パラダイス・クローズド THANATOS (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 50
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062768689

作品紹介・あらすじ

周囲の人間に不審な死をもたらす「死神体質」の兄・美樹と、発生した事件を解決する「探偵体質」の弟・真樹。変わり者のミステリー作家が孤島に建てた館・水鱗館に向かった二人は、案の定、不可解な密室殺人事件に遭遇する。双子の少年と新米刑事が活躍する人気シリーズの第一作。第37回メフィスト賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 設定も話も面白いとは思ったけど、薀蓄が長い。
    大倉家での水槽の前での薀蓄語りが5ページくらいあって流石に辟易した。
    せめて、3ページまでにしてほしい。
    薀蓄をあれこれ書くならば、興味のない素人でも耐えれるページ数に収めて書いた方が読み手に優しいし、楽しめる。そして何より挫折しない(笑)
    以下感想。

    最後のオチが凄く好みだった!笑
    本格ミステリ作家からの挑戦状をビリビリに破いて捨てた、もしくは、焼却処分みたいな感じかな。
    ミステリ作家、犯人の瀬尾からの挑戦状を解かずに、警察に委ねる。
    これは本格ミステリ派には耐え難い屈辱。
    まさに今回の復讐として最も相応しい。
    本格ミステリ作家ならではのトリックを駆使して殺人を犯した相手にとって、その謎を探偵に解かれず、警察の徹底的な科学見地からの捜査は屈辱だろうな。

    それにしても、真樹と美樹、大倉が死亡した次の朝にはもう入れ替わってたのか。
    気づかなかったわ。
    熊井と話してたのは、ほんとに真樹だとばかり思ってた。
    美樹もあんな風に振る舞えるんだな、やろうと思えば。
    自分が入れ替わりに気づいたのは、美樹に扮した真樹が輪堂に閉じ込められた後、取り乱した真樹もとい美樹が落ち着いて高槻と二人っきりで話した水槽のあたり。
    あのときはもうあからさまに美樹全開だったから流石に真樹じゃないなと気付いた。
    ただ、高槻と同様、あの夜部屋から出てきたのはどっちだったのか気になる。
    ベッドの側で震えてたのはどっちだったのか?
    何故出てきた方は首にタオルをしていたのか?
    疑問が残ったよな、あのシーン。
    双子は奇妙な関係性なんだな。
    美樹からすると真樹は寄生虫なのか。
    でも、尽くしてくれるだけで充分だと思ってる。
    しかし、真樹はそれだけじゃダメ。
    美樹は、今回自ら閉じ込められることに同調した真樹の心境が分からない。
    真樹からは、美樹のことどう思ってるんだろう。
    美樹は、真樹が絶対裏切らないのは信じてるんだよな。
    寄生虫は、宿主を決して裏切らない。
    美樹は、真樹が先に裏切るような馬鹿ではないと確信してる。
    そんな真樹は、美樹のために命を張ってでも生かそうとすることが出来る。
    うーん、真樹は一体何を考え、思ってるのか…。
    共生の話は美樹がしたけど、あの話を踏まえると、美樹の死神の力によって死なないために、美樹を命懸けで生かし傍にいることによって自分が長らえるためなのかなぁ、と。
    ただ、双子にはまただまだ深い闇、開かない密室があるだろうから、それが垣間見えるまではなんとも言えないな。
    今の関係性が最初からだった訳じゃないよな。
    今の関係性に落ち着いた頃の話を読みたい。
    きっとそこが双子の原点に繋がってる。

    湊参事官が個人的にかなり好きかも知れないキャラ(笑)
    これからもっと出るのかな?
    どんなキャラか知りたいわ。
    非常にセンスが良いのは読書感想文の本でよーく分かった(笑)

    今回は総合的にはイマイチだったけど、話の設定や構成は良いから次も読む。

  • 内容及び雰囲気を含めて駄目な部類に入る。ミステリや推理小説としても中途半端。どこの部分に作品としての魅力を置いたか理解できなかった。

    事件・トリックと水生生物の関わりは大いにあるが、ここまで水生生物の説明は必要かな?

