新世界より(中) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
4.11
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  • (87)
  • (10)
本棚登録 : 7896
レビュー : 555
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062768542

作品紹介・あらすじ

町の外に出てはならない-禁を犯した子どもたちに倫理委員会の手が伸びる。記憶を操り、危険な兆候を見せた子どもを排除することで実現した見せかけの安定。外界で繁栄するグロテスクな生物の正体と、空恐ろしい伝説の真意が明らかにされるとき、「神の力」が孕む底なしの暗黒が暴れ狂いだそうとしていた。

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    上巻を読み終わった後、続きが気になって間を置かずにすぐに読み終えました。
    窮地から帰還し、封印された呪力を取返すことに成功した早季たち。
    無事日常に戻れたかと思われたが、そんな中、グループ一の能力を持つ瞬が業魔化してしまう。
    また、親友である真理亜との別れも・・・・

    結局は、保守的な大人たちの為に子どもが選別されていく。
    勿論、組織の存続の為とはいっても・・・・
    こういった事が積み重なって、上巻で書かれていた「最悪の状況」へと世界は進んでいったのでしょう。

    上巻に引き続き、世界観もキャラクターも設定も非常に完成度の高い1冊でした。
    ただ、上巻に続いて、「この時は、〇〇のようなことを想像もしていなかった」など、期待を煽る記述が本巻にも多かったのには些か閉口(笑)
    ちゃんと伏線回収しているんだけど、そんなに期待煽られちゃうと、気になりすぎて読むことを中断できなくなるんですけど・・・・

    この勢いのまま、下巻も読みます。

    【あらすじ】
    町の外に出てはならない――
    禁を犯した子どもたちに倫理委員会の手が伸びる。
    記憶を操り、危険な兆候を見せた子どもを排除することで実現した見せかけの安定。
    外界で繁栄するグロテスクな生物の正体と、空恐ろしい伝説の真意が明らかにされるとき、「神の力」が孕(はら)む底なしの暗黒が暴れ狂いだそうとしていた。


    【引用】
    1.「呪力は、常に漏れ出している。僕らは、ある意味では無意識の命ずるままに、周囲の世界を改変し続けているんだよ」
    「八丁標は『穢れ』、つまり漏出した呪力を外に放出するための心的装置なんだ」

    2.瞬が業魔に・・・
    呪力の漏出が止まらないんだ。それも、どんどん激しく、制御不能になりつつある。
    無意識の暴走により、呪力の異常漏出が起きて、周囲のものすべてが破壊的な影響を受け、異形化してしまう。
    これが橋本・アッペルバウム症候群だ。
    僕は、業魔になったんだよ

    3.真里亜からの早季への手紙
    町を離れてみて、はっきりとわかったことがあります。
    わたしたちの町は、異常です。
    そうは思いませんか?町の安定と秩序を維持するために、子供たちを殺し続ける町が、人間の社会としてまともでしょうか?
    ミノシロモドキの話では、今の状態に至るまでに、血みどろな歴史があったということでした。
    でも、今の町は過去のどんな暗黒時代と比べても、自慢できるような代物じゃないと思います。

    それは、大人たちが、心の底から、子供たちを恐れているという事実です。


    【メモ】
    新世界より 中


    p97
    自ら真言(マントラ)を唱えることで呪力を取り戻したときには、してやったりという気分だった。
    タブーを犯しながらも、まんまと大人たちを出し抜き、ついに再び神の力を得ることができたのだから。

    それが、とんでもない錯覚であるとは、想像だにしなかった。


    p187
    「呪力は、常に漏れ出している。僕らは、ある意味では無意識の命ずるままに、周囲の世界を改変し続けているんだよ」

    「早季は一体、八丁標(はっちょうじめ)は何のためにあると思ってた?外から何かが襲ってきた時、あの注連縄(しめなわ)が防ぎになると思うか?
    八丁標は外敵ではなく、内なる敵に対処するために作られたんだ。この場合の敵は、絶えず漏出している僕らの呪力だ。悪鬼にせよ業魔にせよ、僕らにとって恐怖とは、内からやって来るものなんだよ」

