ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 10104
レビュー : 1287
  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062763301

作品紹介・あらすじ

ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった-。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に一度だけ。これはぼくの闘いだ。

感想・レビュー・書評

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  • エピローグの衝撃。
    彼は本当に恐ろしい相手に立ち向かっていたのだと気付く。
    自身の「力」ひとつで。
    「ぼく」のメジャースプーンで。

    たとえば、それを「悪」と呼ぶのであれば、悪とは過剰なものではなく、むしろ欠落であるような気がする。
    愛や敬意や美意識、その他いろいろな生活や心を豊かにする感情。
    人間を人間足らしめているものの欠落。

    主義や主張、方向性の違いで衝突するのであれば理解できる。
    でも、何かが足りない人と向き合う自信はない。
    極道の親分は恐いとは思うが、まだ話せばわかる気がする。
    それよりも、たとえば花壇にカップラーメンの食べ残しを容器ごと捨てていく人間のほうが、僕は恐ろしい。

    小学校二年生にして、すでに心に「メジャースプーン」を持つ少女、ふみちゃん。
    もし僕が同級生であったとして、彼女のその魅力に気付くことができるかといえば怪しいところだが、いま身近にこんな娘がいたら確実に好きになっていただろう。
    それだけに「犯人」に、ふみちゃんのことを「萌える」「萌えない」といった尺度で判断された瞬間、煮えたぎった液体が胸までこみ上げてくるようだった。

    透明な石がついたキラキラに輝く三本のスプーンと、百円ショップで叩き売りされているような安物のスケール。
    大切なのは生きてきた時間の長さではない。
    その時間をどのように使ったかということだろう。

    哲学の基本は対話であるというが「秋先生」と「ぼく」の一週間のレッスンは、まさに師匠と弟子のそれである。
    罪と罰、生命とは、裁判と量刑など正解のない問答に、読んでいる僕まで深く考えさせられた。
    ミステリ、エンタテインメントとして単純に読んでも面白いのに、この趣向の中に深遠なテーマを織り込んで、尚かつどちらの魅力も損なわない辻村深月は本当に凄い。

    ふみちゃんからメジャースプーンを譲り受けていた「ぼく」は、すでに認められていたはずだ。
    それを持つ資格があると。

    料理の苦手な人ほど調味料を量らない。
    腕のいい料理人でも最初はきっちり計量カップやスプーンを使い、しっかりと基本を身体に染み込ませていく。
    そうして身体の中に自分なりの尺度を作り上げていった上で、はじめて「適当」や「いい加減」ができるのだ。

    僕のメジャースプーンは輝いているだろうか。
    欠けて狂ってはいないだろうか。

    • kwosaさん
      まろんさん!

      コメントありがとうございます。

      『スロウハイツの神様』で辻村深月さんを知り、次は短めなものをと図書館で予約。
      手に届いた順...
      まろんさん!

      コメントありがとうございます。

      『スロウハイツの神様』で辻村深月さんを知り、次は短めなものをと図書館で予約。
      手に届いた順番で、この本を読みました。
      次に『凍りのくじら』が控えていますよ。

      おすすめされた『子どもたちは夜と遊ぶ』も『名前探しの放課後』も絶対読みます!
      読むのにベストな順番というのはあるのでしょうが、ああ、どれから読んでいいのか悩みます。
      でも『名前探しの放課後』を一番最後にというのがいいんでしょうかね?
      2013/05/02
    • まろんさん
      kwosaさん!

      次に『凍りのくじら』が控えているなんて。。。
      ベストな順番です!
      さすがkwosaさん、本の神様に愛されていますね♪

      ...
      kwosaさん!

      次に『凍りのくじら』が控えているなんて。。。
      ベストな順番です!
      さすがkwosaさん、本の神様に愛されていますね♪

      辻村さんの作品は、できるだけ発表順に読んだほうがいいとは言われていますが
      私としては、『凍りのくじら』のあとは、メジャースプーンの感動が冷めやらないうちに
      『名前探しの放課後』を読んでいただきたいなぁと思ってしまいます。
      というか、正直に告白すると、辻村さんの本の中では
      『名前探しの放課後』が飛びぬけていちばん好きなので
      kwosaさんがどんなふうに読んで、どんなレビューを書いてくださるのか
      気になってしかたがないのです。

      でも、メジャースプーンのエピローグに思ってもみなかった深い解釈をしてくださったkwosaさんなので
      『子どもたちは夜と遊ぶ』のラストをどんなふうに読み解かれるのかも
      とてもとても気になっていたりするのですが。。。
      2013/05/03
    • kwosaさん
      まろんさん!

      辻村深月を全部読みたい! はやく読みたい! でも読み尽くしてしまうのはもったいない!
      そんなジレンマに陥りそうです。

      でも...
      まろんさん!

