わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1872
感想 : 199
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767101

作品紹介・あらすじ

人はいったい体のどこで考えているのか。それは脳、ではなく歯-人並みはずれて健康な奥歯、であると決めた"わたし"は、歯科助手に転職し、恋人の青木を想い、まだ見ぬ我が子にむけ日記を綴る。哲学的テーマをリズミカルな独創的文体で描き、芥川賞候補となった表題作ほか一編を収録。著者初の小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 自分の思考みたいに頭で再生される主人公の思考を楽しむ小説とでも言えばいいのでしょうか?途切れることなくあまりに一方的に展開されるので、油断していると何の話か分からなくなります。今までにないタイプの小説で、読みにくかったのですが、意外と好きでした。

  • いい感じに狂ってて好き。

  • 主語と動詞への執着を感じて、面白かった。
    著者があらゆるものの「存在」について考えるための1つの手段なのだと思う。

  • よく分からなかった。
    呪文を読んでるみたいだった。

  • 主人公の見た目を勝手に想像して読み進めていたけれど、最後でびっくりした。すべて真夜中の恋人たちもそうだった。

  • 痛みの総和。その人も痛みをもらったから、自分に移動しただけ。でも自分で留めたいから、耐える奥歯、耐えられるはずだった奥歯。
    わたしは私から絶対に逃れられない。わたくし率がゼロになったら、ほんとうにわたしという主語がなくなるのかはわからん。わたしが手離せなかった思春期の頃の痛みと虫歯みたいに膨らんで行った妄想は、わたしが私でなかったら消えてたものなんかな。

  • わ、わけわからーん!!(笑)

    人はいったい体のどこで考えているのか、「わたし」はそれを奥歯と決め、歯医者に転職、まだ見ぬ我が子へ日記を書きながら愛する青木のことを想う…
    文章の書き方が独特で、なんとなく哲学的なことが描かれているのかなぁ…ということしかわからなかった…

    「わたし」を通して、なんだかこちらの心と体までもがじくじくと痛むお話でした。
    読み返したくないけど、もう一度ちゃんと読みたい。(矛盾…)
    『雪国』の冒頭の主語のくだりがおぉ、なるほど…とおもしろく感じました。

    もう一編のお話の主婦と妊婦さんとの問答が興味深かったです。

    この文章のリズミカルさ(?)がくせになる人はなるのかも!

  • 「自分」には3つの型がある。
    主観としての自分。
    他人から見た客観としての自分。
    そして、自分から見た客観としての自分。

    「ほんまのことは、自分が何かゆうてみい、人間が、一人称が、何でできてるかゆうてみい、一人称なあ、あんたらなにげに使うてるけど、これはどえらいもんなんや、おっとろしいほど終りがのうて孤独すぎるもんなんや、これが私、と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私!!」

    言葉が、思いが、急加速して「わたし」を突き抜けていく。

    永久歯の生えてこない幼女と、それを不安に思う母親とに、「おだいじに」と声を掛けるラストシーンは、本作の主題、根源であり、また、象徴だ。それは人間と云う生命の美しさでもあり、切なさでもあり、悩ましさでもあり。

  • 天才•川上未映子、デビュー小説
    その問題意識とか文学的なテーマみたいなものが、未加工のまま、ある意味では尖り切り、ある意味では理解不能なかたちで散在している。

    身体性に着目しながら、「かけがえのないわたし」像などどこ吹く風で、「わたしは奥歯や」と喝破してみせる。そのイメージは現実と正論でボコボコにされ、さらには抜き去ることさえ可能であることが示される。
    しかし、だからこそ、世界は奥歯にパンパンに詰まっている。その逆説に、震えた。

  • わからんわからん、とにかくわからん、という読み始めだったが、少し読み進めたら流れに乗れたのでわかるようになった。
    わかるようになったとはいえ、突拍子も脈略もないし永遠に自分語りしているので気を抜くと今何の話をしていたかわからなくなるのだけれど。

    この本は、普段考えていること、浮かんでくること、囚われてしまうこと、とか本来複雑に絡まり合ってる思考を解きほぐさずにそのまま文章にしたような感じ。ものすごい。
    わたしの中の私、主語、自分の核はどこにあるのか、自分自身の不確かさとか。

    p39 p55からの手紙文


    ↑ここまでは2/3読み終わってメモしていた内容なのだけれど、後半の急展開に本当に驚いた。そしてそうだ川上未映子作品だったと思い出した…

    自分が心身から発せられる叫びとか思いを溢れさせている一方で、至極真っ当とされる一般的かつ真逆な意見をもつもう1人が存在している

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著者プロフィール

大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。2019年、長編『夏物語』で第73回毎日出版文化賞受賞。他に『すべて真夜中の恋人たち』や村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』など著書多数。その作品は世界40カ国以上で刊行されている。

「2021年 『水瓶』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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