ICO-霧の城-(上) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 238
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062768092

作品紹介・あらすじ

霧の城が呼んでいる、時が来た、生贅を捧げよ、と。イコはトクサ村に何十年かに一人生まれる角の生えたニエの子。その角を持つ者は「生贅の刻」が来たら、霧の城へ行き、城の一部となり永遠の命を与えられるという。親友トトによって特別な御印を得たイコは「必ず戻ってくる」と誓い、村を出立するが-。

感想・レビュー・書評

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  • PS2で発売されたゲーム『ICO』を、宮部みゆき氏側からのオファーでノベライズ化された本書。ゲーム発売時のキャッチコピーは「この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから」

    勇敢な少年をつい応援したくなる。
    頑張れ!抗え!その子を連れて行け!って。
    城の描写が少し弱い気がした。頭の中で絵を描きたいけど少し想像しにくかった。

    角を持って生まれ、しきたりに従い、育てられ、生贄として霧の城に捧げられる青年イコ。
    残酷な運命を変える希望を背負って、故郷から送られる。

    霧の城、少女ヨルダ、そしてイコ。
    時間を失い幽閉されていたヨルダと、生贄としての運命に抗うイコ。時が止まっていた霧の城でイコはヨルダと出会い、彼女と共に城からの脱出を試みる。

    少年の純粋さと、少女の抱える抗えない恐怖が交差する。
    恐ろしい女王が現れ、彼らの道を阻む。
    少女の記憶はまだ謎だらけだ。

    上巻読了。下巻へ。

  • 2001年12月6日に発売されたPlayStation2のゲーム「ICO(「イコ」と読みます。ちなみにWikiのページはこちら
    (https://ja.wikipedia.org/wiki/ICO_(%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0))」のノベライゼーション。このゲームの体験版を遊んだ宮部みゆきからの申し出で決まったという経緯があるそうな。宮部みゆき本人から頼み込んだのは知ってたけど、遊んだのが体験版だったのは知りませんでした。

    上記のエピソードからもその一端が伺えるように、原作ゲームはとても印象的で、いわゆる「名作」です。その原作ゲームを知っているかどうか、遊んだことがあるかどうかでこのノベライゼーションの読後感はずいぶん違うのではないかと思います。
    「ゲームを遊んだことがなければこのノベライゼーションは楽しめない」ということではなく、「宮部みゆきのファンタジー小説」として読むか「原作ゲームの宮部みゆきによるノベライズ=二次創作」として読むかで読後感が違うということを、たぶん自分は言いたいんだと思います。自分はこれを読むよりずいぶん前にゲームを遊び、熱中し、クリアし、感動しているので、どうしても「自分が遊んで楽しかったゲームのノベライゼーション」としてしか読めません。先入観なしに「宮部みゆきのファンタジー小説」として触れたときにどのように読まれるのかはバイアスがかかってしまってきちんと考えることができません。

    書いたとおり、自分はICOを遊んだことがあります。
    たまにに聞く「記憶を消してもう一度最初から遊んでみたい」賛辞にふさわしいゲームでした。
    人生がかかった大事な大事な試験を目前に、ほんの息抜きのつもりで始めたのにクリアするまで丸3日、コントローラを置くことができませんでした。
    舞台となる「霧の城」の幻想的な雰囲気、極力ゲーム的な要素を廃したゲームデザイン、言葉が通じないのに意思が伝わるヨルダのリアクション、「この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから」というキャッチフレーズがこれほどぴったりくるとはと感嘆させられたゲームシステム。
    そう、ヨルダと「手をつなぐ」操作をすると、PS2のコントローラからヨルダの鼓動が伝わってくるのです(振動機能が活用されています)。このシステムが何よりも好きでした。まさに、この手を離すことなんてできない、と感じさせられる仕組みでした。
    そして、これらから醸成される、自らの(メタな存在としての自分の)手でヨルダの手を引いて「霧の城」から脱出したという没入感。

    「没入感」と書きましたが、作品中のキャラクター(主人公・ヒーロー)でなくコントローラを握っている自分自身が何かを成し遂げなくてはならない、とうとう成し遂げた、という感覚がゲームを遊ぶときの至上の喜びであり、それはかつて多くのRPGがエンドロールの最中、Special Thanksの一番最後に表示される「and YOU!」や、マザー2ではお父さんから直接かけられる感謝の言葉でわかるとおり、作る側遊ぶ側どちらも意識をしていたものだと思います。
    下巻にある解説では、「インタラクション」なんて言葉を使っていましたっけ(インタラクション、そうか、そういう言葉があったか)。ゲーム中のキャラではない、プレイヤー自身がゲーム内の事象に影響を及ぼせるという感覚。自分は没入感って言ってました。

    ゲームデザインや舞台に至るまで、「ICO」のインタラクション性、没入感はものすごいものがありました。
    だから、このゲームを遊んだ人が100人いたら100通りのストーリー解釈があり、思い入れポイントがあり、思い出補正があるのだろうと思います。

    宮部みゆきの思い入れポイントは自分のそれとは必ずしも一致しないかもしれません。
    でも、ああ、あそこ難しかったよねえ、とか、棒きれ、一生懸命振り回したよねえ、とか、「あるある」は一緒に楽しめるはずですし、「へー、そんなふうに脳内補正してたのね」って感心することもできる。
    もちろん、そうそう、そういうことだよね、と自分の気持ちを上手に言語化してもらって膝を打つことができるかもしれません。
    自分は実際にそうやって読みました。

