新世界より(下) (講談社文庫)

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  • 講談社 (2011年1月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (560ページ) / ISBN・EAN: 9784062768559

作品紹介・あらすじ

夏祭りの夜に起きた大殺戮。悲鳴と嗚咽に包まれた町を後にして、選ばれし者は目的の地へと急ぐ。それが何よりも残酷であろうとも、真実に近付くために。流血で塗り固められた大地の上でもなお、人類は生き抜かなければならない。構想30年、想像力の限りを尽くして描かれた五感と魂を揺さぶる記念碑的大傑作! PLAYBOYミステリー大賞2008年 第1位、ベストSF2008(国内篇) (講談社文庫)


PLAYBOYミステリー大賞2008年 第1位

希望――阿鼻叫喚の果てに。
本当の敵は誰なのか。人間は舵を切り直せるのか。

大森望氏大絶賛!!
「傑作揃いの貴志作品の中でも、私見ではこれがきわめつきの最高傑作じゃないかと思う」――<文庫解説より>

夏祭りの夜に起きた大殺戮。悲鳴と嗚咽に包まれた町を後にして、選ばれし者は目的の地へと急ぐ。それが何よりも残酷であろうとも、真実に近付くために。流血で塗り固められた大地の上でもなお、人類は生き抜かなければならない。構想30年、想像力の限りを尽くして描かれた五感と魂を揺さぶる記念碑的傑作!

みんなの感想まとめ

壮大なSFストーリーが描かれる中、夏祭りの夜に起きた大殺戮が物語の幕を開けます。選ばれし者たちは、真実を求めて過酷な冒険に挑み、ヒヤヒヤドキドキの緊張感が読者を引き込みます。特に、バケネズミという存在...

感想・レビュー・書評

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  • 下巻は時間がポンと飛び、そしてラストは上巻の頭まで戻る、また飛ぶ。原稿用紙にして2000枚弱らしい超大作も、一気呵成に読めた。

    そこには著者の「SF入門篇」としての本書、という意図のコメントを、あとがきで読んで大いに納得でき、ひとつの謎が解けた気がした。

    確かにSFはとっつきにくいと思う人も多いだろう。専門用語や時代背景など、さまざまな事前知識があって楽しめるものもあり、どうしても知識の個々の濃淡で内容も左右される面が大きい。

    それを著者は、この作品で、ある部分はやさしく、ある部分ではSFとして成り立たせる工夫をやってのけている。
    分厚い文庫本で上、中、下巻と並んでいても、非常に読みやすい作品になっていて、読むのが遅い私が一気読みできたのも、まさに著者のおかげであり、SF的には少し物足りないなと感じるのも、ミステリーやファンタジーとして読めると感じたのも、著者の意図にまんまとハマっていたのだろう。

    それにしても「念動力、サイコキネシス」がこの世界では無制限時代を経て一つの枷、命の縛りプレーとなっていたり、1000年後、変貌した動植物の細かい描写などなど、著者の想像力の豊かさにも驚かされた。

    一読者的には、もっと深掘りできそうな、むしろして欲しいと思う設定や、あっさり片付いてしまった伏線が多く、それを書いても読者は着いて来そうな気がした。

    それでもこの不思議な未来世界を、擬似体験できてよかった。

    • タカツカさん
      いつもいいね!ありがとうございます。
      3巻読了されたのですね。
      長いこと積読してまして、読みたいのですが
      後回しになってしまっています。(´...
      いつもいいね!ありがとうございます。
      3巻読了されたのですね。
      長いこと積読してまして、読みたいのですが
      後回しになってしまっています。(´ε` )

      刺激をいただき、近々?よみたいと思いました!
      2026/05/12
  • 私の体調不良は、とうとうここまで来ても治りませんでしたが、おかげ様で家でゆっくりの時間を過ごし、新世界よりを一気読みすることが出来ましたー!!

    いつもは土日に一気に家事をするので、土日もなかなかゆっくり出来なかったりするのですが、雨だったってのもあったり、珍しく旦那も娘も、母ちゃんゆっくりしてなーと言ってくれたので、堂々とゆっくりできました(*´︶`*)

    私は皆様神様方と違い、速読ではないというか、むしろ遅読なのでこの早さは異例。
    それだけこの物語が面白かったということです。取り憑かれましたよー!


    この冒険譚!これが一番の面白さだったかも。敵に追われるヒヤヒヤドキドキバクバク感が凄い伝わってくる。あまり考えたことも無かったですけど、十二国記や、ジェノサイドが好きなのもこういう冒険譚なのかも!?


    あとは、バケネズミね。
    こいつは味方なのか?敵なのか!?
    これは上巻からずっと私の頭にこびりついていて、こいつを信じちゃいかん!信じるな!!と警鐘を鳴らしてましたね。


    最後まで、全然主人公も覚も別に好きではないままだったのに、なぜか面白かったな(笑)
    瞬が主人公じゃなくて、早季や覚を主人公にしたのは、何となく普通っぽいからですかね?
    普通の自分達でも何か出来るよ?って感じなんでしょうかね?