    でしたらもう少し登場人物の心理的な部分をきちんと描写して欲しい。登場人物に引き込まれる事も無く、トリックも、あっそ。ぐらいで読了。

  • 薀蓄は楽しく読んだけど、なんかムリくりすぎない?
    あ、はい。って感じで終わった。

  • 本格を否定していくような本格っぽいものという感じかな。
    ミステリというよりキャラ小説という印象が強い。
    ミステリと思って読むと拍子抜けするかも。

  • 一卵性双生児の美樹と真樹。個人的にこんな賢い若者は大好きだ。でも、難しい。セリフが全部、論文かと思うくらい。それでも、又この双子に会いたくて次のシリーズも読んでみたい。

  • メフィスト賞受賞デビュー作。

    特殊な能力?体質?を持つ兄弟の周りで起こる事件。
    絶海の孤島、館に閉じ込められる招待客という本格を象徴する状況。
    そして全てを壊す謎解きの場面。最終的に探偵を排除し解決を警察に任せるという超展開。

    面白い試みで本格好きなら楽しめると思う。

  • 文章が軽くてサクサク読めるのに反して、内容はがっつり本格派ミステリ、という印象。
    設定なのか、それとも軽さゆえなのか、どことなく今まで読んできたミステリーとは雰囲気がだいぶ違ってびっくりしたけれど、新鮮で面白かった。
    魚とかあんまり詳しくないんですけど読んでて興味出てきますね。

    この双子すごく気になります。
    二人にしかわからない領域があるんですかね?これからの話で明かされていくのかと思うと楽しみです。

    それにしても美樹の覚醒モードは本当に怖かった。

  • 辛口すぎて非公開。

  • 2015年7月1日読了。
    2015年85冊目。

  • THANATOSシリーズ1作目。第37回メフィスト賞受賞作。
    個人的印象は、さすがメフィスト賞、という感じ。
    海洋生物への愛に溢れている、溢れ過ぎている。
    本格ミステリーのようで、アンチミステリーのような。
    人によって合う、合わないがはっきり別れそう。

  • 薀蓄についていけなかった。

  • 最初はやたらめったら出てくる蘊蓄が鼻につき、キャラを立たせる為に、度を越えて人命を軽んじるような言動を双子に放たせているように思えて、不快に感じたりもしたのだけれど、最後まで読み終えて、(ミステリを、というよりかは、双子に何があったのか、というミーハーな?好奇心から)続きも読んでみたいという気持ちが湧いてきたのでした。

  • 『ヴァン・ダインの二十則』や『ノックスの十戒』など、ミステリーのあらゆる『決まり事』をぶち壊した推理部分は驚愕ものでしたが、根本的に本格ミステリーをおちょくっている感じで癪に障りました。
    また、密室や双子トリックはアンフェア気味。魚や自然に関する蘊蓄は本筋にはあまり関係がなく、苦読する値打ちがありませんでした。
    何だか著者が楽しんで書いたという感じのイタイ作品でした。

  • メフィスト賞受賞作だそうだ。
    当時の書評で「本格ミステリーを真っ向からぶっつぶすミステリー」みたいな評価をされたそうだが(文面のとおりではない)そんな感じ。
    本編と関係ないうんちく(まったく関係なくはないけど)部分が長い小説が苦手な人はあんまり好きではないんではないかな~と感じる。

  • メフィスト賞受賞作だそうだ。
    当時の書評で「本格ミステリーを真っ向からぶっつぶすミステリー」みたいな評価をされたそうだが(文面のとおりではない)そんな感じ。
    本編と関係ないうんちく(まったく関係なくはないけど)部分が長い小説が苦手な人はあんまり好きではないんではないかな〜と感じる。

