沈底魚 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 91
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767200

作品紹介・あらすじ

現職国会議員に中国のスパイがいるという情報によって、極秘に警視庁外事課に捜査本部が設置された。指揮官として警察庁から女性キャリア理事官が送り込まれるが、百戦錬磨の捜査員たちは独自に捜査を進める。その線上に浮かんだのは、次期総理の呼び声高い芥川健太郎だった。第53回江戸川乱歩賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 第53回江戸川乱歩賞受賞作

    公安警察のミステリー。率直な感想では、江戸川乱歩賞だからと期待した分、ちょっと自分の中では惹かれるものが少なかったです。展開が複雑だったからかもしれません。でも、公安という闇の暗さからの敵なのか味方なのかの二転三転が面白い部分だったと思いました。

  • 江戸川乱歩賞受賞作、舞台は警視庁公安、中国のスパイが絡む国際謀略、疑われるのは次期総理候補、と興味溢れる題材。
    期待が大きすぎたか、読み進むもイマイチ作品世界にのめりこめず。
    読み手の問題か、筆力の問題か、ちょっと不満の残る読後感。

  • 江戸川乱歩賞受賞作品には、好みのものが多いので読んでみました。

    基本的にはに日本と中国、少々米国が絡むスパイものです。
    公安の外事二課に所属する刑事・不破が主人公。
    群れることを好まず、また出世欲もなく、表情に乏しく、人を疑うような目付きの持ち主。
    読み手としても、これと言って好感を持てるタイプではありませんが、淡々とした感じ、軸がブレない感じは、読み進めるうちに受け入れられるようになります。
    日本の国会議員が、国家機密情報を中国に漏洩している、といった記事が新聞に載ったことから話が始まります。
    中国のスパイは誰か、その記事の情報源である米国に亡命した中国人外交官は何者なのか。
    仲間意識の低い公安ならではの、身内を欺く二重スパイ、三重スパイといった存在の出現や、各刑事の情報源であるスパイ(ニックネームでしか呼ばれない)、中国サイドの人物設定など、かなり複雑になっていくので、途中からは自分が正しく話を理解できているのか自信を失いました。

    つまらなくはないけど、先が知りたくて読んだわけでもなく、不思議な魅力のある作品ですね。
    終始、とにかく暗くて重い雰囲気を放っています。
    本を読んでいて、情景ではなく、色をイメージするのは個人的には珍しいケースなのですが、この作品はまさしくそのケース。
    限りなく黒に近い群青色が頭に刷り込まれるような感覚でした。

    終盤に差し掛かる頃に、
    「もしかしたらあの人が黒幕じゃないかしら」と思った人がそのまんま黒幕だった事は、やや残念でしたが、公安という特殊な組織と、よく耳にする警察の体面を重要視する特徴を上手く融合させて仕上げたなと思います。

    最後の不破の行動、選択は好き。
    このラストでちょっとだけ、爽快さが味わえました。
    何の解決にもなってないんだけど、いいじゃない、相手が地団駄踏んでそうで、気持ちいいじゃない?
    そんな感じ。

    オススメ度は高くないけど、まずまず、といったところです。

  • マニュアル化された環境では、スパイであることもわからないが、スパイでないこともわからない。そこから発生するゆらぎを感じる。捜査は、マニュアル化されてないベテランデカがやる。ただ若いデカは、どこかマニュアル化されていてそれを反省するようでもある。

  • 平成18年の江戸川乱歩賞受賞作品。
    この回の候補作には下村敦史さん、横関大さんの作品も!

