- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062766746
作品紹介・あらすじ
アルツハイマー、不眠、うつ、失語症、etc.
脳がわかれば人間がわかる
脳についてあまり知識がなくてもわかりやすく、脳の専門家から見ても正確な内容が書かれていること――このふたつの条件を満たすべく、脳研究の最先端レポートにもかかわらず、専門用語をできるだけ使わずに脳の本質に迫った。誰もが知りたい脳の神秘を、入念な取材を積み上げスリリングで読みやすく解説した名著。
※本書は2001年3月に新潮社より刊行された『脳を知りたい!』を、2004年5月に講談社+α文庫に収録、それを再文庫化したものです。
感想・レビュー・書評
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脳の働きについてテーマ別にまとめられたとってもわかりやすい本。
「早期教育」「睡眠」「うつ病」「意識」「言葉」「環境ホルモン」などがテーマ。
「早期教育」については頷ける箇所がとても多かった。
早いうちから漢字が読めて書けて、4歳でトルストイの「戦争と平和」を読破して小学校入学時に共通一次が解けたからといってそれが人間としての成長になんらプラスにならないどころかマイナスになるリスクを何故だか(ここが脳の不思議)多く背負ってしまうことが多いとか。記憶力が優れているということと幸福ということはなんら関係ない。そういう優秀さを育てるよりは幸福を目的とした教育をするべきであるという結論。
この本自体も10年前のものなんで今ではここに書かれているテーマについての研究ももう少し進んでいる。
けれども古びた感じはしない。
解説にも書いてあったけど、この本自体を面白くするよりも確実性を重視した作りにしたからだと思う。
脳の入門書とも全く違うけど、身近な問題の中で脳の働きがちょっと気になった人にはおすすめできる内容。
欲を言えばもう少し哲学方面からのアプローチが欲しかったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
かなり前の著作だが、面白さを排除し、専門用語をなるべく使わずに脳科学を分かりやすく解説している。この著作発表以後の学術論文等を確認しないといけないが、この作品が発表された時点での時代性は全くの問題ないレベル。さすがの一言。
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自己を意識することを科学的に説明するとこうなる。自意識とは脳の高機能な働きなのだとか、自己をモニタリングする機能が脳にはあるらしい。それにより自己意識が芽生えるのだとか、モニタリングしたデーターは思い出として脳にインプットされる。データーが蓄積されることと個人の心の問題とはまた別のことであり、脳科学ではまだまだ説明できないらしい。
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ノンフィクションライターが著わす脳の本です。専門用語を極力廃して、理解しやすくするよう工夫がなされています。初版から年数がたっているのですが、「人間とは何か」という本質を問いかけるものなので色褪せないのでしょう。
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久しぶりのブレーンサイエンスもの。著者は30年ほど前に『フィリピン新人民軍従軍記』で衝撃的デビューを飾った硬派のルポライター。個人的には『コリアン世界の旅』で作者を知り『アジア新しい物語』を続けて読んだ。脳は著者にとって畑違いな分野であるにも関わらず、新聞連載のような平易な筆致で初学者にも非常に分かりやすい。反面この手の本を読みあさっている脳好きには少し物足りない内容かも知れない。某助教授の『言語化が可能なことこそ意識の本質なのだ』には言語に関わる立場の者として単なる肯定ではなく、いろいろ考えさせられた。