    具体的には、こんなところが共感ポイントでした。
    まず、ゲームで描かれた、霧の城の内部構造や印象的な仕組みがよく再現されています。
    高い段差を先にイコがよじ登り、ヨルダに手を貸す、ヨルダのサジェストに従って仕掛けを解き、道を作る――イシャンデリアを落っことして渡り廊下を直撃させ、斜めに崩壊したそれを使って階下に降りる、トロッコを使って移動する、芝生敷きの墓苑になっている中庭を通って先に進む、目もくらむような高さのバルコニーから窓へと飛び移る、そして女王によって無慈悲に閉ざされる城門…どれも今でも思い出せる印象深いシーンです。文章だけでありありと脳裏に当時のゲーム画面を呼び起こせる筆力はさすがの宮部みゆき。
    あとは、棒きれ(というか、角材でしたね)を振り回して煙のような魔物と戦うシーン。簡単に倒すことができるものの、かと言って延々と倒し続けるうちにいずれはヨルダが攫われてしまうこと、ヨルダが渦に沈められる絶望感。何もかもが懐かしい。


    逆に共感できなかったポイント。
    何よりイコがなかなかヨルダときちんと手をつながないこと。手をつないだ瞬間、ヨルダの在りし日の思い出がイコの中に流れ込んでくるのを恐れてのことですが、手つなぎシステムが何よりお気に入りだった自分にとっては、つべこべ言わずにとっとと手をつなげって感じでした。
    また、上巻の冒頭の光輝の書をイコの友達が持ち帰るエピソードはオリジナル、それからヨルダと母の過去のやり取りはまあ宮部みゆきの脳内補完。二次創作らしい二次創作です。


    最後にお願い。
    この本が楽しめた人も、イマイチだった人も、ゲームのICOを遊んだことがないのであれば、ぜひ一度手に取ってみてください。
    このノベライゼーションが原作ゲームを遊んでみるきっかけになったなら、宮部みゆきも本望なのではないでしょうか。

  • 角を持って生まれた子は、時が来たら霧の城の生贄(ニエ)となる運命…

    霧の城が起こした過去の厄災を目にし、生贄となる覚悟を決めたイコ。親友トトが持ち帰った「光輝の書」は彼を守ってくれるのか。

    囚われの美少女ヨルダと共に脱走を試みるイコの前に恐ろしい女王が現れ、驚愕の事実が明かされる…

    これ、元はプレイステーションのゲームらしいのですが、無類のゲーム好きの宮部さんが直々にノベライズを申し出たそう。
    石に変えられる古典的設定ながら、やっぱりわくわく。(メデューサや石ノ目、ナルニア国、氷の女王 等)

  • ファンタジー系です。
    途中で色々な説明があり読み飛ばしました。
    皆さんの感想読んで知りましたが、ゲームが元なんですね。
    だからこういう書き方なのかと理解しました。
    これからどうなるのか期待!

  • ゲームもやったことがあるが、小説にするとは面白い。
    宮部みゆきさんはすごい。

  • 最初の導入部は面白く読めたんだけど、城の内部のつくりやからくりの描写はゲームをやったことないと想像するのが難しかった。

  • トクサ村に生まれたイコは何十年かに一人生まれる角を持つ者。「生贄の刻」に霧の城へ行く宿命を背負った少年だった。世界の命運を握る彼は霧の城で少女・ヨルダと出会う。二人は城の呪いを解き、村へ戻ることができるのか。

    原作はPS2のゲームソフトであり、それをノベライズした作品。ぼくはゲーム未プレーだけど、事前知識がなくても楽しめる。ファンタジー世界を構築する宮部先生の描写力に圧倒される。洞窟の描写が美しくて特に心に残った。世界の色からにおいまで丁寧に紡いでいく誠実さが伝わってくる。ただ、ゲームをやってないからか、霧の城の描写は想像するのが大変で読んでいて疲れてしまった。敵も霧みたいなものが多くて掴みどころがない。城の秘密が明かされてきた上巻ラストまでがプロローグなのかなと感じた。

    イコのことを思いやって先回りしようとする友だち・トトの勇気や、イコのことを思う村長夫婦のあたたかさが胸にしみた。そこを描いているからこそ、霧の城の恐ろしさが浮かび上がってくるのかなと。石と成り果てようとも続く意志の物語。これからどう展開するのか楽しみ。

  • 厳しくも厳かな冒険の始まり。

  • PSのゲームを題材とした物語
    説明は多くなく、色々解釈できるゲームであったが、儚気な少女と本当に手をつないでいる気分になれる不思議なゲームであった
    設定資料集のようなものではなくあくまで一つの解釈なのかと思う
    少女の視点から描かれる物語部分は小説ならではで特に面白い
    一方でアクション部分はどうしても説明的になってしまうのはやむを得ないとこかな

  • 面白いは面白い。のだけれど……。イコ、という少年の年齢・背景・特徴が、ぶった切られてしまっているような。描写も、ことにアクションは、ゲームを表現しようという試みだろうけれど、なんだかいまいちピンと来ない。以前読んだときにとても感動した覚えがあるので、本当に同じ本かと思ってしまった。ただ、ヨルダ視点で語られる別ストーリーは本格的でここだけなら星四つつけたい。イコとの年齢(ここネタバレなので伏せます)差を表している筆力にはぞくっと来た。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。87年「我らが隣人の犯罪」でオール読物新人賞を受賞。『龍は眠る』(日本推理作家協会賞)、『本所深川ふしぎ草子』(吉川英治文学新人賞)、『火車』(山本周五郎賞)、『理由』(直木賞)ほか著書、受賞歴多数。

「2021年 『ブレイブ・ストーリー 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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