新装版 限りなく透明に近いブルー (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 2737
レビュー : 252
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062763479

作品紹介・あらすじ

村上龍のすべてはここから始まった!
文学の歴史を変えた衝撃のデビュー作が新装版で登場!解説・綿矢りさ

米軍基地の街・福生のハウスには、音楽に彩られながらドラッグとセックスと嬌声が満ちている。そんな退廃の日々の向こうには、空虚さを超えた希望がきらめく――。著者の原点であり、発表以来ベストセラーとして読み継がれてきた、永遠の文学の金字塔が新装版に! 〈群像新人賞、芥川賞受賞のデビュー作〉

感想・レビュー・書評

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  • タイトルから清々しい青春小説だと思って初めて読んだ高校時代。しかし、読み始めると青春なんてどこにもなかった。

    読んでいるだけで気持ち悪くなって、クスリに溺れているような感覚になったが、ページをめくる手は止まらなかった。今まで読んだ中で最も衝撃的だった本で、文章だけでこんな感覚が味わえるんだと感動した。退廃的な情景を生々しく浮かび上がらせる文章。読む側の心を蝕む毒のような文章。中毒になって何度も読み返すことになるだろう。

    私の純文学の入門書。そして、実は村上龍は私の高校のOBである。

  • 限りなく透明に近いブルー // 村上龍


    テレビやネットではコカイン瀧がピエール使用で捕まったと大騒ぎしているけれど、村上龍がこれを書いた1976年頃はドラッグとセックスと暴力がとても薄い膜を挟んだ隣り合わせにあるような時代だったのかもしれない。

    だってこれ、ぜっーーーーたいに村上龍本人の話でしょう?笑。これが許される時代だったってすごいなぁ。

    ドラッグをやったことのある人にしか見えない世界がある。これはアメリカに住んでたのでよくわかる。自分にしか見えない世界を表現したくなる気持ちも想像はできる。実際に多くの有名アートはドラッグの作用や幻覚によってできたというのも間違いないと思う。まさにその視点でこの本全部が書かれていると思うのですが。

    真藤順丈の宝島を読んでから、戦後から70年代くらいまでのことをもっと知りたいと思って読み始めた。戦後もずっと米軍基地やアメリカの支配と日本から見放されたと感じていた沖縄、その頃東京ではどんな思いで人々が生きていたのだろう。

    限りなく透明に近いブルーは、東京と言えども福生の米軍基地に強く影響を受けている。そういう意味では思った以上に同時代の沖縄と東京がかけ離れてはいなかった。

    今は森茉莉の私の美の世界を読んでいます。こっちの方が近い時代の遠い話感がでるでしょう。

    時代を並べて本を読むのが好きです。

  • ドラッグとセックスに溺れる退廃的な日々を過ごす若者の日常が主人公の視点から描写されている。

    彼らは目標もなく、刹那的な快楽を求める日々を送っている。その一方でそんな日々を心から楽しんでいる登場人物はいない。みな「殺してほしい」と思うほど傷つきながら苦しんでいる。生きていることそれ自体を否定したいかのように。

    だが、最後の場面で主人公はガラスの破片を自身の左腕に突き刺し、その痛みで自身の生を実感した。リリーの部屋を出て、何度も転びながら、草むらに寝転がった主人公はガラスの破片をかざし、限りなく透明に近いブルーのガラスのようになりたいと思った。

    最後の最後で主人公は自らの生を実感し、退廃的な日常の中で微かな希望を掴むことが出来たのではないか。「限りなく透明に近いブルー」とは、主人公にとっての希望の象徴であると感じた。

  • H29.11.12 読了。

    ・いろんな意味で衝撃的な作品。文字を読むというより物語を眺めるという感じでした。ドラッグ・覚せい剤、乱交パーティ、セックスなどなど。また、虫を口に含む、腐った食べ物を口に含む、腕を切るなど目を覆いたくなる描写にはまいった。
    ・それでも最後まで読めたのは作者の文章力かな。

  •  こないだ頭の上を戦闘機が3機飛んでいった。それでこの小説の感想を書いてないことをようやく思い出した。

     村上龍の作品は、毀誉褒貶が激しいものが多いようだ。デビュー作であるこの『限りなく透明に近いブルー』もそうだろう。暴力、ドラッグ、セックス、それらが生々しく、しかも冷静に描写され、読者は否応なしにそれらを追体験させられる。それをすごい文章力だと受け取る人と、ただ嫌悪感を示す人とに分かれるためだろうと思う。

