そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1764
レビュー : 233
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062765053

作品紹介・あらすじ

みんな生きてる、やあ奇跡。
怒濤の大阪弁で綴る芥川賞作家デビュー随筆集

純文学界の気鋭として注目を集める著者は、一体何を感じ、見つめ、考えてきたのか。瑞々しい感性と卓越した表現で綴られた、がむしゃらな日常に湧き起こる喜怒哀楽と問いの数々。共感と驚嘆が詰まった、愛らしくて滑稽で深遠な136本を収録。芥川賞作家のデビュー随筆集、初文庫作品。

ドーナツとの激しい距離/サボコを救え!/猫パニック/帰京、もしもし絶対者さん/排水溝の神様おりはりますか/芸術御破算/精神よ、黙って体についていって下さい/刺繡狂想曲あははん/午前四時/退屈凌ぎ自慢in人生/謝ってんのに/浮気相手になりたいのですが/っ頭蓋骨!/私はゴッホにゆうたりたい/宮沢賢治、まるい喪失。/絶唱体質女子で!/家事、なんて難しいの/私が瓦を、瓦も私を、みていた冬/性の感受地帯、破竹のあはん/大島弓子を読めないで今まで生きてきた/さようならサボコ/砂漠、世田谷、銀河/鰯なのだよ/歯で穴をあける/奇跡っつうぐらいのもんで

感想・レビュー・書評

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  • 関西弁版「フラニーとズーイ」のくだりを読みたかったわけです。

    私は、川上未映子さんの『すべて真夜中の恋人たち』がめちゃくちゃ好きです。
    だから、そっとしといてください……。
    触れなかったのは、敢えてなんです、今まで(笑)

    とりあえず。
    サボテンのサボ子が定期的に更新されて、再起不能となるところ、悲しかった。

    お姉ちゃんの1000円の勇気も、オカンの頭から流血しながらの、角材全力フルスイングも、なんか、分からんけど、感動した。

    ちなみに、歌手だということは初めて知りました。
    すいません。

  •  小説家としてデビューする前の、ビクターからCDアルバム・シングルを発表しシンガーソングライターとして音楽活動していた時代に、ブログに書き散らしていた断片を抜粋して収録したもの。2003年8月から2006年8月。EPを含めてアルバムを出していたのは2002年から2005年で、本書収録の随筆?雑記?にもしばしば「録音が」などと音楽活動にまつわる事象も触れられるが、記録的な日記としての機能はほとんどない断章なので、当時の詳細な出来事や考えはよく掴めない。
     ビクターからリリースされた彼女の音楽を幾つか聴いてみたが、音楽的に私の好みではない。歌詞がいくぶん独特ではあるが、POP文脈の「きのう語られたように語る」音楽語法にはどうも馴染みにくいものが、彼女の言葉にあったのではないか。
    「こんなことは歌詞にはならない」とビクター側から言われ続けていることが、本書「詞までもが」(2004/12/15、P67)に書かれている。
     POPの歌詞には馴染まない彼女の言語活動は、ブログにおいて極端なまでの自由さで発散された。
     本書、凄まじいまでの気ままなパロールの嵐である。その日その日になんとなく書かれた断章は、そもそも「作品」を目指したものでもないから、つまりコンポジションの意図がほとんどないから、入り口と出口がまったくの異質さを呈していても全然構わないわけだ。
     ここでの言葉たちは、意味内容(シニフィエ)が表示されたかと思うと、次の瞬間文脈が破壊され通常の意味のまとまりを大きく逸脱したシニフィアンが踊り出すかのようであり、それは現代詩と似ているし、20世紀以降の芸術全般がそうであるように一般的な文脈の破壊によって新たな意味の生成を目指しつつある。これらの自在なパロール構成が秘める芸術性は、小説として作品化した『乳と卵』(2008)以降に結実するのである。
     本書の騒がしいパロールの横溢、クセナキス・サウンドを楽しめるかどうかは、人によるのかもしれない。私は川上未映子さんの文学に希有な才能を認めているので、この不思議な主体の遍歴に大いに興味があるのだが。
     林芙美子ほどではないが貧しい家庭に生まれ高卒後は大阪でホステスなどもやって弟の大学費用を捻出した頃から、どういう経緯でシンガーソングライターになりビクターからメジャーデビューした(2002)のか、音楽活動の傍ら本書所収のブログ(2003-2006)を下記つつ、散文詩「先端で、さすわさされるわそらええわ」(2005)が雑誌ユリイカに掲載されたのはどういう流れであったか、その後2006年には突如芝居に出演したのはどういう事情であったか、突然小説「わたくし率 イン 歯ー、または世界」が「早稲田文学」に掲載された(2007)のは何故か、この雑然とした経歴のゆきさつを知りたいのだが、日記にはなっていない本書所収の断章では知ることができない。たくさん出しているらしいエッセイ集のどれかを読んだら、いくらかでも分かるのだろうか?
     本書の雑文の中では、19歳の頃つきあっていた彼氏に浮気されかなり凶悪な所業に至ったことを回想した「私も喪服で生きていたいけれども」(2005/2/28、P91)が、病みキャラっぽくて面白かった。怖い。

