エネルギー(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 36
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767552

感想・レビュー・書評

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  • (上中下巻合わせてのレビューです。)

    黒木さんの最新の文庫本。
    前々から読もう読もうと思いつつ
    後回しになっていましたが、
    やっとこや読み切ることができました。

    ストーリーは日本が資源国から
    石油や天然ガスを開発・買い付けるために
    色々主人公たちが苦労するというお話(がメイン)。

    資源国の思惑や
    環境NGOの環境破壊反対キャンペーンまでもが複雑に絡み合い、
    一つのプロジェクトが進んでいくことがリアルに描かれています。

    記載されている内容を完璧に理解することは結構難解なのですが、
    それでも3冊の大容量を読み切ってしまえるくらいの面白さです。
    商社マンの大変さが身にしみました。

  • 上中下合わせて1,300ページほどの長編であったが、二日で読み切ってしまうくらい面白かった。

    今の仕事に関係していることも多く、背景がしっかり描写されていたので、読書というよりも勉強になったと思う。

    主に商社に勤務する主人公がメインであったので、もし商社に就職していたら、今はどんな仕事をしていただろうとか、エネルギーや外交に関わる公務員ならばどうだっただろうなど、色々なことを考えてしまった。

    翻って今の自分を見ると、大した仕事はしておらず、就職前のモチベーションがどこかに行ってしまいそうになったこともあった。だがよく考えれば、まだ就職して半年も経たない新入社員、出来ることは本当に限られている。焦らずゆっくり、しっかり仕事をしていけば、今作に扱われているような大きなプロジェクトに携わる日が来る。気がする

  • ザ・黒木亮

    サハリンのLNGプロジェクトや、イラン石油といったプロジェクトを中心に、コモディティートレーダーや商社マン、JBIC,EBRD、各国政府要人を登場させながら描く。

    トップレフト、巨大投資銀行に並ぶリアリティのたかさ。商社マン、金融人にとって興味ないひとはいないでしょう。

    久しぶりに「いい」ておもった黒木作品です。

    登場人物がこまかいよねー、ロシア政府とか経産省出身国会議員とかトーメンの社員とか。

    やっぱり憧れる仕事てあるな。

  • 世界を股にかけた商社マン達の石油ビジネスの話です。スケールが大きい!

  • 商社のエネルギービジネスはこんな感じなんだなぁと思うための小説。時間が経てば再読したい。

  • おそらく三井物産をモデルとして、日本の総合商社マンが中東諸国やサハリンで石油開発に関わる話です。金融や石油関係の専門用語が頻出するので、下巻の用語解説を見ながら読むことをお勧めします。
    総合商社ではカントリーリスクをつねに考慮しながらビジネスを展開する必要があり、時には、一国のリーダーとの交渉の席に着くことさえあります。本書は、総合商社、とりわけ、エネルギー系商社を知ることができる良書であると思います。
    以下に面白かった点を記録しておきます。

    ①日本の航空会社は燃料価格のボラティリティを回避するために、金融機関が指南するスワップや先物取引を行っている。金融機関はアドバイス料として、取引料を航空会社から得ている。

    ②石油公団(すでに解散されている)が湯水のごとく資金を使うことができたのは、石特会計と呼ばれる特別会計に豊富な財源を持っているからである。一般会計とは異なり、国会の審議や財務省の査定もないために、各省庁が独自の裁量権で資金を融通することができる。

    ③総合商社は将来得られる輸出代金を担保として資金を貸し出すという「オイルスキーム」を使用することがある。

    ④石油燃料を輸送するためのタンクを投資銀行が保有することがある。これは、顧客から預かった現物を担保にして、取引額を増やすためである。

    ⑤従来、LNGの販売はCIFと呼ばれる方式で行われていた。これは、売主が輸送リスクを負担し、受け入れ基地まで責任を持つことである。対して、近年の主流となっているのが、FOBベースである。これは、買い手が自前のLNG船を用意して、商品の引渡しを行うものである。前者と比較して、後者の取引は商社の中間マージンが減るため、多くの日本の電力会社は自前のLNG船を保有している。

    ⑥2度のオイルショックを経て、日本は石油依存度を下げるエネルギー政策を推進してきた。このため、日本領海を航行する内航船の生産が減少しており、国内の石油需要が逼迫した時には、供給が滞ってしまう。

    ⑦日本は世界最大のLNG消費国であり、千代田工業と日揮がLNGプラント生産の7〜8割のシェアを占めている。

    ⑧イラク原油は他の産油国と同様に、公式販売価格で売買されている。従って、どれだけの量を購入するかで入札できるか否かが決定する。

    ⑨日本のユーザーは、長年、20年から25年にわたって必ず一定量を買い取るという「テイクオアペイ」という条件でLNGを購入してきた。巨額の初期投資が必要となるLNGプロジェクトを可能にするために、考え出されたものである。日本国内で電力市場は独占化しているため、割高でLNGを購入しても消費者に電気料金として転嫁することができた。

  • サハリン、中東でのエネルギー調達に奔走する商社マンと官僚。日々変わる国際情勢の荒波に揉まれながらも社益・国益の為に世界各地を飛び回る熱い男たちの物語。

  • 専門用語がバンバン出てきて、読み流す部分が多い。金融・商社・エネルギー業界の雰囲気は十分すぎるほど伝わってくる。が、登場人物の心の機微は感じ取れない。我慢しながら読み続けたが、下巻は読まないつもり。

  • サハリン2のお話。
    まだまだ、中巻・下巻に続きますが、エネルギー業界の臨場感あるストーリーに引き込まれてます。

  • 黒木亮の本ということで上下巻を購入。上巻の終わり際に来ているが中巻があることが判明。
    早いとこ買いに行こう。
    内容は数年前のエネルギービジネスについて臨場感満載に記載されている。
    途中だるい箇所もあるが、興味深い箇所が多く面白く読んでいる。

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著者プロフィール

黒木 亮:1957年、北海道生まれ。カイロ・アメリカン大学大学院修士(中東研究科)。都市銀行、証券会社、総合商社を経て2000年、大型シンジケートローンを巡る攻防を描いた『トップ・レフト』でデビュー。著書に『巨大投資銀行』『エネルギー』『鉄のあけぼの』『法服の王国』『冬の喝采』『貸し込み』『カラ売り屋』など。英国在住。

「2021年 『カラ売り屋vs仮想通貨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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