天才 柳沢教授の生活 ベスト盤 The Red Side (講談社文庫)
- 講談社 (2010年9月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062767668
感想・レビュー・書評
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遥か昔、免許取り立てで決行した初めてのドライブデートで
柳沢教授にダメ出しの嵐を食らったのをかなり根に持っていた奥さんが、
久しぶりに手に入れた車のキーに舞い上がり、
不本意ながら助手席に坐った教授を翻弄する第一話。
「正子」という名前とは真逆の、道路交通法をものともしない妻の運転に
珍しく精神の極限状態に陥り、
「私たちの車を血液中を流れるヘモグロビンと仮定しよう」と
ヘモグロビンまで持ち出して落ち着こうとする教授のうろたえぶりと
そのエピソードに「縛られて」とタイトルをつけるセンスに大笑い!
そのあと一転、2話めからは幼少期の柳沢教授と家族のエピソードを中心に
天真爛漫な感激屋で留守がちな父との再会に、素直に喜びをぶつけられなかったり
手のかからない聡明な子と自分を評価してくれる母が弟や妹に向ける笑顔を
どうしたら自分も手に入れられるのかと悩んだり
他家から引き取られた弟に子どもらしい嫉妬を感じながらも
理性で懸命にそれを封じ込めようともがいたり。。。
と、冷静で大人びた表情の陰で思い悩む柳沢少年が
丁寧に繊細に描かれ、抱きしめてあげたくなるけなげさです♪
「桃太郎のいる風景」・「その表情の向こう」・「ソネット83番」・
「校庭を見ていた少年」で描かれる
学ぶことの意味、人それぞれが本来持っている能力を
生かそうと努力することへの敬意にも深く心打たれて
柳沢教授をかたち作る思い出の数々に感謝を捧げたくなるベスト盤です!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ここ最近で一番人に読んで欲しいと思った漫画。
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講談社文庫ですが、実は漫画。
はじめ読んだときは、あまりに不思議な世界観過ぎて、ぇ?って思ったのですが、何度か読み返すほどに味が出てくる、根昆布タイプの漫画です。 -
大学教授である主人公が、ちょっとした日常の出来事や
そこに関わる人々と接し、人間の生き様や人生の意味
などを探求する姿が描かれています。
これが、いいんですよ!深いんです!!!
毎回、読みきりなのですが、良質な作品が多い。
たとえるなら、小説「博士の愛した数式」の雰囲気が漫画に
なったような感じ。(←判りにくいかしら。。。)
作者の人間愛とインテリジェンスの高さが、コマの行間から
あふれています。
結婚を機に単行本を全部捨ててしまったのですが、あらためて
一括大人買いで全巻揃えました。逸品です。
今も月イチで週刊モーニング連載中です。 -
第13話「おとうと」が泣けますね。
山下さんの描く目がくりっとしているキャラは本当にかわいくて(タマとか村主英美とか)胸がきゅんとなります。 -
柳沢教授のシリーズはほぼ読んでいると思うが、講談社文庫でベスト盤が出ていたので購入。
常に自分の思った道をまっすぐ進む柳沢教授だか、決して聖人君子ではない。
怒るし悩む人間的な一面も持っているが、その細い目はいつも優しい。
教授を支える家族も魅力的。 -
人間は何と複雑で奥深く、そして愛しい生き物なのだろう。
そう感じさせる作品13話を収録したベスト盤【赤盤】。
内容はマンガそのままだが講談社文庫からの出版という珍しい形。
家族、人間に興味をもった瞬間、学問を志した経緯など、教授の過去の話が多く収録されている。
子ども時代の教授が望んだ距離感で接していたお母さんに尊敬を覚える。 -
大学という場での物語を描いた漫画で秀逸だと思うのは、「動物のお医者さん」とこれでしょうか。柳沢教授の場合はそれだけでなく…やはりしみじみと、そして、おもしろい。