      辻村深月を全部読みたい! はやく読みたい! でも読み尽くしてしまうのはもったいない!
      そんなジレンマに陥りそうです。

      でも、しっかり読んで、まろんさんを始めブクログのお仲間達がどんなレビューを書いていらっしゃるのかをはやく知りたいです。
      これほど感想を語り合いたくなる作家はなかなかいないです。
      2013/05/03
  • かなり前に読んだ本で、
    自分が初めて
    辻村さんの小説に触れた一冊。

    頭の中では
    読んでる間中ずっと
    the pillowsの
    「My girl」が流れてました。


    どんな言葉より
    どんな光より
    僕を救ってくれた女の子
    キミに会いたいな
    キミに触れたいな
    だけどたぶんもう
    別人みたいさ

    my girl
    come back to me…




    っていうやつ。



    若い作家だとは聞いてたけど
    丁寧に丁寧に心理描写を重ねた
    エモーショナルに胸を打つ構成に、
    駅のベンチであるにも関わらず
    込み上げてくるものを抑えられなかった。

    それくらい衝撃を受けた作品です。



    相手を縛る不思議な力を持った
    小学4年生の「ぼく」。

    「ぼく」の同級生で、
    分厚い眼鏡をかけ
    頭脳明晰でうさぎ好き、
    みんなから慕われるも
    凛とした一匹狼の
    ふみちゃん。


    ある日、
    学校のうさぎを
    バラバラにするという
    猟奇的事件が発生。
    誰よりもうさぎが好きで世話をしていた
    第一発見者のふみちゃんは、
    犯人の圧倒的な悪意に
    心を壊してしまう…。


    人は大事なものを
    失くしたり
    傷付けられた時、
    どう乗り越えていけばいいんだろう。

    既存のモラルなど通用しない
    圧倒的な悪の存在にどう立ち向かえばいいのか。


    たった一人の理解者である
    ふみちゃんを暗闇から救い出すために、
    ふみちゃんの宝物であるメジャースプーンを手に
    「ぼく」は犯人と
    戦うことを誓います。


    「ぼく」と同じ力を持つ秋先生とのやりとりや
    ぼくの葛藤が綴られた中盤は
    少しクドく感じられるけど、

    復讐というものの重さと
    それによって負うことになる責任を
    読む者に提示するためには、
    この長さは絶対に必要だったんだろうな。


    失ったものは取り戻せないけれど、
    やり直すことは出来る。

    誰かのために頑張ることは
    決して偽善なんかじゃなく、
    「好き」から始まる
    行動力だけが
    変わらない何かを
    変える
    唯一の力になるんだと自分は思います。


    果たして
    不思議な力を使う「ぼく」は
    圧倒的な「悪の王様」に
    罰を与えることができるのか。

    そして心が壊れてしまったふみちゃんに
    いつか光が射す日は来るのか。


    あまりに老成した
    「ぼく」のキャラ設定に若干の違和感は残るけど、

    間違いなく心に響いて、
    読む者の記憶に
    残り続けるであろう小説です。

    • まろんさん
      『凍りのくじら』に感動して以来、気になってる作家、辻村深月さん。

      読み始めると、かなり入り込んで、
      他のことが手につかなくなる印象の作家さ...
      『凍りのくじら』に感動して以来、気になってる作家、辻村深月さん。

      読み始めると、かなり入り込んで、
      他のことが手につかなくなる印象の作家さんなので
      上下巻の上だけ買ってあるものとか、何冊かストックしてあるのだけれど
      次に何を読もうか、かなり迷ってました。

      円軌道の外さんが、これだけ衝撃を受けた作品なら
      次はこれにしてみようかな(*^_^*)
      2012/06/08
    • 円軌道の外さん

      まろんさん、
      まったくその通りで
      自分もどっぷりのめり込んじゃうほうなので、
      いろんな意味で心に余裕ある時じゃないと
      辻村さんの...

      まろんさん、
      まったくその通りで
      自分もどっぷりのめり込んじゃうほうなので、
      いろんな意味で心に余裕ある時じゃないと
      辻村さんの作品は
      しんどいんスよね〜(笑)(^_^;)


      ただホンマに
      辻村さんの小説は
      心理描写を描くのが上手くて、
      一気読みしちゃう中毒性がありますよね。

      自分も「凍りのくじら」から入って
      この作品読んだんやけど、

      辻村さんの小説はどれも
      結構昔の作品ともリンクしていて
      登場人物も
      過去の作品の人たちがチラチラ出てくるみたいなんで、

      できれば伊坂さんの作品のように
      デビュー作から順番に読むのが
      一番楽しめる読み方なんかもなぁ〜って
      最近は感じてます(笑)

      2012/06/13
    • まろんさん
      おお、やっぱり他の作品とリンクしてたり、っていうのがあるんですね?!
      (↑そういうの大好きなので、かなりテンションがあがっている♪)

      デビ...
      おお、やっぱり他の作品とリンクしてたり、っていうのがあるんですね?!
      (↑そういうの大好きなので、かなりテンションがあがっている♪)

      デビュー作から順番にって、確かにそれが一番いいかも。。。
      図書館だと作品全部そろってないみたいだったので
      いったんネットでデビューからの流れを追ってみます!
      アドバイスありがとうございます(*^_^*)
      2012/06/13
  • メジャースプーン。
    調味料を丁寧に「量る」ためのこの道具を
    ふみちゃんの宝物としてランドセルにぶら下げ
    タイトルに持ってくる、辻村深月さんって、やっぱりすごい!

