新世界より(上) (講談社文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062768535

作品紹介・あらすじ

1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力」を得るに至った人類が手にした平和。念動力の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた…隠された先史文明の一端を知るまでは。

感想・レビュー・書評

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  • 1,000年後の日本。限られた狭い社会の豊かな自然に恵まれた集落。集落は注連縄が張られ、結界とされている。その外側の地域に出ることは固く禁じられていた。その掟を守るため、悪鬼と業魔の言い伝えを子供達に伝奇として、修得させていた。
    大人達は、レベルはそれぞれだが、呪力を持っていた。大人になるという事は、呪力を得る事。
    子供達は、学校で呪力の向上を目指して、精神ともに、綿密に管理されている。
    未来とはいえ、日常生活の動力は、ほぼ呪力。明治時代あたりの生活感。1984のようなディストピアを予測していたので、この世界観に慣れるまで時間がかかってしまった。上巻のストーリーの中心が中学生の少年少女なので、学校のシステムや友人との関係性が多いかな。

    • 1Q84O1さん
      この作品を読んだときに確かに貴志さんの作風が何だか今までと違うなって感じました
      (おびのりさんが別レビューでおっしゃているように)
      作品のジ...
      この作品を読んだときに確かに貴志さんの作風が何だか今までと違うなって感じました
      (おびのりさんが別レビューでおっしゃているように)
      作品のジャンルも違うからかな…?
      けど、これはこれで私の場合は楽しめました^_^
      ちょっと長いですけどねw
      この作品では、まだ貴志さんを嫌いにならないでぇ〜(´Д⊂ヽ
      2023/03/27
    • おびのりさん
      おはよーございます。
      面白くは読めるのですけど、図書館まで虫って、想像しちゃってね。
      主人公の女子が、これから成長すると思うんだけど、会話等...
      おはよーございます。
      面白くは読めるのですけど、図書館まで虫って、想像しちゃってね。
      主人公の女子が、これから成長すると思うんだけど、会話等ジョブナイル感が気になって。
      2023/03/28
  • 1000年後の日本・・・
    うまく想像できない新世界が延々と続いております。

    しかし、なぜかスイスイと読み進んじゃいます。不思議。

    「呪力」
    絶対的なものでもなさそうなんだけどなぁ。

    では中巻へ

  • 1,000年後の世界。今の延長線の一つに、これに近い未来があるかも知れないと思えた。恐ろしい。それも今の自分達の選択次第。

    図書館のくだりあたりで大分背景が理解ができて来た。
    2023年読みたい本

  • 現在の人類とは、大きく異なる価値観を持つ未来の人類を描く作品。
    ちょっとホラー要素もあり、唐突に性描写もある。
    いきなりの性描写には戸惑ったが、改めてこの世界の価値観は、今とは別物であるという設定には強く惹かれた。

    人間が人間を殺すなんて有り得ない......

    子供たちは厳しく抑制された世界に生きているが、決して不幸には見受けられない。
    呪力という不思議な力を得ている人間社会は一見して平和だが、子供たちが行動できる世界は限られていた。
    人間の感情を抑制していることに映画『リベリオン』の世界観が頭に浮かんだ。

    主人公たちは冒険心からルールを破り、外の世界へ歩み出る。そこで意思を持った機械から、人類にとって重要な情報を知ることになる。事実さえも否定してしまうほどのショックが彼らを襲う。それは禁断の知識だった。
    業魔、悪鬼とは病気のようなものなのだろうか。
    しかし、その場をある僧に発見され、厳しく処罰を受けることになる。

    バケネズミと呼ばれる生き物は、人間に仕える醜い生き物だが、物語はこのバケネズミと人間の関係の危うさを描きながら進んでゆく。

    続きも楽しみ。

  • H29.12.16 読了。

    ・初貴志祐介作品。1000年後の日本の神栖66町を舞台にした物語。しめ縄に囲まれた町、神の力といわれるサイコキネシス、悪鬼、業魔、バケネズミ、風船犬などなどの独特な世界観。たまりませんね。
    中巻も楽しみです。

  • 普段SFは読まないし貴志祐介は初めて読む。
    YouTubeでマコなり社長が夢中になって読んだというのを聞いて読む気になった。
    いや、面白いね。もう途中からワクワクが止まらない。
    CGとか駆使して映画化すれば日本版指輪物語に成りうるんじゃないかと思う。

    作品紹介・あらすじ
    1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。周囲を注連縄で囲まれたこの町には、外から穢れが侵入することはない。「神の力」を得るに至った人類が手にした平和。念動力の技を磨く子どもたちは野心と希望に燃えていた…隠された先史文明の一端を知るまでは。

