柳生大戦争 (講談社文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062768276

作品紹介・あらすじ

高麗の高僧・晦然が得意の絶頂にあったその日、彼を待ち受けていたのは二度の元寇で散った高麗の兵士たちの霊であった。供養のため倭国に渡った晦然は「一然書翰」を書き記す。この奇書が、三四五年の時を経て、徳川幕府と李朝を揺るがし、柳生一族をも混乱に陥れたのだった。

感想・レビュー・書評

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  • 荒山徹 著「柳生大戦争」を読みました。

     朝鮮の建国神話の謎を巡り、徳川幕府と朝鮮、中国の歴史の歯車が動き出していく。そこに柳生一族の運命もかかわっていく。はたして柳生十兵衛は、その運命を乗り越えていくことができるのか。

     自分が大好きな柳生十兵衛が活躍するこの作品、読み進める楽しさと読み終えてしまう寂しさを感じながら、一気に読みました。

     しかも今回の十兵衛の敵は、自分の弟である柳生友矩、まさに柳生一族の存亡をかけた闘いが展開し、読み応えがありました。

     家光の治世が固まろうとしていた時代に、日本と朝鮮、中国の間に緊迫した関係が保たれていたという歴史は、とても興味深かったです。

     したがって、著者お得意の奇想天外な伝奇小説の醍醐味ももちろん感じられましたが、今作はそれとともに、歴史小説としての魅力も味わうことができました。

     それでも結末はやはり作者らしい想像を絶する展開で幕を閉じ、ただの小説で終わらないところはさすがだと思いました。

     作者はこの作品で柳生十兵衛との決別を述べていましたが、読者の一人としては、ぜひ今後も荒山十兵衛を活躍させていってほしいと思います。

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著者プロフィール

荒山徹

一九六一年富山県高岡市生まれ。上智大学卒業後、新聞社に入社、出版社勤務を経て、九九年『高麗秘帖 朝鮮出兵異聞 李舜臣将軍を暗殺せよ』で作家デビュー。その歴史伝奇小説の作風から「現代の山田風太郎」と評される。『魔岩伝説』『十兵衛両断』『柳生薔薇剣』で第二四、二五、二七回吉川英治文学新人賞候補。第二回舟橋聖一文学賞を『柳生大戦争』で受賞。『白村江』で、第六回歴史時代作家クラブ賞で作品賞を受賞、「二〇一七年 週刊朝日 歴史・時代小説ベスト10」で一位、「第七回本屋が選ぶ時代小説大賞」にノミネートされた。

「2021年 『神を統べる者(三) 上宮聖徳法王誕生篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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