闇の底 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 883
レビュー : 121
  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764575

作品紹介・あらすじ

衝撃の乱歩賞受賞第1作!
「俺たちはどうやったら本当に子供たちを守れるんだろうか」
『天使のナイフ』著者が描く あまりにも罪深き欲望の闇。光が差すことはないのか?

子どもへの性犯罪が起きるたびに、かつて同様の罪を犯した前歴者が殺される。卑劣な犯行を、殺人で抑止しようとする処刑人・サンソン。犯人を追う埼玉県警の刑事・長瀬。そして、過去のある事件が2人を結びつけ、前代未聞の劇場型犯罪は新たなる局面を迎える。『天使のナイフ』著者が描く、欲望の闇の果て。

感想・レビュー・書評

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  • 子供への性犯罪が起きるたび、
    同様の罪を犯した前歴者が殺されると言う
    私刑的犯罪が起こる。

    幼い子供を育てている身としては、「サンソン」はぶっちゃけ大賛成。
    ただそれだけで子供への犯罪が減るわけでもなく、
    じゃあどうやったら子供を守る事が出来るんだ…と
    悩ましいところ。

    「サンソン」の正体は最後の最後まで分からなかった。

    服役してから普通の生活を送り、
    罪など無かったかのように過ごしている犯罪者たち。
    被害者家族からしてみたら、たまったもんじゃないよな。

  • 薬丸岳氏は少年犯罪という難しい題材を巧みに鋭くそして繊細にエンターテイメント小説と仕上げる作家であるが今回のテーマも非常にセンセーショナルだ。

    プロットが面白く一気に読ませる展開であったがテーマとラストに暗澹たる気持ちになる。特にクライマックス。そこと某映画とも似ていたため★3つ。

  • ラストはそうなるんですね…
    被害者遺族の気持ちがわかる警察官が、被害者遺族に話を聞く。これは若い長瀬にはとても荷が重かったことだと思う。

    納得いくラストではなかったけど、長瀬の決断は心情として理解できる。

  • 人殺しの罪の重さに被害者の年齢は関係ない。
    殺されたのが赤ん坊だろうが高齢者だろうが、遺族の悲しみは変わることはない……はずなのだが、現実には意外にそうでもない。
    やはり、人生を長く生きていた人よりもこれから輝かしい(かどうかは未定だが)未来が待っている子供を殺されたほうが、事件としては悲惨な気がするし、親の悲しみもより深いものになる気がする。

    法が極刑を下さなかったそんな幼女殺しの犯人を裁いてくれる者がいるとしたら。
    法治国家では決して許される行為ではないし、人道的にもおよそ認められるものではない。それを許してしまったら、国というシステムそのものが崩壊する。
    でも。被害者遺族にとってはもしかしたら警察なんか比べもににならないヒーローに見えるかもしれない。自分の無念を晴らしてくれる、正義の味方のように思えるかもしれない。
    作中で娘を殺された父親が、その犯人の死を聞いて、こんなふうに言う。

    「あの男は苦しんで死んだんですか。新聞には詳しく載っていなかった」

    この言葉が何よりも被害者遺族の言葉を表しているだろう。
    認めてはいけない。認めてはいけないが……サンソンの出現を待ち望む人々は確実にいる。

    この答えの出ない深淵なるテーマに真っ向から挑んだのが本作だ。
    サンソンの意外な正体にもひと工夫あり、ミステリとしての出来もいい。
    ただ、物語の前半部分にボリュームを持たせすぎて、いわゆる解決部分がなんだか駆け足になってしまったのが惜しい。
    正直、ラスト50ページくらいまで読み進めたとき「おいおいこの残りページで犯人ちゃんとわかるの?」と思ったくらい。
    長瀬と犯人のやりとりなど、もっと書きこんでもよかったと思う。
    前半から中盤までは長瀬も含め、被害者遺族がゾロゾロ出てくるので誰が誰かよくわからなくなったので、このへんをもうちょっと整理して、そのぶん後半に力を入れてもよかったんじゃないかなと感じた。まああくまで私見だけれども。

  • 『天使のナイフ』に続く薬丸 岳氏の長編ミステリー。

    幼児への性犯罪が起きるたびに、かつて同様の事件を起こし、今は更生したとされる前歴者が、殺される。

    犯人は、幼児の性犯罪を無くすためという目的を掲げる謎の死刑執行人・サンソン。

    一方、犯人を追う埼玉県警の長瀬は、かつて自分のせいで可愛い妹を失うという悪夢から逃れられず、日々、苦悩の中にいた。

    果たして、サンソンとは、誰なのか?
    二転三転するストーリーの先に、最後、サンソンの正体が明かされる衝撃の結末が...
    その時、長瀬のとった行動は?

