ハヅキさんのこと (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.52
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本棚登録 : 1084
レビュー : 117
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062765060

作品紹介・あらすじ

かりん、という琺瑯の響き。温泉につかったあと、すっぴん風に描く眉。立ち飲みで味わう「今日のサービス珈琲」。
48歳、既婚者で「中途半端」な私が夢中になった深い愛――。さりげない日常、男と女の心のふれあいやすれ違いなど、著者独自の空気が穏やかに立ち上がる。虚と実のあわいを描いた掌篇小説集。

感想・レビュー・書評

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  • とてもよかった。短い物語を、読むというよりも吸収する、という感じでした。じゅわじゅわ染み込んでくる感じ。どの表現も見逃したくなくて、一文字一文字なめるようによみました。
    景気悪く、捨てた。という部分は本当にその川上さんのセンスがあふれていて、どうにか誰かにこの素晴らしさを伝えたくて部分的に夫に読んで聞かせました。
    貸してくれた先輩に感謝。

  • 日常でふと感じる違和感や雰囲気が表現されてて、ああわかるなあ〜と、ゆったりした気持ちになれる作品。

  • 短編でありながら、行間の余白というか、語らずして語られていることが多く、空気感が伝わってくる作品ばかり。特に気に入っているのは、「琺瑯」「かすみ草」「床の間」「白熱灯」「動物園の裏で」「吸う」。すべてを語りきらない余白が、人間の世界の認識のしかたってこうだよなと、逆にリアリティをもって迫ってくる。引っかかったり、急にとんでもないところへ飛んだりする筋運びも、現実はたしかにこんな感じだと、腑に落ちる。作品の世界に浸った後で、自分自身の現実が、これまでとは違う見え方をしていることに気付いた。

  • シュートショートが25話。

    エッセイのような短い話がブツッと終わる感じに最初は馴染めなかったけど、1冊読み終えるころにはこういうのも悪くないなと思うようになっていた。

    言葉の選び方が上手い作家さんだなぁと思った。

  • 23個のちいさな短編集。冒頭の2、3行でふわっと情景が立ち上がって、ふしぎな余韻を残し、去っていく。
    清潔な物語だなあと思った。ひとりひとりが、しゃん、としている。
    日本語が美しいからそう思うのかな。
    「疑惑」や「かすみ草」は、初期の川上弘美っぽいドロリとした感じもある。
    解説もすばらしい。

    • mizutetsuさん
      >解説もすばらしい。

      そですね。
      柴田さんの解説が正しすぎて、あえてここで内容を論評する必要が感じられなかったくらいです(笑
      >解説もすばらしい。

      そですね。
      柴田さんの解説が正しすぎて、あえてここで内容を論評する必要が感じられなかったくらいです(笑
      2010/06/02
    • rinnさん
      >mizutetsuさん
      完璧な解説ですよね(笑) 解説まで読んで、また最初から読み直すと、よりくっきり、世界観が浮かび上がってくるような。...
      >mizutetsuさん
      完璧な解説ですよね(笑) 解説まで読んで、また最初から読み直すと、よりくっきり、世界観が浮かび上がってくるような。解説まで含めてひとつの作品みたいです。
      2010/06/09
  • ありそうでなさそうな日常がありそうに綴られる。
    そこはかとないデジャヴに寂しくて柔らかな気持ちがこみ上げる。
    かなり好き。

  • 解説にあった、
    「一気に読むより、一ページずつ、一本ずつじっくりゆっくり読むにふさわしい本だと思う。」

    川上弘美さんの作品はどれもそう。この作品も、一つ一つ大切に読んだ。

    日常のなんでもなさを切り取ったお話が好き。
    でも「疑惑」が実は一番面白かったかな。

  • 解説・柴田元幸

  • 琺瑯
    「町子っていうの」その子は小さな声で名乗った。
    「町子」私はぼんやりと繰り返した。

    短編好きにはたまらない、ふわふわとあわあわとどこに向かうのかわからないまま進み、ベージをめくったら、ふっと終わってしまうこの感覚。「あっ」と思ったあとに、ふふむ、と感じるこの感覚。

  • とても短いお話がたくさん、でもどのお話もすっと世界に取り込まれる感じが好きでした。
    ありそうでなさそうな出来事。中には、川上さんの実体験なのかな?と思うようなお話もありました。
    ぼんやり始まって、ぼんやり終わる、でもはっとするお話です。後からじわじわきます。
    どれも好きなのですが、「ぱちん」と「島」がなんだか良かったです。こんなこと、いつか起こりそうだな、と思うと楽しいです。

  • 川上弘美が好きだ。どうしても好きだ。

  • だめなものはが印象的。前半より後半のほうが好みな気がした。前半は、つかみどころがなさすぎた。

  •  人懐っこいんだけど、煩わしく付きまとわれるわけでもなく、ちょうどいい距離でススーっと入ってくる、僕にとってはそんな文章を書いてくれる作家の一人。
     短い作品が26編。
     ドラマチックな出来事や奇妙なキャラクターが登場するわけでもないのに、読み終わった後の余韻がとても心地よい。
     いや、考えてみれば、奇妙な出来事も奇妙なキャラクターも登場している。
     でもそれら全てが、当たり前の日常の一部のように、そこにある。
     そんな情景が愛おしくもあり、切なくもあり、だから抱きしめたくもなる。
     そんな作品。

