藪の中 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764599

作品紹介・あらすじ

わたしが搦め取った男でございますか? これは確かに多襄丸(たじょうまる)と云う、名高い盗人でございます――。馬の通う路から隔たった藪の中、胸もとを刺された男の死骸が見つかった。殺したのは誰なのか。今も物語の真相が議論され続ける「藪の中」他、「羅生門」「地獄変」「蜘蛛の糸」など、芥川の名作、6編を収録。

※本書は、講談社文庫『羅生門・偸盗・地獄変・往生絵巻』(1971年7月)および、『日本現代文学全集56 芥川龍之介集』(1980年5月)を底本とし、旧漢字・旧かなとなっているものは新漢字・新かな遣いに改め、ふりがなを加えました。底本に見られる誤植等は訂正するなどしましたが、原則として底本にしたがいました。また、底本にある表現で、今日からみれば不適切と思われる言葉がありますが、作品が書かれた時代背景と作品的価値、および著者が故人であることなどを考慮し、底本のままとしました。よろしくご理解のほどお願いいたします。

感想・レビュー・書評

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  • 今日から4人で感想会♪藪の中から男の死体が発見。関係者に聞き取るが、証言が食い違う。①容疑者の多襄丸:男を竹藪へと呼び出し、縄で縛る。男の前で女を強姦する。女の望み通りに男と堂々と戦って男を刺し殺す。②殺された男の妻:多襄丸に強姦され、男に共に死ぬことを提案、しかし男は既に死んでいた。③死んだ男の霊を憑依させた巫女の証言:多襄丸は女を誘惑し、女は多襄丸に男を殺すよう懇願する。男は情けなさから自害する。 男の意識が朦朧として死ぬ間際に何者かが男の胸から小刀を抜き絶命する。誰が男を殺害したのか?仮説は3つ。⑤  

    ★仮説1)男(武弘)の自殺;最後に小刀を抜き取ったのは本人。理由は女(真砂)の裏切りに絶望したため。★★仮説2)女(真砂)が男(武弘)を殺害;この女は多分サイコパス!話しが全て収まるような気がする。★★★仮説3)芥川龍之介がこの作品を書き終えた時に「ニヤッ」と、ニヒルな笑顔が浮かべたのではないか?この殺人は現在の状況証拠では絶対解けない方程式であり、登場人物もそれらしく作り上げた張りぼて。犯人が判らないまま物語が幕を閉じるという作者の腹の内。【自分が推す仮説は3。皆さんはどう?の感想が気になる(^^♪】

    • 土瓶さん
      ポブラ並木さん、こんばんは〜(⁠^⁠^⁠)

      「真相は藪の中です」とか、
      「藪入り」とかの語源になった作品ですよね。

      感想会。楽しそうです...
      ポブラ並木さん、こんばんは〜(⁠^⁠^⁠)

      「真相は藪の中です」とか、
      「藪入り」とかの語源になった作品ですよね。

      感想会。楽しそうですね(⁠•⁠‿⁠•⁠)
      2022/09/29
    • ポプラ並木さん
      土瓶さん
      おはようござます!
      コメントありがとうございます~
      実は読書メーターという読書サイトも感想をUPしていて、そちらの読友さんと...
      土瓶さん
      おはようござます!
      コメントありがとうございます~
      実は読書メーターという読書サイトも感想をUPしていて、そちらの読友さんと日本古典名作を月一で読んでいます!
      皆さんと解釈が異なったりするのが面白いです。
      この藪の中も仮説・解釈が異なるのかな?と思って楽しみです。
      10月に入ってからの感想会になります~
      2022/09/30
  • 森見登美彦さんの著書新釈走れメロスの中に芥川龍之介の藪の中を題材に短編を書いていたので読んでみました。
    私が読んでいた芥川龍之介の中ではより現実的な視点でした。ミステリと言う勿れという漫画で「真実は人の数だけあるんですよ」というセリフを藪の中を読みながら思い出しました。
    感情を挟んで解釈したり、その人には違う意図があったり受け取り方が違う、まさに解決された事件も未解決事件も真実は藪の中ってことでしょう。
    その点に着目できた芥川龍之介の頭も藪の中です。

  • 一人の殺された男と、その妻と、その妻を手ごめにした盗人。誰が男を殺したのか、なぜ殺したのか?それぞれが語る真相は食い違っている。

    真相は藪の中。

    違う視点から見ると物事はまるで異なる側面を見せる。という意味もあるし、一人の人間の中でも状況などにより正反対の顔を見せる。本心は、当の本人にもわからない。
    とくに男女間においては。というメッセージにも読める。
    空のようにころりと変わる女の心、その態度に燃えたり冷めたりする男心。おもしろく読みました。

  • 藪の中 (講談社文庫 あ 1-3)
    (和書)2010年05月11日 14:59
    芥川 龍之介 講談社 2009年8月12日


    何回読んでも面白い。

    読み易いし、名作揃いなので再読するには良いと思いました。

  • 真相は藪の中。色んな解釈があって、面白い。

  • 青空文庫で手に入ります。
    この作品は、1921年に発表されてから内容についての論議を巻き起こした作品のようです。短編推理小説で、読み始めてからあっという間に読み終えてしまします。時代は平安時代で、勿論現在の様な科学捜査など出来ようもありません。殺人事件なのに残虐性は無く、事件についての証言も少ないし遺留品も少ないようですね。この作品での犯人の特定は難しいのではないでしょうか。いったい誰が犯人なのか答えは書いていません。
     秋の夜長に、色々と推理して楽しんでください。(^_^)

    僕も今悩んでいます(^_^;)

  • すごく好きです、こういう話。自分の好きな話のタイプが分かり易すぎる!語り手がころころ変わるじわじわっとしたミステリって、そんなの好きに決まってる。

    「二人の男に恥を見せるのは辛い」っていう言葉の気高さと尊さと潔癖さにうっとりしつつも、私は女なのでこういうときに「悪いのは女なんじゃないの?」ってすぐ勘繰ってしまう。でもこの話、登場人物皆が優しい良い人なのかなって思える救いがある。ただのもやっとさせるだけの話ではないのだ。

    「陰鬱なる興奮」ってすごい言葉だなあ、というかこの事件すごく色っぽいシチュエーションなのに直接的な表現が限定されていて、それが余計にむはっと色っぽい。正に陰鬱なる興奮。

  • 英語で「藪の中」というのは、「He said, she said」というのだと最近知った。
    それと「Rashomon effect」というのはそのまま英語で使われるらしい。
    そもそも黒澤の「羅生門」は短編「羅生門」と「藪の中」の両方を原作としているためである。

    今回、乃木坂48の文庫の表紙に釣られて買ったのだが、「地獄変」を初めて読んで、こんなすさまじい話があるのかと驚嘆。

    生駒里奈に御礼を言いたい。

  • 死体が見つかった!
    それぞれ食い違う証言に真実は…!?
    真実っていったいなんだろう、考えさせられる1冊です。

  • これは、黒澤明監督の「羅生門」として映画化された作品。
    殺人と強姦という事件をめぐり4人の目撃者と3人の当事者が告白する。しかし告白内容が互いに大きく矛盾しており真相がわからない。
    その事件が藪の中で起きたため、関係者の証言からは真相がわからない状況を「藪の中」と言われるようになった。
    各自の証言は、状況と照らし合わせて本当らしく語られている、しかし互いの証言は矛盾して、真相が分からなくなっている。

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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