名前探しの放課後(下) (講談社文庫 つ 28-10)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767453

作品紹介・あらすじ

坂崎あすなは、自殺してしまう「誰か」を依田いつかとともに探し続ける。ある日、あすなは自分の死亡記事を書き続ける河野という男子生徒に出会う。彼はクラスでいじめに遭っているらしい。見えない動機を抱える同級生。全員が容疑者だ。「俺がいた未来すごく暗かったんだ」二人はXデーを回避できるのか。

感想・レビュー・書評

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  • 『今すぐここで、「ぼくのメジャースプーン」を読め
    そうしなければ、お前はもう二度と辻村深月さんの作品を楽しめなくなる』

    辻村さんの作品群は読む順番がとても大切です。この作品を読み終えてそのことを強く実感するとともに、もし貴方がまだこの作品を読んでいないなら冒頭のぼくの条件ゲームの提示を読み返してみてください。

    上巻のこれぞ辻村さんの描く学園ものどっぷりという世界観から、下巻では学校を離れた場所を中心にして物語は展開します。でも大切なのは自殺するとされる同級生、その行為を止めること。いつかたちの懸命な努力は続きます。そんな中ふと不安な表情を見せる あすな。『止められるのかな 私たちは本当に』、それに対して天木の言葉『できないと思う奴には、多分無理だ』あすなの負けず嫌いの性格を知った上での辛辣な激励が彼女を鼓舞します。思えば、上巻冒頭の登場時から坂崎あすなもずいぶんと成長したように思います。あるべき自分たちの姿を探す放課後、この作品ではそんな部分もよく描かれていたと思います。そして、物語は大きく動き、上巻からは予想も出来なかったまさかの結末が待っていました。えっ?

    オールスターキャスト。この作品を読み終えて真っ先に思い浮かんだ言葉がこれでした。辞書によると『映画・ 演劇で、人気俳優が総出演すること』とあります。この言葉そのまんまな作品、物凄く贅沢な作品。読む順番を守った人には、なんて幸せな時間を過ごせたのだろうかと感慨でいっぱいになると思います。

    そしてそもそもの『名前探しの放課後』という作品名。てっきりこの作品の主人公たちが自殺するとされる同級生の名前探しをするのだと上巻では思っていましたが、まさか読者の自分がしていたことを言われていたとは…。

    一方で、振り返ってみて確かに読む順番を守った貴方へのプレゼント的要素が大きい作品だったとは思いますが、この作品の全体ページ数からするとそれはほんの一部分に過ぎないのも事実です。他のページの大半は高校生の彼らの友情・愛情が育まれていく過程が優しく描かれていました。

    人生で一番輝く時代・瞬間に偶然にもこの場所で出会った彼らがお互いのことを思い、思いやり、そしてお互いがもっと輝けるように助け合っていく、励まし合っていく。一緒に歩いていく。そう、放課後に一緒に輝く相手を探す物語、「名前探しの放課後」。そんな彼らの物語を3ヶ月分だけ切り取って見せてもらったのがこの作品。それがこの作品の一番の魅力だと思います。そういう意味でもこの作品単体としてもとても楽しめる作品だったと思います。幸せな読後感、ありがとうございました。

  • 要所要所でえっ辻村深月ってこんな感じの文章だったっけって唐突感があったので最後まで読めるか自信なかったですが、まさかのわざと… 読み切るのが大切ですね。

  • ええー!?そういうことっ?!
    ってすごくびっくりで、
    読み終えてすぐ上巻を読み返したけど、
    よく分からず、

    え、秀人の能力でかかってしまった未来?
    現実になりそうで、
    ならなかったのは、
    いつかが一生懸命になって
    人生が寂しくならなかったから、
    だからおじいちゃんも留まったし
    自殺も起こらなかったのかな?

    メジャースプーン読んでたし
    ちらっと調べちゃったから、
    メジャースプーンの「ぼく」が秀人なんだろうとは思っていたけど、
    声の力が出てくるのを楽しみにしていたんだけれど、
    「ぼく」がだいぶ変わっちゃってたようにも思っちゃったし、
    なかなか力が出てこんなーとは思っていたけれど、
    まさかこうとは。
    あんな言い方でも発動しちゃうのね。

    もちろん、河野とハルくんのことも素直に騙されていたし、バイクの免許も消防車もそういうことかとは見事で、いやー、すごい巧妙でしたわ。

    ストーリーもすごくよかった。
    おじいちゃんの病室でのシーンはめちゃくちゃ泣けたし、
    河野のために必死になっていたところは、
    こうやって絆ができていくのすごくいいなぁと思ったし。

    下巻は一気読みでした。

    理帆子がでてきたのも良かった。
    郁也と父も。
    チヨダコーキも。
    ふみちゃんもあんなに回復してて。
    タカシとかトモとかはほとんど忘れてたからもう一回
    「メジャースプーン」読みたい。