    だってこれは、小学4年生の「ぼく」が
    好きで、憧れて、尊敬してやまないふみちゃんの心を
    くだらない自己顕示欲と悪意で踏みつけて壊した犯人の
    罪の重さを、生真面目にいろんな角度から「量ろう」とし、
    自分の特殊能力を使って、それに見合う罰を正しく与えようと
    その「匙加減」に悩みながら、闘う物語だから。

    それにしても、『凍りのくじら』のバス停で
    表情も言葉も失くして痛ましい姿を見せていたふみちゃんが
    もともとはあんなにおしゃべりで溌剌とした少女だったなんて。
    そんな彼女のために、犯人に「ぼく」が仕掛けた「ダブルバインド」は
    大人には無謀に思えても、子どもらしい真摯さに裏打ちされていて
    その想いの深さに、涙が溢れます。

    それでも、『子どもたちは夜と遊ぶ』で、
    ふみちゃんと同じように心に深い傷を負った月子が立ち直り、
    秋先生や恭司と共に「ぼく」とふみちゃんの支えになろうと
    心を砕いていることに救われて

    大・中・小と、ひとつのリングで繋がっていて
    それぞれにつけられた赤・青・白のうさぎ形の石がぶつかることなく
    三本重ねるとぴったりと一つに重なるという
    ふみちゃんの宝物のメジャースプーンのように

    人を赦すことの得意なふみちゃんと
    罪と罰の重さを量ることの難しさを知った「ぼく」は
    やさしく補い合い、あたたかく寄り添って、きっと生きていくのだと
    深い感動に浸りながら信じられる、すばらしい作品です。

    • まろんさん
      kwosaさん!

      なんて深くて、kwosaさんらしい感動的な解釈でしょう。
      このコメントをいただいて、今週は図書館から本が8冊も届いたとい...
      kwosaさん!

      なんて深くて、kwosaさんらしい感動的な解釈でしょう。
      このコメントをいただいて、今週は図書館から本が8冊も届いたというのに
      今読んでいる本そっちのけで、また『ぼくのメジャースプーン』を読み返してしまいました。

      私も、まず、ピアノ発表会では力の発動はなかったのだと思いました。
      あの時はまだ、「ぼく」は自分が持っているかもしれない力のことを全く知らなかったし
      ふみちゃんは、「いつも堂々としているふみちゃんと仲がいいことが自慢なんだ」と
      「ぼく」に言ってもらったことが何よりうれしくて、ステージに戻っていったんですよね。

      でも、同級生のトモくんの件からは、明らかに自分の意志で、言葉を選んで発していたので
      力の発動はあったのだ、と考えて読んでいたんです。
      実は辻村さんの他の作品を読むと、この件に関連するできごとが出てくるので
      その部分についてもkwosaさんには、ぜひご意見を聴かせていただきたいのですが
      それとは別に、実は「ぼく」に関しては力は遺伝していなかった、
      自らの衝動に突き動かされて市川は「ぼく」の首を絞め
      「ぼく」は特殊能力の後押しなしで市川の悪意と暴力に勝ったのだ
      と考えると、新たな感動がわき上がります。

      私が否定することしかできなかった米澤穂信さんの『ボトルネック』といい
      今回のこの本といい、kwosaさんはいつも
      人間の底力を信じて希望に満ちた解釈を見せてくださって、読書の喜びをさらに深めていただいています。
      ありがとうございます!

      そしてそして、他の辻村さん作品、近いうちにぜひまた感想を聞かせてくださいね!
      2013/05/03
    • kwosaさん
      まろんさん!

      ああ、なるほど。
      ピアノ発表会「だけ」は力の発動がなかったという可能性にはまったく思い至っていませんでした。
      もう、力は遺伝...
      まろんさん!

      ああ、なるほど。
      ピアノ発表会「だけ」は力の発動がなかったという可能性にはまったく思い至っていませんでした。
      もう、力は遺伝していなかったと思い込んでいて......

      趣味が「妄想」なものですから、頭のなかに勝手に物語を作り上げ、ときおり作者の意図を越えた深読みをして、ひとりで感動したりしてしまいます。

      辻村作品は読んだ人どうしでいろいろ語り合うのが楽しそうですね。
      はやく他の作品も読まねば!
      2013/05/03
    • まろんさん
      kwosaさん!

      趣味、妄想♪
      お仲間がふえてうれしいです!
      小さい頃から、お話の結末が悲し過ぎたりすると
      頭の中で勝手に筋を考えてハッピ...
      kwosaさん!

      趣味、妄想♪
      お仲間がふえてうれしいです!
      小さい頃から、お話の結末が悲し過ぎたりすると
      頭の中で勝手に筋を考えてハッピーエンドに作り替えちゃったりして
      いつのまにか、どれが本当のラストだかわからなくなるような子だったので。。。

      辻村さんの本は、いろんな解釈ができて
      妄想をふくらませ放題なところもまた、いいですよね!
      kwosaさんには、「この本のここ、どう思われました?」とか
      「あのラストってどういう意味があるんでしょう?」とか
      お聞きしたいことが山のように(?!)あるのです。
      次はどの本を読んでくださるのか、わくわくしています♪
      2013/05/04
  • 命の尊さを問う、お話。私たちは日々の食事で命を頂いている、でも自分のペットを亡くすのを悲しいと思う。情をかけていたのが傷つけられれば怒りを感じる。
    人と動物での刑の重さも違う。また亡くなった動物の命の裏で、その動物を亡くすことによって傷ついた心は?
    その傷ついた人を大事に思ってる人の心は?
    もし、それが当事者ではなく、全くの知らない人だったら自分はどんな感情を抱いてた?

