獣の奏者 1闘蛇編 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 750
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764469

感想・レビュー・書評

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  • 「鹿の王」「精霊のに守人」シリーズが面白かったので、読み始めました。主人公がおとなでなく、少女なんですね。彼女の主観で書かれていないのに、それが主人公や周囲の登場人物と読み手ので間に良い距離感が生まれて、絶妙です。
    しっかりと出来事が丁寧に描かれているので、現実世界と異なる「獣の奏者」の世界観をじっくり頭に映像化しながら読めました。そして引き込まれました。早く次を読みたい。

  • 面白い‼︎
    守り人シリーズも好きですが、こちらも好きです!
    とても読みやすくって、引き込まれました。
    エリンに起こった出来事にハラハラ、守ってあげたくなります。

  • 闘蛇と王獣という獣がいるリョザ神王国で、過酷な運命に翻弄される女の子エリンの物語。

    初っ端から、エリンは、母を処刑されすべてを失い、暗い感じで物語が進んでいくけれど、九死に一生を得て蜂飼いのジョウンに拾われる。そのあとの、生き物とふれあう山での生活や、カザルム学舎に入って傷ついた王獣リランと心を通わせていく、静かで穏やかな描写は、読んでいるとエリンとともに知らない知識や物語を学んでいるような楽しさがある。

    次の王獣編へと繋がっていく導入部分。

  • 「守り人」シリーズを
    この夏に読んで
    すっかり 虜に なってしまいました

    そして
    「秋」になったので
    満を持して
    手に取った 「獣の奏者」闘蛇編
    夜の帳が早く落ちて
    虫の音に包まれて
    灯火親しむ夜が
    まことに 待ち遠しい

    ちょっとつづ
    読み進めていこうと 思ってはいるのですが
    ついつい 
    夜更かし
    と 思って ふと 時計を見ると
    えっ もうこんな時間

    素敵な「本」は
    秋の夜長を
    満喫させてくれます。

    エリン の 中に
    どうしても バルサ を
    みてしまいます
    そんな 読み方が 楽しいのも
    上橋ワールドの楽しみ方です

  • なんて面白い話…!!
    ファンタジーは心の何処かで苦手意識があるのだけど、そんなことなかった。
    面白いものは面白いんだということがわかりました。

    続きを読むのが楽しみで仕方ないです。

  • 上橋さんは、並の小説家とはレベルが違う。
    もちろんジャンルが違うからそう感じるのかもしれない。しかし、この世界を創り上げ、さらには感動的なストーリーを導く。エリンの心の葛藤をわかりやすく描き、政治も織り交ぜる。断じて子ども向けではない。あらゆることを知った大人こそ面白いと感じると思う。

  • 母を失って故郷を離れた少女が、養い親に拾われ、母と同じ獣医師を目指す。バルサと生い立ちが似ているかも。

    蜂飼いおじさんの過去への苦悩、主人公の決意表明。王道であるが胸を打つ。
    この作者は、余人の追随を許さない設定を生むのがうまい。

  • 何て壮大な物語!

    児童文学らしいけど、大人が読んで最高に面白い!
    大人と子供では目線が違うから、捉え方も変わってくるだろう。
    大人に成って読んで、やっとこの物語の真髄に触れれる気がする。
    ファンタジーと呼ぶにはとても重厚なテーマが付随してくる読み物。

    死生観、生き物への敬愛、自身の成長、色々考えさせられる。

    エリンがこの先どの様に成長してどんな人生を歩んで行くのか。
    早く読み進めたいし、じっくりゆっくり読んで行かなきゃもったいないしという贅沢な矛盾に悩む。


    母娘の別離のシーンは何度も読み返してしまった。
    ほんと泣ける。

    序章なのに既にクライマックス!

