私的生活 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062767767

作品紹介・あらすじ

160万部の「乃里子3部作」連続刊行第2弾!

愛の問題における犯罪は、誰も裁くことができないからむつかしい。
愛し合っていた男女のあいだに“冷たい言葉が初めて出たとき”の衝撃……

私、この作品を書くために生まれてきたのかもしれへんわ。――田辺聖子

辛く切ない大失恋のあと、剛から海の見えるマンションを見せられて、つい「結婚、する!」と叫んでしまった乃里子、33歳。結婚生活はゴージャスそのもの。しかし、金持ちだが傲慢な剛の家族とも距離を置き、贅沢にも飽き、どこかヒトゴトのように感じていた。「私」の生活はどこにある? 田辺恋愛小説の最高峰。

感想・レビュー・書評

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  • 「男と女」を描いた作品だけに、
    男と女では読後感は全然違うと思う。

    自分は男だから、
    やっぱり男のほうに感情移入して、
    「女ってなんて勝手なんだ!」
    と思ってしまう。

    でも、女性心理ってそういう
    「こっちがこれだけしてあげたから」
    とかそういうことじゃないんだなってことを
    勉強させられた。

    文章の滑らかさや表現力は
    さすが田辺聖子!
    本の装丁もいい趣味してる!

  • 「言い寄る」に続く2作目の「私的生活」。

    当作品の初出昭和51年当時は、都はるみさんの「北の宿から」が大ヒット。
    「着てはもらえぬセーターを寒さこらえて編んでます」

    女心やら未練やら、1人哀しみも寂しさも耐え忍ぶ美学…。やだな。

    その時代に、田辺聖子さんが「乃里子」という女性を描いたことに、度肝を抜かれる。当時の時代背景は、女性にとって、結婚は男性の立身出世を支えるもので、お家存続のためには出産育児、親戚づきあいすべて献身あるのみ。

    結婚や夫婦、家族が幸せではないなどと、感じたり、口に出すことすら憚られる雰囲気はあったのだと思う。内実は違うのになあ。

    心を惹かれ、お互いに心を寄せ合ったつもりで、一つ屋根の下に暮らし始めると、そう簡単にはことは運ばない。ロマンスから苦瓜へ。

    我慢、辛抱、献身が美徳とされるこの国で、女性、妻、母親はその象徴。そんななか、乃里子こそ、心に感じる事に耳を傾け、心の中で咀嚼しながら、選択肢を増やし、選んでいく女性だ!

    ちなみに、テレサテンの「つぐない」(こんな女でも忘れないでね)、「愛人」(私は待つ身の女でいいの)はさらに8年後ぐらいににヒット。いい歌だけど、今では狂気すら感じる(笑)。

    日本の女は、我慢して耐えてきたのね。私は短い老い先、「だましだまし」続けながら、自分の人生のハンドルは自分で握っていきたいなあ。

  • ☆4 水無瀬
    「乃里子三部作」第二作。結婚中。『苺をつぶしながら』の評価が高いが私はこれがいっとう好き。自分らしく在ることを一切諦めないのだ、素敵だ。お金の使いっぷりも素敵。

    ☆4 容
    寄り添うことと侵食すること、分かち合うことと押し入ること、の、違いに心を配らなければ共に生きることは難しい。それでも男は我儘で可愛く女も奔放で愛らしい。結婚しよかなと思ったら一度読むべき。

  • 男女の愛し合っていつのまにか離れなきゃいけなくなるそのすべてが、リアルで、とてもつらかった。
    誰が悪いというわけでもないし、相性が悪いとかいうわけでもなくて、思いやりも納得もあって、でもいつのまにか掛け違えてしまうのは、どうしてなのか。
    踏み込んじゃいけないところまで踏み込んだらいけない。自分らしさを恋人のために捨てたらいけない。そういうことはもちろんそうなんだけど、そんな単純な話でもない気がするし。
    好きだから踏み込みたい、自分のものにしたい、喜ばせたい、でも。
    とても息苦しくて、私はやっぱり、人も、色々な感覚も気持ちもモノも、失うのが怖い。ものすごく怖い。

  • 今読んでもまったく色褪せない。素敵だ。田辺さん。

  • 「言い寄る」の続編。

    年下で明るく男前、大金持ちの御曹司、剛と結婚した乃里子。
    でもシンデレラストーリーじゃないとこが、お聖さんらしいなぁ。

    結婚はだましだまし…とか悲しいけど、なんとなく分かるような…。したことないけど。


    剛と乃里子の新婚三年間の様子が面白くて、それだけにラスト泣きそうになりました。


    山田詠美さんが『エイミーショウズ』の中で「お聖さんの作品の中でも特別好き」って言ってたのに同感。

  • 釣った魚に餌をやるとかやらないとか、あの娘はマグロだとかなんとか、兎角女性は何かと魚に喩えられることが多いが、いきいきと毎日を楽しんでいた独身時代の乃里子はまさに「活魚」で、美々のような女性はスーパーに並べられているような、下ごしらえも済んだ調理済みの「初めから死んだ魚」。中谷剛のように活きた魚が好きな男もいれば、五郎ちゃんのように調理済みの魚が好きな男もいる。

    今作は、活きた魚が生簀に入って調理されてしまう(殺される)までの話。

    死んだ女の見る、色あせた世界の表現力がすごい。

  • センスの良い人が読んでる本を読みたくなるので、お友達のmさんが読んでた本を予備知識なしで読む。
    読み終わってから3部作の2作目と知る…でもそう感じないくらい登場人物の描写がわかりやすかった。
    古い小説なので、出てくるものがバブリーだったり、その中で生活する主人公たちも昔の映画を観てるような感覚で読んだ。
    逆行するけど、1作目で少し前の乃里子と剛をこれから読めるのも楽しみ。

  • 確かに、夫婦の会話の中で、それを言ったらお終いよ…ということはある。相手にも自分にもだましだましでないと長い婚姻関係は続けられないものね。
    人生いろいろあるよね。
    今後の乃里子の生き方が楽しみ。

  • すきシリーズ。

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著者プロフィール

田辺聖子(たなべ せいこ)
1928年3月27日 - 2019年6月10日
大阪市生まれの作家。樟蔭女子専門学校卒業。1964年『感傷旅行』で第50回芥川賞、1987年『花衣ぬぐやまつわる……』で女流文学賞、1993年『ひねくれ一茶』で吉川英治文学賞、ほか菊池寛賞、泉鏡花文学賞、読売文学賞、蓮如賞、朝日賞など受賞多数。2000年に文化功労者、2008年に文化勲章を授与される。その他の代表作に、映画化された『ジョゼと虎と魚たち』、『道頓堀の雨に別れて以来なり』、『田辺聖子の小倉百人一首』など。2006年のNHK朝の連続テレビ小説「芋たこなんきん」で主人公のモデルとなった人物でもある。2019年6月6日、胆管炎で逝去。享年91歳。

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