    あなたは酷いと言いますが同じ命ですよね、何が違いますか?と。。
    登場人物の先生が中々そういう大人でも難しい質問を子どもに問う。。命に対して、自分と近親者と他人との、感情の向け方、を考えさせられる。

    先生は市川雄太になんの罰を言ったんだろう。。

    ふみちゃん、ちゃんと覚えてたんだね…!!!
    最後、ふみちゃん少しずつ前に進んで良かった!!!

  • 主人公の少年がもつ特殊な能力。
    それは現実世界の私たちも持っているものだと思います。

    私たちが口にする言葉や書き出す文字は、意識するしないに関わらず
    周りの誰かや時に自分を縛ることがあります。
    例えば夢を諦めさせたり、人間不信に陥らせたり、自己不信に陥らせたり。
    言葉は簡単に人を傷つけることが出来る。
    だからこそ大切にしなければいけない。
    そんなメッセージを感じたような気がしました。


    物語りとしては最後の意表をつく展開に驚き、そして改めて考えさせられました。

    「自分の中に何が正しいかをきちんと用意して持っている」かどうか。

    自分にとって大事なものは何なのか。目の前のことはどの程度大切なものなのか。
    分かれ道を目の前にしたときに、照らし合わせる信念(メジャースプーン)は
    大人になった今、決して失うことが出来ない、自分が自分である為に必要なもの。

    少年が突きつけるテーマに思わず考えさせられます。

  • 最終章で涙がこぼれた。久しぶりに泣いた小説。

    正義って?復讐って?命の重さって?哲学的だけども、主人公が小学生だからとても読みやすい。まあこの主人公、10歳だとはとても思えない賢さだけれど...!

    サンタクロースのエピソードにじーんときたな。節目節目で読み返したい一冊になりました。

    「わかりあえない者同士は、無理に一緒にいる必要はない。正しいとか正しくないというのは、それを話すのが人間同士である以上、簡単に変化していくんです。けれど、そんな中でどうすることが自分の心に一番恥じないのか。何を一番いいと信じるのか。それだけはきちんと胸に置いておく必要があります」

  • うわー!!素敵な本と出会ってしまった!!

    何が正しいか、何が間違っているのか。
    命の重さと軽さ。

    綺麗事だけではなく、つい目を背けたくなるようなグサっとくる事が書いてありました。


    周りの皆より少しだけ早く大人の心を持ってしまった、小さな2人の子。

    胸が締め付けられてしまって、何度も涙が落ちそうになってしまいました。



    この人の書くちょっと不思議な世界観。
    私、好きだなぁー!

  • こちらも会社の方からお借りした一冊。
    ってか10冊くらい纏めてお借りしたので8月は会社の方からお借りした本を読みまくろう月間となるだろう(笑)



    僕には他の人にはない不思議な能力がある。

    ふみちゃんは僕の幼馴染。
    ふみちゃんはクラスの中心人物で、誰とでも仲がいい。明るくはきはきし、困っている人がいると助けてあげる。
    僕たちは小学四年生になった。小学四年生になるとうさぎの飼育当番をすることが出来る。
    ふみちゃんの喜びようは相当だった。

    僕らのクラスにテレビ局が取材に来ることになった。脚を怪我したうさぎに、車椅子を作ってあげたからだ。
    しかしこれがきっかけになり、陰惨な事件が起こってしまう。。。



    主人公は小学生だが、この本は凄いな。
    哲学的要素が凄い。

    罪と罰とは少し違うかもしれないが、そのくらい重く考えさせられる本ではないだろうか。

    難しい言葉は無いのだが、本の内容に重みを感じた。この本を読書感想文にしたら面白いのではないか?とも感じた。

    少年の覚悟も、エピローグにもぐっとくる。

    読んでいると自分ならどうする?何を言う?どう条件を作る??悩むこと間違いないのではないだろうか?

    物語の進行と同時に、自分も一緒になって考えさせられるそんな深い一冊だった。

  • 久しぶりの辻村作品。500頁もあるのに一気読みさせる筆力に相変わらず脱帽。
    小さい頃に深く考えず、うやむやにしてきたこと、逃げてきたこと、胡麻化してきたこと、納得したつもりでいたこと...。自分のエゴや他者への関心とその欺瞞...。
    最終章のぼくと秋山先生の遣り取りは圧巻。最後のふみちゃんにほっこりさせられるとともに、全編を通じて、他者への献身が人を磨く、強くする、成長することを感じさせてくれる...。

  • 幼馴染のふみちゃんの心を壊した市川雄太。
    「ぼく」は「力」を使い、彼に復讐する。

    小学4年生だからと、舐めないほうがいい。
    「ぼく」はお母さんと先生などの周りの大人と、そして私たち読者が思っているよりずっと、賢くて、優しくて、傷ついている。
    「ぼく」は最初から、お母さんと、先生と、そして私たち読者を騙します。
    彼は、ふみちゃんの心が壊された日から、きっと犯人に与える条件を決めていたのでしょう。