  • 【感想】
    面白い小説を探すにあたり、人に聞いてもネットで検索しても、必ず一度は耳にする「新世界より」。
    上中下3巻という中々のボリュームでしたが、どのような内容か一切わからないままチャレンジしました。

    本作品を一言で表すならば、「和製ハリーポッター」という感じでしょうか。構成のクセがスゴイ!!
    サイコキネシスを操る人類と、その文明の中に存在する色々な変わった生物たち。
    やはり世界観についての説明はMUSTで、やや蛇足多め、ファンタジーを文章化するとこうなるのかといった感想。
    正直上巻の最初の方では、本作品のファンタジーに満ちた世界観を理解するのに骨が折れました・・・・・
    言い換えれば、この本の構想はそれほど奥が深く、作者への畏敬の念を感じざるを得ませんでしたね。

    さて、上記の通り、世界観を理解したり読み進めるの難儀はしたものの、物語序盤から読者の関心を惹きつけて離さないオーラが本書にはあります。
    最初の最初である上巻9ページ目で、
    「多くのものが灰燼に帰した、あの日から、十年の月日が経過した。」
    「この間、時間を見つけては、過去の歴史をひもといてみたのだが、再認識させられたのは、人間というのはどれほど多くの涙とともに飲み下した教訓であっても、喉元を過ぎた途端に忘れてしまう生き物であるということだ。」
    こんな記述があったのだから、一体なにがあったの?!って気になって仕方がない(笑)

    上巻の途中までは、本当に「和製ハリーポッター」で、主人公の早季たちの成長の過程が全人学級の授業を通して緩やかに描かれていくだけなのだが、野外学習で「ミノシロモドキ」に出会ってから展開は一変する。
    この世界が、如何にして現代を迎えたのか。
    「ミノシロモドキ」を介して「旧世界から」の通達、知ってはいけない過去を早季たちは受けてしまう。

    知ってはならない「パンドラの箱」を開けてしまった早季たちの運命は?
    とまぁ、こんな具合で上巻は幕を閉じる。

    個人的に、ミノシロモドキが言っていた内容の中でも特に、「混乱を収拾するために、それまでは歴史の傍観者に徹してきた科学文明の継承者たちが、ついに立ち上がったのです」の伏線が気になりますね。
    「科学文明の継承者たち」は、一体なにをしたのでしょう?そうやって歴史は大きく動いたのか?
    あと、全体を通して、「もし〇〇だったなら、結果的に〇〇にならなかったのに・・・」や、「この時は、〇〇のようなことを想像もしていなかった」など、期待を煽る記述が多すぎるのも気になったが、結果的に面白いのだから良しとしよう。

    中巻、下巻の続きがとても気になります。


    【あらすじ】
    ここは汚れなき理想郷のはずだった。
    1000年後の日本。伝説。消える子供たち。
    著者頂点をきわめる、3年半ぶり書き下ろし長編小説!

    子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。一見のどかに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。
    いつわりの共同体が隠しているものとは――。何も知らず育った子供たちに、悪夢が襲いかかる!


    【引用】
    1.多くのものが灰燼に帰した、あの日から、十年の月日が経過した。
    この間、時間を見つけては、過去の歴史をひもといてみたのだが、再認識させられたのは、人間というのはどれほど多くの涙とともに飲み下した教訓であっても、喉元を過ぎた途端に忘れてしまう生き物であるということだ。

    2.「早季は、面従腹背って言葉を知っているか?表面は従っているが、腹のなかでは違う事を考えているっていう事だよ」

    3.「僕らの社会は、どうやって生まれたんだ?知りたいのは、それだけだ」
    五百年間の暗黒時代は、奴隷王朝の終焉によって幕が引かれました。
    日本列島を支配していたすべての王朝は、世代間の厳しい淘汰によって、ついにPK能力者の血統が絶えてしまったのです。
    重しの取れた国々は、わずか数十年の戦乱により、過去五百年の間にPKによって虐殺された死者をはるかに超える犠牲が生じました。
    この混乱を収拾するために、それまでは歴史の傍観者に徹してきた科学文明の継承者たちが、ついに立ち上がったのです。

