ぼく」が
    好きで、憧れて、尊敬してやまないふみちゃんの心を
    くだらない自己顕示欲と悪意で踏みつけて壊した犯人の
    罪の重さを、生真面目にいろんな角度から「量ろう」とし、
    自分の特殊能力を使って、それに見合う罰を正しく与えようと
    その「匙加減」に悩みながら、闘う物語だから。

    それにしても、『凍りのくじら』のバス停で
    表情も言葉も失くして痛ましい姿を見せていたふみちゃんが
    もともとはあんなにおしゃべりで溌剌とした少女だったなんて。
    そんな彼女のために、犯人に「ぼく」が仕掛けた「ダブルバインド」は
    大人には無謀に思えても、子どもらしい真摯さに裏打ちされていて
    その想いの深さに、涙が溢れます。

    それでも、『子どもたちは夜と遊ぶ』で、
    ふみちゃんと同じように心に深い傷を負った月子が立ち直り、
    秋先生や恭司と共に「ぼく」とふみちゃんの支えになろうと
    心を砕いていることに救われて

    大・中・小と、ひとつのリングで繋がっていて
    それぞれにつけられた赤・青・白のうさぎ形の石がぶつかることなく
    三本重ねるとぴったりと一つに重なるという
    ふみちゃんの宝物のメジャースプーンのように

    人を赦すことの得意なふみちゃんと
    罪と罰の重さを量ることの難しさを知った「ぼく」は
    やさしく補い合い、あたたかく寄り添って、きっと生きていくのだと
    深い感動に浸りながら信じられる、すばらしい作品です。

    • まろんさん
      kwosaさん!

      なんて深くて、kwosaさんらしい感動的な解釈でしょう。
      このコメントをいただいて、今週は図書館から本が8冊も届いたとい...
      kwosaさん!

      なんて深くて、kwosaさんらしい感動的な解釈でしょう。
      このコメントをいただいて、今週は図書館から本が8冊も届いたというのに
      今読んでいる本そっちのけで、また『ぼくのメジャースプーン』を読み返してしまいました。

      私も、まず、ピアノ発表会では力の発動はなかったのだと思いました。
      あの時はまだ、「ぼく」は自分が持っているかもしれない力のことを全く知らなかったし
      ふみちゃんは、「いつも堂々としているふみちゃんと仲がいいことが自慢なんだ」と
      「ぼく」に言ってもらったことが何よりうれしくて、ステージに戻っていったんですよね。

      でも、同級生のトモくんの件からは、明らかに自分の意志で、言葉を選んで発していたので
      力の発動はあったのだ、と考えて読んでいたんです。
      実は辻村さんの他の作品を読むと、この件に関連するできごとが出てくるので
      その部分についてもkwosaさんには、ぜひご意見を聴かせていただきたいのですが
      それとは別に、実は「ぼく」に関しては力は遺伝していなかった、
      自らの衝動に突き動かされて市川は「ぼく」の首を絞め
      「ぼく」は特殊能力の後押しなしで市川の悪意と暴力に勝ったのだ
      と考えると、新たな感動がわき上がります。

      私が否定することしかできなかった米澤穂信さんの『ボトルネック』といい
      今回のこの本といい、kwosaさんはいつも
      人間の底力を信じて希望に満ちた解釈を見せてくださって、読書の喜びをさらに深めていただいています。
      ありがとうございます!

      そしてそして、他の辻村さん作品、近いうちにぜひまた感想を聞かせてくださいね!
      2013/05/03
    • kwosaさん
      まろんさん!

      ああ、なるほど。
      ピアノ発表会「だけ」は力の発動がなかったという可能性にはまったく思い至っていませんでした。
      もう、力は遺伝...
      まろんさん!

      ああ、なるほど。
      ピアノ発表会「だけ」は力の発動がなかったという可能性にはまったく思い至っていませんでした。
      もう、力は遺伝していなかったと思い込んでいて......

      趣味が「妄想」なものですから、頭のなかに勝手に物語を作り上げ、ときおり作者の意図を越えた深読みをして、ひとりで感動したりしてしまいます。

      辻村作品は読んだ人どうしでいろいろ語り合うのが楽しそうですね。
      はやく他の作品も読まねば!
      2013/05/03
    • まろんさん
      kwosaさん!

      趣味、妄想♪
      お仲間がふえてうれしいです!
      小さい頃から、お話の結末が悲し過ぎたりすると
      頭の中で勝手に筋を考えてハッピ...
      kwosaさん!

      趣味、妄想♪
      お仲間がふえてうれしいです!
      小さい頃から、お話の結末が悲し過ぎたりすると
      頭の中で勝手に筋を考えてハッピーエンドに作り替えちゃったりして
      いつのまにか、どれが本当のラストだかわからなくなるような子だったので。。。

      辻村さんの本は、いろんな解釈ができて
      妄想をふくらませ放題なところもまた、いいですよね!
      kwosaさんには、「この本のここ、どう思われました?」とか
      「あのラストってどういう意味があるんでしょう?」とか
      お聞きしたいことが山のように(?!)あるのです。
      次はどの本を読んでくださるのか、わくわくしています♪
      2013/05/04
  • 最終章で涙がこぼれた。久しぶりに泣いた小説。

    正義って?復讐って?命の重さって?哲学的だけども、主人公が小学生だからとても読みやすい。まあこの主人公、10歳だとはとても思えない賢さだけれど...!

