新装版 限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 288
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062763479

作品紹介・あらすじ

村上龍のすべてはここから始まった!
文学の歴史を変えた衝撃のデビュー作が新装版で登場!解説・綿矢りさ

米軍基地の街・福生のハウスには、音楽に彩られながらドラッグとセックスと嬌声が満ちている。そんな退廃の日々の向こうには、空虚さを超えた希望がきらめく――。著者の原点であり、発表以来ベストセラーとして読み継がれてきた、永遠の文学の金字塔が新装版に! 〈群像新人賞、芥川賞受賞のデビュー作〉

感想・レビュー・書評

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  • 2020年2月4日、読み始め。
    村上龍さんの作品は、それほど読んでいない。
    と思っていたが、ブクログに登録するのは4冊目になるようで、驚く。

    2020年2月11日、中断。
    著者が20代前半の時に書かれた作品で、芥川賞受賞作。
    この作品を理解するというか、味わうというか、は、純文学系は、自分には難しい。
    という、わかりきったことを確認しました。

    この作品を読んで良かったのは、福生のハウス。
    今まで知らなかったのですが、戦後の進駐軍の住居として建てられた住宅があったわけで、その住宅が今でも福生には残っているらしいこと。
    この辺を知ることができたのは、良かった。

  • H29.11.12 読了。

    ・いろんな意味で衝撃的な作品。文字を読むというより物語を眺めるという感じでした。ドラッグ・覚せい剤、乱交パーティ、セックスなどなど。また、虫を口に含む、腐った食べ物を口に含む、腕を切るなど目を覆いたくなる描写にはまいった。
    ・それでも最後まで読めたのは作者の文章力かな。

  • タイトルから清々しい青春小説だと思って初めて読んだ高校時代。しかし、読み始めると青春なんてどこにもなかった。

    読んでいるだけで気持ち悪くなって、クスリに溺れているような感覚になったが、ページをめくる手は止まらなかった。今まで読んだ中で最も衝撃的だった本で、文章だけでこんな感覚が味わえるんだと感動した。退廃的な情景を生々しく浮かび上がらせる文章。読む側の心を蝕む毒のような文章。中毒になって何度も読み返すことになるだろう。

    私の純文学の入門書。そして、実は村上龍は私の高校のOBである。

  • ドラッグとセックスに溺れる退廃的な日々を過ごす若者の日常が主人公の視点から描写されている。

    彼らは目標もなく、刹那的な快楽を求める日々を送っている。その一方でそんな日々を心から楽しんでいる登場人物はいない。みな「殺してほしい」と思うほど傷つきながら苦しんでいる。生きていることそれ自体を否定したいかのように。

    だが、最後の場面で主人公はガラスの破片を自身の左腕に突き刺し、その痛みで自身の生を実感した。リリーの部屋を出て、何度も転びながら、草むらに寝転がった主人公はガラスの破片をかざし、限りなく透明に近いブルーのガラスのようになりたいと思った。

    最後の最後で主人公は自らの生を実感し、退廃的な日常の中で微かな希望を掴むことが出来たのではないか。「限りなく透明に近いブルー」とは、主人公にとっての希望の象徴であると感じた。

  • 読んでいると、その風景や情景がどうしても浮かんでしまう。
    それがまたグロい内容や考えたくもないようなものばかりなので、ちょっとした恐怖や嫌悪感があった。
    限りなく透明に近いブルー、このタイトルはなんだろうと思っていたけど、なるほど、それは確かに限りなく透明に近いブルーだ。
    黒い鳥、腐ったパイナップル、とても良かったです。

  • 限りなく透明に近いブルー // 村上龍


    テレビやネットではコカイン瀧がピエール使用で捕まったと大騒ぎしているけれど、村上龍がこれを書いた1976年頃はドラッグとセックスと暴力がとても薄い膜を挟んだ隣り合わせにあるような時代だったのかもしれない。

    だってこれ、ぜっーーーーたいに村上龍本人の話でしょう?笑。これが許される時代だったってすごいなぁ。

    ドラッグをやったことのある人にしか見えない世界がある。これはアメリカに住んでたのでよくわかる。自分にしか見えない世界を表現したくなる気持ちも想像はできる。実際に多くの有名アートはドラッグの作用や幻覚によってできたというのも間違いないと思う。まさにその視点でこの本全部が書かれていると思うのですが。

    真藤順丈の宝島を読んでから、戦後から70年代くらいまでのことをもっと知りたいと思って読み始めた。戦後もずっと米軍基地やアメリカの支配と日本から見放されたと感じていた沖縄、その頃東京ではどんな思いで人々が生きていたのだろう。

    限りなく透明に近いブルーは、東京と言えども福生の米軍基地に強く影響を受けている。そういう意味では思った以上に同時代の沖縄と東京がかけ離れてはいなかった。

    今は森茉莉の私の美の世界を読んでいます。こっちの方が近い時代の遠い話感がでるでしょう。

    時代を並べて本を読むのが好きです。

  •  こないだ頭の上を戦闘機が3機飛んでいった。それでこの小説の感想を書いてないことをようやく思い出した。

     村上龍の作品は、毀誉褒貶が激しいものが多いようだ。デビュー作であるこの『限りなく透明に近いブルー』もそうだろう。暴力、ドラッグ、セックス、それらが生々しく、しかも冷静に描写され、読者は否応なしにそれらを追体験させられる。それをすごい文章力だと受け取る人と、ただ嫌悪感を示す人とに分かれるためだろうと思う。