    「八丁標は『穢れ』、つまり漏出した呪力を外に放出するための心的装置なんだ」


    p190
    「わかるだろう?これが、僕におきたことの結果なんだよ。
    呪力の漏出が止まらないんだ。それも、どんどん激しく、制御不能になりつつある。無意識の暴走により、呪力の異常漏出が起きて、周囲のものすべてが破壊的な影響を受け、異形化してしまう。これが橋本・アッペルバウム症候群だ。
    僕は、業魔になったんだよ」


    p418
    ・真里亜からの早季への手紙
    町を離れてみて、はっきりとわかったことがあります。
    わたしたちの町は、異常です。
    そうは思いませんか?町の安定と秩序を維持するために、子供たちを殺し続ける町が、人間の社会としてまともでしょうか?
    ミノシロモドキの話では、今の状態に至るまでに、血みどろな歴史があったということでした。
    でも、今の町は過去のどんな暗黒時代と比べても、自慢できるような代物じゃないと思います。

    それは、大人たちが、心の底から、子供たちを恐れているという事実です。

  • 核爆弾並みの破壊力を持つようになった人間たち。悪鬼や業鬼の正体。記憶を操作され、危険分子は不浄猫により排除された上で成り立っていた世界。大切な人が消えたことさえはっきり思い出せなくなった早季たちだったが、守の失踪によりその違和感の正体に向き合うことになる…。
    ボノボに倣った過剰なスキンシップがエロチックな中巻、読了。

    • 円軌道の外さん

      コレ今アニメで見てます!(^O^)

      今14歳で
      大人で優等生な瞬が
      失踪したところで、
      もう毎回手に汗握りながら
      テレ...

      コレ今アニメで見てます!(^O^)

      今14歳で
      大人で優等生な瞬が
      失踪したところで、
      もう毎回手に汗握りながら
      テレビにかじりついてます(笑)

      小説の方が
      やっぱ面白いのかな?

      2012/12/05
    • hetarebooksさん
      円軌道の外さん

      アニメ・・・どうなんでしょう。。小説はさすが貴志さんで、かなり作りこまれていて圧倒されますよ。

      アニメは絵柄に...
      円軌道の外さん

      アニメ・・・どうなんでしょう。。小説はさすが貴志さんで、かなり作りこまれていて圧倒されますよ。

      アニメは絵柄によって萌え系になってしまいそうなシーンもありますね。
      2012/12/06
  • 続けて中巻も読了。上巻で触れられていたが、1班の仲間たちがだんだんと散り散りになっていく。業魔化した瞬、その影響で変異してしまった愛犬すばるとの再会は切ない。そして真理亜と守も・・・。バケネズミの不穏な動きも絡めながら、物語は下巻へと続く。余談だけど、植芝理一氏のディスコミュニケーションの世界観をちょっと思い出すのは私だけか。

  • きてるねー、これはきてる。
    根底にあるのは「悪の教典」とも通ずる、業というか「人の世の矛盾」
    とか、そういうはかりしれない流れ。濁流…ふぅー…すごい。
    「ハリー・ポッター」にも通ずる深い世界観。ファンタジー風味。

    そう、なんらかで「閉塞」された世界。ここでは「結界」。
    昨今こういうテーマが目につく。安寧とは…なんじゃろか。
    漫画なら「進撃の巨人」とか「約束のネバーランド」とかー。
    集合体を守る「壁」とは、果たして防壁なのか檻なのか。
    おおよそにおいて隔離された場所とは常とは異なるということである。

    子供の遊戯である「かごめかごめ」を思い出す。
    あれはカゴの中の鳥を囲み
    手をつないだ円陣で囲み周り歌う。「後ろの正面だぁれ?」と。
    内側を向いて囲んでいるので、囲いの外を見ることができません。
    なのに、中にいる目をつむった「カゴの中の鳥」に問いかける。見えるものは何?