    「その後、現在に至る歴史について、信頼の置ける文献はきわめて少数です。そのため、残念ながら、ご質問の点に関しては不明です」



    【メモ】
    p9
    多くのものが灰燼に帰した、あの日から、十年の月日が経過した。
    この間、時間を見つけては、過去の歴史をひもといてみたのだが、再認識させられたのは、人間というのはどれほど多くの涙とともに飲み下した教訓であっても、喉元を過ぎた途端に忘れてしまう生き物であるということだ。


    p14
    初めてこの話を聞いたときには、私は自分が間接的に親友の命を救ったことに大きな喜びを覚えたものだが、今はその事を思い出すたびに複雑な思いにかられる。
    もし、真里亜がこの世に生まれてこなかったとしたら、結果的にあれほど大勢の人が命を落とすこともなかったはずだから…


    p17
    「早季は、面従腹背って言葉を知っているか?表面は従っているが、腹のなかでは違う事を考えているっていう事だよ」


    p230
    わたしたち五人は、魅入られたようにミノシロモドキの語る長い話に聞き入っていた。話の内容は1%も理解できなかったが、わたしたちの耳から脳に流入した言葉は、乾いた地面を潤す雨水のようにスムーズに吸収されていった。
    それまでのわたしたちの世界に関する知識は、最も重要なピースが欠けているジクソーパズルのようなものだった。
    だが、ミノシロモドキの言葉によって欠落を埋め好奇心の渇きを癒してくれるものの、それにより浮かび上がってくるのは、身の毛もよだつような地獄絵図であることは、想像もしていなかった。


    p244
    わたしは身震いした。わたし自身、呪力を使うのによく似たイメージを用いたことがあり、闇を飛翔する巨大な猛禽の姿が、はっきりと脳裏に浮かんだのだ。
    「・・・王朝末期になると、王を後継者が殺害して王位を簒奪するのが通例になりました。後継者が思春期になり、PKが発動した瞬間から、先王の命は風前の灯火となったのです。そのため、王子たちは常に厳しく監視され、叛心(はんしん)ありと見なされれば、先手を打って殺害されたり、両目を潰されて地下牢に幽閉されたりということも、日常茶飯事でした。。。。」


    p246
    「僕らの社会は、どうやって生まれたんだ?知りたいのは、それだけだ」
    「五百年間の暗黒時代は、奴隷王朝の終焉によって幕が引かれました。日本列島を支配していたすべての王朝は、世代間の厳しい淘汰によって、ついにPK能力者の血統が絶えてしまったのです。重しの取れた国々は、わずか数十年の戦乱により、過去五百年の間にPKによって虐殺された死者をはるかに超える犠牲が生じました。この混乱を収拾するために、それまでは歴史の傍観者に徹してきた科学文明の継承者たちが、ついに立ち上がったのです」

    「その後、現在に至る歴史について、信頼の置ける文献はきわめて少数です。そのため、残念ながら、ご質問の点に関しては不明です」


    p465
    「一番、人間に忠実だからこそ、注意が肝要なんだよ」
    覚は、大儀そうに眉をしかめた。
    「なぁ。昨日から僕らは、生きるか死ぬかという場面が続いてきただろう?だけど、賭けてもいいよ。今現在が、多分、これまでで一番危険な状態だ」

  • 上•中•下巻の感想です。
    カーリーさんがおすすめしてたので、購入して読み始めました。
    初めのうちはわからなかったけど、10ページ程読んで、過去に読んだ作品ということに気づきました。
    3巻あるし、前に読んだ時はなぜか疲れたような記憶があるので、このまま進めるか悩みましたが、ちょっと続けたら止まらなくなり、完読。

    黒い家を思い出すような、追い詰められる恐怖が、そして後半は生きる者として考えさせられました。

    やっぱり疲れた。

  • 前半は想像力不足で難しかったけれど、後半面白くなってきた!
    引き続き中巻読みます♪

  • 感想
    不思議な世界観。未来は一部で退化したのかそんな想像をしながら読み進める。よく考えてみれば、キリスト教でもない我らがキリストが生まれた日?の翌年を堺にしているだけで、キリスト教以外の人には利便性以外何の意味もない数字にも思われる。

    呪力って言われると呪術廻戦思い出してしまう。。というかこっちの方が先か。逆にストーリーの一部は重なりそう。

    登場人物の覚は伝聞の情報ばかりで、たぶん・・らしい・・ばかり言っているが、昔こういう人いたなぁ。なんて思ったりした。

    あらすじ
    早紀が暮らす時代は210年。子供であった早紀は町の外には悪鬼や業魔など危険がたくさんあると教えられる。学校で呪力という念動力の使い方について学ぶ。

    その世界には使役用のネズミなど動物も働く世界だった。授業で早紀は仲間と利根川で未確認生物を探す旅に出る。そこで仲間とミノシロモドキを捕まえたが、それは図書館アーカイブだった。早紀たちは自分の起源を探るため失われた千年の歴史をミノシロモドキに尋ねる。

    それはサイコキネシスが登場したことによる人類戦争の悲惨な歴史だった。禁じられた歴史を知ってしまった5人は、同郷の僧にバレて、呪力を取り上げられ、連行される。しかし、道中で野生化したバケネズミの群に会い、僧は力尽きる。

    早紀と覚はバケネズミから逃げようとするも、バケネズミ同士の抗争に巻き込まれてしまう。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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