悪女の美食術 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 49
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062763905

感想・レビュー・書評

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  • ザッツスノビッシュ!
    でもこの著者が書くとぜんぜん嫌味がなくて、かといって滑稽味があるわけでもなく、うまく料理された本であると思う。
    こういう食生活ができるようになったらいいなあ。

  • タイトルに悪女とあるが特に悪女は出てこない。電車の中で読んでいると悪女になりたくて読んでいるように見える一冊。
    蘊蓄と著者の食べることに対する意識の強さが前面に押し出されたエッセイ。(フランス料理のサービス方法がロシアから来ているなんて初めて知りましたわよ。)
    「一人で食事をしていて迫害されない方法」など、章のタイトルは秀逸。(でもこの章を信じて読み始めると少し違うと思うかも)
    食べることが好きな私にとっては読んで楽しめた本だが、価値観の違う人が読んだらあまり良い印象はしないかもしれない。
    食べることが好きでかつ、一人で店に突撃できるハートを持つ、ダイエット中の方は、ダイエットが終わるまで読まないほうがいいかも。

  • 筆者の美意識の羅列。美意識ならいいが自慢としか思えない部分もあっておっさんうっせーよと言いたくなる。一人で食事をするというのは周りに対するテロでもあるっていうのは考えさせられた。よく一人で食べに行っちゃうけどそういう風に見られてたのか。自戒せねば。食器に対しての見解は学ぶところがあった。距離をおいて読む分には古き良き時代のバブルに思いを馳せることができてよろしいかと。悪女の美食術というよりチョイ悪おじさんの美食術とかだったらムカつかなかったと思うんだが。

  • 福田和也を、小林よしのりがジョン・ラーベについての論争をしているときに描いていたその姿は、必ず片手にワインを持っていて、気障で気取った、悪ぶりたい貴族のような感じで、ああ漫画家って怖いな、これほどまで本質をついて、つきすぎて、逆にもう笑うしかないような状態にする……漫画家はずるいと言われるのがよくわかると思った。(だが、漫画家の言葉なんか誰が信じるんだという不利な状態にわしはいるんだということでその批判はかわされているが……)

    つまり、そんなよしりんの描いたような姿の著者そのものを楽しむ本です。

    グルメ蘊蓄が「山」ほど描かれていますが、その「谷」の部分に、食の哲学らしきものが書かれています。
    「怯えは人を洗練へと導きますが、無神経は人を不体裁と野蛮に陥らせるだけです」とか「反省というのは、つまり、自分が「天然」だと思っているものに、どれほどの「人工」がはさまっているのか、介在しているのかということを省みて、点検してみるということです。自分が、覚えた感覚とか、感動した光景にたいして、それが真率であればあるほど、そこにどのような「人工」の作為が働いているかを、あるいはどれほどの複合的な要素が機能しているかを、考えること」とか。
    直感や情動で感じた部分に人工を見いだし、その人工の見事さを評価するのは、ただの感想から批評に向かうための、一歩引いた思考のやり方です。でもまあ、この本を読んでいると、そんな哲学めいた部分はむしろ余計です。

    内容は、松岡正剛が本をどんどん紹介するかのごとく、寿司の流儀として貝から食べるのが好きだとか店任せがいいとか、理知的な人ならワインはピション・ラランドを飲むとか、京都のサンドイッチはイノダコーヒでベルギービールをお供にとか、とにかく所狭しと名詞を書きまくってます。

    高いものが出てきまくって(まあ、良いものはやはり高いから)、割り勘の章に移れば、そこで「私は育ちが悪く、気が小さいせいか」とか、フォローなのかギャグなのか一文が出てきて笑ってしまう。

