- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062764476
感想・レビュー・書評
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ジョウンと一緒に暮らし始めたエリンは、あるとき山の中腹で野生の王獣の親子を目にする。エリンはその美しさに心を奪われた。
成長したエリンの行く末を考えた結果、 ジョウンは獣ノ医術を学ぶ学校に、彼女を入学させることにした。そこでは真王に捧げられた王獣の世話をしていたが、昔見た野生の王獣とあまりにも違うみすぼらしい姿にエリンは疑問を持つ。
そんな折、傷ついた王獣の子ども、リランが運ばれてきた。光を怖がり、何も食べようとしないリラン。このままでは死んでしまう。エリンはある方法を思いつき、自分に世話させてくれと学長であるエサルに頼み込む。
エリンとリランの間に芽生え始める絆。
しかし、もともと獣と人は決して合い入れないもの。いや、そうしてはいけないもの。それは昔からの決まりであり、昔から道具を使って王獣を操ることにより、彼らを支配してきたのだ。
生きるものすべては、本来のまま生きる権利があるはずだという真っ直ぐなエリンの想いが、またあの悲劇を引き起こすことになるのだろうか。
確かにエリンの言っていることは正しいことだと思うけど、歴史から人は学ばなきゃいけないし、同じ悲劇は繰り返してはいけない。
でもエリンは全然言うことを聞かないのだ。彼女のしていることが、彼女の命だけなく、王国の人々の未来をも脅かすかもしれないということを、周りの人たちから何度説得されても聞く耳を持たないのだ。
個人的にはそこが気になり始めて、終いにはエリンのことがあまり好きではなくなってしまった。
ラストはファンタジーならではの壮大な終わり方。
続きもあるようなので、是非読んでみようと思う。その後の彼女の人生は大いに気になるところだ。
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いつのまにか脳内で、エリンがナウシカに、ダミヤがクロトワに変換されていく…。
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分かりやすい素直な文章でさくさく読めてしまうのが逆にもったいなくて、意識してゆっくり味わった。古くから正しいと言われていることでも、自分でその意味を考え納得できねば従わないエリンの意志の強さに胸を打たれる。人間どうしの争いに巻き込まれ深く傷つきながらも、一番大切なものを見失わずに貫く姿に心が震えた。
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人には決して馴れないはずの王獣と心を通わせてしまったことが、王国全体を揺るがすことになると知り、エリンはさらに過酷な運命を辿っていく。エリンは、運命に翻弄されながらも、人と獣、この世に生きるものがなぜこのように在るのかを知りたいと思う。
とてもおもしろかった。壮大な異世界ファンタジーで、やはり上橋さんのこの世界観の構築はすごいと思う。闘蛇編で各所に散りばめられた謎や伏線、過去の言い伝えや伝説、王獣や闘蛇、王や国のもつ矛盾がだんだん解き明かされいき、どんどんページをめくる手がとまらなくなってくる。
エリンが心を通わせる王獣のリランがとてもすき。ただ心を通わせるだけでなく、獣と人とのあいだの壁も、そう簡単になくなるものではないとしっかり描いているのがいい。別々に語られていたイアルの物語がエリンの物語に少しずつ重なってくるのもすき。 -
ちょっとずつ 楽しみながら 読むべし
と 思っているものの
ついつい あまりに 面白くて
すっかり はまりこんでしまっている
登場する人物への
感情移入を
思わず知らず
してしまっている
主人公(エリン)だけでなく
脇役でも
それはそれは
魅力ある人物(獣)として
描かれる
この心地よさは
本当に
本を読むことの 至福 ですね
冬至に向かって
一刻ずつ 夜が長くなっている
帰宅するのが楽しみである
むろん
次のページを繰るために -
息もつかせぬ展開と人間模様。
兵器と政局、国同士の争い。
ファンタジーと言っても、リアルを思わずにはいられない。 -
怒涛の2巻。
一息もつかない間に、落ち着く暇もないうちに物語がどんどん進み、同じく一息もつかぬ間に読み終わってしまった。
あとがきで知ったのだが一応この巻で完結したみたいだ。既に4巻まで出てるのを知っていたのでそんな頭で読んで無かったので分からなかったが、言われてみればスッキリはしないものの一応完結する様な感じではあったが…やはりこの後どうなったか気になる。続きがある事に感謝(笑)
エリンが王獣と心を通わせた事で起こる様々な問題、そして王獣の出産、その事により起きる政治問題、またまたそこから起きる争い。という様に次から次へと目まぐるしく物語が展開するので本当にやめどきが無かった。
やっぱり本って面白い、と再認識させられた作品だった。 -
シリーズ2作目。どきどきするけれど、それだけではなく深みを感じてじんとくる。
2015/6/29 -
闘蛇編とは打って変わって王獣編。主人公エリンは傷ついた王獣リランと心を通わせていく。一方で人間とは何か、王獣とは、闘蛇とは、生き物とは、この世界とは、と疑問が膨らんでいき、答えを見出そうと奮闘する。言ってはならない秘め事、掟、母の想いなど、エリンが少女から一人の女性へ成長していくにつれて理解が深まっていく。新しい王国を築くため、エリンは最低限の犠牲で済むよう、一人で秘め事を抱え込む。エリンの心情が痛いほど伝わってきて、時折涙目になりながら読んだ。2巻で完結のようにできているが、後から続編が出たよう。終わりを読むのは辛そうだが、エリンが今後どう生きどんな道を選んで行くのか、そっと見守りたいと思う。
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何という読みごたえ。
そして、まだ続きが読めるという幸せ。
今朝、二巻を読み終えたのですが、その夜には三巻の三分の一は読み終わってるっていう。
面白い。