分冊文庫版 邪魅の雫(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062763745

作品紹介・あらすじ

微梦(うすぐら)い廊下に。漆黒の影法師が現れた。
「君は――」
誰だ。
「世界を騙る者です」
影法師はそう、響き渡るような声で云った。
京極夏彦分冊文庫シリーズ

「私の世界は、小さなひと雫の漆黒に凝縮されてしまった」。終わることのない殺人の連鎖。蜃気楼のように浮かびあがっては消える犯人像、そして榎木津と事件の繋がりも見えずにいた。そんな状況下、京極堂は、自らの世界の終焉を悟った男と対峙する。滅びゆく世界を遺すために――。圧巻のクライマックス。

感想・レビュー・書評

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  • ★10個つけたいくらい好きです。

    京極堂・榎木津・関口の絆の強さがいたるところに散りばめられていて静かに強いつながりが心揺さぶります。今回はそこに青木・益田両名がいつもと違うテイストで物語に味付けをしているが新しい雰囲気を醸し出している。

    連続していると思われた事件が、「嘘をついただけ」で結びつけられた閉じた事件。冷静に読み込めばヒントはいたるところに散りばめられていたのに、思わず人間関係のほうに惹きつけられてしまいました。何度も読む価値があります。

  • 再読。なのだけれど全然内容を覚えていなかった。たぶん百鬼夜行シリーズの中でも屈指の把握しづらい事件ではないだろうか。しかし今一度読んでみると何というのか、一連の事件の背後にいたいわゆる黒幕の心情に一定の理解を示してしまいそうになる。自身とは全く違う人間だというのにね。そうしてそれを突き放したあの人も、そうしなければちゃんと幕を引けなかったんだろう。これはとても哀しい物語だ。

  • ネタバレかもしれない……

    最後が痛快

  • 平成31年4月29日読了

  • 変人探偵、榎木津さんにも過去に好き合った女性がいて、彼女は榎木津さんの縁談を壊したくて、自分の人生をも壊しちゃったってお話でした。

    しかし、彼女の榎木津さんを誰にも渡したくないって気持ちが、無関係な人の人生も破壊させちゃってて…。

    被害者になった女性たちにいたっては、街のクズに強姦され、それをネタに強姦魔にその後もゆすられ続けるとか、本当に心も体も殺されちゃったわけだよね。

    ダークサイドに堕ちた榎木津さんの元カノさんを後押ししたものは、一瓶の「しずく」だったわけだけど、人間ってちょっとしたきっかけで自分も他人も破壊できるだけの闇を心に飼っているのかなぁ…。

    しかし、京極堂シリーズとしては、それほど楽しくはなかったです。

    人生と死は対になるものではなく、誕生と死と言った「点」は対になっても、人生といった「幅」のあるものは、死とは対にならない。

    それなのに人間は死といった「点」である一瞬に人生と同じだけの意味を持たせようとするから、死を必要以上に恐れ、死を過大評価するのだ。

    ……といったような「ほぅ♪」と思う言葉は、この巻でいくつか出て来たけれど、分量に沿うだけの満足感は抱けなかったお話でした。

  • 2016.04.07

    世界と世間と社会 731部隊 帝銀事件 民俗学と歴史学

    ここ2作は謎のスケールはだいぶ小さくなったけど、たまにはこういうのもいいかも。蘊蓄も少な目。妖怪も?
    榎木津の意外な一面も。

  • その毒の致死量は、肌に一滴垂らすだけ。
    ある人への想いが、殺人の連鎖を生み出す。
    世間は人の数だけ有り、その世間全てに登場した人物が今回の犯人。

    榎木津の歯切れが悪いと思ったら、なんと元恋人が登場。そして、なんとも切ない感じのエンディング。いつもと比べれば、京極堂の薀蓄も少ない。今までとは、雰囲気が異なった。

    今回の犯人は、直接的には手を下していないし、指示もしていない。法によって裁く事は可能なのか?

  • 相変わらず読みにくい、わかりにくい。最後の方を読むと、ほぼ全てわかるが、スッキリしない。私の読解力がないのでしょうか。一人称の主語が、数ページごとに変わる。そのうちその人は殺されている。うーむ、やはりわかりにくいです。最後の榎木津さんの登場シーンはスッキリしました。

  • 陰摩羅鬼もそうだったけれど、謎自体はどんどんシンプルになってきてるな

  • 人それぞれ自分の世界を持っていて世間と自分の世界を擦り合わせながら生きている。擦り合わない部分についてどうやって折り合いをつけるのか。

    事件は当然面白い。いつもの京極ワールドなのだが、事件がどうとかいう以前に、前述したようなことについて身に詰まされた。益田や関口のように。

    エンディングが榎木津らしくて好き。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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