    いやいやでもでも、最近読んだ本の中では一番夢中になって読めましたよ!

    ゆーきさん、一休さん、雪さん、素敵な物語に出会わせて下さり、ありがとうございました(*^o^*)

    • bmakiさん
      ゆーきさん、ウルトラマンさん

      感想書く時は気をつけなければですね(⌒-⌒; )

      バケネズミは致命傷でしたね、きっと(^◇^;)

      小説読...
      ゆーきさん、ウルトラマンさん

      感想書く時は気をつけなければですね(⌒-⌒; )

      バケネズミは致命傷でしたね、きっと(^◇^;)

      小説読んでから映画に行くと、ネタバレしてるからいつも面白くないのかなぁ?
      映画見てから小説の方がいいんでしょうね、きっとo(^▽^)o
      2024/09/03
    • どんぐりさん
      まきさんお疲れさまです!

      なかなか体調不良しぶといですね_(┐「ε:)_
      早くスッキリ治るといいですね
      まきさんお疲れさまです!

      なかなか体調不良しぶといですね_(┐「ε:)_
      早くスッキリ治るといいですね
      2024/09/03
    • bmakiさん
      どんぐりさん

      ただいま会社終わりに医者に行ってきました。
      今更って感じですが、なかなか咳が止まらないので。゚(゚´ω`゚)゚。
      お薬貰って...
      どんぐりさん

      ただいま会社終わりに医者に行ってきました。
      今更って感じですが、なかなか咳が止まらないので。゚(゚´ω`゚)゚。
      お薬貰って帰ります( ̄^ ̄)ゞ
      2024/09/03
  • 壮大なSFストーリーでした。読み応えは凄い。ただ、疲れた。作品の作り込み的に、最後まで気が張り詰めちゃって、どんな終わりを迎えるのかをちょっと楽しみにし過ぎたかなぁ。期待値は超えなかった。
    終盤の展開は確かに凄かったのですが、好みの問題だと思います。人の行く末を皮肉った、想像を絶する未来だったことは、一つの結末として納得しようと。
    読み手として、ドヴォルザークの『新世界より』の雄大さと、その曲調からくるノスタルジーに浸りながら、柔らかく緩やかなストーリーからのギャップに終始違和感を覚え、『なるほどそういうことか』で最後はちゃんと腑には落ちる。ダラダラ書いたけれど、凄い作品だったなと改めて思うも⭐︎4つは変わらず。多くの人に読んで欲しいけれど、長いのでオススメし辛いです。

  • 夏祭りの夜、バケネズミの反乱、大殺戮が始まる。町の人々は呪力を尽くし立ち向かう。悪鬼と思わせる少年の出現に、最後の希望サイコ・バスターを求めて、廃墟となった東京へ向かう。
    東京の地下での死闘。悪鬼と思わせる少年の謎を解き明かすうち、バケネズミ達の真意を理解し始める。支配下にあったバケネズミ達の反撃。その理由が、彼らの遺伝子によって、新世界の過去の呪力者達の恐ろし策略によるとこがわかります。
    やはり、一番恐ろしいのは、ヒトですね。
    未来を描くSF小説の中でも、昆虫や動物の変異等からイメージさせる部分が多いので、年齢層の若い方達にも楽しめそうです

    • おびのりさん
      はーい(`_´)ゞ
      はーい(`_´)ゞ
      2023/04/01
    • 1Q84O1さん
      おびのりさん、貴志さんは嫌いになっていませんか〜?
      おびのりさん、貴志さんは嫌いになっていませんか〜?
      2023/04/01
    • おびのりさん
      嫌いにはならないけれど、他の作品は、もういいかなあー。
      嫌いにはならないけれど、他の作品は、もういいかなあー。
      2023/04/02
  • 長い主役達の半生記もいよいよ佳境。
    安全として大人達に守られてきた故郷の存亡の危機。
    危機を救うためについに故郷を出る。当然追っ手もかかる。
    ここで面白いのは高潔な敵が味方として付いてくるところ。でもこの敵は実は本当に味方になったのか?疑いは募る……
    戦いの中でのラスボスの出自もなかなか葛藤を誘ってくれる。倒して良いのかどうか悩む。

    それにしても冒険先で現れるクリーチャー達にはゾーーーーッとしっぱなし。全部ダメ。全部苦手。
    いやもうダメ。絶対ダメ。勘弁してください!
    読み始めて初めて流し読みした。
    あんなもんが現実に居たら生きちゃいられん。

    結末の結末で、そういうことか、となったところで頭を抱える感じ。
    なるほど奥が深い。
    今のところ我々の世界の人間は、見た目や言語、こなせる事の出来不出来があったとしても、人権は平等のはず。
    新世界では、どうだっただろう?
    互いを尊重できるだろうか。
    いや、今の我々の世界でも本当に互いの人権を平等に尊重しているかどうか。
    読み終わってそんなことを考えた。