    全体的に重いテーマで、犯罪の再犯性や、被害者の苦悩など、なかなか結論が見えない課題に考えさせられます。

  • 薬丸岳さんの作品にはまって何冊目だろう。

    少し疲れた金曜日の23時過ぎ、電車の中で
    この本の最後を読み終えました。

    ぐっと眉間にしわを寄せました。
    なぜか目頭が熱くなっていて。

    知らなくても良いことはたくさんあると思う。
    自分の身近にないのであればこの本のような内容も、
    もしかしたら知らなくても良いのかもしれない。

    けれど読んでる自分がいるのは何故だろう。
    そんな風に思いながらまた、
    次の薬丸岳さんの本を手に取ります。

  • 結末は、もう一ひねりするか、過程を別な角度から書いてくれたら、もっと面白かったかな?と思った。

    天使のナイフに比べるとイマイチ。

  • 読後しばらく考えさせられる余韻があるのが薬丸さんの魅力だと思う。
    やりきれない気持ちになる事件が現実でも起こり続けている。
    犯罪が起きない世の中を作るにはどうしたらいいのか、反省のない犯罪者を護る必要があるのか。
    いくら考えても答の出ない永遠のテーマかもしれない。

  • 読中最大の関心ごとは「サンソンは誰なのか」「長瀬がもしサンソンと対峙したら、どのような決断を下すのか」の2点。

    サンソン視点のパートではサンソンが誰かは明確には描かれず、もしかしたら長瀬の父親?と妄想させられもします。そうなると、後半展開されるであろう父と子の対決が必然的に予想されるわけで、その場面で二人がどのような主張をぶつけ合い、どういう結末を迎えるのかがとてもとても気になって、それが読み進める強いモチベーションとなっていたように思います。

    ただ、結果としてその予想は外れ、サンソンは長瀬の妹を殺した男、小坂。こいつは過去に犯罪を犯しておきながら、家庭を持ち、娘がいながらも未だ過去犯した犯罪に対して全く反省も悔恨もせずにいる身勝手な男だったため、なんだか肩透かしを食らったような脱力感を覚えてしまいました。

    「自分の中にもサンソンがいる」というセリフが(それが発言された直後は)本作で大きな存在感を放っていたように思います。ただ、そのセリフの持つ存在感の強さの土台には、法を遵守しているまっとうな人間がそれを言う点があって、それがあるからこそインパクトがあると思うのです。

    過去に汚点を持ち未だ自分の欲望を抑えきれない「まっとうでない人間」がサンソンであったことで「自分の中にも〜」というセリフだけでなく、本作自体の印象が若干良くない印象につながってしまったように思いました。

  • どうしようもなくやるせない、完全な解決策を見いだせない、そんな社会の問題を題材にする薬丸岳
    今回は幼女への性犯罪です
    再犯率が非常に高いとされるこの犯罪
    法によって裁かれた彼らが罪を償い社会へと戻ってくる
    彼らは会心したのか・・・・・・

    幼女への性犯罪が起こるごとにかつて同じような事件を起こした幼児性愛者が殺される
    処刑人は『サンソン』と名乗った
    『サンソン』の行方を追う若き刑事・長瀬
    彼もまた妹を幼児性愛者によって殺された被害者家族であった
    『サンソン』とは何者なのか
    長瀬は『サンソン』を追いつめることができるのか
    それとも・・・・・・・・・・・・・・
    正義とは悪とは・・・ってお話

    もちろん重いテーマの物語で加害者や被害者家族の心情と事件を問題定義しながら進んでいくんだけど、『サンソン』は誰ぞや???ってとこも見どころ
    しっかり読んでいけば予想は付きます
    が、ここは薬丸氏の思惑に乗ってしまいましょう
    二転三転する犯人像

    コイツか、アイツか、やっぱりコイツか!!!!!!!!!!!!

    さすが、薬丸岳!!!

    秀作です!!!!

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著者プロフィール

薬丸 岳(やくまる がく)
1969年生まれ、兵庫県明石市出身。1988年、駒澤大学高等学校を卒業。高野和明の『13階段』の影響で小説家を目指し、2005年『天使のナイフ』が生まれる。同作で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。日本推理作家協会現会員。
2016年『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞、2017年「黄昏」で第70回日本推理作家協会賞(短編部門)をそれぞれ受賞。その他の代表作として「刑事・夏目信人シリーズ」があり、2018年2月にシリーズ最新作『刑事の怒り』が刊行されている。

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