    サンタクロースのエピソードにじーんときたな。節目節目で読み返したい一冊になりました。

    「わかりあえない者同士は、無理に一緒にいる必要はない。正しいとか正しくないというのは、それを話すのが人間同士である以上、簡単に変化していくんです。けれど、そんな中でどうすることが自分の心に一番恥じないのか。何を一番いいと信じるのか。それだけはきちんと胸に置いておく必要があります」

  • うわー!!素敵な本と出会ってしまった!!

    何が正しいか、何が間違っているのか。
    命の重さと軽さ。

    綺麗事だけではなく、つい目を背けたくなるようなグサっとくる事が書いてありました。


    周りの皆より少しだけ早く大人の心を持ってしまった、小さな2人の子。

    胸が締め付けられてしまって、何度も涙が落ちそうになってしまいました。



    この人の書くちょっと不思議な世界観。
    私、好きだなぁー!

  • ファンタジーではないのに、ぼくはある”力”を使う。設定は現実離れしているのに胸にリアルに刺さる、そんな物語。文庫の解説者いわく、作者は「わずか10歳の登場人物に読者を感情移入させる並外れた才能の持ち主」。それは筆者がませたこどもを描いているのではなく、読者の誰もが10年前20年前を振り返った時に出会ったりすれ違ったりしてきたと感じられる経験を描き出しているからかなぁと思いました。やっぱり辻村さんの作品大好きです。

  • すごく良い本だった。
    この本のテーマは「答えのない問題」な気がするなあ。
    この本に出てくる問題の多くは答えのない、トロッコ問題のようなものだ。自分はこの類の問題を友達と討論したりするのが好きだからとても面白かった。読んでる間常に考えさせられて、、約500ページある本だけど300ページの本を読んでいる感じだった。(伝わってくれ〜)たくさんの友達にこの本を紹介して語り合いたい、、星6以上つけたくなるような本だ。
    主人公や秋先生が囁く「声」に正解はない。人が違えば考えることも違うから先生とぼくで市川にどのように囁けばいいのか、最良と思える「声」も変わる。2人の考えは真逆だったけれど自分はどちらの方がいいとはっきりと決められないなあ。どちらの考えもしっくりこないような感じで。 でも2人の考えが間違っているとは思わない。

    あとこの本の中の「ぼく」のキャラクターが個人的にすごい好きだ。笑 私は高校生だがぼくのように大人にはっきり自分の意見を言ったり逆らう子は今あまりいないと感じる、、。自分の学校では自分の意見をはっきりいう子は多いけど中学校の時はそうではなかったな。もちろん、この本の最後にならないようにするためにも大人の言うことをしっかり聞くこともとても大事なのはわかる。つまりは聞かなきゃいけないことと聞かなくてもいいことを聞き分けられる人になるのがベストだってことかな。笑


    最後は感動したな、ぼくも自分で気づかない間に大きなショックを受けていたんだね。ちなみに私は人は自分のためにしか泣けないっていうのは違うと思うねー。「ぼく」はちゃんも人のために泣いていたよ。ハッピーエンド?で終わる本で感動したのは久しぶりだな〜
    最初にも書いたけど是非読んでほしい。

  • 「梟書茶房」さんで、出会った一冊。

    中身が分からないままに、キーワードは小学生と哲学……『君たちはどう生きるか』か?と思っていたら、まさかの辻村深月で驚いた。

    クラスメイトのふみちゃんが何より可愛がっていた、小学校のウサギが惨殺された。
    そして、その惨状を目の当たりにしたふみちゃんは、心神喪失に陥ってしまう。
    一方、主人公の「ぼく」は、条件と罰則によって相手を従わせる「声」の力を持っていることを知っている。
    その力を使って犯人を罰するために、同じ力を持つ大学教授、秋山先生からその力について教えを受けることになる。

    あらすじをまとめると、なんだか現実離れしたような設定に見えるのだけど。
    「ぼく」が秋山先生との対話の中で、「声」の重みに触れていくシーンに比重がかけられていて、ここから一体どんな「結論」を出すのかと、ハラハラしながら読み進めていった。

    罰することが、暴力にならない条件とは何なのだろうか。
    自身が正しいと思い、他者に判断を下すとき、“それ”が独善ではないと、どうやって分かるんだろう。

    そして自分なら、この作品の中の犯人、市川雄太にどんな罰を与えようと、考えるだろう。
    そう思ったとき、主人公がふみちゃんにもらったメジャースプーンの意味が、よく分かる気がした。

