私的生活 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 75
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767767

作品紹介・あらすじ

160万部の「乃里子3部作」連続刊行第2弾!

愛の問題における犯罪は、誰も裁くことができないからむつかしい。
愛し合っていた男女のあいだに“冷たい言葉が初めて出たとき”の衝撃……

私、この作品を書くために生まれてきたのかもしれへんわ。――田辺聖子

辛く切ない大失恋のあと、剛から海の見えるマンションを見せられて、つい「結婚、する!」と叫んでしまった乃里子、33歳。結婚生活はゴージャスそのもの。しかし、金持ちだが傲慢な剛の家族とも距離を置き、贅沢にも飽き、どこかヒトゴトのように感じていた。「私」の生活はどこにある? 田辺恋愛小説の最高峰。

感想・レビュー・書評

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  • 「男と女」を描いた作品だけに、
    男と女では読後感は全然違うと思う。

    自分は男だから、
    やっぱり男のほうに感情移入して、
    「女ってなんて勝手なんだ!」
    と思ってしまう。

    でも、女性心理ってそういう
    「こっちがこれだけしてあげたから」
    とかそういうことじゃないんだなってことを
    勉強させられた。

    文章の滑らかさや表現力は
    さすが田辺聖子!
    本の装丁もいい趣味してる!

  • ☆4 水無瀬
    「乃里子三部作」第二作。結婚中。『苺をつぶしながら』の評価が高いが私はこれがいっとう好き。自分らしく在ることを一切諦めないのだ、素敵だ。お金の使いっぷりも素敵。

    ☆4 容
    寄り添うことと侵食すること、分かち合うことと押し入ること、の、違いに心を配らなければ共に生きることは難しい。それでも男は我儘で可愛く女も奔放で愛らしい。結婚しよかなと思ったら一度読むべき。

  • 男女の愛し合っていつのまにか離れなきゃいけなくなるそのすべてが、リアルで、とてもつらかった。
    誰が悪いというわけでもないし、相性が悪いとかいうわけでもなくて、思いやりも納得もあって、でもいつのまにか掛け違えてしまうのは、どうしてなのか。
    踏み込んじゃいけないところまで踏み込んだらいけない。自分らしさを恋人のために捨てたらいけない。そういうことはもちろんそうなんだけど、そんな単純な話でもない気がするし。
    好きだから踏み込みたい、自分のものにしたい、喜ばせたい、でも。
    とても息苦しくて、私はやっぱり、人も、色々な感覚も気持ちもモノも、失うのが怖い。ものすごく怖い。

  • 今読んでもまったく色褪せない。素敵だ。田辺さん。

  • 「言い寄る」の続編。

    年下で明るく男前、大金持ちの御曹司、剛と結婚した乃里子。
    でもシンデレラストーリーじゃないとこが、お聖さんらしいなぁ。

    結婚はだましだまし…とか悲しいけど、なんとなく分かるような…。したことないけど。


    剛と乃里子の新婚三年間の様子が面白くて、それだけにラスト泣きそうになりました。


    山田詠美さんが『エイミーショウズ』の中で「お聖さんの作品の中でも特別好き」って言ってたのに同感。

  • 釣った魚に餌をやるとかやらないとか、あの娘はマグロだとかなんとか、兎角女性は何かと魚に喩えられることが多いが、いきいきと毎日を楽しんでいた独身時代の乃里子はまさに「活魚」で、美々のような女性はスーパーに並べられているような、下ごしらえも済んだ調理済みの「初めから死んだ魚」。中谷剛のように活きた魚が好きな男もいれば、五郎ちゃんのように調理済みの魚が好きな男もいる。

    今作は、活きた魚が生簀に入って調理されてしまう(殺される)までの話。

    死んだ女の見る、色あせた世界の表現力がすごい。

  • 言い寄る、続編。今なら、モラハラ、の一言で片付けられそう。お金持ちの御曹司に嫁いだ乃梨子。自分は浮気もするが、妻は他の男と話すのも嫌、自分のマンションを持つのも嫌、仕事するのも嫌、家にすっこんでいてほしい、自分の機嫌をとってほしい、親族の付き合いを積極的にしてほしい、などなど。最初はかすかな違和感だったのが、どんどん我慢できなくなっていって、最後は... と。中杉氏の、はっきりと拒絶しないし、関心は示してくれつつ、支えてくれるような、飄々とした佇まいに救われる。当時としては、亭主関白的な考えも一般的で、それに異を唱えることが珍しかったから、乃里子の決断は喝采を浴び、ベストセラーになったのだろうか、と推量。以下備忘録的に。/昔の映画でローマ皇帝ネロの「涙を入れる壺を持ってこい!」と叫ぶシーン。/犬から見る世界は色がなくて、灰色一色だそうだけれど、剛の見る世界と、私の見る世界はちがうのかもしれない。/私の私的生活は、みんな剛に吸収されてしまって、私地震の存在すらなく、剛の私的生活はの一部分として私が僅かに生き残ってるだけだって。/夫婦というのは、いやらしさ卑しさが、増幅される、ということだ。美しさや気高さは増幅されないのに。

  • 少しずつ少しずつ人は変わっていくのだなとおもった。ある日突然自分が変化していたことに気付き、今まで自分が収まっていた場所にはまらなくなってしまう。そうなったら環境を変えるか自分を変えるしかない。

  • のりこシリーズ第二弾

    読み進めるほどに、新鮮さの衰えないストーリーに驚かせる。
    今なお、頑張る女の子のためのバイブル、なんでも、ありなんだと勇気づけられる本。

    3部作の秀逸な締めくくりへの助走となる位置の第2部ではあるが、破綻しつつある結婚生活のあっけなさの描写が見事。

  • 田辺聖子さんの作品好きなのに、これは初めて読みました。
    すごく私的な感想です。

    まるで、昔の私のことみたいだった。
    こんなに贅沢じゃなかったけど、何不自由ない生活、好きな人との生活のはずが、どんどん自由や、自分らしさが失われて行く感じ。
    「私が30年かけて作ってきた生活」、愛してやまない生活、それらから乃里子を引き離したい剛、土足で彼女の城に踏み込み、勝手に怒り出す剛。
    まさに自分のことみたいだって思った。
    罪はないのに、ひどく辛い。それは罪なんだよ。誰も裁けないけど。
    昔の私に読ませたい。
    そしたらもっと人生変わっていたかも。
    それでいいんだよ、って。

    私も乃里子と同じく、笑顔が消え、何も面白くなくなった。
    そして、乃里子と同じ様に一人になり、自由を取り戻した。
    私は爽快感と限りない解放感で、とにかく幸せだった。
    でも、一緒にいた時間に愛があったことは本当なんだよ。

    あの頃この本を読んでたら、もっと勇気をもらえただろう。田辺聖子さんが私の経験なんかよりもっと以前にこの本を書かれていた、その年代に書いていた、その事実だけでもすごい。
    しなやかに自由に。
    本の帯に、「私、この作品を書くために生まれてきたのかもしれへんわ」とある。
    たくさんの女性がこの本に元気付けられると思う。

    この感覚、人に説明しても全然伝わらないと思ってた。
    でも、田辺聖子さんがこんなに素晴らしく細やかに、書かれている。本当に素晴らしい作家だと思う。

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著者プロフィール

1928年、大阪市生まれ。樟蔭女子専門学校卒業。64年『感傷旅行』で芥川賞、87年『花衣ぬぐやまつわる……』で女流文学賞、93年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞を受賞。『むかし・あけぼの』『ジョゼと虎と魚たち』『田辺聖子の小倉百人一首』など著作多数。

「2017年 『私の大阪八景』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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