- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062768535
作品紹介・あらすじ
1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力」を得るに至った人類が手にした平和。念動力の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた…隠された先史文明の一端を知るまでは。
感想・レビュー・書評
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現在の人類とは、大きく異なる価値観を持つ未来の人類を描く作品。
ちょっとホラー要素もあり、唐突に性描写もある。
いきなりの性描写には戸惑ったが、改めてこの世界の価値観は、今とは別物であるという設定には強く惹かれた。
人間が人間を殺すなんて有り得ない......
子供たちは厳しく抑制された世界に生きているが、決して不幸には見受けられない。
呪力という不思議な力を得ている人間社会は一見して平和だが、子供たちが行動できる世界は限られていた。
人間の感情を抑制していることに映画『リベリオン』の世界観が頭に浮かんだ。
主人公たちは冒険心からルールを破り、外の世界へ歩み出る。そこで意思を持った機械から、人類にとって重要な情報を知ることになる。事実さえも否定してしまうほどのショックが彼らを襲う。それは禁断の知識だった。
業魔、悪鬼とは病気のようなものなのだろうか。
しかし、その場をある僧に発見され、厳しく処罰を受けることになる。
バケネズミと呼ばれる生き物は、人間に仕える醜い生き物だが、物語はこのバケネズミと人間の関係の危うさを描きながら進んでゆく。
続きも楽しみ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
H29.12.16 読了。
・初貴志祐介作品。1000年後の日本の神栖66町を舞台にした物語。しめ縄に囲まれた町、神の力といわれるサイコキネシス、悪鬼、業魔、バケネズミ、風船犬などなどの独特な世界観。たまりませんね。
中巻も楽しみです。 -
上巻はいまいち。これから面白くなることに期待する。
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映像を観たあとのようにくらくらとなった。千年後の未来か。
私、過去は自然と振り返ってしまうけど、未来を悠々と想像してみたことがあったかな。
自分の死後に、それもずっと後の世界に思いを馳せるのは難しいな。
本に頼りすぎては呪力がつかない。
今時分のような夏の盛り、水田が広がる田舎、鈍い灯りに神社の祠がぼうっと浮かび上がる、そんな日本の原風景がバックグラウンド。SFをあまり読まないけれども違和感なく入り込めた。3巻、この厚さでも、疾走するように物語は進む!スペックは高くないが、心の強い子が最も活躍するのもうれしい。 -
貴志祐介先生ならではの、すごく読みやすい描写。
1000年後の世界。呪力という超能力を使える人間、人の真似事をするハダカデバネズミ。
幼少期の人間達をキツく縛る禁忌。
とにかく未知の世界観、想像の斜め上をいく物語に終始圧倒される。自分の想像力が試される。豊かであれば、小説を。乏しければ、アニメを観てほしい。
私の大好きなアニメ、小説の内の1つなのは間違いない。 -
書店で目にし、どうしても読みたかった。2008年、第29回日本SF大賞を受賞した本書です。
1000年先の未来。
文明はある理由で滅び、生活は明治以前の電気の無い時代に良く似ています。
江戸時代と違うのは、人々は「呪力」を持ち、「呪力」に頼って生活しています。
読み始めてすぐに「ハリーポッター」と連想しましたが、改めて思うと
「悪意や攻撃性を題材にした、グロテスクな日本版ハリポタ」と言った感じでしょうか。(あくまでも私感です)
設定はSF的ですが、内容はファンタジー。ミステリーな要素も含んでます。不思議な気持ち悪い動物も数多く登場します。
下巻まで一気の読んで分かった。(と思ってる)
「悪鬼」や「業魔」はいつも私たちの心の中にあり、潜んでいます。相変わらず無くならない悲惨な事件のほとんどは、この「悪鬼」や「業魔」のせいです。
恐らく、混迷する政治もコレのせい。
物語に出てくる「攻撃抑制」と「愧死機構」を持つ必要のない世の中になる事は、現代においても恐らく実現することは無いんでしょうね・・・
恥ずかしながら、著者(貴志さん)の本は全く読んだことが無く、名前さえ知りませんでした。ホラー小説を良く書かれる方のようで、なるほどと思わせるエグイ描写が多いです。
「リング」で著名になった鈴木光司と同じく、ホラー小説家が書くファンタジーは素晴らしい。
「新世界より」当たりでした。 -
中まで読んだ上での感想。上巻は、大きな動きはないけれど、この世界を語っているので、中巻からより楽しむためにはしっかり読んでおいた方が良さそう。
上巻を読んでいる時はサラサラと読んでしまっていたので、後から読み返したり、なんだったけ?となるので、ぜひしっかり読んだ方が良い。 -
すごい本に出会ったとそう思える。
一見普通の子供たちに見える主人公たちが特別な力を扱う。そんな設定の話をもう何度も繰り返し読んだが、これほど作り込まれた話は初めてかもしれない。
主人公の早希は、平和な日常を過ごしていた。全人学級と呼ばれる教育機関で学んでいる。ある日、校外学習に出かけた先にミノシロモドキと言う謎めいた生物を見つける。それは大人たちから接触を禁止されている生物だった。捕まえてみると、それは図書室の役割を持つ、人為的な生物だった。早希たち5人は各々、質問していく中、この世界の成り立ちや秘密を知っていく。
なんだか、薄気味悪い。
読んでいく中、そう思えた。主人公たちが動物を捕まえてきゃっきゃと話している場面がよくあるが、出てくる動物の名前をわたしは一つも知らない。呪力の話を日常的にしているのに、わたしはついていけない。捻れた日常とでも言えばいいのだろうか。わたしが思う日常と彼らの日常は決定的に違う。それをまじまじと見つめて、この薄気味悪さの正体はなんなのか考えさせられる。まだ上を読んだばかりだが、テンポよく続く構成に早くもハマりそうだ。
もしかしたら、こんな日常もあるのかもしれない。中、下巻も早く読みたい。
著者プロフィール
貴志祐介の作品






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