    とにかく面白い作品だった。それは確か。

  • 好みの問題か、自分自身にはハマらなかった。3冊をあっという間に読んだが、結末がとにかく知りたくてスキマ時間というスキマ時間を全て読書に充てた。

    う〜ん、SFが苦手なのかもしれない。前に読んだ『指輪物語』も早々にリタイアしてしまったし、今回の作品はどこまでが実在するのか分からないので頭がこんがらがった。漢字や言葉もとにかく難しい…

    バケネズミの正体が何かは予想かついていたし、バケネズミの反乱はストーリー的に先が読みやすい流れでした。

  • 物語は下巻にして、序盤から最高潮!中盤で感じていた少々の中弛みを一気に回収してくれた。

    まるで呪術廻戦を観ているようなイメージだった。
    最初期から、説明されている最強キャラ鏑木肆星の実力がついに明かされ、バケネズミの恐ろしいまでの知略。病院での息詰まる程の緊張感。東京に潜むグロテスクな謎の生物群。といった見どころ満載の下巻。最後まで走り抜ける疾走感と満足感がたまらない作品でだった。

    あまりの戦闘のあまりの苛烈さに、種を超えた同情やそれによる、人間の傲慢さ。作中でそういった事に対し、誰よりも理解の深い主人公の早季ですら、
    根っこの差別意識には届いてないというのが印象深い。

    最近読んだ「ジェノサイド」や今回の「新世界より」など当たりが連続していて嬉しい今日この頃。

  • 人間 vs バケネズミ 最終章
    という感じでしょうか。
    わけわからないながらも、何気に入り込んじゃいました。

    人間様の身勝手さは、1000年後も今と変わりなし。1000年の間、何をしてたかね。
    人を殺したら自分も死ぬ。これは良い進化だけどね。

    奇狼丸、ありがとう。。。
    君は偉大なバケネズミだ!

  • 怒涛、壮大、ドキドキで読む手が止まらない
    自分が知る事のない千年後の世界

    ネタバレになるので中身には触れずにおきます。
    #2023年読みたい本



    ------
    呪力を得ても人は人
    人の業はこの世から消え去ることは無い
    大殺戮に悲嘆に暮れていた同じ人が、逆にそれ以上の惨虐、非道を求める
    虚しくも自ら繁栄と破滅を繰り返す
    そして進化する

    罪を憎んで人を憎まず。が持つ意味深さをジンジンと感じた。

  • 何百年の時を経ても人間って愚かですね。
    狭い世界しか見えなくて
    自分たちの幸せだけを守ろうとして
    あなた達が殺しているのは
    あなた達を脅かす敵ではなくて
    同じ人間なのに

    強い力を手に入れた時に
    使い方を間違えれば 争いがおきて

    「そうなる前に話し合えないかな」って
    アルミンも言ってたじゃないですかー!!


    あ、
    一昨日 進撃の巨人を全巻読み終えたんです
    なもんで 進撃と新世界が被っちゃうんです すみません

    「けっして信じたくはないが、新しい秩序とは、夥しい流血によって塗り固めなければ、誕生しないものなのかもしれない。」

    って、早季とエレンが重なっちゃうんです

    ともあれ 進撃全33巻と
    新世界 上・中・下の長い旅も終わりました

    未来を生きる子どもたちに 本当の平和がおとずれますようにと願うばかりです

    人間が悪魔や鬼になるのは強いからじゃなくて
    人間の弱さが鬼を産むんです
    だから猗窩座や黒死牟も……

    ってあれ?なんの話??

    あ、進撃の巨人か!

    あ、違う 新世界よりだ!!

    ✎┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

    蛇足かもしれないが、最後に、全人学級の壁に貼られていた標語を、ここに記しておきたい。
    【想像力こそが、すべてを変える】

    ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


    • ゆーき本さん
      いっきゅーさん
      ひゃっほーい\( ᐛ )/
      あとあれ読む!「天使の囀り」!
      「雀蜂」を楽しめれば貴志上級者!
      いっきゅーさん
      ひゃっほーい\( ᐛ )/
      あとあれ読む!「天使の囀り」!
      「雀蜂」を楽しめれば貴志上級者!
      2024/07/06
    • yukimisakeさん
      おめでとうございます!後は『天使の囀り』を読めば、いかに『雀蜂』が悲しい事になっているかが、お分かり頂けるでしょう!
      ネタバレありきでもいけ...
      おめでとうございます!後は『天使の囀り』を読めば、いかに『雀蜂』が悲しい事になっているかが、お分かり頂けるでしょう!
      ネタバレありきでもいけました?