    これは、「ぼく」の復讐と償いのお話だと思います。


    「ぼく」が持つ、声の力は恐ろしいものです。
    人を殺すことも、自分を殺させることもできるのだから。
    でも、果たしてその力は彼が特別に持っている力でしょうか。
    私たちも、弱い力だけど、少しは持っているのではないのでしょうか。
    「ぼく」は、初めてふみちゃんに対して力を使ったとき、彼の意志で力を使ったのではありません。彼の本心による言葉で、ふみちゃんはピアノを弾いたと思います。

    私たちの言葉も、時には人を生かしも殺しもします。
    この本は、なんだか、自分の発する言葉の重みを考えさせられました。


    とても、悲しくて、優しい本でした。

  • ファンタジーではないのに、ぼくはある”力”を使う。設定は現実離れしているのに胸にリアルに刺さる、そんな物語。文庫の解説者いわく、作者は「わずか10歳の登場人物に読者を感情移入させる並外れた才能の持ち主」。それは筆者がませたこどもを描いているのではなく、読者の誰もが10年前20年前を振り返った時に出会ったりすれ違ったりしてきたと感じられる経験を描き出しているからかなぁと思いました。やっぱり辻村さんの作品大好きです。

  • すごく良い本だった。
    この本のテーマは「答えのない問題」な気がするなあ。
    この本に出てくる問題の多くは答えのない、トロッコ問題のようなものだ。自分はこの類の問題を友達と討論したりするのが好きだからとても面白かった。読んでる間常に考えさせられて、、約500ページある本だけど300ページの本を読んでいる感じだった。(伝わってくれ〜)たくさんの友達にこの本を紹介して語り合いたい、、星6以上つけたくなるような本だ。
    主人公や秋先生が囁く「声」に正解はない。人が違えば考えることも違うから先生とぼくで市川にどのように囁けばいいのか、最良と思える「声」も変わる。2人の考えは真逆だったけれど自分はどちらの方がいいとはっきりと決められないなあ。どちらの考えもしっくりこないような感じで。 でも2人の考えが間違っているとは思わない。

    あとこの本の中の「ぼく」のキャラクターが個人的にすごい好きだ。笑 私は高校生だがぼくのように大人にはっきり自分の意見を言ったり逆らう子は今あまりいないと感じる、、。自分の学校では自分の意見をはっきりいう子は多いけど中学校の時はそうではなかったな。もちろん、この本の最後にならないようにするためにも大人の言うことをしっかり聞くこともとても大事なのはわかる。つまりは聞かなきゃいけないことと聞かなくてもいいことを聞き分けられる人になるのがベストだってことかな。笑


    最後は感動したな、ぼくも自分で気づかない間に大きなショックを受けていたんだね。ちなみに私は人は自分のためにしか泣けないっていうのは違うと思うねー。「ぼく」はちゃんも人のために泣いていたよ。ハッピーエンド?で終わる本で感動したのは久しぶりだな〜
    最初にも書いたけど是非読んでほしい。

  • 「梟書茶房」さんで、出会った一冊。

    中身が分からないままに、キーワードは小学生と哲学……『君たちはどう生きるか』か?と思っていたら、まさかの辻村深月で驚いた。

    クラスメイトのふみちゃんが何より可愛がっていた、小学校のウサギが惨殺された。
    そして、その惨状を目の当たりにしたふみちゃんは、心神喪失に陥ってしまう。
    一方、主人公の「ぼく」は、条件と罰則によって相手を従わせる「声」の力を持っていることを知っている。
    その力を使って犯人を罰するために、同じ力を持つ大学教授、秋山先生からその力について教えを受けることになる。

    あらすじをまとめると、なんだか現実離れしたような設定に見えるのだけど。
    「ぼく」が秋山先生との対話の中で、「声」の重みに触れていくシーンに比重がかけられていて、ここから一体どんな「結論」を出すのかと、ハラハラしながら読み進めていった。

    罰することが、暴力にならない条件とは何なのだろうか。
    自身が正しいと思い、他者に判断を下すとき、“それ”が独善ではないと、どうやって分かるんだろう。

    そして自分なら、この作品の中の犯人、市川雄太にどんな罰を与えようと、考えるだろう。
    そう思ったとき、主人公がふみちゃんにもらったメジャースプーンの意味が、よく分かる気がした。

    クライマックスにおける、「ぼく」の結論と真意には、正直動揺させられた。
    成長したなあと思う気持ちもあるが、果たしてそれを勇気と讃えていいものかどうか、私には分からなかった。

    けれど、結局その結論とは相入れず、落としたメジャースプーンが、巡り巡って手元に戻ってくることが、この本の、ひとを見放さない素敵な部分だと思う。
    ぜひ、一緒に唸って、考えて欲しい作品です。

  •  条件を満たせば、一度だけ相手に思い通りの行動をとらせることができる能力を持った小学4年生のぼく。そのぼくの小学校で、飼育室のウサギが惨殺される事件が起こり、その現場を見たぼくの幼馴染のふみちゃんは、事件のショックから口がきけなくなってしまう。ぼくは自分の能力を使い、犯人に対し罰を与えようと考え始めるのだが…。

     正直に書くと、小説ぽくない小説だったなあ、と思います。その理由は作品の中盤です。

     ぼくは、自身の能力をどうするべきか、ぼくと同じ能力を持つ親戚の大学教授に相談しに行くのですが、そこでの二人のやり取りは、小説というよりかは、道徳や倫理についての問答のよう。