  • スパイもの 苦手なんだよね~
    読んでて面倒くさくなっちゃうんだよね
    これは警視庁の外事二課の話なんだけど

    でも最後がカッコいいんで☆4

  • なんとなく面白そう、、と手に取った本作。
    なかなかの暴力描写でした。
    二重三重に騙し合いをしている国家間のスパイ小説。
    実際に中国とはこういうやり取りあるんだろうなと思いつつ、政治絡みなので重いけど、テンポは良くて読みやすい。
    病気の身内を持ち出すのは交渉と裏切りのセオリーだけど、子供っていうのは辛いですね。
    あと嫌われてるようで慕われてる五味の末路も、不破の決着の付け方もなんか残念。。。最終的に不破と共闘するんじゃないかなぁと思ってたので。
    勧善懲悪系かと思ったら、相当にモヤが残る結末でした。
    まぁ、総人口とネットワーク考えれば中国に有利さがあり、それを上回る某国、、、。
    国際的な駆け引きを楽しみたい人にはオススメな小説です。

  • 第53回江戸川乱歩賞受賞作品

    スパイ小説ってカテゴライズして良いのかな
    日本の国家機密を中国へ漏洩している!誰やねんって話。
    中国人の名前がたくさん出てきて、ちょっと混乱したけどサクッと読めました。

    ですが、最後のストーリーのたたみ方が
    雑っぽい感じだったし、最後まで?が残るものあった、キーのなる芥川の扱いや凸井の真意など。

    フィクションだけど、警察組織の汚いが書いてあり興味を持ったな。読後感が良かったなって思えなかったので、三つ星で。

  • 読んでいて感じたのは以前読んだこの人の本「工作名カサンドラ」に似てるということ。
    「二重スパイ」なんて言葉が出てくるのも似ているし、話、登場人物の設定など重なる所がところどころある。
    国家レベルの大がかりな話で公安が出てくるあたり、堅く冷たい、男くさいイメージが全般に感じられる。
    ハードボイルド系の話。
    そういうのが個人的に好きじゃないのでこの評価になってしまった。
    そういうのが面白いと思う人が読めば十分に面白い内容だと思う。

    主人公は公安の刑事。
    日本に潜入している中国のスパイの協力者、それが国会議員だという情報を得て公安が動き出す。
    そのため捜査本部が設置され、警視庁からエリートの女性が上司として配属される。
    百戦錬磨のクセのある捜査官たちは彼女の指揮に従おうとしない。
    主人公も捜査を進める中で自分の周りの人間の不穏な動きに気づく。
    主人公の同級生であり、捜査対象である政治家の秘書をつとめる女性も怪しい。
    急に配属された女性の上司も怪しい。
    自分の相棒である男も怪しい。
    同僚である刑事も怪しい。
    誰もかれも信じられない中で事態は動きだす。

    正直、半分読んだあたりから「何だかな~」となってななめ読みしてしまった。
    だからこんな程度しか内容が分かってない。

    私が個人的に面白く読めたのは一人一人の刑事の特徴を描いて、その個性的な面々が丁々発止やりあう場面。
    まるで頭の中でドラマが動いているような気分になった。
    それだけ登場人物が具体的に見えてくる。
    ただ、それらの人の終焉があまりにあっけなくてガッカリした。
    江戸川乱歩賞受賞作とあるが、こういうのが賞をとる本なんだな・・・と何となく思った。

  • 話が複雑な割にあっさりしている。いくつかエピソードはあるが、なんだろう、あまり心に刺さってこない。
    多分一人一人がいわゆる描かれていないからか。
    議員秘書の描き方なんて、あまりにもあっさりしすぎている。何のために出てきたんだ、というか、不破に絡ませる意味合いあったのか、というくらい、あっさりと退場。
    展開が速すぎるし、ラストもグダグダと二転三転しすぎだろ。
    でも、それなりに引き込まれるのは確かなので、頑張ってほしい作者さんだ。

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著者プロフィール

1967年、静岡県生まれ。早稲田大学商学部中退。漫画喫茶の店長などを経て執筆活動を開始。2007年「鼻」で日本ホラー小説大賞短編賞、同年『沈底魚』で江戸川乱歩賞を受賞。09年「熱帯夜」で日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2011年『藁にもすがる獣たち』で第2回山田風太郎賞の最終候補作となる。トリックの効いた異色の作風で注目されている。

「2017年 『暗殺競売』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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