  • また騙された…いつも双子もの読んで騙されているのに…
    密室トリックも生物云々も(私にとって)難しかったが全体としては面白かった。こるもの作品は初めて。
    次も読もうか、検討中。

  • 「完全犯罪研究部」を読んでからのこちら。
    先に読んでいたらあっちにはまた違う楽しみ方があったのだろうと思わせる(十分面白かったけども)
    やっぱりいろいろぶっ飛んでるという印象ですが、やっぱり嫌いじゃない。
    以前は、「登場人物に共感が持てないと面白くない」という考えがあったんですが、その概念は覆されました。面白いものは面白いんだなぁ。
    双子のキャラも好きですが、高槻も極めちゃってる感じが好きです。シリーズ楽しみ。

  • 3- 

    ただ“美少年”と書けばそれだけで美少年になってしまう。
    小説って不思議。

    本格を否定しているように見せかけておいて実は何も否定していない。物語内ルールに則ってあくまで論理的に出来事を説明していっているにすぎない。見せかけの否定と根本的な肯定がまるで循環しているかのような構造こそが本作の狙いなのではないかと感じる。まるでモナコ水槽である。いやむしろウロボロスかもしれない。

    ただその説明がくどい。地の文は語り部である刑事の一人称視点で、終始つっこみを入れながら説明する形を取る。まるで知人のブログを読むような気恥ずかしさがある。もう少し緩急があると良いのだが。終盤になると断定型を取らなくてもよいところでもひたすら断定型で言い切るので、胡散臭さが増し、詭弁と取られかねない。故に説得力が下がる。そんな説明を終盤繰り返すものだから余計にくどく感じる。この繰り返しは強調というよりも、単に著者の自信のなさの表れだ。
    ちょいちょい差し込まれるサブカルネタはさむいし、満を持して開陳されるDSネタもバレバレだ。そもそも双子の立花兄弟といえば政夫と和夫だ。

    ただまあお魚蘊蓄は結構面白かったが。

  • 面白かったです。キャラクターや設定は、さすがメフィスト賞作品という気がしました。
    ミステリなんだろうけど、悪く言ってしまえばキャラ萌え小説の感は否めない。双子と刑事さんのキャラクターが受け入れられない人は駄目だろうな、と思う。
    私はわりと気に入りました。

    ただ、主人公側の人たちはいいのだが、容疑者側というかミステリ作家陣の個性が薄くて誰が誰だかわからないという感じがしました。だから誰が犯人でも意外性がないというか…。そこがちょっとミステリとしては残念でした。

    とりあえず続きは読んでいきたいと思います。

  • 愉快痛快唖然茫然。  
    “本格”をぶっ壊せ!!   
    してやられたなぁ。  ガツンッときた。   
    長々とした薀蓄にはちょっと辟易もしたけど、そこから哲学に繋げたのはなかなか興味深かった。   
    第37回メフィスト賞受賞作。  これまたぶっ飛んだミステリーだった。

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著者プロフィール

1977年生まれ。大阪府出身。
追手門学院大学文学部卒。
『パラダイス・クローズド』で第37回メフィスト賞を受賞し、2008年にデビュー。
以来、「THANATOS」「完全犯罪研究部」「レベル99」シリーズ上梓のほか、ドラマCDのシナリオも数多く手がける。
2018年に上梓した『火の中の竜 ネットコンサルタント「さらまんどら」の炎上事件簿』 (メディアワークス文庫)が、新聞や小説誌の書評コーナーに取り上げられ、大きな話題に。
近著に『レベル95少女の試練と挫折』『五位鷺の姫君、うるはしき男どもに憂ひたまふ 平安ロマンチカ』『探偵は御簾の中 検非違使と奥様の平安事件簿』『探偵は御簾の中 鳴かぬ螢が身を焦がす』『FGOミステリー小説アンソロジー カルデアの事件簿 file.01 』(共著)などがある。

「2022年 『探偵は御簾の中 白桃殿さまご乱心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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