最後の命 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767026

作品紹介・あらすじ

最後に会ってから七年。ある事件がきっかけで疎遠になっていた幼馴染みの冴木。彼から「お前に会っておきたい」と唐突に連絡が入った。しかしその直後、私の部屋で一人の女が死んでいるのが発見される。疑われる私。部屋から検出される指紋。それは「指名手配中の容疑者」である。冴木のものだと告げられ-。

感想・レビュー・書評

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  • 中村文則のダークな部分と、罪の意識に翻弄される
    登場人物たちの感情がディープに表現されていました。主人公の元に久し振りに現れた冴木。
    彼が抱えている闇の部分が切なかった。
    この作品の一つのテーマとしては、過去のトラウマなどが、現在になって、フラッシュバックして人格を混乱させる。そして、罪を犯してしまう。
    狭い世の中に生きずらい人たち全員に読んでほしい。やっぱり中村文則が好きだ。あらためてそう
    感じた一冊でした。

  • かなり重い内容ではあるけれど、作者が身を削るようにして書きあげた真摯な作品であることが読んでいて伝わってきた。

  • 中村文則の作品を発表順で読んでいて、1作ずつ確実に成長していくことが強く感じた。今作もまた一歩大きく前進した。やはりドストエフスキーの影響が大きい。でもそれでいい!今作は読み方によってミステリーにもなることに驚き、おお!ってなった。本当に素晴らしい作品て、もっと読まれてほしい!

  • 中村文則さん、久しぶりに読みました。彼特有のサスペンスのような描写が、世の中の黒い部分を表していて、それを身近に感じる事が出来て、逆に安心することさえ覚えるのです。殺伐している世の中だと実社会で感じるのは、脳が馬鹿になっているのであって、平和慣れした、何不自由のない生活に慣れた人間が、現実から離れようとするエゴの表れなのです。このような小説を淡々と読むことによって、私は実世界に潜む人間のエゴにショックを受けることなく進んでいこうとする光さえこの小説の闇の中から逆説的に見つけ出すことができます。

  • ある日家に帰ると面識のあるデリヘル嬢がベッドの上で死んでいた。
    一時は容疑者となるが、容疑は久しぶりに再開したかつての友人の冴木に向けられる。

    救いようのない感じだけど、最後に少し主人公の「私」が未来に光を見たかもしれない
    って感じ

  • 幼少期のまっさらな精神に突きつけられた強烈な悪によって思考が歪められた人間たちの物語。中村文則特有の悪の描き方がある。どうやって目を背けたくなるような悪と向き合い、寄り添っていけば良いのか。善悪の地平を問い直す作品。

  • 「俺も一緒に、狂おうかと思うんだ。……一人で狂うのは、嫌だろう?」
    この一文が心に残る。
    主人公が苦しんで、悩み抜いて出した答えならば、

    最高の愛。
    かすかな希望。

    過去に何があったとしても、現在を如何に生きるか、その過程が重要…
    自己を省みなければ。

  • 中村文則著作初読み
    好きなテレビ番組にゲスト(ほぼレギュラー)で出演されていて、興味はあったけれどなんとなく読まずにいた。ホテルで天むすを食べながら書く人?
    ちょっと小難しい文体の人?という印象。
    さて、初の作家さん読もうかなと書店で悩み
    購入。
    案の定小難しい言葉表現、中編と言っても
    言葉びっしり。
    だけど好物な方の小難しさ、引き込まれる
    回りくどいほどの葛藤。
    幼い頃の体験から2人の少年を縛り付ける記憶、
    死と生、是と否、罪と罰。
    「罪に見合った罰はない」
    それはその通りなのだろう。だけど、、と考えさせられる。
    #最後の命
    #中村文則

  • ミステリーと純文学。
    いつもの中村節に推理の要素が加わった作品で一気に読み進めた。

    果たして冴木は犯人なのか、
    悪人なのか。

    読後、冴木は何も悪くないんじゃないかと擁護する自分がいて、そこにこの小説の核があるように思いました。

  • 中村さんの作品はこういうテーマが多くて基本的に嫌いではないけれど、ほかの作品と較べてさほど印象が強いというほどでもないかなと思った。とにかく中村さんの得意のテーマ。

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著者プロフィール

一九七七年愛知県生まれ。福島大学卒。二〇〇二年『銃』で新潮新人賞を受賞しデビュー。〇四年『遮光』で野間文芸新人賞、〇五年『土の中の子供』で芥川賞、一〇年『掏ス摸リ』で大江健三郎賞受賞など。作品は各国で翻訳され、一四年に米文学賞デイビッド・グディス賞を受賞。他の著書に『去年の冬、きみと別れ』『教団X』などがある。

「2022年 『逃亡者』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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