      進撃はもう最後の方訳分からなくて、分からんまま終わりました。
      何の成果もー!得られませんでしたぁー!が一時期口癖でした。
      あ、呪術廻戦の新刊買い忘れてるのを急に思い出しました。
      2024/07/07
    • ゆーき本さん
      ありがとうございます(*´︶`)ノ
      ネタバレはやっぱり無かった方がよかった笑
      えーーーーーーー?!っていう驚きがなかった笑
      悪鬼の正体はビッ...
      ありがとうございます(*´︶`)ノ
      ネタバレはやっぱり無かった方がよかった笑
      えーーーーーーー?!っていう驚きがなかった笑
      悪鬼の正体はビックリしたけどね!

      ダークゾーンも読んでないんだよね。
      まだまだ貴志さん楽しめそう´▽`)ノ

      呪術廻戦もそろそろ終わるんかな
      終わらるまで次男に読ませてもらえないからなぁ笑
      2024/07/07
  • 今から1000年後の「新世界」で描かれる先史時代を思い起こさせる人々の暮らし、呪力を用いて生活する人々の心に埋め込まれたトラウマや洗脳、そして人と同じような知力を獲得したバケネズミ達。この混沌に満ちた、「新世界」が新たな争いと殺戮によりその「真実」が明らかになっていく。

    広大な世界観で上、中により語られたことの真実が少しずつ主人公の過去の記憶との現在の出来事との交差によって明らかになっていった。なぜバケネズミなる存在がいるのか、なぜバケネズミという存在は人に反逆をしてきたのか、人々が持つ「呪力」などの特異な力とは、そういったものの真実がラストに明らかになることでこの「新世界」の見え方も読者にとってひっくり返る構造は見事であった。

    こういったSFものは主人公だけが特別な力を持ち、自分たちよりも大きい勢力に対するレジスタンス的な側面が多い中、この作品は人々が「呪力」という特別な力を持ちつつも主人公に周りに比べた特殊性は一見すると無く、人間サイドも勢力図的には他のバケネズミなどと比べたら圧倒的に上位。そういった見慣れたSF世界との構造のズレ、近代兵器などでは無く先史時代を思い起こさせる争いといった時間のズレ、出てくる化け物の大きさなど私たちの世界とのズレ、など作者が30年構想した「新世界」の世界観は読み手にとってはとても新鮮な体験を与えてくれた。

    「化け物」とはいったいなんなのだろうか、「生きていく」ために必要な痛みや苦しみとはなんなのか、そしてこの私たちの世界の観念や文化、常識は1000年後の世界では果たしてどうなっていくのだろうか。読み手の「内的世界」も広げてくれる一冊。

  • 学園ミステリから始まり、種族間の軋轢や戦争、果てはモダンホラー。ラストにはゾッとした。枠組みはSFでありながら、様々なジャンルの面白さを詰め込んだような傑作。本当に面白かった。

  • 新世界より
    未来のどこか。
    誰かが渡辺 早季の手記を手にしたことが想像できる。

    以下、ネタバレ有り(備忘録)。

    全編に渡って早季の手記という設定ではあるが、そんなことは頭から消え去り、ストーリーの中に引き込まれる。当然、わたし(早季)の主観で物語は進む。

    複雑さは排除された、ストレートな作品だと感じる。
    特にバケネズミの思考は、序盤は難解な印象を受けたが、終盤には生き物としてごく自然な感情だ。人間の感覚と何ら違いは無い。
    それよりも奇妙なのは人間であり、自らの作り出した牢屋に、自ら閉じこもっているような存在に見えたことに、妙に納得させられた。

    現代から1000年後、人々は呪力を操り、平和を求めて自らの遺伝子さえも組み替えて、安心と信頼の生活を維持しようとしていた。

    下巻は上中巻に比べスピード感があり、人類とバケネズミ、そして悪鬼と呼ばれる存在の登場で、戦いや逃げ隠れする場面が次々と展開されてゆく。
    ハラハラドキドキの中で登場人物の会話に、自分も参加しているような感覚になった。自分の意見など全く聞いてもらえないことにイライラさえした......汗

    バケネズミの存在は物語の核心に迫るために重要な役割を果たしており、というより核心そのものなのかもしれない。
    人間が人間を殺すことなど有り得ない......
    「私たちは、人間だ!」

    おそらくこの世界では、年月と共に真実を解き明かすことは、これまで以上に難しいものとなるだろう。バケネズミの一部は核心に迫っていたのかもしれない......と個人的には思う。
    業魔、悪鬼、全ての不安は払拭されずに物語は終わる。
    不安とは何か。それは誰にとっての不安なのか。
    人類の歴史は続く。

    読了。

  • 【感想】
    異世界やSFという壮大なスケール感だけでなく、ストーリーや設定の構成の高さに鳥肌たちまくりの、非常に読み応えのある面白い作品でした!!!!

