新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (576ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764162

感想・レビュー・書評

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  • この年になって、初めての村上龍作品。
    限りなく透明に近いブルーの存在しか知らなかったのだ。

    この本は…一体何なんだろうな…。頭をぶん殴られた様な気分。
    出たしから吃驚するし、不快な描写も多く、文章自体も読みにくく感じた。そして何よりも作品自体に込められた熱量に圧倒されて、初めはなかなか読み進めることが出来なかった。

    私はどの本を読んでも、割とちゃんと「自分はこういう感想を持った」とか思うのだが…これは…感想と言える感想を持てない。キクやハシ、アネモネたちの気持ちがグルグルとしてしまい、上手く言葉に出来ないのだ。

    ただ、何かよく分からないうちにすごいものを読んで、何かよく分からないうちに終わってしまった。そんな感じだ…。
    上手く言葉に出来ないのが、とても悔しいと思う。
    未読の人は、ちょっと読んでみて欲しい。
    長いのだが、読んでみて欲しい。


    しばらく経ってから再読すれば、私の中でまた違った評価になるだろうなと思った。

  •  「コインロッカー・ベイビーズ」は、BSテレ東の番組「あの本、読みました?」で鈴木保奈美さんが「高校生の時にこの本を読んで村上龍にハマった」と話していたので興味が沸き読んでみました。1980年の上梓ですので、もう40年以上も前の作品です。
     タイトルの通りコインロッカーに置き去りにされた2人が兄弟のように育ち、産みの母親を探すことと都会への復讐を描いた物語かな。
     インパクトの強い作品ですが、残念ながら私には鈴木保奈美さんがハマった理由がよくわかりませんでした。想像力や感性が鈍いのかな?村上龍さんの代表作であり、発売当時も大きな話題となっていたことは僅かながら記憶にあります。

  • 真夏に劇薬を三ツ矢サイダーでわって飲みほした読後感

  • ドロみたいな本だった。悪い意味ではない
    爽やかさ0、終始仄暗い、読みながらこっちまで血や汗にまみれていく感じ。可哀想な子なのに可哀想な感じしない。生を強く感じる。あとキチガイばかりでよかった。

  • 先の読めない展開の連続。美しい描写。エロ、グロ。とてもとても濃厚な物語でした。
    分かりやすいようなハッピーエンドではなく、読後感は決して爽やかとは言えないものの、自分としてはこれで良かったんだと思える結末でした。

  • 読了出来なかったので、再読してみました。
    ものすごい疾走感で読んでて疲れた。
    読了は出来ましたが、複雑な感情が揺さぶられてしんどかった。
    でも凄い作品だと思います。
    気のせいか夢見が悪い日が多かったけど、もしやこの本の影響かな!?

  • 辛かった。悲しかった。目が離せなかった。
    昔は読めなかった。今は読めた。こういうことがあるから本はおもしろい。

  •  作者特有の長いセリフの言い回し、ムカムカするような状況説明、言葉の羅列には意味のあるものと無いものが長々と続く。
     はっきり言って、読みにくい。読み進めるのに時間がかかった。

     しかし、この読後感はなんなのか。評価しづらい作品である。
     この本に限ってはインターネットで「コインロッカー・ベイビーズ 評価」と検索してしまった。
     自分の物差しでは評価できないと思ったからだ。

     ジャンルはSFだが純文学に値するらしい。普通の娯楽小説とは一線を画す。

     村上龍の本は今まで読んだのは、「半島を出よ」「希望の国のエクソダス」だがこれは娯楽小説だった。
     今作は「歌うクジラ」の系統だ。本当に読みにくい。進まない。

     しかし、何かのメッセージ性はある。キクとハシが閉じ込められていたコインロッカーは閉鎖を表すが、そのまま世の中を表している。
     世の中を破壊するために行動するキク、世の中に順応し成功したが精神を病んでしまうハシ。
     
     方向性のない若者の怒り、単純化すると「ライ麦畑でつかまえて」のホールデン少年を思い出す。

     つまり、この作品はもしかしたら若い時に読むのと、年をとってから読むのでは感想がまるっきり変わるものだったのかもしれない。
     若者にしか分からない、若者に寄り沿う小説だったのではないか。

     
     コインロッカーに置き去りにされた赤ん坊のうち、生き残ったのはキクとハシの二人だけだった。
     二人の精神的成長は遅かったが、特別な「音」を聞かせたことにより劇的に改善された。

