- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062764476
感想・レビュー・書評
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獣と人の交流よりも、人のもつ業の深さ、卑しさ、醜さが強調されているように感じる。ただ、人の歴史はそういうもので常に守られてきたことは事実。大切なのはそれを受け入れ、そんなものに縛られぬ未来を築くことではないだろうか。とはいえ、本作品の根底にあるのは人と交わることなき獣と、少女の触れあい。とりあえず読め、面白いから。
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卓越した知識と能力ゆえに、次々と難しい決断を迫られるエリン。真王と大公、穢れと清らかさ、正と邪、王獣と闘蛇、獣と人間。それぞれの思惑や本能に翻弄され、エリンとこの国はどこへ向かっていくのか。壮大な情景描写に五感をくすぐられ、鬼気迫る戦闘シーンには息を飲む。世界観にどっぷり浸れる。
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とても壮大なファンタジー。
私が今まで読んだどんなファンタジー小説よりも、リアルだ。
これほどまでに、細部に渡って緻密に作りこまれているものを読んだ事はない。
国、政、王獣規範、それを生む事になった歴史。ディティールの細かさと、そしてその表現、全てがこのリアルさを生む要因だ。
特滋水、音無し笛、王獣との距離を縮めないように巧妙に造りこまれた王獣規範。なぜ規範が定められたのかが分かった時、物語の真髄に触れる事ができる。
読み易い、そして豊かな表現の文体も魅力的だ。
情景が脳内に広がるのを感じる事が出来る。
まるで私も王獣と共に光を浴びた様な気分になり、闘蛇の匂いをかいだ気がした。
後2冊と外伝。またこの感覚を味わえると思うと歓びを感じる。
本来ならここで終りの所、続編を描いて下さった作者に、本当に感謝している。 -
読んでいて感情を持って行かれる.決して,剣や魔法がでてこなくともファンタジィだし,ファンタジィ世界の中で人の愚かな業という重苦しいテーマを描き切ることができるのだ,と確かに明示している.ファンタジィは決して子供だけのものではなく,万人に通底した共通世界なのだ.
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全ての生物と人間との関係を、空間と歴史を広げてもう一度再構成して眺めてみると、どのような風景が見えて、人間としてどのような課題が見えてくるのだろう。もしかして上橋菜穂子がしようとしたことは、そういう実験だったのではないだろうか。
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アニメをちらちら見ていて、
面白いなぁと思っていた作品。
でも内容より、スキマスイッチの6拍子の曲の方が印象が強かった。
今回は、本屋さんで見かけて、
母が薦めていたのを思い出して手に取ったのだけれど、
思ったよりはるかに面白くて、どんどん読んでしまった。
児童文学、というよりは、大人向けな印象。
(作者もあとがきに子供向けに書いたつもりはない、と書いている。)
内容は難しいし、背景もあまり明るいものではない。
けれど、文章が丁寧でとても読みやすいものでした。
好みがあるかもしれないけど、
私はかなり好きでした。
続編も追って読むかなぁ。 -
守り人シリーズが信念の物語であるならば、獣の奏者シリーズは決意の物語であるかもしれない。
エリンは若すぎるが故に熱情に動かされているようにも見えるけれど、その熱情がすべて「知りたい」という衝動に突き動かされているのがすごい。「掟」や「戒律」に縛られる大人には生まれ得ない衝動に若いエリンが動かされる姿はエリンの成長物語にも見えるのだが、裏には大人たちの政治が動いていることも、物語の重奏さを生み出しているのだろう。
これは面白かった。読んでいて純粋にわくわくする物語だった。 -
ただ、ただ、よかった!
物語の流れは、だいたい、わかっていたが!
獣と人間の関係性❗
読む手が止まらない
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