    今まで本作品を「和製ハリーポッター」と思いながら読んでいたが、呪力以外では全然そうじゃないかも。
    「風の谷のナウシカ」や、「約束のネバーランド」もプラスされたような、なんとも不思議な世界観のファンタジーでした。
    そう、この物語を一言で申し上げるなら、「壮大なスケールの世界観」!!この言葉に尽きるでしょう!!
    上中下巻とおして、ストーリー構成は勿論ですが、それ以上に本物語の世界観の完成度が凄すぎた!!
    (なんと、構想期間は30年もかかったとのこと!!これには貴志祐介先生には感服せざるを得ませんね・・・・)

    また、これほど非現実的なファンタジーであるのに関わらず、現実の世界でも通用するような教訓も沢山描かれていたのではないでしょうか?
    中でも特筆すべきは、やはりバケネズミと人間の関係性でしょう。
    主従関係に関してバケネズミが人間に抱く憎しみは、あながちフィクションでも何でもなくて、現実でも大いにあり得る事なのでは・・・なんて思ったりもしました。
    主人と奴隷という関係性だけでなく、上司と部下、雇い主と労働者、恋人同士や親子などの関係性でも、同じような感情が芽生えてしまう事ってあるのかも。。。
    そして、最終巻の最後の方で判明した「バケネズミは能力者ではないただの人間だった」という伏線回収には、本当に鳥肌ブッツブツでしたね!!!!
    小説を読んでこれだけ舌を巻くのは久しぶりかも。

    あと、上巻・中巻でまき散らされた伏線も全て回収されており、絶望を煽るだけ煽って尚中途半端に終わらせずに綺麗に物語が折りたたまれていく様は、読んでいて感心してしまいました。
    何故このような世界が誕生したのか、古世から今の世界まで成り立ちや歴史、人種、世の中の仕組みや現世のインフラについても綿密に書かれており、「こりゃ構想30年もかかるわな!!」と思いました。

    ただ、唯一難癖をつけるとすれば、真理亜のボカされた最期についてかなぁ。
    途中までは真理亜がラスボスになるかと予測いたし、キャラクターが立っていて良かった為、途中退場してしまったのは少しばかり肩すかしでした。
    (真理亜の最期については特に書かれていなかった?)

    あと、「歴史の傍観者に徹していた科学文明の継承者たち」は結局何をしたの??
    いつのまに能力者に「愧死機構」なんていう足かせがついてしまったの??
    等々、読み終わっても尚、余韻と一緒に色々な疑問も残りました。。。

    まぁ、それを差し引いても、十分すぎるくらい面白い作品だったと思います!!
    設定が凄まじくて、鳥肌たちまくり、舌巻きまくりでした。

    最後に・・・・
    夕方に家の近所でよく流れていたあの曲って、ドボルザークの「家路」って曲だったんだ!!笑
    てっきり、日本の民謡だと思ってました(笑)
    懐古の情に溢れるイイ曲ですよね。大好きです。


    【あらすじ】
    夏祭りの夜に起きた大殺戮。
    悲鳴と嗚咽に包まれた町を後にして、選ばれし者は目的の地へと急ぐ。
    それが何よりも残酷であろうとも、真実に近付くために。
    流血で塗り固められた大地の上でもなお、人類は生き抜かなければならない。

    構想30年、想像力の限りを尽くして描かれた五感と魂を揺さぶる記念碑的大傑作!


    【印象に残った文章や台詞】
    1.鏑木氏の卓越したカリスマ性がなければ、これほど容易くパニックを鎮める事は不可能だったろう。見事な人身掌握術だった。
    心から恐怖を追い出せるほどの強い感情は、怒りしかない。
    劇薬に頼るのと同じで危険だが、気付け薬には、それだけ強い刺激が必要なのである。

    2.我々の全種族を、お前たちの圧政下から解放することだ。
    我々は、高い智能を持っている。本来なら、お前たちと平等に扱われるべき存在なのだ。
    にもかかわらず、お前たちの悪魔の力によって尊厳を奪われ、獣のような扱いを受けてきた。
    もはや、お前たちを地上から一掃する以外に、我々の誇りを回復する道はない!

    3.多くの人が殺され、両親の安否すら分からない。今や、わたしたちには帰るべき町もないのである。
    不世出の能力者だった日野光風氏も鏑木氏も斃れ、わたしたちには悪鬼に対抗する手段は何一つ残されていない。
    だが、それでも諦めるわけにはいかない。
    将来に何の展望もないときこそ、本当の強さが試される。その意味でも、今こそが試練の時なのだ。

    4.野狐丸が秘かに描いていたグランドデザイン
    野狐丸のもうひとつの、そして真の目的は、託児所を襲って人間の赤ん坊を手に入れることだった。
    バケネズミによって託児所の子供たちを育て、さらに多くの子供を略奪して悪鬼の部隊を編成すれば、日本から極東アジア、いずれはユーラシア大陸全土から全世界を征服することさえ夢ではない。
    偉大なる、バケネズミの世界帝国の誕生だ。

    5.「もし、あの子が本当に悪鬼だったんなら、なぜ野狐丸たちは無事でいられるの?」
    どうして奴には、攻撃抑制も愧死機構も無効なんだ?