  • ジュニア向け本格派ファンタジーが大好物である。あまりにメジャーなハリーポッターも素直に大好きであるし、児童ファンタジーの雄、指輪物語やゲド戦記も文句なしにベスト本に入る。
    名目上は子供向けなので言葉は平易、わかりやすいうえに夢中になって読み進んでしまうストーリーの巧さ、明快なメッセージ。
    壮大な架空の世界を舞台に繰り広げられるドラマの構成の見事さはもちろん、架空の世界だからこそ響く、重みのある、噛みしめたくなる言葉の数々が魅力だ。

    さて、本書は、架空の世界といいつつトロルや龍や魔法使いなどわりと決まったアイテムが登場する西欧ファンタジーに対し、オリジナルな和製ファンタジーともいうべき大作である。登場人物の名前や国々の情勢からは無国籍な雰囲気が醸し出されている。そしてこの世界に生息する「王獣」と「闘蛇」という作者が生み出した架空の獣の生態がとても緻密にリアルに描かれていることが、このものがたりを説得力のある骨太なものに仕立てている。文化人類学者でもある作者ならではの好奇心や探求心がストーリーのあちらこちらで顔をのぞかせる点も大きな魅力だ。

    作品はリョザ王国という国が舞台になっているが、そこにもちあがる様々な問題は、現実世界と重ねて読み取れるようになっている。
    戦争に利用されるとわかっていながら真実を探求することを止めることができない研究者エリンの行動は、私たちが直面する核や遺伝子などテクノロジーと倫理の問題に置き換えることができるし、為政者たる真王セィミヤの迷いや苦悩は、一国民として押さえておきたい視点である。また、端々に出てくる貴族への揶揄は、痛快な官僚批判と受け取っておこう。人間のどうしようもない性(さが)に切り込んで政治的な問題が描かれていて、引き込まれるのだ。
    また、優秀な研究者エリンは女性であるし、ものがたり中の重要人物、リョザ王国のセィミヤ真王も女性である。ここに私は、フェミニズムテイストもしっかりと感じ取った。

    エリンが人間として成長するなかで気づき、悩むことがらは、私自身の経験と重ねて味わえる部分が多かった点も、このものがたりの読書体験を特別なものにしてくれた。
    たとえばエリンが初めて国境付近へでかけて異国人に出会い、外交の事情を知り、自国の狭さと自分の世間知らずさを思い知らされるシーンは、若かりし頃初めて海の向こうの広い世界に思いがおよび、自分の目で見てみたい、と衝き動かされるようなエネルギーが胸に湧いたときの鮮やかな感覚がよみがえってきた。異国への憧憬は今でもつねにあって、それが自分の考え方や行動に影響しているのだと今いちど感じさせてくれたあの箇所は、大好きな場面の一つだ。
    旧友のユーヤンのようにのんびりと幸せな家庭生活を送る代わりに、猛烈研究者であるがゆえに武人である伴侶イアルとともに生き急ぐことしかできないエリンが、自分も幼いころに母との別離を経験しているだけに母親としての在り方に悩む心の葛藤も綿密に描かれていて、母親である私の心に力強く訴えかけてきた。

    少し驚きながらも感心してしまったのが、児童書でありながら、動物という存在の要である生殖能力・性について、獣たちを通してきちんと語っている点である。人間がゆがめてきた性的能力がエリンによって解き放たれた王獣は、異性を意識して興奮し、胸の羽毛が真っ赤になり、ついに耐え切れなくなったように飛翔して空中で交わる。この悦びに満ちた王獣の求愛・性行為を描いた箇所は、すごくエロティックで美しかった。性というものの輝かしさをよくぞ真正面から描いてくれたと喝采を送りたい。

    「人はなぜ戦争をするのか。国はなぜ他国を侵略するのか。」
    「人というものはどうしようもなく愚かで殺し合いをきっとこれからもやめない。それでも人は道を探し続けながら生きてきた。そのためには、真実を知らねばならない。」
    沖縄に住み、日々みずからにも問いかけるこの人類の永遠の問いを、エリンは生涯を賭した命題として問い続けた。わたしたちも問い続け、答えを探し続けなければならない。

  • NHKでのアニメ化をシリーズの途中から視た記憶がある。もう「闘蛇」も「王獣」も区別がつかなくなっていたし、そもそも始めの方は話自体知らないので、何の先入観もなく読み始めた。まだ第1巻だが、読みやすくて面白い。10歳のエリンを襲った悲劇と幸運。これが今後どう展開していくのか、先を読むのが楽しみで、期待も高まる。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上橋菜穂子の作品

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