    サクラ咲くとも繋がってるのかな?
    タイムマシンの自由研究

    辻村深月さん大好きです。

  • ぼくのメジャースプーンのあとがきにこの本をすすめられて、おもむくまま、読んだ。あー、この本にたどり着けてよかった。

  • 下巻を読了。
    彼の自殺を止めるために奔走するいつかとあすな達。
    その物語が進むにつれ生じる微妙なズレ。
    真相は実は…。
    自分にとっては意外な真相。かなり驚かされました。
    再読すればまた詳細が見えてきていいかもですね。
    過去作品の登場人物も深く再登場してくれるのが辻村作品のいいところですね。

  • もう、驚かされた!
    何を書いてもネタバレになりそう。。。

    友情、青春、誠実さや素直な気持ちの大切さが詰まってる。

    辻村深月すごろくの中でも『子どもたちは夜と遊ぶ』→『ぼくのメジャースプーン』→『名前探しの放課後』の順番だけはテッパン、とお伝えしたい!

    チヨダ・コーキの名前が登場した時「おぉーっ!」とひとりごちしてしまった(≧∇≦)

    高校一年時の友人たちとずっと変わらず何十年も交流が続いている私自身。照らし合わせながら幸せ読了感。

    • こっとんさん
      セシルの夕陽さん、こんにちは。
      分かります!
      驚かされた!
      何を書いてもネタバレになりそう!
      分かります!
      辻村深月さんの中でこれが一番好き...
      セシルの夕陽さん、こんにちは。
      分かります!
      驚かされた!
      何を書いてもネタバレになりそう!
      分かります!
      辻村深月さんの中でこれが一番好きかもです。
      最後の最後で幸せな気持ちにさせてくれますよね。
      あー、もう一度読みたくなってきちゃいました。
      2021/10/31
  •  上下巻の感想

     心に深く刻まれるいいお話だと思った。自殺者が、予想外の人物だった。正直騙されて少し悔しかった。それだけ、からくりが見事だった。

     あすなといつかはそれぞれの理由で地元から離れた学校へ通う。

     あすなの気持ちが自分と重なって泣けた。女子の友人関係は、何もかも皆と一緒にしていないといけない。それをしないと外される。それが嫌で仕方がなかった。それが彼女の苦しみだった。

     誰かを探していく過程で、かけがえのない友人達に恵まれていくところは、感慨深いものだった。

     「いつか」が心から好きなことにたどり着いた時、号泣した。

  • 騙された〜〜
    全く想像もしなかった。
    河野くんと小瀬友晴の関係、、君たち役者だよ。。

    病院にいる、おじいちゃんに会うシーン。
    入り込んでじわっと涙が出てきた。
    本当にお互い蟠りがなくなって良かったと思う。

    仲間ていいな、友達ていいなと素直に憧れました笑
    泳げるようになったりピアノ弾くようになったり
    色々なことを身につけていくと同時に、心残りしてたことに向き合って成長していく姿も良かったな。
    それは今からでも、私も遅くないかもと思わせてもらいました。

    電車を見にいくのも良かったな〜〜

    あすかちゃん、いつかの2人のこれからも気になるし、
    小瀬友晴と河野くんの仲良く遊んでる所も見たい笑

    開発とか地元の良さを活かして人を集めたり、
    住み慣れた田舎への想いとか、将来とか
    リアルな世界とリンクして考える部分があった。

    解説の新城カズマさんが、この世でいちばん残り少ないのは、実は、時間なんです、それを増やす方法は物語の中に入ることです。と数時間で数ヶ月、数十年の人生を体験できて、こんなお得なことはありません。と書かれていました。
    本を読むことは時間を減らすというよりも
    1冊の本でもしかしたら人の一生分の
    色々な人生を体験できる。やりたかった仕事を経験して
    自分の想像力次第では、どんな世界にも入れて
    もしかしたら魔法とか使えたり
    色々なことを知れて、考えられて、
    共感できて、そう思うのは1人じゃないんだよって
    励まされる存在なんだなって。

    辻村さんの作品はすごく痛々しいくらいリアルで
    たぶん学生を終えた人なら、ほとんどの人が共感できて
    だけど、その中にも夢や希望を感じられる。
    そして、たまに騙される笑

    • サクさん
      お返事のコメントありがとうございました!
      ラストの騙される感じがいいですよね
      地元への想いや退屈感、都会への憧れとかすごくリアルな感じが...
      お返事のコメントありがとうございました!
      ラストの騙される感じがいいですよね
      地元への想いや退屈感、都会への憧れとかすごくリアルな感じが好きです!自分の心を指摘された感じがします笑
      2020/03/08
    • くまさん
      なんか結局、本当にタイムスリップしたのかどうか分からないままだっけど、そういうこと、どうでもよくなるくらいの話の展開や
      キャラクターの良さが...
      なんか結局、本当にタイムスリップしたのかどうか分からないままだっけど、そういうこと、どうでもよくなるくらいの話の展開や
      キャラクターの良さが際立ってて良かったです。

      私も田舎育ちなので分かります笑
      2020/03/09
  • 読んでる私自身が登場人物達の仲間になったように問題解決してきたつもりだったのに最後に『えー!』と、裏切られる。私を置いてかないで〜!みたいな?笑
    いやいや、やっぱり辻村さんのお話は面白い!

