憂鬱なハスビーン (講談社文庫)

  • 講談社
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本棚登録 : 145
レビュー : 25
  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062766685

作品紹介・あらすじ

東大卒、有名企業に就職し、弁護士の夫を持つ29歳の私。結婚して仕事は辞めたけれど、優しい夫と安定した生活がある。なのになぜこんなに腹が立つんだろう?ある日再会した、かつて神童と呼ばれた同級生。その話に動揺した私は、まだ自分に何かを期待しているのだろうか。第49回群像新人文学賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 単行本で既読だったが、なんとなく手に取る。朝比奈あすかさんのデビュー作。

    読みながら「ああ、そういえばこういう話だった」と思う、凛子のイライラする日々。単行本の時もそうだったが、表紙の見た目の爽やかさに反して、内容は非常に重い。私自身はこんなエリートではないが、家族への感情のぶつけ方とか自分の中にもある感情だと思って読んだ。ラストはやや光の射す話だが、全体的な鬱屈感の方が勝っていて、やはり読むのは重いと思うこともある。でも読んでしまう。

    前回どう読んだかをもう一つ思いだせないのだが、今回読んだほどにはあまり「わかるな」という感じはなかったような気がする。それはどういうことなのだろう。鬱屈した思いを昔は抱えすぎていて、渦中にありすぎて響かなかったのか。そんなことあるのか。本の感想を書くようになってから自身の本の読み方もだいぶ変化しているような気もするが。

    これは自分にとっては、積極的には読みたくないのだがなんとなくまつわりついてくる本である(不思議だ)。自分の心の持ち方が安定しているかどうかを確かめるためにまた読む機会が訪れるのかもしれない。

  • 主人公の凛子が怒るときの喋り方が腹立つ。旦那さんは優しい人なんだからそんなにキレなくてもいいのに。でも、イライラして誰かに当たってしまい、憂鬱になって悲しくなる感じは少しわかる。めんどくさいけど。「Mr.Has been. かつては何者かだったヤツ。そして、もう終わってしまったヤツ」なんか嫌な言葉。

  • 東大卒、有名企業に就職、同じく東大卒弁護士の優しい夫、理解ある姑…
    恵まれ過ぎているのに、凛子はイライラしている
    ずっとイライラしていて
    読んでいて疲れてしまった

  • 何気なく手に取って何気なく読み始め、あっという間に読み終わった。読みやすいというのもあるけど、どこか自分にシンクロするところもあったのがあっという間に読めたわけなのかも。
    東大を出て、同じ東大卒で弁護士の夫との結婚を機に仕事をやめ、再就職の気もなく失業保険をもらっている凛子。不自由だと言えば非難されそうな状況にあるのに、無頼で不遜な言動はこじらせ女子的。特に、夫の雄介に対するつれなさ、わがままさときたら……。雄介ときたら、よくもまあこんな凛子を妻にし、今も機嫌をとったりなだめたりしながらそれでも好きでいられるもんだと思ってしまう。そのくらい雄介は屈託なくいいやつで、自分の知っている雄介を彷彿とさせる。だからこそ、こじらせ凛子に自分を重ねてしまう(っていうか、自分は別に東大卒じゃないけどね)。
    後半で凛子が抱える心の傷が明らかになってくる。そのあたりから凛子に対するシンクロ性は薄れるぶん、同情的になる自分。「ハスビーン」とはhas beenであり、かつては何者かだったけど今はもう終わってしまった残念なやつを指すのだとか。
    著者はこの作品で群像新人賞を受賞。それを知れば初々しい感じもするけれど、小説としての構成や舞台設定はなかなか。かつての同塾生・熊沢くんや姑・れい子さん、さえない(と凛子が思っている)両親やハローワークの職員など人物設定も生きている。解説(吉田伸子)も解説らしくてよかった。

  • 「ハスビーン」の意味が気になり手に取った本。「ハスビーン」とは「一発屋」という意味らしい。かつて、凛子が塾で憧れた「塾で最高に認められたクラス」だった彼が人生で一瞬だけ光輝いた「一発屋」な時期を経験し、自分のせいでもないのにそこから切り離された。やさぐれてしまった彼と再会し、凛子は自分の幸せにに気付かなかったのだろうか。この話の主人公の凛子は、ちょっと自己評価が高すぎる女性なのかもしれない。優しく接してくれる姑、弁護士で家庭的な旦那さん。そして、素朴だけど何のトラブルも抱えていない実家の父母を上から目線で見下すのは、凛子が東大卒でいい会社に勤めていた意地から出てくるのだろうか。その会社の中で階段を踏み外してしまったのは、不運な事だったけれど、人生長年過ごしてきたらそういう事って必ずある。凛子には「自分が幸せ」なのに気付いて欲しい。

  • 主人公の気持ちもわからなくはないけど、捻くれ過ぎていて不快だった。

  • 主人公の、中学受験→東京大学という経歴がどんぴしゃに私だったので笑いそうになった。

  • 東大卒、有名企業に就職、弁護士の夫、安定した生活があるのに満足できない。なんだかなあー、共感できる部分はなかった。

  • 他人から見たら幸せそうな女性の苛々と憂鬱が、所々共感するものがあった。
    この時期にこの小説を手にとったのが笑えた。
    私はまだわたしに何を期待しているのだろう。
    という文が心に残った。

  • 第49回(2006年)群像新人文学賞受賞作。
    他の独特な受賞作品と違い、女性が感じる日常的な「あるかも」が多い作品で、面白い。
    個人的にはこんなだんなさん、ちょっといいなと思った。
    彼女の他の作品も読んでみたい。

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著者プロフィール

1976年生まれ。2000年、大伯母の戦争経験を記録したノンフィクション『光さす故郷へ』を発表。06年「憂鬱なハスビーン」で群像新人文学賞を受賞。著書に『憧れの女の子』『不自由な絆』『あの子が欲しい』『天使はここに』『自画像』『少女は花の肌をむく』『人間タワー』などがある。

「2018年 『みなさんの爆弾』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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