藪の中 (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062764599

感想・レビュー・書評

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  • 告白は藪の中形式で語られている、というのを読んで、こちらを読んでみたくなった。

    短いし、形式は面白い。
    そして気になるのは「真相は藪の中」という言葉はこの作品の前にあった言葉なのか、芥川が言葉から作品を紡いだのかということ。
    はたまたその逆なのか、ということ。

    やはりこの形式の小説は引き込まされます。
    (※大変遺憾ながら青空文庫で読みました。)

  • 含蓄ある短い物語の集まり。

    特に、最初の藪の中は、認知や解釈の限界を感じさせられる。
    人間の虚栄心について、鮮やかに写しだしている。

  • 読了日 2018/04/26

    談話室で紹介いただいた。
    青空文庫にて読了。

    木樵り
    旅法師
    放免(多襄丸を捕まえたひと)
    おうな(女の母親)
    多襄丸

    死霊(女の夫)

    誰が真実を言っているか、というより、
    すべてがその人にとっての真実なのか。

  • 「藪の中」をオススメされていたので、読みたかった。
    芥川龍之介さんの作品は、怖い感じがしました。どこか暗いけど、リアルというか。「羅生門」はもう何年生の時に読んだのか忘れたけれど、あのおどろおどろしいお婆さんを覚えていました。

    ドキドキ、しながらページをめくりました。

  • 全く救いの無い暗澹とした気分になる鬱ミステリーな表題作、魑魅魍魎とした情景のなか男の変心を描く羅生門、傲岸不遜な芸術家の悲劇が語られる地獄変など余計な解説を排した珠玉の5編。

  • 藪の中…作者は、一本筋の真相が必ずしもなくても良いと考えていたんじゃないだろうか?素直に、分からん、分からん、と言いながらねりねり読むのにうってつけ。

    羅生門…久方ぶりに読み返しても、次の文、次の段落へと読ませる展開の鮮やかさはやはり一級品。大小さまざまな突っ込み所や、唐突に出てくるメタな語りについて考えてみてもおもしろい。

    地獄変…「絵仏師良秀」が下敷き。平安王朝風のてんこ盛りな尊敬言葉がきついが、終盤3分の1の奇怪な感情の動きと(文字通りの)熱が読み手の意識を引きつける。

    蜘蛛の糸…教育的・啓蒙的な話。他の作品のエッジさを思えば平凡な印象。業ってこんなものだよなあ、と。

    杜子春…話の風呂敷を広げて落ちへもっていくところまで美しくまとまっている。ファンタジーから孝行譚へと展開させていて、そのどちらをとってもおもしろい。

    鼻…昔読んだときはもっと滑稽なおもしろさがあったのに。杜子春の後ろにあるとうずもれる。

  • 5作品ほど入っていますが、どれもすごく短いので読みやすいです。

  • 推理を目的とした話ではなく、各人物の感情について考える物語。なぜ3人は自分に不利な証言をしたのか。見栄?恥ずかしさ?
    謎は残るが、面白い。

  • まいりました。

    こんな終え方するなんて・・・

    これが「藪の中」という話ですか・・・

    世に出て100年ものあいだ、
    謎解き議論が続いてるなんて・・・

  • 三人の視点で描かれる物語。真相は藪の中に。

  • 森見登美彦の新訳を読んでからの原作。古典はまだわたしには合わないようだ。見慣れない言葉が多くて頭に入ってこないし目が滑る。

  • 芥川龍之介の短編集。今昔物語などのアレンジ。
    話のイメージとは違うけれど表紙がきれい。

    『藪の中』は男女混合の読書会で本気の考察をしたら殺伐としそう。
    三者それぞれ「ああ、ありそう」と思わせる。
    『名誉の殺人』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4022630078を思い出しながら読んだ。

    『藪の中』『地獄変』は筋だけ知っていた。
    あとは岩波文庫で読んだんだっけ?
    『地獄変』は語り手が一番怖い。
    『羅生門』は高校でやったから先生の声で再生される。

    『鼻』の読み方がだいぶ変わった。
    前は見た目に右往左往するめんどうな年寄り、くらいの感想だった。
    今はマイノリティの悲哀と、わずかに希望を感じる。

    今はどの話も、「ひどい人」がみんな人らしく見える。

  • 2014/4/21 読み始め、読了
    橋本忍の複眼の映像に出ており読んだ。答えは藪の中…。その言葉が出るのが分かる。とても生々しく感じるストーリーだった。

  • 芥川龍之介は「羅生門」と「蜘蛛の糸」しか読んだことがなくて、表紙に惹かれて読んだ。個人的には「地獄変」と「杜子春」が好き。どの作品も人間の心の奥底を覗き見するような気持ちで読まされた。良秀は芸術家としては優れていたが、人間としては何かが欠けていた。本当の地獄とは良秀のような心の闇に潜むのであろう。ちなみに、私も杜子春のように仙人にはなりたくないしなれないと思った。

  • 今月の2冊目。今年の63冊目。

    芥川龍之介の短編集。地獄変や羅生門などは読んだことがあったけど、藪の中は読んだことがなかったので、まあ再読も兼ねて一冊読んでみました。まあ、やっぱりこういう古典はあんまり合わないですね。藪の中も勧められて読みましたが、微妙。まあ、一度は読んでおいて損はないですけど、積極的に勧めはしません。

  • 表題作『藪の中』がミステリちっくなお話だと聞いて読んでみました!
    あんな短い読み物なのに、真相はまさに藪の中。誰が嘘をついているのか、未だにファンの人たちの間でも議論が交わされているというだけあって、とても惹きつけられるお話でした。

    あとそれ以外で一番印象に残ったのは『地獄変』。
    『羅生門』は、高校の授業で習ったのをぼんやりと思い出しました。

  • 改めて読むと、こういう話だったかと、昔読んだ頃を思い出した。ザ・名作といった感じである。

  • 事件の目撃者数名+当事者3人の供述を書いただけ、という異色の小説。
    事件の大まかな話は皆大体同じだけれども、誰が犯人なのかという点に関しては食い違いがあり、まさに「真実は藪の中」

  • 食い違い

  • 「真相は藪の中」
    っていう言葉がまずあって、それにちなんで題名と物語を作ったのかと思いきや・・・。
    逆でした、芥川 龍之介「藪の中」からできた言葉だったんですね。
    無知すぎました・・・。

    それはさておき、全員の証言のみで成り立つこの物語は、舞台が藪の中なだけでなく、まさに「真相は」という感じです。

    嘘をついているのではなく、自分が思う真実を話しているのがたまりません。

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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