     犯人の罪の重さはどれほどのものなのか、その罪はどう罰せれるべきなのか、なぜ、ぼくが犯人を罰するのか、その権利はあるのか、そんな答えのない問いと答えをひたすら探していくのです。

     これは、ある意味では辻村深月さん版の「罪と罰」なのかもしれません。こう書くと、難しく感じるかもしれませんが、辻村さんがすごいのは、そんな問いを小学生にさせ、彼に探せることで、問題をかみ砕き、読者とともに迷わせることだと思います。いつの間にか読者も、単なる感情論として犯人を罰したい、という気持ちから、何がふさわしい罰なんだろ、と主人公のぼくとともに迷いながらも、考えていっていると思います。

     そして、犯人との対決とぼくが出した答え。辻村さんらしいサプライズも用意しつつも、それによってより深く、人間の弱さも、そして強さをも浮き彫りにします。読んでいて言葉にしがたい感情があふれてくるように思いました。

     個人的には、ぼくが犯人に課した条件は、なんだかとってもわかってしまうものでした。「何も失うものはない、自分は悪を成し遂げた」、とうそぶく人間に対し、「そんなことはありえない、お前だってただの人間なんだ」と認めさせ、その正体を自白のもとにさらし、自分が安心できるためには、こんな方法しかないのかなあ、と感じてしまったためです。

    「死刑にしてほしかったから、人を殺した」という殺人が起こることもありますが、そういう事件が起こるたびに、自分は、「あんたは、本当に死が怖くないのか?」と問いかけたくなります。どこかで生に執着する惨めな姿をさらすんじゃないか、と考えてしまいます。きっとそれは、自分の欲望のために、身勝手な犯罪を犯す人々に対し、自分はお前の正体を知っているぞ、と安心し、そして勝ったと思いたいからなんだと思います。

     この感情が、ぼくの思いとどこまで同じかは分かりませんが、ふとそんなことを考えてしまいました。

     いろんな思いが渦巻きつつも、それでもラストは救われます。それは、たとえ間違えたとしても、それでもふみちゃんのことを思い続けたぼくに対する、ご褒美だったと思えました。二人の今後の人生に幸あれ、と思わずにはいられません。それだけ、読み終えるころには、この二人が好きになっていたと思います。

     ちなみにぼくとともに、答えのない問いを探し続けた大学教授は『子供たちは夜と遊ぶ』にも登場しています。その作品を読んだときに、「この教授は、何かありそうだなあ」とモヤモヤしていたので、この作品を読んでようやく、そのモヤモヤに納得がいった気がします。

  • ★5の気分ですがこの作品単独の評価でと考えると、この一冊で全てを充分に楽しめないだろうと思いマイナス1です。なぜなら辻村さんの他の作品とリンクしているからです。
    『子供たちは夜と遊ぶ』で解明されなかった謎がここにきて判明!めちゃめちゃスッキリしました。

    小学校でうさぎがバラバラに切断されるという陰惨な事件が起きてしまい、第一発見者のふみちゃんがショックのあまり心を閉ざしてしまう。大好きなふみちゃんの為にぼくにできる唯一の事。犯人に対してある力を使う。

    そういえば、気が付かなかったけどこの『ぼく』は最後まで名前がでてこなかったな〜。なんか不思議、これも何か意味ありげですね。私はこの『ぼく』は『凍りのくじら』に出てくる松永郁也なのかなと思っていたのだけれど、解説を読むとどうやら違ってたみたい。すぐにでも読み返したかったけど凍りのくじらは図書館で借りて読んだものだったので出来ずに残念。

    不思議な力をもった少年が主人公という事でSFという事になるんでしょうが、かなり心理的にキツイ作品でした。まず、うさぎが殺される場面が…こういう動物ものには弱い私。
    相手の心を縛ってコントロールする、言い換えれば呪いを使う事の恐怖。復讐した後に残る虚しさ等、怒りと迷いがぐるぐる頭を巡るなんともいえない重たい気分。考えさせられるものが多かったです。
    秋先生が考えた「条件と罰」これがかなり恐かった。

    すごいな、辻村深月。

  • 一ページ捲るたびに立ち止まって考えさせられるところの多い作品だったと思う。テンポもよく、軽い文体なのがかえって小説の重厚さを深めている。何が正しくて何が間違っている、なんて一概には言えない。そんな中でも、自分にとっての正義とは、『正しさ』とはなんなのか。そんな人生の本質を追求しようとする小学生が主人公で、感情移入させられるし、一緒になって考えこんでしまった。

    ************

    例えば,目の前で飼い犬が殺されたら。


    それを目撃して,心を閉ざしてしまった友人がいたら。


    犯人には器物損壊の罪しか問えないとすれば・・・


    あなたはどうやって罪を償わせますか?