    現代社会を過去と未来を織り交ぜながら、並行的に「縮図」してる。
    時として無垢な子供の視点から、またある時は神の視点から。
    見えるものは「鏡像」のように「幻影」のように、意識の上を走る。

    外殻に覆われ守られる事を「理」とするならば、その殻は必ず
    「内部からは破ることができる」ものでなくてはならない。
    殻を破ることのできない卵からは雛は生まれない。
    殻の役目は中身を守ること、そして殻は破られることが理なのだから。

    と、そんな事を考えながら…あぁーもう下巻に入るぅ。

  • 感想は読み終わってからにしようと思いますが、ちょっとエグ過ぎる感じになってきた

  • 中巻に入り世界の全容が見えてくる。
    同時に早季、瞬、覚、真里亜と守の五人の関係に大きな変動が訪れる。

    上巻では はからずも理想的な社会と思ってしまう部分もあったが社会は少なくない人々の犠牲の上でバランスが保たれていた!

    また、バケネズミの社会と神栖66町の人々の関係というものはかつての私達の世界でも起きていた出来事だったかもしれないと少し想像してみると・・・


    何れにしても下巻が楽しみ!

  • 61

    中巻も面白い、息つく暇もない!

    最初同性愛のシーンがあってビックリしたけど笑
    ご飯食べるのも忘れて読んだ。

    瞬のシーンが、夢のような美しい描写で、
    情景が目に浮かぶ。こんなに美しい殺害シーンある?

    基本的人権が17歳まで確立してないって言う言葉が一番ぞわっと来た。

    20190825

  • 早紀と倫理委員会の長が接触することで、世界の真相がまた一段明るみになった。
    ようやく悪鬼と業魔に関する説明が為された。
    こんな風に、中巻では子どもと大人の世界が少しずつ繋がっていく感じがあった。(そして大人の都合によって、子どもたちが圧倒的な不条理を受けていたことが分かってしまう。)
    上巻での謎を解消しつつ、確実に下巻にバトンを渡す形となっている。

    一方で、早紀たち5人がバラバラになってしまうのが悲しくてたまらなかった。
    上巻では5人の運命共同体とも言えるほどの結束を見てきただけに、辛い気持ちで読んだ。

    一足先にすべてを理解して身を引いていく瞬に、心が締め付けられた。
    この世界の都合のせいで真理亜と守が離れていく様に、やるせなさを感じて仕方なかった。(でも、これがまさか下巻への伏線になっていくとは…。)


    中巻では、真相が明らかになっていく部分もあれば、より謎が深まっていく部分もあり、その塩梅がなんともちょうどいい。
    全く中だるみすることがなかった。むしろ、より引き込まれた。


    あと、瞬と覚、真理亜と早紀の間で、恋愛感情と言うか性的な接触があるのが個人的にはよかった。
    物語の中で説明があるけど、彼らがそのような性的志向を持つようになったのって、あくまで人為的と言うか、文化人類学的な原理をベースにしている。
    なので、その具体的な描写があることで、SF小説としての幅が広がっていたように思えた。

  • 物語がどこに着地するのか、非常に気になる。下巻へ急ごう。

  • 個人的な感情に邪魔されずに物語を読みたいのに、有無を言わさず怒りや悲しみに支配された。
    共感でも同情でもなく、他人を認める心と正しい知識が平和を作り出すと思う。疑いの目で教育され、知識さえ制限されている子供たちがどうやって健やかで曇りなき大人になるというのだろう。
    徹底的に管理された人間がほとんどの世界。本当の悪魔は誰なのか、しばし考えた。人によって答えは異なるんだろうと思う。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。96年『十三番目の人格-ISORA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2017年 『ダークゾーン 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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