     たしかに、この作品は一見悪趣味の見本市みたいな小説だ。
     ドラッグに溺れ、乱交を繰り返す若者たち。それは、彼ら自身が選んだ行為であるはずだ。
     若い人は、往々にして刹那的だ。「いまがよければ、それでいい」ということなのだろう。
     だけど、ここに描かれている若者たちは、どこか苦しそうで、誰も幸せそうにはみえない。
     なぜこんなに苦しそうなのだろう、と思う。
     そして、なぜこんなに苦しそうなのに、誰も死なないのだろう、と思う。

     ヨシヤマは手首を切って自殺を図る。
     リリーもリュウも、殺してくれと叫ぶ。
     しかし誰も死なない。死ねないし、殺せない。いみじくもヨシヤマを診察した医者は言った、「人間ってのは死なないように、からだがうまくできてんだもん」と。
     彼らは生きている。ときには人形みたいだ、と言われることもあるが、実際にはみんな人間で、生きているのだ。

     彼らが苦しいのは、生きているからだ。
     死ねたらどんなに楽か知れないが、ともかくそう簡単に人間は死なない。だから苦しまなければならない。
     だけど、生きているうちは、「世界はまだ俺の下にある」のだ。
     陳腐な言い方だけど、生きているからこそ、苦しみと絶望がある。そして、喜びと希望がある。
     「限りなく透明に近いブルー」は、その苦しみを苦しみぬいた人にだけ見ることができる、美しい色だ。その人とはリュウのことでもあり、最後まで読みきった読者のことでもある。
     結構な忍耐を強いられる作品だけど、この作品を手に取った人には、ぜひ最後まで読んでほしい。

  • 村上龍のデビュー作にあたる作品。この前、twitter上のTLである人が「村上龍の本はどれも100円で買える」とつぶやいていて、なるほど確かにそうなんだよなぁ、と思った。100円で手軽に手に入る文学。というのはどうなのか。いや、全然いいんじゃないの、と思う。ウイルスのように、菌糸のように、その安価さでいろんなところに広まっていって、読まれていって、好き嫌い別れて、流通していく。作品としては、デビュー作には全てがあるとよく言われるものだけど、確かにこの作品もまだまだ未完成に近い荒削りな感じなのだけど、やっぱりそこには原石があるなぁ、と感じるわけである。(10/5/5)

  • 綿矢りさの解説が秀逸。

    リュウが黒い鳥の話をするまでは、どの場面においてもリュウは「赤ちゃんみたいに物を見」ているだけ。
    誰かが苦しんでいても喧嘩をしていても、まるでその渦中にいないかのように一歩外側から物事を見ているように感じる。また、それは自分に対してもそうであり、リュウの心情はあまり描写されず、「吐き気」など事実をそのまま語っているに留まっている印象を受けた。さらにリュウは、自分は「空っぽ」だと表現している。だからこそ、何かをしようという気概もないまま、友人や黒人(作中にある言葉なのでそのまま使います)の言われる通りの行動しかできない。出版当初、現代の若者を描いた作品だと評されていた(らしい)のも、ここからではないだろうか。つまり、自分の頭で物を考えず、人に言われたままに行動する主体性のない子どもをリュウと重ね合わせていたのではないかと考える。

    本作で最も不思議なのが「黒い鳥」の正体である。
    綿矢りさは「鳥は彼自身の中にいる」と述べているが、私にはその正体はよく分からなかったので、ヒントになりそうな要素のみまとめた。
    ・巨大すぎてその全体像は目視できない
    ・リュウの都市(最も心安らぐであろう精神世界)を破壊した
    ・殺さなければ自分のことが分からなくなる
    ・自分が見ようとするものを隠している
    ・鳥がこちらに飛んでくる→自分の腕を傷つける
    ・鳥の胎内に閉じ込められている
    ・鳥の存在に気づいたことで、自分がどのような人間になりたいかが分かった
    以上から、「社会」もしくは「こうあらねばならないと規定する自身の固定観念」のような気はするものの、正解ではない気がしてならない。

    難解かつ登場人物の関係性が混乱することもあるが、名作というに値する1冊だと思う。

  • 読もうと読もうとしてた作品、やっと読めた。私個人的には面白かった

    村上龍は13の頃父親がくれた13歳のハローワークで知った。13のハローワークの中にある「小説家は獄中でもなれる」という言葉が印象的だった

    ドラックセックス暴力
    リュウの見ている異常な世界をリュウを通して眺めていると頭がこっちまでぼーっとしてくるような不思議な感覚になる本だった。トレインスポッティング感がある
    この本をエロい本だとは、私は思わないなあ。退廃的な若者の日常…という感じ

    腐ったパイナップルとか、虫を潰すところがものすごく気持ち悪い感じがした

    もう一度読み直したい

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著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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