  • 一緒に「正しさ」とは何かを考えていく物語。
    ちょっとだけ説教くさく感じてしまったけれど、考えさせられたし、エンターテイメントとしても楽しませてもらった。

  • 「責任を感じるから、自分のためにその人間が必要だから、その人が悲しい事が嫌だから。そうやって『自分のため』の気持ちで結びつき、相手に執着する。その気持ちを、人はそれでも愛と呼ぶんです」


    読むたびに名言が出てくるし(前回名言は「現実を消費する」)、「なかみ(真相)」が分かってるだけに、ぼくの一挙一動に泣けた。

    辻村さんの作品はどれも好きだけど、この本が一番好き。
    何回でもレビュー書きたくなります。

    『子ども達は夜と遊ぶ』の後に読むと、色々思い出して更に泣けた。

  • 「ぼく」と「罪」の話

    すごい考えさせられた
    罪とはなにか
    罰とはなにか
    復讐とはなにか・・・

    結局、その基準は個人の主観によって決まる
    自分の納得できる基準をもたなくてはならない

    自分のなかに確固たる基準があると思っていても、
    秋山先生から語られる話しを聞くと、
    それが揺らいでしまう
    例えば、カラスの話は印象的だった(247ページ)
    はっとさせられた

    『子どもたちは夜と遊ぶ』を読んで、秋山先生好きだったので、
    再登場は嬉しかった

    本当にこの人の作品はすごい!!

  • ぼくのふみちゃんを思う純粋な気持ちに惹かれた。
    大切なひとのために ここまで必死にできるのだと・・。
    『罪と罰』、命についても考えさせられる。

    市川みたいな人物、実際にも居そうで怖い。

  • 人間って、絶対に他人のために泣いたりできないんだって。誰かが死んで、それで、悲しくなって泣いてても、それは結局、その人がいなくなっちゃった自分のことがかわいそうで泣いてるんだって。

    責任を感じるから、自分のためにその人間が必要だから、その人が悲しいことが嫌だから。そうやって、『自分のため』の気持ちで結びつき、相手に執着する。その気持ちを人はそれでも愛と呼ぶんです

    正直な感想だと、こんなに賢いことは10歳にはできない。極限状態でこんなことができているのであれば、悲しくて、切ないと思った。
    あんなに大人顔負けの事を成し遂げた後で、それでも僕はふみちゃんを好きじゃない、と悩むのが急に子供で、どうしようもなく心を揺さぶった。
    秋先生の答えには自分自身も納得。

  • 名前探しの放課後を読んだ後、こちらの内容は殆ど忘れてしまっていたので再読しました。市川以外の登場人物がみんな素敵で、2回目でも読んでよかった。

  •  サイコパスな人間に対して、どうやって戦うのか、読みやすくて面白いし、それでいて、緊張感が常にある。いわゆる「復讐もの」だからだ。しかもその復讐は主人公が狂気の人格になって努力して勝ち取るというよりは、先生との対話を重ねて、積み上げていくもの。たった一度の命令をどのように実行するのか。難しくなりすぎず、かといって先読みがなされないように、丁寧に作り上げられている。
     底が抜けるというか、先が見えるということがない。必ず主人公は勝つだろうというのはわかっていても、どう勝つかわからないから、読み進めてしまう。見事なリベンジ物語であったと思う。

  • 姉からのオススメで、初めて辻村深月さんの作品を読みました!

    うさぎが酷い目にあってふみちゃんがPTSDになってしまった場面は描写的にもすごくショックでしたが、それ以上に、登場人物たちの行動はそれぞれ大切な誰かのためという感じがしてとてもいい話だと思いました。

    「ぼく」は小学校中学年くらいなのに大人びていてしっかりしているように見えましたが、書かれている「ぼく」の気持ちや行動は当時の自分を思い出す所もあったので違和感はなかったです。
    最後の作戦や決断は、「ぼく」よりいくつも年上の今の自分でも到底できないようなもので本当にすごい勇気だと思いました!

    物語として面白いだけではなく物事についての考え方で影響を受けた文もたくさんありました。
    ぜひ読んでみてほしいです!
    (ごめんなさい長くなりました…)

    • Hiroaki Okadaさん
      熱い文でどうしてもこの夏読みたい本が一冊増えました。自分の仕事にもリンクしそうなので必ず読みます!
      ごめんとか言わないで、とても嬉しかったで...
      熱い文でどうしてもこの夏読みたい本が一冊増えました。自分の仕事にもリンクしそうなので必ず読みます!
      ごめんとか言わないで、とても嬉しかったです。
      2019/07/30
  • 辻村深月さんにはまった決定打の作品。
    読書中に声出して「あかん~!それあかん~!!」(関西弁です)と叫び、突然泣き出してしまい嫁さんに「どしたん・・?」と怪しまれた、由緒ある本です。

  • 秋山先生の冷酷さがとても好き

    私が主人公の彼と同じ立場なら、
    同じ力が使えてたなら、
    きっと彼の言っていた甘すぎる条件しか
    思いつかないだろうし、言えないんだろうな

    読み進めてて展開に驚いて
    え!?って声出しながら本閉じちゃったの初めて笑

    何度読んでも考えさせられる
    素敵

    • たんたんさん
      私もとても好きな本です!
      私ももし自分が力を持っていたらと考えると甘い条件しか思いつきませんでした (´;∀;`)
      秋山先生の条件のエグさ...
      私もとても好きな本です!
      私ももし自分が力を持っていたらと考えると甘い条件しか思いつきませんでした (´;∀;`)
      秋山先生の条件のエグさにはびっくりですよね!
      2019/04/24
    • おさわさん
      たんたんさま
      コメントありがとうございます❁⃘
      本当に素敵な本ですよね⸜❤︎⸝‍
      あの条件を出せる主人公にもゾッとしちゃいましたが、やっぱり...
      たんたんさま
      コメントありがとうございます❁⃘
      本当に素敵な本ですよね⸜❤︎⸝‍
      あの条件を出せる主人公にもゾッとしちゃいましたが、やっぱり秋山先生が淡々と語るエグい条件にもゾッとしました笑
      2019/04/25
  • 私にとって嫌な箇所があった。
    物言わぬ動物が虐待される描写。
    動物好き故に、普段動物に関する番組や映画(特に可哀想なやつ)を見ることが苦手なので、うさぎはもちろん、動物嫌いな人がネットで会話する場面は本当に苦手だった。
    そのページは二度と読めないかもしれない。

