新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 276
  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764162

作品紹介・あらすじ

一九七二年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。母親を探して九州の孤島から消えたハシを追い、東京へとやって来たキクは、鰐のガリバーと暮らすアネモネに出会う。キクは小笠原の深海に眠るダチュラの力で街を破壊し、絶対の解放を希求する。毒薬のようで清清しい衝撃の現代文学の傑作が新装版に。

感想・レビュー・書評

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  • 『コインロッカー・ベイビーズ』を読むと村上龍は天才だと感じる。神懸った迫力が具わった作品だ。圧倒的な熱量と質量を含む文章、発想が常人離れした場面展開、そのなかを時に抑制され時に解放し時に右往左往しつつ時に縦横無尽にキクとハシは全速力で走り抜ける。物語のエントロピーが極大化したとき崩壊は結実し、キクとハシの新しい歌が始まる。

    数十年ぶりの再読で、当時小説なんて年間1~2冊しか読まなかったが本作品を皮切りに村上龍作品だけはすべての作品を読んだ。いま読んでも私の生涯Best 3作品である。

  • 真夏に劇薬を三ツ矢サイダーでわって飲みほした読後感

  •  ダチュラとはチョウセンアサガオのことなのだそうだ。てっきり村上龍の造語かと思っていた。村上龍の小説にぴったりな語感をもつ植物だ。
     ダチュラで東京を、軍艦島にする。正直キク・ハシ・アネモネには何一つ共感できないし読み終わるとげっそりするが、その空想だけはわりかし楽しかった。イヤ、別に病んでるわけじゃない。

     なんて汚くて、残酷で、孤独で、閉塞したこの世界。
     それでも生きていかなければならないのだな、と、力ずくで納得させられた感じ。
     文学というよりもはや力学の範疇みたいだと改めて思う。一見執拗すぎるような描写は、それ自体が読者の心を動かすエネルギーだから、無駄なようで無駄がない。

     函館の少年刑務所と海洋実習のシーンは、辻仁成の『海峡の光』を思い出したりなんかして。

  • ドロみたいな本だった。悪い意味ではない
    爽やかさ0、終始仄暗い、読みながらこっちまで血や汗にまみれていく感じ。可哀想な子なのに可哀想な感じしない。生を強く感じる。あとキチガイばかりでよかった。

  • 起爆剤であり、パンドラの匣のような作品。
    コインロッカーに仮死状態で捨てられ、生き返ったキクとハシ。
    ふたりの生命力・破壊力は凄まじい。

    あまりにも痛々しく、荒みきった世界が描かれている。
    しかし、育成環境などから心の病を発症する人が増えている現代日本を(過激すぎるかもしれないが)非常によく捉えているように思う。

    物に溢れていて、安全に思える日本。
    でも、本当に豊かな国といえるのか?

    キクの叫びとハシの空虚感が、現代社会に向けて警鐘を鳴らしているように思えました。

    大切なのは、赤子の頃の記憶。
    心臓の音。


    現代社会の病理がとてもよく描かれています。
    村上龍さんすごい。

  • 埋まることのない空洞を抱えた二人が成長し、そして崩壊していく話。暴力的、厭世的な文体、世界観が魅力なのだろうが、自分は入っていけなかった。
    短編なら世界観を雰囲気として楽しめたかもしれないが、500ページ以上の長編として読むにはしんどいものがあった。


  • 村上龍の作品を読むと高確率で村上龍っぽい世界観の夢を見ます
    建物や人が犇めく混沌としたアジアの世界で基本的に全身が泥にまみれています

  • 初めての村上龍作品。最初、少し読みづらくて断念してしまった。2週間ほどかけてやっと読了。なんか半分を過ぎたあたりから読みやすくなった。なぜだろう。

    内容はとにかく直接的にいろんな角度(性、暴力、ドラッグ、犯罪)から殴りかかってくる。そして恥ずかしいぐらい欲に正直。もしかしたらこういう暴力的な小説好きなのかもしれない、と思った作品でした。

  • 本読んでて、まるで薬でもやってるような感覚になった(やったことないけど)。目の前がぐるぐる回るような感覚。

  • 久々にページをめくる手が止まらない、興奮を抑えきれず読み進めた本でした。
    子どもの成長環境が子どもの精神に大きく影響を与える現代社会の病理を描いている、みたいなレビューを読んだけど、それは関係ないと思う。現にアネモネは何不自由なく育った結果、ダチュラを撒き散らすテロリストへと成長するわけで。
    自分の心の中に巣くう闇は小説のありとあらゆる部分にちりばめられ、ときどきにどきりとさせられます。この小説からあふれる生命力、動物の生への渇望、赤子がこの地に生まれ落ちた瞬間から生きよう生きようとするとてつもないエネルギーが、満ち足りた現代社会で生きる人々に突き刺さります。ハシ、アネモネ、キク、子どものままの純真な心が、自らを捕えるコインロッカーを突き破る原動力となったのだろうなぁ。
    どこまでがファンタジーでどこからが現実なのか、境界があやふやになる世界観、グロテスクな筆致で表現される様態、力強いという言葉では足りないほどの文章力に脱帽しました。

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著者プロフィール

1952年長崎県生まれ。76年に『限りなく透明に近いブルー』(第75回芥川賞受賞)でデビュー。2003年には、514の職業を紹介した『13歳のハローワーク』が125万部を超えるベストセラーに。財政破綻した近未来日本を舞台にした『半島を出よ』(05年)では野間文芸賞を受賞。10年には『歌うクジラ』(毎日芸術賞)を電子書籍として刊行。 近著に『55歳からのハローライフ』、『オールドテロリスト』などがある。16年に『日本の伝統行事 Japanese Traditional Events』を刊行。

「2018年 『収録を終えて、こんなことを考えた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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