     成長した二人は里親に引き取られたが、ハシは母親を追い、キクはハシを探して九州の孤島を離れた。そして鰐を飼う少女アネモネと出会う。

     歌手として成功をおさめるハシ、一方で刑務所に入れられるほどの罪を犯すキク。
     東京を破壊するという一心で、小笠原の深海に沈むダチュラを目指して脱獄する。


     若者特有の有能感と世の中に対する怒りが向かう結末は。

  • 読み終わってもなんかすっきりしない、ずっしり重い感じ。

    とにかく長かった。。。
    文章が長いのだ。段落が少なすぎて、読むのが疲れる。
    10行ぐらい段落がないのは普通で、平気で1ページ以上段落がない。
    本当に文字がびっしり・・・

    表現、描写がすごく細かくて、それはそれで特筆する点ですが、
    正直盛り上がる場面以外もずっとそうなので、
    それ省いたら本の厚さは半分ぐらいになるんじゃね?
    もちろん部分の描写はすごいと思うけど。

    その中でも感情の表現とかになると、「は?」って感じになるぐらい
    長い説明のところがあって、最終的に「それはないでしょ」とか思ったり・・・
    まぁ、登場人物が相変わらずぶっ飛んでいるので感情移入みたいのはない。

    この人の小説は普通の人が出てこないんでないかい?

    普通の人を書いてもつまらんかw
    ストーリーも最終的にはものすごいフィクションだしね。

    真夏にコインロッカーに捨てられて、生きたまま保護された2人の孤児が主人公。
    コインロッカーからの大きな泣き声で発見されたキクと、
    対照的に衰弱して薬などの異臭から発見されたハシ。
    反対の性格で、キクは暴力的で口数が少ない。ハシは内向的だが、社交性はある。
    キクはハシを守り、ハシは他の人と話すという関係を築く。
    里親に双子の兄弟として育てられ、
    互いに尊重して共存していくが、ある日ハシが失踪する。
    その後それぞれの運命が正反対に進む。

    人を滅ぼすことと人を魅了すること。
    大失敗したものと大成功したもの。
    でもどちらもまだ大きなコインロッカーに
    閉じ込められているのではないか?

    って、どんなに書こうとしても、複雑でうまく書けない。
    嫁に口頭で内容を説明したら
    「そんな出鱈目な話面白くないでしょう」
    って言われたw

    うん、内容だけみるとすごい出鱈目なんだけど、
    展開が入るとちょっと違うんだけどなあ。

    まぁ歌手デビューして気が狂ってしまう奴と、
    海底に沈む毒物を東京にばら撒く奴の話。

    だからなぁ・・・

  • 2024/01/20

  • ぐろいーー!
    何が伝えたかったのか?
    小説は基本的には主人公の成長とか変化とかを描くものだと思うんだけど、この本は何を伝えたかったのだろう。
    何度も読むべき小説かもしれないけど、結構グロいし読むのにめちゃくちゃ時間かかるから、もういいかも。
    ハシもキクもちょっと壊れちゃったよね。それは全部コインロッカーで生まれたせいなのか?そんなことないよな?

  • コインロッカーに遺棄されたキクとハシは、九州の離島に暮らす桑山家に引き取られます。成長したハシは、彼を捨てた母親をさがすために東京へ出て、キクも彼の後を追います。その後、ミスターDに才能を見いだされたハシは歌手となります。他方キクは、ワニを飼うアネモネという美少女に出会い、小笠原の深海に隠されている「ダチュラ」という毒薬を使ってこの世界を破壊しようとします。

    旧版で上下二冊、新装版では500ページ超の分量で、しかも改行がすくなくヴォリュームのある作品ですが、エンターテインメント性を追求したものではなく、著者の第一作である『限りなく透明に近いブルー』に近い文体でつづられており、密度の高い作品世界が構築されています。作品世界はいちおうリアリティが担保されており、『海の向こうで戦争が始まる』のような幻想的な世界をえがいたものではありませんが、本書のあとに書かれた『愛と幻想のファシズム』とは異なり、かならずしも現実社会に切り込んでいくようなヴェクトルをもつ作品ではなく、ひとつの文学的な世界を築くことに著者の意図があったように感じられます。

    コインロッカーに象徴される閉塞感を打ち破ろうとする主人公たちの暴力的な衝動に引きずられて、これだけのヴォリュームの作品でありながらスピード感が感じられる作品でした。