    あの子は産まれてすぐ両親から引き離され、バケネズミによって育てられた。
    だから自分のことをバケネズミだと思っている。
    自らをバケネズミだと思っているあの子には、同族であるバケネズミを殺すことはできない。
    しかし、異類である人間なら、何の逡巡もなく抹殺できるのである。

    6.「なぜ、人間に反逆しようとしたの?」
    「我々は、あなたがたの奴隷ではないからだ」
    わたしは、奇狼丸の言葉を思い出した。言っていることは、ほぼ同じである。
    「我々は、高度な知性を持った存在です。あなたがたと比べても、何ら劣るものではない。違いといえば、呪力という悪魔の力を持つか否かだけだ」

    7.「私たちは、人間だ!」
    一瞬観衆は静まり返った。それから、どっと爆笑が起きた。
    スクィーラが叫ぶ。
    「好きなだけ笑うがいい。悪が永遠に栄えることはない!私は死んでも、いつの日か必ず私の後を継ぐものが現れるだろう。そのときこそ、お前たちの邪悪な圧政が終わりを告げるときだ!」


    p518
    バケネズミが人間ではないかと、うすうす疑うようになったのはいつ頃からだろう?
    唐突に、夏季キャンプでミノシロモドキを捕らえた時に瞬がした質問が、わたしの脳裏に浮かび上がった。

    「奴隷王朝の民や狩猟民達は、呪力・・・PKがなかったんだろう?その人たちは、一体どこへ行ったんだ?」
    それに対するミノシロモドキの答えは、不得要領なものでしかなかった。
    「その後、現在に至る歴史について、信頼の置ける文献はきわめて少数です。そのため、残念ながら、ご質問の点に関しては不明です」

    背筋を、悪寒が走った。
    わたしたちの先祖である人々が、呪力を持たないそれ以外の人間を、バケネズミに変えてしまったというのか?


    【メモ】
    p146
    「さっき、2人殺されたのを見ただろう?5人いようが、100人いようが、所詮は同じことだ。悪鬼に対して、どう戦いようがあるんだ?いいから、向こうへ行け!」
    野口医師は、覚の胸を突き放す。
    一体なぜ、バケネズミの襲撃と軌を一にして、悪鬼が出現したりするのか?


    p153
    「奇狼丸の率いる軍が、どうして全滅したのか。いくら勇猛でも、相手が悪鬼では、ひとたまりもなかっただろう。」
    覚は言った。
    「それに、なぜ野狐丸が開戦に踏み切ったのか。バケネズミと悪鬼の関係はまだわからないけど。もし、僕の想像が当たってるなら・・・」


    p205
    「バケネズミに死を!」
    群衆は熱狂し、拳を振り回しなかまら、シュプレヒコールを繰り返した。
    鏑木氏の卓越したカリスマ性がなければ、これほど容易くパニックを鎮める事は不可能だったろう。見事な人身掌握術だった。
    心から恐怖を追い出せるほどの強い感情は、怒りしかない。劇薬に頼るのと同じで危険だが、気付け薬には、それだけ強い刺激が必要なのである。


    p222
    「兵士の命だと?くだらん。大義の前には、一個体の生命など、鴻毛(こうもう)のように軽いのだ」
    「その大義というのは何なんだ?」
    「我々の全種族を、お前たちの圧政下から解放することだ」
    「我々は、高い智能を持っている。本来なら、お前たちと平等に扱われるべき存在なのだ。にもかかわらず、お前たちの悪魔の力によって尊厳を奪われ、獣のような扱いを受けてきた。もはや、お前たちを地上から一掃する以外に、我々の誇りを回復する道はない」


    p225
    多くの人が殺され、両親の安否すら分からない。今や、わたしたちには帰るべき町もないのである。
    不世出の能力者だった日野光風氏も鏑木氏も斃れ、わたしたちには悪鬼に対抗する手段は何一つ残されていない。
    だが、それでも諦めるわけにはいかない。
    将来に何の展望もないときこそ、本当の強さが試される。その意味でも、今こそが試練の時なのだ。


    p254
    野狐丸のもうひとつの、そして真の目的は、託児所を襲って人間の赤ん坊を手に入れることだったのだ。
    12歳の、夏季キャンプに行った時の記憶がよみがえった。
    「土蜘蛛の女王が産んだ幼獣、それこそが貴重な戦利品。我々のコロニーの明日を支える労働力となるのです」

    「倍々ゲームどころじゃない」
    覚が蒼白な顔で言う。
    「最初は、真里亜たちの子供だ。その子が成長して、鏑木さんさえ対抗する術を持たない悪鬼となった。そして、その勝利で得た大勢の子供たちが、十年後みんな呪力を使えるようになれば・・・」
    わたしにもようやくわかった。これこそが、野狐丸が秘かに描いていたグランドデザインだったのだ。

