天才 柳沢教授の生活 ベスト盤 The Red Side (講談社文庫)

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  • 講談社
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767668

感想・レビュー・書評

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  • 遥か昔、免許取り立てで決行した初めてのドライブデートで
    柳沢教授にダメ出しの嵐を食らったのをかなり根に持っていた奥さんが、
    久しぶりに手に入れた車のキーに舞い上がり、
    不本意ながら助手席に坐った教授を翻弄する第一話。

    「正子」という名前とは真逆の、道路交通法をものともしない妻の運転に
    珍しく精神の極限状態に陥り、
    「私たちの車を血液中を流れるヘモグロビンと仮定しよう」と
    ヘモグロビンまで持ち出して落ち着こうとする教授のうろたえぶりと
    そのエピソードに「縛られて」とタイトルをつけるセンスに大笑い!

    そのあと一転、2話めからは幼少期の柳沢教授と家族のエピソードを中心に
    天真爛漫な感激屋で留守がちな父との再会に、素直に喜びをぶつけられなかったり
    手のかからない聡明な子と自分を評価してくれる母が弟や妹に向ける笑顔を
    どうしたら自分も手に入れられるのかと悩んだり
    他家から引き取られた弟に子どもらしい嫉妬を感じながらも
    理性で懸命にそれを封じ込めようともがいたり。。。

    と、冷静で大人びた表情の陰で思い悩む柳沢少年が
    丁寧に繊細に描かれ、抱きしめてあげたくなるけなげさです♪

    「桃太郎のいる風景」・「その表情の向こう」・「ソネット83番」・
    「校庭を見ていた少年」で描かれる
    学ぶことの意味、人それぞれが本来持っている能力を
    生かそうと努力することへの敬意にも深く心打たれて

    柳沢教授をかたち作る思い出の数々に感謝を捧げたくなるベスト盤です!

  • 人というものは分かりやすい基準で測れるものではなくて、一見出来の悪い子のように見えても深く物事について考えたり観察することができたりする。大学受験や資格試験の勉強、そういったもので人は人の頭の良さを測ろうとするが、実際その人を目の前にして観察しない限りその人の能力は測れるものではないのかもしれない。まぁ試験というのは確率論であり、試験で得点を取れる人に優秀な人が多いというだけのことなんでしょうけどね。
    人について知るとはどういうことかということについて考えさせられました。

  • ここ最近で一番人に読んで欲しいと思った漫画。

  • 講談社文庫ですが、実は漫画。
    はじめ読んだときは、あまりに不思議な世界観過ぎて、ぇ?って思ったのですが、何度か読み返すほどに味が出てくる、根昆布タイプの漫画です。

  • 大学教授である主人公が、ちょっとした日常の出来事や
    そこに関わる人々と接し、人間の生き様や人生の意味
    などを探求する姿が描かれています。

    これが、いいんですよ!深いんです!!!
    毎回、読みきりなのですが、良質な作品が多い。
    たとえるなら、小説「博士の愛した数式」の雰囲気が漫画に
    なったような感じ。(←判りにくいかしら。。。)

    作者の人間愛とインテリジェンスの高さが、コマの行間から
    あふれています。
    結婚を機に単行本を全部捨ててしまったのですが、あらためて
    一括大人買いで全巻揃えました。逸品です。
    今も月イチで週刊モーニング連載中です。

  • むか〜〜し、雑誌「モーニング」に連載されていたのを見せてもらって
    しょっちゅう立ち読みしていた大好きな柳沢教授
    今回は二百話ある中からの抜粋した文庫2冊だけど
    全部、読んだ事ないお話だったわ
     Y大経済学部教授、柳沢良明。道路は
     右端を歩き、横断歩道以外で道を渡
     らない。安くてうまい”さんま”のためなら
     足をぼうにしても歩きつづける。
     本書は、道路交通法を遵守し、自由経済の
     法則に忠実な学者の、克明で愉快な記録である。
    山下和美さんて、小樽出身だったということも発見
    ますます大好きになってしまった

  • 第13話「おとうと」が泣けますね。
    山下さんの描く目がくりっとしているキャラは本当にかわいくて(タマとか村主英美とか)胸がきゅんとなります。

  • 柳沢教授のシリーズはほぼ読んでいると思うが、講談社文庫でベスト盤が出ていたので購入。
    常に自分の思った道をまっすぐ進む柳沢教授だか、決して聖人君子ではない。
    怒るし悩む人間的な一面も持っているが、その細い目はいつも優しい。
    教授を支える家族も魅力的。

  • 人間は何と複雑で奥深く、そして愛しい生き物なのだろう。
    そう感じさせる作品13話を収録したベスト盤【赤盤】。
    内容はマンガそのままだが講談社文庫からの出版という珍しい形。

    家族、人間に興味をもった瞬間、学問を志した経緯など、教授の過去の話が多く収録されている。

    子ども時代の教授が望んだ距離感で接していたお母さんに尊敬を覚える。

  • 大学という場での物語を描いた漫画で秀逸だと思うのは、「動物のお医者さん」とこれでしょうか。柳沢教授の場合はそれだけでなく…やはりしみじみと、そして、おもしろい。

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著者プロフィール

1980年「週刊マーガレット」からデビュー。主に少女マンガ誌を中心に活躍していたが、『天才 柳沢教授の生活』で「モーニング」に不定期連載を開始。以降、『不思議な少年』など話題作を発表し、女性、男性問わず幅広い人気を得る。現在、「モーニング」にて『ランド』を月イチ連載中。

「2018年 『杉原千畝 命のビザ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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