空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

著者 : 池井戸潤
  • 講談社 (2009年9月15日発売)
4.41
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764520

作品紹介・あらすじ

走行中のトレーラーのタイヤが外れて歩行者の母子を直撃した。ホープ自動車が出した「運送会社の整備不良」の結論に納得できない運送会社社長の赤松徳郎。真相を追及する赤松の前を塞ぐ大企業の論理。家族も周囲から孤立し、会社の経営も危機的状況下、絶望しかけた赤松に記者・榎本が驚愕の事実をもたらす。

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 上下巻通しての感想
    横浜市内で実際に起きた事故をモデルにした物語。
    何の罪もない。何の過ちもない。
    突然に事故の加害者となった者。被害者となり命を失くし、家庭のあたたかさを失った者。
    絶対にミスをしてはならないとは言わない。
    けれど、ミスをしてしまったときの対応が企業の価値を決めると思う。
    企業を守るためにリコール隠しに必死になるようすは嫌悪感しかわかない。
    あらゆる手を使ってなりふり構わずに責任逃れをしようとする姿からは、大企業の間違った論理が大手を振ってまかり通る世の中の矛盾しか感じない。
    自動車のない日常なんて想像もできない。
    しかし、一瞬にして便利な生活アイテムも凶器に変わるということを忘れてはいけない。
    企業はいったい誰を相手に商売をしているのか?と問いたくなる。
    会社を、従業員を、そして家族を守ろうとする赤松。
    どんな妨害を受けても、ただひたすらに信じる道を進もうとする姿には痛みすら感じた。
    潔白を証明するためには企業の協力が必要だと・・・非を押し付けた相手は企業なのに・・・理不尽だ。
    企業の態度に憤慨しつつ、赤松を応援しつつ、被害者に涙しつつ、読み終えた。
    とても中身の濃い物語。
    何故「直木賞」が取れなかったのか不思議なくらいだ。
    どんなに険しい道であっても、必ず正しい者が勝つ。
    そんな世の中であってほしい。

    【横浜母子死傷事故】
    2002年1月10日、神奈川県横浜市において起きた事故。
    綾瀬市内の運送会社が大型トレーラートラックに自社所有の重機を積載して走行中していた。
    突然左前輪が外れ約50mを転がり落ち、ベビーカーを押して歩いていた母子3人を直撃(ガードレールはなかった)。
    母親は死亡、長男と次男も軽症を負った。
    事故車両はハブが破損、タイヤやホイール、ブレーキドラムごと脱落したことが判明。
    三菱自工が欠陥を認めるまでの間、事故車両を運転していた運転手自宅には嫌がらせが相次いだ。
    男性が営んでいた運送業は結果廃業に追い込まれる。

  • 親父の後を継いで懸命に運送業を営んできた赤松さん。
    突然、社のトラックの前輪が外れて主婦を直撃。即死。
    銀行は融資を差し止め、子供はイジメに合い、辞めて行く社員。
    窮地に追い込まれていく。
    一方、赤松のトラックを製造するホープ自動車の内部でもきな臭い動きが。
    暗躍する雑誌記者。
    真実はどこに?
    下巻へ続く!

    うおー!お弁当箱でも一冊で読むべきだった。
    下巻は会社に置いてきちゃったし。
    上巻はひたすら忍耐の赤松さん。
    同業者に助けられたり、若い整備工モンタがいい奴だったりで救われるところもあるものの。
    確かにジャッキー・チェンじゃないけどさ、苦しみが深いほど逆転したときは爽快だけど、上下巻でこれはちょっとキツイ。いや、私が二冊持ち歩けばよかったんだけどさ。

  • 上巻は災難続き、赤松社長の苦労が伝わる。本筋のタイヤの話だけでなく、PTAの話が出てきたり、門田の話があったりで飽きさせない。どん底から逆転するのがわかっていながら、赤松社長の人柄に感情移入してしまう。一気読み。

  • 三菱ふそうタイヤ脱輪事故をモチーフにした作品。
    運送会社、銀行、トラック製造会社が絡む人間ドラマが最高!特に大企業内のヤリトリがリアルで妙に共感する部分が多くページをめくる手が止まらなかった。まさに最高傑作!!

  • サクサク読める。どハマりするストーリー展開

  • WOWOWでドラマは観ましたが、原作は読んでなかったです。
    池井戸さんの著書は、ほとんど読んでいるのに、これを読んでなかったのは不覚(;^ω^)

    映画化されるということで、文庫本の上下巻を買って読みました。

    ドラマもおもしろかったですが、本はまたさらにおもしろい。
    2冊を一気読みしちゃいました。
    気づいたら、ちょっと首が痛いぐらい下を向いてました。
    4時間ぐらいぶっ通し読み。

    巨大自動車会社のリコール隠しが主要テーマで
    まだ大企業が悪いことをするはずがない、と考えられていた時代だけに
    今から思うとだいぶ昔な感じもします。

    今読むとまた別の感慨も浮かぶ物語です。
    映画を観るのもまた楽しみになりました。

  • いつものように、痛快逆転ホームランが待っているはずだ!とわかっていても
    辛い…
    現実にありそうなので余計に辛い…

    後半の倍返しに期待!

  • 昨今の企業不正の根源を探るに、避けて通れない一冊だと思った。池井戸潤は決して表現力の高い作家ではないと思うが、事象を多面的にかつ整合性を取りながら再現する力に長けている。故に、作中の登場人物も多くなり、それぞれの利害、立場から物語りを構成していく。それはまるで、仕事そのものが企業や社会における様々な役割の中で珠玉のように作り上げられるように、どんな事件も決して単調ではない事を示してくれている。

    企業不正は、企業の論理が社会の要求に反し、それを無視した際に、発生してしまう。会計不正、品質不正、労基違反、偽装、隠蔽。物語りは実話をなぞるが、身勝手な企業人の論理はあまりにも…。階級制を有する組織の論理で生きる人間は、それ以外のルールよりも、その組織の論理を優先させる。そうした組織は、生活を保障する生殺与奪の権を握り、転勤の発令により生活の場所を決める権利を持ち、承認欲求を満たしあるいは残酷なまでに否定する力を持つ。個人にとって会社組織とは、漠然とした社会と比較するには、あまりにも絶対的なものだ。この力関係を是正しなければ、会社の論理に従うしかない。願わくば、不正が結果的に不利益だからと、会社が自ら適切な判断を取るような社会を。

  • 走行中のトラックのタイヤが歩行中の母子を直撃し、不幸にも、母親が命を失う。

    小さな運送会社の社長、赤松を襲う様々な苦難。
    銀行の融資打ち切り、取引先の取引停止などに、会社は最大の危機に見舞われる。

    メーカーのホープ自動車は、赤松運送の整備不良を主張し譲らない。
    しかし、トラックそのものに構造上の欠陥があり、リコール隠しをしているのではないか、との疑惑が...

    様々な立場、様々な登場人物、息をのむストーリー展開に、ページを読む手が止まりません。

    被害者の息子さんの追悼文集が、涙を誘います。



  • 久しぶりに読むのを辞められない本に出会った。
    テレビドラマのような展開だが、この人間模様は小説でしか味わえない。
    すぐに次を読みたいのでこのくらいにしておく。

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