    バケネズミによって託児所の子供たちを育て、さらに多くの子供を略奪して悪鬼の部隊を編成すれば、日本から極東アジア、いずれはユーラシア大陸全土から全世界を征服することさえ夢ではない。
    偉大なる、バケネズミの世界帝国の誕生だ。


    p298
    「サイコ・バスターとは、古代文明の末期に、アメリカで超能力者一掃計画に用いられた細菌兵器の俗称です」


    p464
    「我々が東京の地下を探索することにしたのは、今回と全く同じ理由からです。人類の古代文明の遺物である、大量破壊兵器を入手するためでした」
    「何のために?」
    わたしの質問に、奇狼丸は失笑を漏らす。
    「何のため、ですか?兵器が欲しいときは、通常コレクションのためではありません、使うためです。サイコ・バスター程度では力不足ですが、もし核兵器か大量破壊兵器を入手できれば、人類に取って代わり、我々の覇権を打ち立てることも不可能ではないと考えました」

    「すべての生物は、自らが生き延び、繁殖することを目的とするよう作られています。
    我々のコロニーに関しては、将来にわたって存続し繁栄することが、唯一無二の目的なのです。
    したがって安全保障上、あらゆる危険を想定し、対策を用意する必要があります。
    大雀蜂コロニーは傘下に多くのコロニーを抱えていましたが、敵対コロニーのみならず、すべての友好コロニーに対しても、急襲して皆殺しにするための戦闘計画が立案されており、必要ならいつ何どきでも実行可能でした。」

    奇狼丸は、淡々と続ける。

    「そう考えたとき、人類の存在が我がコロニーにとってどれほど大きな不確定要因であり脅威であるかは、容易に想像して頂けるでしょう。
    良好な関係とは、一体何でしょうか?
    我々は人類に対して忠誠を誓い、山海の幸を献上し、役務を提供することでようやく生存を許される立場です。
    しかし、それでさえ、いつ風向きが変わるか分かりません。」


    p475
    「もし、あの子が本当に悪鬼だったんなら、なぜ野狐丸たちは無事でいられるの?」

    「じゃあ、どうして奴には、攻撃抑制も愧死機構も無効なんだ?」
    「たぶん無効じゃないと思う。」
    「ごく単純に考えてみて?
    あの子は産まれてすぐ両親から引き離され、バケネズミによって育てられたんでしょう?
    だから自分のことをバケネズミだと思っているはずだわ」
    わたしの中でぼんやりと渦巻いていた考えは、今や確信に変わっていた。
    自らをバケネズミだと思っているあの子には、同族であるバケネズミを殺すことはできない。
    しかし、異類である人間なら、何の逡巡もなく抹殺できるのである。


    p480
    あの子は、悪鬼ではなかった。
    あの子には、本来何の罪もないのだ。
    両親をバケネズミに殺され、バケネズミによって育てられ、その命令により大量殺戮を行なった。
    自らをバケネズミと信じていた彼には、何の疑問も、良心の呵責もなかったことだろう。

    それだけではない。
    あの子はバケネズミの命令に対して、一切逆らうことができないのだ。
    バケネズミに対して強固な攻撃抑制と愧死機構に縛られているあの子は、文字通りバケネズミの奴隷なのである。


    p506
    「なぜ、人間に反逆しようとしたの?」
    「我々は、あなたがたの奴隷ではないからだ」
    わたしは、奇狼丸の言葉を思い出した。言っていることは、ほぼ同じである。
    「我々は、高度な知性を持った存在です。あなたがたと比べても、何ら劣るものではない。違いといえば、呪力という悪魔の力を持つか否かだけだ」


    p508
    「私たちは、獣でも、おまえたちの奴隷でもない!」
    この言葉で、聴衆の怒りは最高潮に達した。しかし、死を覚悟している野狐丸は怯まなかった。
    「獣でないとしたら、お前は一体何なのです?」
    スクィーラは、ゆっくり法廷の中を見渡した。
    「私たちは、人間だ!」
    一瞬観衆は静まり返った。それから、どっと爆笑が起きた。
    スクィーラが叫ぶ。
    「好きなだけ笑うがいい。悪が永遠に栄えることはない!私は死んでも、いつの日か必ず私の後を継ぐものが現れるだろう。そのときこそ、お前たちの邪悪な圧政が終わりを告げるときだ!」


    p518
    バケネズミが人間ではないかと、うすうす疑うようになったのはいつ頃からだろう?
    唐突に、夏季キャンプでミノシロモドキを捕らえた時に瞬がした質問が、わたしの脳裏に浮かび上がった。

    「奴隷王朝の民や狩猟民達は、呪力・・・PKがなかったんだろう?その人たちは、一体どこへ行ったんだ?」
    それに対するミノシロモドキの答えは、不得要領なものでしかなかった。
    「その後、現在に至る歴史について、信頼の置ける文献はきわめて少数です。そのため、残念ながら、ご質問の点に関しては不明です」

    背筋を、悪寒が走った。
    わたしたちの先祖である人々が、呪力を持たないそれ以外の人間を、バケネズミに変えてしまったというのか?


    p520
    愧死機構とは、いわば呪力による強制的な自殺なのだ。したがって、呪力がなければ愧死機構も機能しないことになる。
    「それで、邪魔になった人たち、呪力のない人間を獣に変えてしまったのね」
    わたしは、これまで自分の暮らしていた社会が、いかに罪深い存在だったかを悟って、戦慄していた。
    呪力を持った「人間」たちは、異形の姿へと変えられたかつての同胞たちを、獣のように惨殺し続けてきたのだ。

  • Audible!!