    クライマックスにおける、「ぼく」の結論と真意には、正直動揺させられた。
    成長したなあと思う気持ちもあるが、果たしてそれを勇気と讃えていいものかどうか、私には分からなかった。

    けれど、結局その結論とは相入れず、落としたメジャースプーンが、巡り巡って手元に戻ってくることが、この本の、ひとを見放さない素敵な部分だと思う。
    ぜひ、一緒に唸って、考えて欲しい作品です。

  •  条件を満たせば、一度だけ相手に思い通りの行動をとらせることができる能力を持った小学4年生のぼく。そのぼくの小学校で、飼育室のウサギが惨殺される事件が起こり、その現場を見たぼくの幼馴染のふみちゃんは、事件のショックから口がきけなくなってしまう。ぼくは自分の能力を使い、犯人に対し罰を与えようと考え始めるのだが…。

     正直に書くと、小説ぽくない小説だったなあ、と思います。その理由は作品の中盤です。

     ぼくは、自身の能力をどうするべきか、ぼくと同じ能力を持つ親戚の大学教授に相談しに行くのですが、そこでの二人のやり取りは、小説というよりかは、道徳や倫理についての問答のよう。

     犯人の罪の重さはどれほどのものなのか、その罪はどう罰せれるべきなのか、なぜ、ぼくが犯人を罰するのか、その権利はあるのか、そんな答えのない問いと答えをひたすら探していくのです。

     これは、ある意味では辻村深月さん版の「罪と罰」なのかもしれません。こう書くと、難しく感じるかもしれませんが、辻村さんがすごいのは、そんな問いを小学生にさせ、彼に探せることで、問題をかみ砕き、読者とともに迷わせることだと思います。いつの間にか読者も、単なる感情論として犯人を罰したい、という気持ちから、何がふさわしい罰なんだろ、と主人公のぼくとともに迷いながらも、考えていっていると思います。

     そして、犯人との対決とぼくが出した答え。辻村さんらしいサプライズも用意しつつも、それによってより深く、人間の弱さも、そして強さをも浮き彫りにします。読んでいて言葉にしがたい感情があふれてくるように思いました。

     個人的には、ぼくが犯人に課した条件は、なんだかとってもわかってしまうものでした。「何も失うものはない、自分は悪を成し遂げた」、とうそぶく人間に対し、「そんなことはありえない、お前だってただの人間なんだ」と認めさせ、その正体を自白のもとにさらし、自分が安心できるためには、こんな方法しかないのかなあ、と感じてしまったためです。

    「死刑にしてほしかったから、人を殺した」という殺人が起こることもありますが、そういう事件が起こるたびに、自分は、「あんたは、本当に死が怖くないのか?」と問いかけたくなります。どこかで生に執着する惨めな姿をさらすんじゃないか、と考えてしまいます。きっとそれは、自分の欲望のために、身勝手な犯罪を犯す人々に対し、自分はお前の正体を知っているぞ、と安心し、そして勝ったと思いたいからなんだと思います。

     この感情が、ぼくの思いとどこまで同じかは分かりませんが、ふとそんなことを考えてしまいました。

     いろんな思いが渦巻きつつも、それでもラストは救われます。それは、たとえ間違えたとしても、それでもふみちゃんのことを思い続けたぼくに対する、ご褒美だったと思えました。二人の今後の人生に幸あれ、と思わずにはいられません。それだけ、読み終えるころには、この二人が好きになっていたと思います。

     ちなみにぼくとともに、答えのない問いを探し続けた大学教授は『子供たちは夜と遊ぶ』にも登場しています。その作品を読んだときに、「この教授は、何かありそうだなあ」とモヤモヤしていたので、この作品を読んでようやく、そのモヤモヤに納得がいった気がします。

  • 一ページ捲るたびに立ち止まって考えさせられるところの多い作品だったと思う。テンポもよく、軽い文体なのがかえって小説の重厚さを深めている。何が正しくて何が間違っている、なんて一概には言えない。そんな中でも、自分にとっての正義とは、『正しさ』とはなんなのか。そんな人生の本質を追求しようとする小学生が主人公で、感情移入させられるし、一緒になって考えこんでしまった。

    ************

    例えば,目の前で飼い犬が殺されたら。


    それを目撃して,心を閉ざしてしまった友人がいたら。


    犯人には器物損壊の罪しか問えないとすれば・・・


    あなたはどうやって罪を償わせますか?

  • 「責任を感じるから、自分のためにその人間が必要だから、その人が悲しい事が嫌だから。そうやって『自分のため』の気持ちで結びつき、相手に執着する。その気持ちを、人はそれでも愛と呼ぶんです」


    読むたびに名言が出てくるし(前回名言は「現実を消費する」)、「なかみ(真相)」が分かってるだけに、ぼくの一挙一動に泣けた。

    辻村さんの作品はどれも好きだけど、この本が一番好き。
    何回でもレビュー書きたくなります。

    『子ども達は夜と遊ぶ』の後に読むと、色々思い出して更に泣けた。

著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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