    私の住む大阪で推薦されていたのは、千日前の自由軒と、洋食の堂島グリルモリタ。
    しかし、通の人が行くところで私はあんまり良い思いをしていなくて、やはりもっと大人にならないとなぁと思うのでした。
    ある通向けの居酒屋では、箸さえ出してくれませんでした。店の女将は出て行った客の悪口を言ったり私や友人に嫌みを言ったりで、一緒に来ていた男性が青ざめるほどです。そこは都市計画の都合で移転しましたが、ああいう店は東京向きで、今の大阪のデリケートな神経にはなじめないのではないか。場所が変わって競争率が高くなると、常連もやがては消えていきますし、いまはその居酒屋も改善されているみたいです。食に関しては競争社会万歳派です。
    また、有名レストランからのオファーを断ったと延々自慢話をするコック二名の洋食屋があって、昼も夜も行列ができるほどで、馬鹿みたいに高いステーキとか売ってるのですが、当たり前ですが、家で焼いた方が美味いし安いです。特に、ステーキなんか外で食うな。駒川中野の肉屋に行って、近くの居酒屋で1000~2000円台のワインを買うだけで人生十分楽しめると言いたい。それにその洋食屋みたいに店主のクイズに答えなくて良い。「これ知ってるか?」「わしの教え子は○○ホテルのシェフや」みたいなのを、やたら言ってきて食事に集中できない。そんでもって、もの凄いでかいカキフライを注文したら、目の前で煙草を吸いながらフライを揚げている。客をなめきっている証拠で、まあ年齢的なものだろうけれども、そういった、「通シェフ」にはうんざりしていて、またそのカキフライを食べたあと見事にノロウイルスにかかり、東のエデンを観ながらゆっくり有給を過ごしたのは良い思い出です。
    だからもし行くならば、個人営業のようなところではなくて、ホテルとか、大きなところに限ります。マニアックな店はマニアックな通(?)にまかせておき、ちゃんとした大きなところへ行くのがいいなと思いました。

    ちなみに福田和也が香港で楽しんだ福臨門酒家が大阪にある云々があり、調べてみるとその高価さに驚く。
    ・前菜
    ・極上ふかひれの醤油煮込み又は上湯スープ仕立て
    ・金鶏の姿揚げ 又は 北京ダック
    ・伊勢海老料理 
    ・28頭吉品鮑となまこの牡蠣ソース煮込み
    ・季節野菜とキヌガサタケの蟹味噌あんかけ
    ・御飯 又は 麺
    ・燕の巣入りココナッツミルク煮
    全部で52,500円なり。

    甘いもの好きの女性に対する蔑視が素晴らしい。ケーキバイキングにむらがるおばはんやスナック菓子の交換がコミュニケーションになっているとか、甘いものや安いお菓子にむらがる女達を魑魅魍魎扱い、無様に描写をしてから、そのあと
    「イタリア料理ならば、トスカナ地方の古風なアイスクリーム菓子に、南イタリアの峻厳な岸壁に囲まれた古都アマルフィ名産のレモンリキュール、レモンチェッロを合わせるとか。」といった、気取った描写で成敗する。そこがいいのだ。

    タイトルが「悪女の美食術」とあるのは、世間の低俗な卑俗な貧しい人間どもにとっては、こういうのを読むと「何よ! 気取ったこと言ってさ!」みたいな嫉妬だの引きずり下ろしたい感情がでてきて、そんな感情を「あれ、虫が何か言ってる……」と軽く流して、食や食器や店の演出を楽しむ通となって、それでいて物静かでわかっている女になれ、男もそういう女をもてなせるようになれ、で、それをもてなせる階級があるんだぞということを、愚民たちに教えてやって、どうだ知らないことだらけだろう、あきらめろということか。
    江戸時代とかで、こういう通人は逆に馬鹿にされたんだぜみたいな批判が浮かぶが……そういうのを通り越して、面白い。こういう世界があるというのを、見るための本。徹底して己の価値観、優越感、蘊蓄、批評をひけらかしているので、ここまでやるならば、お見事、もう結構としか言えない。

  • 高くても美味しいもの、自分ではあまり行かないところに興味を持たせてくれる一冊。
    女性の一人ディナーに対する批評、一人ディナー時の本選びに対してのセンスの有無など、にやりとするところ多数。
    いつか行きたいお店。
    中国紹興の「威亭酒天(かんきょうしゅてん)」、香港の「天香ろう」

  • 09/08/25購入

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著者プロフィール

文芸評論家

「2016年 『山本周五郎で生きる悦びを知る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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