下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062763998

感想・レビュー・書評

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  • まさに現代教育の核心をついている。過去のフォーマットにしがみついている場合ではない。評価で釣って、子供に勉強をさせる手法は限界だ。そもそも学問とはそういうものではない。損得勘定でしか人間が動かなくなる。生徒は消費者目線で学校にやってくる。まさに、この通りで、変えることは困難であり、どう折り合いをつけていくのか。

  • p.31意味がわからないことにストレスを感じない
    →生まれた時からデジタルな仕組み分からないものだらけ

    p.57教室は不快と教育サービスの等価交換の場
    → 消費者の立場で社会参画するからクレーム(自己利益を少しでも増やす合理的判断)。
    →売買は無時間モデル。教育は学んだ後でないと価値が分からないものであるのに。

    ・世の中がビジネル思考になった。
    ・師をもつことが師である条件。オビワン。

  • 2022/06/10 図書館
    面白いー

  • 2020年 6冊目
    『下流志向』
    石川先生に読めとの一冊。笑
    幼い頃からの消費者意識と個性尊重の社会背景から、学校で学ぶこと、働くことを放棄する若者がいる。

    労働は共同体存立の根幹にかかわる公共的な行為であることを忘れちゃいけないし、自由に生きることを履き違えちゃいけないよ、わたし。

  • 集団名を一括りにして語るのは、物事を他のことに汎用化しにくくなるため、あまり好ましくないのではないかと思った。
    本書では、現代若者が一括りに語られていたが、若者の中にも自分の人生の目的にもとづき、その手段としての勉強は不要だと考えた上で勉強をしていない者もいる。結果だけに着目せず、過程にも着目し、細分化する方がより有効な議論が出来るのではないかと思った。


    散々批判はしたが、著者の言うとおり、たしかに、(若者に限らず)何も考えていない人が、今いっときの悦楽に溺れるのは解決すべき問題であると思う。そのために、長期的な視点を持つことは大事であると思う。ただ、人それぞれ考える能力は異なる。考えない人でも考える能力がある人と同じだけの社会性を身につけるのはやはり学校なので、教育について深く考えることは大切なのであろう。

  • 現状として起きている問題、不勉強な若者や働かない若者を社会やイデオロギーの変化に基づいて分析している。著者の言語化能力の高さに驚嘆する一方で、主張の一貫性のために少々誇張されていると感じる部分もあった。ただ、それは私自身が現代日本の実状について勉強不足であるのかもしれない。

  • 内田樹さんの著書1冊目
    物々交換の話、文化資本の話、子どもの学力について。
    内田さんにハマるきっかけとなった本

  • 2005年夏に行われた講演の書籍化であるが、ここで取り上げられている問題は2020年現在でも未だ解決の道筋が見えていない(むしろより根深くなっている?)ことばかりである。
    ここで論じられていることが過去の事になるのを願うとともに、我々よりも後の世代には負の遺産を残さないよう自分に何ができるかを改めて考えたい。

  • 初版の2007年に読んで衝撃を受けた本。世の中に対する違和感が説明されていくミステリー小説のような爽快感があった。そこから14年たち何回目かの再読。やはり面白い。当時と異なり人生も後半に入り、子供もできて、世の中のことも少し分かるようになり、読み方も変わる。自分の子供に伝えたいメッセージがたくさん含まれている本だ。
    趣旨はタイトルと前書きで分かるように、教育崩壊の原因を消費者マインドにあるとして解説したものだ。クレーマー天国やニートも同様であると。これで終われば「ふ~ん、平和ぼけでバカが増えたんだね(笑)」なんだけど、そこからが内田先生の真骨頂「学びのプロセス」「リスク格差」「リスクヘッジの要諦」「自信満々の構造的弱者」「無知への居着き」と論が続く。
    この論の正しさは、かつて教育や労働から逃走したバカな若者だった人たちが、2021年現在、一部はKKO(キモくて金のないオッサン)になり、一部は8050問題の中高年ニートになり、一部は無敵の人と化して街中でテロ行為を起こしてネットの嘲笑を浴びる反面、2世、3世の政治家、経営者、資産家が上流を占め、実家の太さと自分の能力を勘違いした者たちが繰り広げるピカピカマウンティング合戦をしている姿を見ることで確認できるだろう。「努力におけるわずかな入力差が成果における巨大な出力差となることがある」と。
    自分は、幸か不幸か、上流にも下流にも行き着かなかったが、思えばご多分に漏れず若者特有のおかしな熱病で下流転落スレスレまで行った人間だった。ただでさえ何の特技もないのに、若さと人生を捨て値で投げ捨てる一歩手間まで行った。
    子供に財産を残すことはできなそうだが、本が読めるようになったら、その教訓と本書は教えてあげたい。下流転落とはどういうことを指すのかということとともに。あまり説教臭くならないように内田節を借りて。

  • 私自身が考察対象になっている世代であり、学校の授業に対する考え方や態度は、まさにそのとおりだった。自分が必要と思うところだけを聞いて、ダルそうにして、自分が求める結果にいかに効率的に到達するかが大切だった。大人になって仕事をしてみて初めて、後になってその意味が理解できるということがあると知った。
    後半の座談会の中では、おじいさんの懐古主義的な主張が多く、霊的だの何だのはちょっと引いちゃうが、本編は気付かされることが多かった。
    それが何の役に立つのか?コストパフォーマンスは?と、何に対しても問いがちな現代において、このモノサシでは測れないものがあるということを忘れずに生きていたい。

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著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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