  • 「いつか」書こうと、ずっと思っていた。
    「あすな」ら、書けるのではないかと思った。

    この本は───何度読み返しても、幸せな気持ちになれる感動の物語。
    ひたすら「素晴らしい青春群像劇」だというしか、他に評価する表現手段を私は持ち得ない。
    タイムトラベル、タイムスリップ。
    三ヶ月先に起こる同じ高校の生徒の自殺を突然知ってしまった主人公、依田いつか。
    彼は多くの友人の助けを借りて、奔走する。
    その“誰か”を、絶対に守るために。何とか死なせないために。
    いったい誰が自殺するのか。
    絶望と暗闇の深淵の中に飛び込んでしまうのは誰なのか。
    “いつか”は、自殺する人間を見つけ出すために、放課後に名前探しの旅を始める。
    残された期間はわずか三ヶ月。
    その間に“誰か”を探し出し、なんとしても自殺を食い止めなければならない。
    それが、三ヵ月後の未来を図らずも知ってしまった自らの使命だと頑なに信じて。
    その真剣な思いを感じ取ったからこそ、友たちも“いつか”に手を貸し、それぞれの役割を担い、“誰か”を探し、助けようとする。
    はたして自殺は食い止められるのか?
    高校生たちの絆は未来を変えることができるのか?

    友たちのつながりは、ある意味非常にドライのように見える。
    固い友情で結ばれたというような、ありきたりの関係ではない。
    ギブアンドテイク。
    “いつか”を手伝うから、その代わりに何かしろよ、というような代償を求める者もいる。
    でも、それは一種の照れ隠し。
    本音では彼らも、その”誰か”の自殺を思い止めさせるため、自分だけにできることで、必死に助けようとしているのだ。
    甘ったるい友情や言葉の発露がないからこそ、彼らの結び付きに心が打たれる。
    彼らの絆は、心の奥底で深く結び付いてるように思えるから、信じることができる。
    幾度読み返して、幾度、感動の涙が頬を伝ったことか。

    単なるミステリーとして語れない、天才“辻村深月”の世界観がこの作品にあります。
    是非みなさん、ご一読願いたい。
    『無人島に持っていくならこの本』と自信を持って言えるお薦めの一冊です。
    最後の最後で、見事な伏線回収の、素晴らしき『辻村深月ワールド』を体験してください。

    註:皆さんが書かれているように「ぼくのメジャースプーン」を先に読んだほうが、エピローグでの秀人の言葉の意味が分かることは確かです。
    ただ、私はさほど気にせずに読み流しました。
    その言葉の意味が分からなくても感動したので。

    • koshoujiさん
      辻村深月、最高でしょう?
      特に個人的には、最近の作品よりも初期の講談社路線がベストだと思っていますが。
      是非是非、読み続けてください。
      ...
      辻村深月、最高でしょう?
      特に個人的には、最近の作品よりも初期の講談社路線がベストだと思っていますが。
      是非是非、読み続けてください。
      私個人は、彼女が初期の路線に戻った感動作を発表してくれるのを願うばかりです。
      2012/08/05
    • シロツメクサさん
      コメントありがとうございます

      頂いたコメントの所に書いても気付いてもらえないことに
      気付いたので、こちらに

      そうですね、
      初期の辻村さん...
      コメントありがとうございます

      頂いたコメントの所に書いても気付いてもらえないことに
      気付いたので、こちらに

      そうですね、
      初期の辻村さんの作品で、
      『言いえて妙』な人物表現といいますと、

      「凍りのくじら」で理帆子が使う、
      SF(スコシナントカ)が浮かびました

      「F」の縛りがあるにもかかわらず、
      キャラクターの性格を完璧に表現していると思います
      2012/10/30
    • 杜のうさこさん
      こんばんは~♪
      泣きました~。koshoujiさんの涙のツボとは少し違っているかもですが。
      実は『メジャースプーン』読んでないのです。動...
      こんばんは~♪
      泣きました~。koshoujiさんの涙のツボとは少し違っているかもですが。
      実は『メジャースプーン』読んでないのです。動物が傷つけられる話はつい避けてしまう性質で…。
      でも、椿が正方形みたいな歪み方をしてしまった理由や、秀人の力の謎を知りたいので読んでみます。そしてもう一度読み返したいです。

      ブログもさっきお邪魔して、またまた目頭が~。koshoujiさんのおかげで、あの頃にタイムスリップです(笑)
      旭小だったんですね。初恋の男子が旭小出身でした(#^.^#)たしか台中のグラウンドから校舎が見えましたよね。

      そして肩を組んで歌った紺碧、同じ時の流れの中にいられる幸せ、おもわず「みんな大好き~!」って叫びたくなるような高揚感。
      本当に懐かしいです。

      小田さんのような歌声!なんて羨ましい!
      私は、自他ともに認める音痴です(笑)

      では、また遊びに来ま~す♪
      2015/07/28
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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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