作家の値段 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 79
感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062766593

作品紹介・あらすじ

初版か再版か、帯や函は残っているか、美麗か、もちろん作家の人気も-さまざまな条件で古本の価値は大きく変わる。街場の古本屋は知っているのだ。本当に残るべき文学、消えていく文学とは何なのかを。読書好きのためにホンネで書ききった、「本邦初、読んで損はない、どころか読めば儲かる実益作家論」。

感想・レビュー・書評

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  • 恥ずかしながら、私は近代文学をほとんど読んでいません。この本に取り上げられている作家の中では、宮沢賢治が好きで全集を読んでいますが、それ以外はぽつぽつ程度。直木三十五や火野葦平に至っては一冊も読んでいません。
    なので、こうして出久根達郎さんが丁寧に解説してくださるのは大変ありがたいです。「どの作家にも、『玄関の扉』的な作品がある。作家の予備知識を教えてくれる作品である。それさえ読めば案内なしに、まごつくことなく奥座敷に行くことができる。」つまり、この本は取り上げられた作家たちの読書案内としても有用だということだと思うのです。
    私は樋口一葉著『通俗書簡文』の「猫の子をもらひにやる文」が気にいったのですが、この本は手に入れられませんでした。次に気になるのは映画は観たものの、それほど好きにはなれなかった深沢七郎著『楢山節考』。こちらは新潮文庫版が買えたので、読んでみようと思います。

  • 文学

  • (リリース:茂樹さん)

  • 古本って奥が深いんだな。帯がついてるだけでも価値が違うのか…。

  • 樋口一葉自身の当事の貧しい暮らしを具体的に描きながら、それと重ねて紹介される彼女の「大つごもり」の素晴らしさや、明治42年『ふらんす物語』、大正2年「恋衣花笠森」、大正4年『夏すがた』、そしてあの『四畳半襖の下張』と、発禁処分を次々と食らってきた永井荷風の発禁本の歴史とその内容紹介の見事な簡潔さ(最近は街歩きおじさんとしてノスタルジックにばかり紹介されることへの批判になっている)、「少年探偵団」ファンの世代別の読み方の差異を、戦前派、ポプラ社版派(昭和22年から35年)、光文社版派(昭和39年)、テレビドラマ派(昭和50年)と4期に分けて見せる江戸川乱歩論など、どれもこれもいちいち感心のあまり唸るような作家論ばかりである。玄人筋でなければ気づかないような作家への切り口や視点が、素人が興味を持てるような講談調の話として巧みに描かれているのだ。日本近代文学全集とか日本近代文学論の堅苦しい退屈さに、それを読むことを避けてしまった人々(私のことです)にとって、本書は最良の入門書だと思う。嘘ではない。騙されたと思って読んでほしい。

  • なかなか奥深い世界だ。
    本は好きだが、古本はあまり好きでなかったが、この本を読んで、興味を持った。
    昔、学生時代、古本屋の好きな友達がいて、一緒に神田の古書店を廻ったものだが、買う本がなく、ただ眺めていただけだ。
    今だったら、違った意味で楽しめたのではないだろうか。

  • 2010.04.04 朝日新聞に紹介されました。

  • 古書価格で見る作家論。初版本には興味がないが、書誌としても楽しめる。

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著者プロフィール

出久根達郎(でくね・たつろう):1944年茨城県生まれ。中学卒業後、上京、古書店に勤務する。73年から古書店・芳雅堂(現在は閉店)を営む傍ら、文筆活動に入る。92年『本のお口よごしですが』で講談社エッセイ賞、93年『佃島ふたり書房』で直木賞を受賞する。2015年には『短篇集半分コ』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に『おんな飛脚人』『安政大変』『作家の値段』など多数がある。

「2023年 『出久根達郎の古本屋小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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