  • 読み疲れましたが、不快感に満ち満ちた世界観を最後まで楽しめました。

  • 二人の少年が成長していく話。

    生まれながらにして、普通の生活ではないを送りながら、もがき、苦しみ、忖度しながら生きていく日常は、理解してわかってあげたくなる。

    ねっとりとしていて、長編である。ただ私はこういった子がどんな風に育っていくのかとても興味があったので最後までのめり込めた。

  • オススメの本で紹介されたが、一度挫折。その後活字にも慣れてきたので読んでみた。
    表現が少し合わない。おめことか苦手な表現が多くてエグかった。毒薬ダチュラを探しに小笠原に行く。東京に撒いて、その後の2人はどうなったのかな。

  • 初めての村上龍。
    読了後の感想は正直に言って『よくわからない』。

    コインロッカーで発見されて生き残った2人の話。
    キクはアネモネと伴にダチュラを探し、ハシは歌を探す。

    幼少期に精神病院で聞いた『音』がキーワードになってくるが、これを探し続けるハシの心を思うと…

    キクとアネモネのカップルは好き。
    ハシと二ヴァのカップルは歪だなぁ、と感じる。


    1週間くらい掛けて読んでたのがダメだったかなぁ。
    時間がある時に読み直したい。
    皆さんも時間があり、心に余裕がある時に読む事をオススメする。

  • 序盤思いのほか読み進められなかったが、中盤以降は物語も盛り上がっていき、遂に読み終えることが出来た。
    ハシが文字通り波乱万丈の人生を歩む中でいつまでも本当の自分を見つけられず踠く姿がとても胸に響いた。
    小説はやはり描写力がものを言う世界だと改めて感じさせられた1冊。

  • 音楽劇 コインロッカーベイビーズから。舞台のロスが酷いので読み始めました。ハシが狂っていくあたり、舞台も原作もやっぱり読んでる私はトラウマになりますが、何度も読みたくなります。読んでる途中、舞台の劇中歌か頭に流れて来ます。コインロッカーベイビーズロスを拗らせてます。ハシキクの魂の叫びが伝わります。ハシ、キク、アネモネ、二ヴァ、D……全ての生き方が美しい。

  • おとなになってから読んだのでそこまで衝撃ではなかったのと時代柄の部分が絶対的にあうので、好みとして端的に言えば「私の好みではなかった」。
    ハシ・キクの視点でどちら側に立つのか、またどうあるべきなのかとか考えていると破壊的衝動とそれに伴う「その後」を見ない青さがあるときに読んでいたら良かったかなぁとも思う。

  •  再読、某書店(BOOK・OFF)で新装版をやっと見つけたので即買い。単行本は1980年10月28日発行、当時、新刊で本屋に平積みされていた。読んだという記憶があるだけで、内容はすっかり忘れ、本もすでに手元にはない、ずっと気になっていた作品である。

     周期的に村上龍を読みたくなる病にかかっているわたしだが『コインロッカーベイビーズ』を再読しみて、著者を代表するこの大作で、村上龍は完結してるとあえて言い切ってみる。この1冊を読んで魅力なしと感じるなら、別の作品を読んでも時間の無駄かも、☆3つの理由は・・・

    この物語は、コインロッカーにすてられれても尚、生きながらえた二人。その後の人生を描く、汚染された東京など、近未来を舞台にしていることもあり、多分に夢心地な内容を含でいる。題名から社会派な問題をなげかえているかに思えたが、ただただ、登場人物の奇怪な行動が目立ってしまった。この小説を皆にすすめられない理由がそこにある。

  • 2017.9.28

  • 本当に、感想を纏めるのが難しい作品です。

    とにかく刺激が強すぎる。ずっと毒に晒されているような感覚で読んでいました。

  • 「キク、あんた間違ってるわよ、誰かを必要とする人間なんていないもの、あんたの言うことは違うわ、あのオカマとあんたは何の関係もないのよ、あんたの言うことを聞いてると、飼っていた鳩に逃げられたガキみたいで気持ち悪いったりゃありゃしない。大事なのは、自分が何をしたいのか捜すことだと思うわ。(中略)ディズニーランドに四つの国があるように、脳には三つの国があってね、運動の国、欲望の国、考える国、欲望の国の王様は鰐なの。運動の国の王様はヤツメウナギで考える国の王様は死人よ。あたしは顔もかわいいし太ってないし、貧乏人の娘じゃないし、健康で先天性梅毒じゃないし、どうでもいい人達から好かれなくても苦しくないし、便秘もしないし、両方とも視力は二.〇で足も速いの、鰐の神様がどうでもいいことを考えなくてもいいようにして下さったのよ、わかる?(後略)」(アネモネ)