    私が嬉しかったところ。
    この作品でも、他の作品の登場人物が出てくるのは分かっていたけど、秋山先生も納得だったけど、まさかあのD大に再び足を踏み入れることがあろうとは!
    しかも月子まで再登場。たぶん恭司も。そうだ料理があまり得意じゃなくて、噛み合わない会話をする月子だった…と懐かしくなった。秋山先生が人を消した方法が分かってすっきり。できれば浅葱のその後も見たかった。
    子どもたちは夜と遊ぶが大好きなので、あの雰囲気をまた味わえたことが嬉しかったな。

    驚かされたいから、あまり先を予想せずに読もうと思っていたので、「ぼく」がPTSDだとは全く予期していなかった。でも確かに大学で賞味期限切れのチョコなんて置いてるかな?とか、マドレーヌが個別に味が違うとか引っかかるところはあったけど、読み返すと味覚について確かに色々書いてある。二回目読んだら景色が違って見える叙述トリックが好き。
    そしてそこまでこの子が「自分のせい」だと責めていたなんて。それが悲しくて、そして人の気持ちを察するって難しいんだなって改めて思った。ふみちゃんの気持ちは考えたけど、ぼくの言葉は書かれていることが全てだと思っていた。だから人の思考回路を、言外のことを分かろうとするのは難しいといつも思う。自分と他人の考えは違うから。それを忘れないでいたい。


    この物語は、罪と罰に重きを置いている。
    確かに市川雄太は人を殺したわけじゃない。例えば生類憐れみの令のように人間に重い罰を与えるのも違う気がする。
    そして私達は普段生きていくために沢山の生き物の命をもらっている。
    だけど、必要のない殺生に、それを見た人を傷つけると分かっていることに、動物だけじゃなく今後人間をも手にかける可能性のある人物がした行いに、本当に器物損壊罪で済まされるのかは疑問。
    人間は人間同士のルールを守ることである程度の身の安全を保証されるのではないか。それを守らない人に、人の人生を奪う人に、保証はない。それを正しく判断し、罰するのも人間だからこそ、人間は考えることをやめてはいけないと思う。

    ふみちゃんみたいに、周りの子より大人で、群れない子は生き辛いだろう。でも私はふみちゃんみたいに優しくて、自分の軸を持つ子が好き。
    私は秋山先生の考えに近いので、ぼくが市川雄太に言った条件と罰は納得できないし良くないと思うけど、身を挺して自分を庇ってくれる「ぼく」のような存在が身近にいると分かって、ふみちゃんは幸せだと思う。だから単に事件の記憶を消せば良いということでもないのかもしれない。

    ぼくとふみちゃんの今後が気になる。
    3.5点ぐらいのつもり。

    20181216

  • 不思議な力を持つ「ぼく」が、ある事件がきっかけで重度のPTSDになり話せなくなってしまった幼馴染のふみちゃんのために戦う物語。
    「子どもたちは夜と遊ぶ」の2年後の話で、主人公の母親の叔父として秋先生が登場。月子や恭司、真紀も元気そうでなにより。
    いつもの辻村作品らしく、登場人物を丁寧に描いていき、ラストは少し意外な展開だったけどすっきりと終わる。
    とても読後感がよく、主人公もふみちゃんも好きになった。
    「子どもたちは夜と遊ぶ」で秋先生が月子を救う時にかけた言葉、あれは先生が力を使っていたということがわかり、それが失敗したことを寂しそうに主人公に語る姿が切ないけど、その傍らで何も知らずに笑顔を見せる月子の姿が対比となり爽やかそのもの。印象に残る好きなシーンだった。

  • 責任とか覚悟とか優しさとか愛とか生とか死とか、、、詰まってた〜感動。また読み返したい。主人公が小4とは思えないくらい強い。私だったら犯人速攻殺してる笑

  • 「〇〇しなければ、××になる」という言葉で、相手を縛ることができる能力を持った「僕」が、幼馴染のふみちゃんを助けるために、うさぎ殺しの犯人に何を話すのか…

    同じ能力者の秋山先生に、力の使い方を教えてもらう過程で、人にとって一番辛いと感じることは何か、何をもって復讐とするのか、など、考え込んでしまう命題が出てくる。
    「僕」が出した結論には驚いたが、小さい身体と心で、必死に秋山先生の話を聞き、ふみちゃんのためを思って考え抜いた答えだと思うと、胸が苦しくなる。

    秋山先生を始め、『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』の登場人物がちょこちょこ顔を出してきて、しかも結構大事な場面で良い役割をしているので、そんなリンクも辻村作品の醍醐味なのかな!
    辻村ファンが多いのも頷ける。
    今まで読んできた辻村作品で、一番好きかも。

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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