    『クリムゾンの迷宮』に続き2作目の貴志さん作品!

    今回はとにかくスケールが壮大。
    舞台設定がとても細かくて想像だけでこんなん書けたらそれこそ化け物だと思ったw
    Hunter Hunterのキメラアント的な世界を文字だけで再現してる感じかな〜凄すぎ!

    んで今回も貴志さんお得意?の無敵の化け物が大暴れで素敵でした。
    けどバトルだけじゃなくて人権とは的なことをさり気なく考えさせてくれる辺り、、脱帽です!

    スクイーラ君を推しにして聴いていたら、めっちゃ色んな顔を持っているとっても愛おしいキャラでした。目利き力ありかなw

  • 話の軸はシンプル、だと思う。
    そこへ肉付けの、町、生活、呪力、生物、やらの設定を複雑にして謎をばら撒く。
    でも軸がシンプルだから回収も上手く行くのか。
    と、中巻を読んで自分なりに考えていたけれど。

    甘かった…。
    そもそも、私なんかが半分読んだくらいで理解出来る世界ではなかった。
    下巻は思わぬ方向へ話が及び、さらにスケールが大きくなる。
    そしてこの下巻の前半は、それまで読んできた中で一番怖い!心臓がバクバクするほどに。

    後半からは、出てくる生物の気色悪さに我慢して、策略に感心して、やっと事態の終息を迎えるかと思いきや、そこからまた、見落としていた疑問の答えに戦慄する。
    上・中巻丸ごと伏線なのか…と白旗を上げるのでした。

    いつもなら途中で他の感想に目が行き、新しい本を物色しながら楽しみますが、今回はそんな余地はほとんどなく。
    1000年後の日本を舞台にした、壮大で綿密に練られたダークファンタジーに浸りきっていました。

    上・中・下、全てボリューム満点。
    下巻は500ページ超え。でも一番面白かった。
    濃密な読書でした。





  • H29.12.26 読了。

    ・上・中巻で主従関係に見えた人間とバケネズミの関係性が壊れ、突如バケネズミたちが人間に戦いを挑んできた。しかもバケネズミには、切り札的な存在が出現し、人間は窮地に追いやられる。いかにして人間はこの戦いを乗り切るのか?
    そして戦い終わったその後の世界は…。

    とても読みやすく、面白い作品でした。上・中・下巻と飽きずに読ませる貴志さんは、素晴らしい作者だと思います。

  • 日本なんだけど、異世界過ぎてなかなかついていけなかった。
    読み終わってからは、奥深い物語で面白かったな、と思ったけど、
    SFや異世界ものに馴染みのない私にはすこし難しかったです。
    けっこうはっきりとした性的描写があるので、苦手な方は控えた方がいいと思います。

  • 異種であること以外は人間と大差ないじゃない!と、スクィーラや特にキロウマルに肩入れしそうになるけれど…たとえ知性があり心の交流ができても、外見や匂い、発する音が人間らしくないだけで、きっと現実は共感できなくなる。小説で武士的キロウマルが一番かっこいい!と思った自分の理性と感情も、実際に対峙した時に、生理的嫌悪感という本能に勝る自信はない。

    生理的嫌悪感を超えられる人間がどのくらいいるのか。他者への共感の限界を突きつけられる。特に匂いが重要な気がする。

    現実世界での民族差別、障害者差別、動物愛護の限界にもつながる。(熊のニュースを見てもこの小説を思い返してた)人間とは何か、他者とは何か、共存とは何かを問い続けられていて、今年読んだ小説で一番おもしろかった。

  • 大きな犠牲と苦闘の末の勝利。
    ここまでの冒険譚も圧巻だが、そもそもの敵とは結局は元をただせば同胞だった。呪術を使える人類は使えない人類をバケネズミに変えて膝下においてきたという事実。これからも鬼や魔が現れてくるだろうという予感のなかで物語は終わる。読み終えてしばし茫然とする。


    作品紹介・あらすじ
    夏祭りの夜に起きた大殺戮。悲鳴と鳴咽に包まれた町を後にして、選ばれし者は目的の地へと急ぐ。それが何よりも残酷であろうとも、真実に近付くために。流血で塗り固められた大地の上でもなお、人類は生き抜かなければならない。構想30年、想像力の限りを尽くして描かれた五感と魂を揺さぶる記念碑的傑作。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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