     たしかに、この作品は一見悪趣味の見本市みたいな小説だ。
     ドラッグに溺れ、乱交を繰り返す若者たち。それは、彼ら自身が選んだ行為であるはずだ。
     若い人は、往々にして刹那的だ。「いまがよければ、それでいい」ということなのだろう。
     だけど、ここに描かれている若者たちは、どこか苦しそうで、誰も幸せそうにはみえない。
     なぜこんなに苦しそうなのだろう、と思う。
     そして、なぜこんなに苦しそうなのに、誰も死なないのだろう、と思う。

     ヨシヤマは手首を切って自殺を図る。
     リリーもリュウも、殺してくれと叫ぶ。
     しかし誰も死なない。死ねないし、殺せない。いみじくもヨシヤマを診察した医者は言った、「人間ってのは死なないように、からだがうまくできてんだもん」と。
     彼らは生きている。ときには人形みたいだ、と言われることもあるが、実際にはみんな人間で、生きているのだ。

     彼らが苦しいのは、生きているからだ。
     死ねたらどんなに楽か知れないが、ともかくそう簡単に人間は死なない。だから苦しまなければならない。
     だけど、生きているうちは、「世界はまだ俺の下にある」のだ。
     陳腐な言い方だけど、生きているからこそ、苦しみと絶望がある。そして、喜びと希望がある。
     「限りなく透明に近いブルー」は、その苦しみを苦しみぬいた人にだけ見ることができる、美しい色だ。その人とはリュウのことでもあり、最後まで読みきった読者のことでもある。
     結構な忍耐を強いられる作品だけど、この作品を手に取った人には、ぜひ最後まで読んでほしい。

  • 村上龍のデビュー作にあたる作品。この前、twitter上のTLである人が「村上龍の本はどれも100円で買える」とつぶやいていて、なるほど確かにそうなんだよなぁ、と思った。100円で手軽に手に入る文学。というのはどうなのか。いや、全然いいんじゃないの、と思う。ウイルスのように、菌糸のように、その安価さでいろんなところに広まっていって、読まれていって、好き嫌い別れて、流通していく。作品としては、デビュー作には全てがあるとよく言われるものだけど、確かにこの作品もまだまだ未完成に近い荒削りな感じなのだけど、やっぱりそこには原石があるなぁ、と感じるわけである。(10/5/5)

  • セックスとドラッグの快感で自分が生きているのか死んでいるのか現実か夢か判断がつかない。子供の頃に、転んで擦り傷を作って消毒液でしみることに快感を覚えた(だったかな?)とある。人生も痛みを感じてこそ生きている実感を感じるというのを伝えたいのかな?と勝手ながら思った。
    そして、自分が思っているより世界は広大であるというのが、自分にも見えない大きな鳥ということなのかな?
    非常に難しい本でした。

  • この小説を完全に理解できたとは思えないが、印象に残る作品。ストーリーに魅せられているわけではないのに、ページを繰る手が止まらない。そういったものを、最近尊く感じる期間な気がする。
    退廃的な雰囲気の蔓延した、非常に狭い世界で、限られた人間たちが出口のないところを彷徨っている。主人公は、その世界の内部にいながらも、彼にだけは遠くの限りなく透明に近いブルーの救いが、チラチラと見えている。傷ついて傷ついて、ボロボロだからこそ見えるものだという描かれ方。あんなに美しいものが本当にあるのだろうか? ボロボロにならないと、見えない?

  • 『飛行機の音ではなかった。耳の後ろ側で飛んでいた虫の羽音だった。蝿よりも小さな虫は、目の前をしばらく旋回して暗い部屋の隅へと見えなくなった。』

    『血を縁に残したガラスの破片は夜明けの空気に染まりながら透明に近い。
    限りなく透明に近いブルーだ。僕は立ち上がり、自分のアパートに向かって歩きながら、このガラスみたいになりたいと思った。』

  • 若かりし日の龍さんヒッピー文化にかなり傾倒してたんだろうか。

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著者プロフィール

1952年長崎県生まれ。76年に『限りなく透明に近いブルー』(第75回芥川賞受賞)でデビュー。2003年には、514の職業を紹介した『13歳のハローワーク』が125万部を超えるベストセラーに。財政破綻した近未来日本を舞台にした『半島を出よ』(05年)では野間文芸賞を受賞。10年には『歌うクジラ』(毎日芸術賞)を電子書籍として刊行。 近著に『55歳からのハローライフ』、『オールドテロリスト』などがある。16年に『日本の伝統行事 Japanese Traditional Events』を刊行。

「2018年 『収録を終えて、こんなことを考えた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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