わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
3.33
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本棚登録 : 1700
レビュー : 183
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767101

作品紹介・あらすじ

人はいったい体のどこで考えているのか。それは脳、ではなく歯-人並みはずれて健康な奥歯、であると決めた"わたし"は、歯科助手に転職し、恋人の青木を想い、まだ見ぬ我が子にむけ日記を綴る。哲学的テーマをリズミカルな独創的文体で描き、芥川賞候補となった表題作ほか一編を収録。著者初の小説集。

感想・レビュー・書評

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  • いい感じに狂ってて好き。

  • 主語と動詞への執着を感じて、面白かった。
    著者があらゆるものの「存在」について考えるための1つの手段なのだと思う。

  • 主人公の見た目を勝手に想像して読み進めていたけれど、最後でびっくりした。すべて真夜中の恋人たちもそうだった。

  • わ、わけわからーん!!(笑)

    人はいったい体のどこで考えているのか、「わたし」はそれを奥歯と決め、歯医者に転職、まだ見ぬ我が子へ日記を書きながら愛する青木のことを想う…
    文章の書き方が独特で、なんとなく哲学的なことが描かれているのかなぁ…ということしかわからなかった…

    「わたし」を通して、なんだかこちらの心と体までもがじくじくと痛むお話でした。
    読み返したくないけど、もう一度ちゃんと読みたい。(矛盾…)
    『雪国』の冒頭の主語のくだりがおぉ、なるほど…とおもしろく感じました。

    もう一編のお話の主婦と妊婦さんとの問答が興味深かったです。

    この文章のリズミカルさ(?)がくせになる人はなるのかも!

  • 「自分」には3つの型がある。
    主観としての自分。
    他人から見た客観としての自分。
    そして、自分から見た客観としての自分。

    「ほんまのことは、自分が何かゆうてみい、人間が、一人称が、何でできてるかゆうてみい、一人称なあ、あんたらなにげに使うてるけど、これはどえらいもんなんや、おっとろしいほど終りがのうて孤独すぎるもんなんや、これが私、と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私と思ってる私!!」

    言葉が、思いが、急加速して「わたし」を突き抜けていく。

    永久歯の生えてこない幼女と、それを不安に思う母親とに、「おだいじに」と声を掛けるラストシーンは、本作の主題、根源であり、また、象徴だ。それは人間と云う生命の美しさでもあり、切なさでもあり、悩ましさでもあり。

  • 序盤はわけが分からなくて、中盤で考えたこともない不思議なロマンティックな話かと思いきや、終盤でめちゃめちゃ激しくて勢いで全部吐き出されて、なにがなにかよくわからんけど激しい感情は健全!て感じ。なぜかスッキリした読後感。しかしどう受け止めて理解すればいいのかはわからん。

  • 川上さんの文章はセンスが良い。だから、青木も三年子も魅力的に見える。

  • 痛みの総和。その人も痛みをもらったから、自分に移動しただけ。でも自分で留めたいから、耐える奥歯、耐えられるはずだった奥歯。
    わたしは私から絶対に逃れられない。わたくし率がゼロになったら、ほんとうにわたしという主語がなくなるのかはわからん。わたしが手離せなかった思春期の頃の痛みと虫歯みたいに膨らんで行った妄想は、わたしが私でなかったら消えてたものなんかな。

  • 狂気。読んでて気が狂いそうになる。
    メタ認知と世界の話。私は私である、でもどこからどこまで?何がわたし? <わたし>の世界では青木は恋人で歯科助手に転職して手紙を書いてる。
    客観的に捉えること、自己防衛のためには鈍感でもいること。

  • 「わたくし率 イン 歯ー、または世界」
     自分の本質は脳でなく、奥歯にあると信じる女性が、歯科助手に就職し、お腹の子や同僚に宛てて手紙を書く。子の父親の「青木」の部屋を久しぶりに訪うと、別の女がおり、放り出されてしまう。
     本質が奥歯にあると信じたのは、少女時代に苛めを受ける苦しさから考え出されたらしい。川端康成「雪国」の冒頭に主語がないテーマも、その時の自己抹消の方法からである。
     結局「青木」の部屋の玄関から追い出され、過去も妊娠もあやふやとなって結末する。
    「感じる専門家 採用試験」
     前作よりも約半年、早く発表された。
     ずいぶん詩的な表現が多いことと、大阪弁の文体が、印象に残る。「徹底的な後悔も、徹底的であるなんて、あれはそれで美しかったね」の1語が刺さる。

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著者プロフィール

川上未映子(かわかみ みえこ)
1976年大阪府生まれ。大阪市立工芸高等学校卒業。2002年から数年は歌手活動を行っていた。自身のブログをまとめたエッセイ『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』で単行本デビュー。2007年『わたくし率 イン 歯ー、または世界』『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』で早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞、2008年『乳と卵』で芥川賞、2009年詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で中原中也賞、2010年『ヘヴン』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞、2013年詩集『水瓶』で高見順賞、『愛の夢とか』で谷崎潤一郎賞、2016年『マリーの愛の証明』でGRANTA Best of Young Japanese Novelists、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞を受賞。2017年、『早稲田文学増刊 女性号』で責任編集を務める。2019年7月11日に『夏物語』を刊行し、注目を集めている。

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