  • 町田康みたいやけど、そこはそれ、なんかもう少しこう女の子らしいといいますか、気持ちナイーヴといいますか、違ったところはあるのです。ブログをそのまま転載したようで、わりと私が丸出しに近いところあり。136本から何か選ぶとすれば、笑いと言うことでは「女子部」、ええ話では「結ぼれ」、「私はゴッホにゆうたりたい」、あとキレイなのは冒頭の「夜明け前、」。

  • 私の場合、小説家のエッセイ集を読んでがっかりすることは多々あれど、逆の場合もあるとは思ってもみませんでした。

    どうにも苦手だ、でも読まなきゃ、と謎の義務感で取り組んでいた川上未映子ですが、この一冊で大好きになってしまいました。

    むき出しの(と思わせる)お人柄が。

    しかもこれらはおそらく書籍化など予想もせずブログに書き綴られていた文章群だそうで、ますますいい。
    苦手を感じる最たる部分の文体はいっそう激しく迫ってくるのですけれども、なぜか。

    同居サボテンであるサボコのお話、ご家族のお話、かつての恋人のお話、音楽のお話、愛する書物についてのお話。

    走っていって抱きしめて揺さぶりたくなる魂よ。

    数々の物語を綴り芥川賞を受賞し、いまはここからはるか遠くの地点におられるのでしょうけれども、どうか幸せに穏やかに暮らしていてほしい、と願ってしまう愛おしい一冊でした。

  • 川上さんのエッセイ!
    「全部のあとに残るもの」がおもしろくて、続けて手に取った本です。

    んー、ちょっと期待しすぎた感?
    もともと「乳と卵」を読んで川上さんの文体に少し抵抗があってからの「全部の…」がおもしろくて、川上さんのエッセイならいけるーと思ったという経緯があるからかな。

    でもやっぱり読みにくいとはいえ、川上さんの独特の言い回しと物事の捉え方が魅力的でした。
    また川上さんのエッセイを読みたいと思えました。

  • もっとこの人の頭の中をのぞいてみたいなあと思わせる本でした。

  • 「乳と卵」同様、はじめは文章のリズムに戸惑うものの、読み進むうちに徐々に心地よくなる。
    エッセイの内容は、理解できないもの、思わず笑ってしまうもの、シリアスなもの、泣きそうになるものなど、様々。川上さんは並外れた感性を持っていて、正直で、生きづらそうに感じるが、とても前向きな人だと思う。良い刺激になった。

  • 初めて読んだ川上未映子作品。
    たらたらたらたらと流しっぱなしの水道のように途切れる事無く言葉が流れていく感じ、が私には心地良かった。
    情景を思い起こさせるというよりは、言葉のリズムで遊ぶ感覚。
    歌手であったという過去も少し納得。

  • 《後悔っつうもんは、本当に。》

    blogに書いたんだか、呟いたんだか忘れたけど、彼女の言葉は、本当に朝が似合いますね。
    というか、頭があまりシャンとしてない時に、とても素敵な響きを持つ思います。

    小説は、未読なので、あれだけれども、この作品に関しては。

    確か、何かのインタビューで、
    「文章が音楽的と評されますが?」という問いに、
    「そうは思いません。音楽を創るときと根本にあるものは同じかも知れませんが、違うものとして書いています。」みたいに答えてた。(例によってうろ覚え。禁転載)