  • 読みやすいしどれもずっしりしてる

  • 書き始めの一行から、何気ないちょっとした生活の中に入って、淡々とした物語が始まる。
    すっと終わりがくるけど、その余韻がたまらない。
    作品の中では「琺瑯」「浮く」「森」が好き。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    かりん、という琺瑯の響き。温泉につかったあと、すっぴん風に描く眉。立ち飲みで味わう「今日のサービス珈琲」。四十八歳、既婚者で「中途半端」な私が夢中になった深い愛―さりげない日常、男と女の心のふれあいやすれ違いなど、著者独自の空気が穏やかに立ち上がる。虚と実のあわいを描いた掌篇小説集。

    何処がどうという訳では無いのだけれども、この淡々とした文章でさらりと書かれた短編が沢山入っています。もっと膨らませて沢山本出せそうだなあと凡人は思ってしまいますが、出し惜しみせず書けるのは才能の成せるわざか。
    どの話も落ちは無いし、哀しくもうれしくもない話ではありますが、なんとなくチクリと細いとげが触るように、彼らの先行きが気になるようであります。

  • 過去に関わりを持ったひとたちへの想い。
    満たされているようないないような。居心地が良いような悪いような。
    妙に曖昧な感じがいいです。

    ささやかな掌小説の中に、いろんな思いがぎゅぎゅっと詰まっていて、温かさが溢れてきます。

  • もうちょっと続きが読みたいと思わせる短編集。
    登場人物は若い人も年配の人も。
    不思議な人、不思議な関係の人。
    もう会わない(会えない)人。
    人との繋がりの儚さ、別れの切なさ、またはすっきり感。
    静かに描かれる。

  • やっぱり好きです 川上弘美さんはほっこりします。

    26編もの短編集ですが どの話もすぐそばに あるような気がするはなしです

    わたしは「かすみ草」がすきです。
    何年も夫婦やってきて わかっている分かり合っているはず…でもね秘密がね あってもいいよね

    「吸う」は とっても色っぽかった

  • なんだろうな、この、川上先生の書く恋愛小説の、べたべたしてない感じ。
    ドライというのともちょっと違うし、さっぱりというほど爽やかでもない。
    やっぱり、なんというか、夏の午後にぬるんだプールで、背泳ぎするでもなく、空見上げてぷかぷかしているみたいな、そんなゆらゆら感。
    すごく心地いいんだよなぁ…

  • 短編集。現実なのにどこか不思議な感覚もあって、でも静かに話は進んでいく、著者のそんな雰囲気が好きです。恋愛話もあったり、日常のさりげない話だったり、今回は人とのつながりが多かった気もします。表題作の「ハヅキさんのこと」が印象的でした。

  • 短編集は良く読むがこれほど短い話が集まった本も珍しい。それくらい1編1編が短い。1つ辺りの話の長さがページで4枚以下のものばかりだった。それでもしっかりとインパクトのある話が描けている事に驚いた

  • 短編集。さくさくよめる。表現がきれい。

  • はじめて川上弘美さんの本を読みました。

    読んでるときに流れる空気感がきもちいい本でした。

  • 短編なのに、ぎゅっと詰まった話が連なる。

  • 今は短編という気分じゃないかな・・・・という点で☆2つ。

    さりげない日常のひとコマ。本当にさりげない。
    ひとつひとつ掘り下げて中編小説にも出来るのに、しなかったのは大盤振る舞い。

  • #bookoff

  • 最近、定期的に川上弘美を読みたくなる。この作品は表紙のようにシンプルな短編集である。シンプルだけど、奥が深い。そんな作品ばかり。年齢の違う登場人物達だが、みんな掴みどころがない人ばかり。どの作品も味わい深い。

  • 一編一編がショートショートで、登場人物からは日常に見える、そんなところで人の感情をあらわして、不思議な感じのする小説。最初は何だか取っ付きにくいと思ってたけど、少し、癖になる。

  • どこか覚えがあるようで次々読んでしまった。

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著者プロフィール

川上 弘美(かわかみ・ひろみ)
1958年生まれ。96年「蛇を踏む」で芥川賞、99年『神様』でドゥマゴ文学賞と紫式部文学賞、2000年『溺レる』で伊藤整文学賞と女流文学賞、01年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞、07年『真鶴』で芸術選奨、15年『水声』で読売文学賞を受賞。ほかの作品に『風花』『どこから行っても遠い町』『神様2011』『七夜物語』『なめらかで熱くて甘苦しくて』『水声』などがある。2016年本作で第44回泉鏡花文学賞を受賞した。


「2019年 『大きな鳥にさらわれないよう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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