  • 2016/12/25
    なんだか疾走感のある、そして独特の文体・世界観だったなああああと。
    正直お話はよくわからなかった気がするけど

  • 「新装版 コインロッカー・ベイビーズ」
    1972年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。


    図書館で借りては期限切れで返却し、また借りることを繰り返し実施しながらついに読了を果たしました。コインロッカーで生まれたハシとキクの物語。


    キクとハシ。彼らはコインロッカーで生まれた。今は九州の孤島に住んでいる。2人は親友だ。ある日ハシは母を探しに東京に出る。キクもハシを追い東京へ。そこから2人の人生は交錯し離れていく。


    コインロッカーベイビーズというタイトルから人生を恥ずかしがることなく生きてやるぜ!みたいな小説に一瞬見えたのは随分前。なんとなくあらすじを知りこりゃちゃうなと。


    ハシとキクに共感することで何を感じれば良いかよく分からない。読了後の感想がイマイチでてこないのだ。


    1つ言えるのは、ハシは精神病から音を聞き、キクは母を殺すことで音を聞いたってこと。ハシは蠅が頭の中で動き回る音で、大切な人を殺さないとその音は聞こえないと悟り、どんどん転げ落ちていく。キクは、殺したことで刑務所行き、後に脱走してダチュラを目指す。彼が此処まで動けるようになったのは、自分が殺した母から殺す瞬間に彼女の偉大さを知ったからだ。


    どこまでも光が見えない展開でありながら、特にハシが深みにはまっていく姿からは、彼がロッカーの中から出られないような印象を受ける。きっと人はハシの様に一種の精神病みたいに1つの空間(ロッカー)から出られないのだと言うことをメッセージにしているんだろう(自信なし)。


    空間から出られないハシ。その空間を壊そうとするキク。キクにとってはそんな空間は毒の世界なのだ。


    周りにオススメするっちゃあするが、面白いから読んでみろ!とは言えないかも。注釈「もやっとするかも」ってつけないとねw

  • 20年ぶりに読み返してみた。文体がかなりの高密度。こんな文書を書く現代作家はなかなかいない。何を暗示しているのかわからないストーリーが多。生まれたときは「コインロッカーベイビー」で、そして結局最後が何だったのかよくわからない。

  • よ、読み疲れた…。
    とにかくもう質量が凄い。あるんだよ文章に質量が。村上龍。
    コインロッカーに捨てられ生き残った二人の子ども、ハシとキク。救い出されたはずの二人は、だけど巨大なコインロッカーの中で生きている。コインロッカーに捨てられた子どもとしての人生。
    コインロッカーを壊したかったキク、コインロッカーを抜け出したかったハシ。
    救いはなく、希望もない。いや、壊れきって壊しきったそのことが、彼らにとっての救いになっただろうか。
    とにかく読み疲れた…。

  • 普段読んでる本と文体が違いすぎて読めない…。

    たぶん自分の実力不足だから、いつか再読したい。

  • 読んでいると、気持ちが不安定になる感じ。
    この感覚は、どこかで…
    夢野久作を思いだしました。

    若いと共感できたのかも。

  • 当方とは合わないという観点からの★評価、村上龍ってあんまり好きじゃないもので。
    ただおそらくは作家の最高傑作ではないかと思料します。圧倒的で、強引な推進力は間違いなくその後の作家に影響を及ぼしていると思うし、また何より読者を徹底的に疲れさせる破壊力は特筆に値します。ひと昔前っぽい感じはあるものの、映像を喚起させる描写はなかなかのもので、好悪にかかわらず現代日本文学における必読の一冊かと。
    でもキャラの誰にも共感できないというか何と言うか、、、詰まるところストーリーと文章が美しく感じられないので、繰り返しではありますが当方好みではありません、はい。

著者プロフィール

一九五二年、長崎県佐世保市生まれ。 武蔵野美術大学中退。大学在学中の七六年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞。八一年に『コインロッカー・ベイビーズ』で野間文芸新人賞、九八年に『イン ザ・ミソスープ』で読売文学賞、二〇〇〇年に『共生虫』で谷崎潤一郎賞、〇五年に『半島を出よ』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受賞。経済トーク番組「カンブリア宮殿」(テレビ東京)のインタビュアーもつとめる。

「2020年 『すべての男は消耗品である。 最終巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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