    うん。
    音楽的とは違うね。


    ただ、だだ漏れな感じ。
    いや、俺はとても好きなのだけれども。


    だからかな?彼女の言葉、というか、思考の流れに逆らえないくらいに、俺の脳が思考能力的にローギアの時ほど、とても気持ち良く感じる。



    引用するのは、非常に難しいので、気に入った文章のタイトルだけ。
    ・ロシアンルーレットは遊びやないのやで
    ・そんなことしたら地球を壊す
    ・外へ中への大合唱
    ・刺繍狂想曲あははん
    ・天邪気の呪い
    ・堂々とすればいいと思う
    ・頑張れ、いつか死ぬ
    ・世界から出て、野中ユリと本の中へ
    ・美しい、美しい坂本弘道


    どういう入口で、この着地点?というような、
    どんだけ斜めに物事見てるん?というような、感じが、とても好きです。


    あぁ、つうか、あれかも。
    本文中でも触れてるように、精神的にキテる時期があったようで、俺の得意の、そういうのシンパシーというのも、あると思います。

    精神衛生が、すこぶる健康な人って、今のご時世。居ないのかもしれませんが、やっぱり歪んでる方がねぇ。
    あっ、でもひっちゃかめっちゃかではダメ。すました顔の下の、左右対象の中の、それを崩す、不協和音。




    そうそう
    ・たかがサボテン、けれども私のサボコは
    の中の、
    『何よりも大切で気にしてるのに、でも色々な実際的なことを考えると暗い気持ちになるのも確かで、色んなことを後回しに、つい目を逸らしてしまうというような。そしてそんな自分が大概、情けない。
    (中略)少しずつでもこういう気持ちのやりとりをいっこいっこ積み重ねて、私は、私の本当に大切なものに対する後悔をせずにすむ終末に辿り着くしかない。
    失くしてから気づくのは、もう、いやである。』

    という言葉に、一番捕まれたかも。タイミング的に。




    「そのうち失くすなら、手に入れない方が良いのではなかろうか。結果、+-ゼロならば。」
    失う事を、ものすごく恐れてる自分がね、そんな風に言っているんです。

    「+-ゼロになろうとも、喜びも悲しみも感じられない時間になど、意味が見いだせるのか」
    繋がりを求める、寂しがり屋な自分がね、そんな風に言っているんです。



    後悔とは、出来たこと、少なくとも現時点から見て、当時の自分で出来たと思える事をしなかった事を悔やむ事だから、
    綺麗事だか、諦観だか、つまらない方向へと逃げていこうとしている自分を、全力で潰さなければ、なるまいね。

    頑張れ。後者の俺。




    つうことで、
    見て見ぬ振りしてた友人たちを、フォローしたり、マイミク申請したり、しようかなぁと。

    薄い結論だなぁw

  • 最初はついていけず、何度投げ出そうかと思ったことか。・・・が、半ばを過ぎたあたりから、すっかり著者の観念的世界に引き込まれ毒され、すっかり夢中に。やはり、ただものではないのだと感じ入った次第です。

    ▲表現する人はすごいなどと、なんでかいつの間にかそういう馬鹿げた話になっているわけだけど、表現というのは実はほんとうは滑稽で恥ずかしいものだ。表現者というのは大きな声を出したり、反抗してみたり、ここに居ますと叫ばなければ、そこに黙って座っていられないどうしようもない種類の人間であって、いわば一番判りやすく欠落した人間であるともいえる。▼

    2010/1/12 読了

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著者プロフィール

川上未映子(かわかみ みえこ)
1976年大阪府生まれ。大阪市立工芸高等学校卒業。2002年から数年は歌手活動を行っていた。自身のブログをまとめたエッセイ『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』で単行本デビュー。2007年『わたくし率 イン 歯ー、または世界』『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』で早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞、2008年『乳と卵』で芥川賞、2009年詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で中原中也賞、2010年『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞、2013年詩集『水瓶』で高見順賞、『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞、2016年『マリーの愛の証明』でGRANTA Best of Young Japanese Novelists、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞を受賞。2017年、『早稲田文学増刊 女性号』で責任編集を務める。2019年7月11日に『夏物語』を刊行し、注目を集めている。

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