好かれようとしない (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062768740

作品紹介・あらすじ

デートの経験もある。男と寝たこともある、一度きりだけど。二十五歳の二宮風吹は「必死」が苦手。恋に飢えた顔を晒すぐらいなら地味で結構。そんな私が一目惚れするなんて。鍵屋の若旦那を想う気怠く、もどかしい日々。攻め手が分からない。そんなときアパートの大家が言った-「好かれようとしないことよ」。

感想・レビュー・書評

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  •  恥がかけない、必死になれない女性・風吹が、一目惚れをきっかけに足掻くようになる、そのみっともなさこそが人間臭くて魅力的。

  • 2012/6/10
    ちょいとニヤニヤする本。
    自分が”女の子”するのがとてつもなく恥ずかしいというのに共感。
    私ごときを好きになるような男は嫌だっていうのも非常によくわかる。
    ヒロエ・Oと鍵屋の関係は理解できん。
    「あれこれ思うは人の心、ふっと思うは神の心」は実践したい。
    ふっと思ったことはやろうぜ!私。

  • めちゃくちゃ面白かった。
    凄かった。

    と、幼稚な言葉しか出てこなかったのが残念なくらい。
    何度も何度も表現の妙にページをめくる手が止まったし、
    発想力と連想の連鎖に思考を巡らせた。
    朝倉かすみの描写の、リアルさと小説らしさ
    そのありかたのバランスの取り方、それが非常に好みなのである。

    あらすじ。
    25歳風吹、何にも必死になろうとはしてこなかった女。
    というとやけに嫌な女に聞こえるけれども、いわゆる「必死かっこわるい」というスタンスではなく、「待っていてもいいじゃない」くらいのもの。
    その健全な水のような風吹が恋をしたのは、鍵屋だった。
    旅行帰り、スーツケースの鍵が開かなくて
    大家さんに紹介してもらった鍵屋。
    一目惚れだった。
    もっと見たい、声がききたい、風吹は彼女なりの勇気をふりしぼって行動を起こしていく。
    その一つであるベリーダンス教室に通ったことで
    風吹は自分の身体の存在を自覚し、
    自分にはない美しさを持つベリーダンスの講師のヒロエ・Oが
    自分の片思い相手である鍵屋と特別な関係にあることを知る--。

    という感じです。
    いやもう本当に、文章だけでも最悪読めちゃいます、
    っていう文体フェチの方がどのくらいいらっしゃるか
    私にはわからないんですが、
    この本はそういう方にもうってつけです。
    それでいて物語もおもしろいんだから、たまったものじゃありません。
    お手上げです。

    「鍵」というキーワードで
    鍵を開ける、錠前を閉める、という展開になっていた時点で
    もうぞくぞくしてたまらなかったのですが
    鍵師の過去が語られるに至って
    「ああ、これも鍵がかかっていた部分なのか」と気付きました
    どれだけ意味を持たせるのか
    どれだけ緻密に構成されてるのか
    同じ表現の多用も目立つのですが、それが実に効果的なんです

    かれの声を指してオブリカード、ハーモニクス
    と風吹は陶酔するのですが、
    それが回を重ねるごとに読者にも伝播してくるようで
    いつのまにか私も陶然として風吹の前にいる「彼」を思うのです

    風吹というのも変わった名前で最初は馴染みにくいな
    と思ったんですが
    中盤あたり、彼女が奮闘する章を読み終わったところで
    「やったじゃないか風吹!鍵屋の錠前の間から風を吹かせたな!」と
    彼女を拍手喝采して気付きました
    鍵がかかっていても風は入り込むから風吹?
    いや考えすぎかなあ

    これは誰にでも勧められる本だな、と私は思います。
    読んでいて静かに恋心に浸るとか、しんみりするとか、そういうのとは逆!
    どんどんテンションが上がっていくんですね。
    そうだよねそうだよねわかるよ!って、叫びだしたくなってしまう感じ。

    とびきりのガールズトークを聞いているような感じでもあり、
    王道の少女漫画を読んでいるようであり、
    そのくせきっちり文学作品しているのですから、
    ノックアウトされない筈がないですよね。

    この本、ピカイチです。
    朝倉かすみの中でも一位か二位を争うほど好きです。

  • 各章のタイトルは秀逸。
    主人公の女性にはなかなか感情移入できず「拗らせてんなあ〜」という導入後からの、愛嬌チラリで「でも、可愛いのかも?」と思わされ、「ふーん、可愛いトコあるじゃん」と、少し歩み寄ったかと思うと女同士のマウント合戦を見せられて「うわ……地雷案件」と距離を取りたくなる。
    読み手によってかなり印象は変わる作品。


    主人公が一目惚れする鍵屋の男も最初はさっぱりとした爽やかさ、途中から狡猾な色気、そして「うへぇ」というなんとも落ち着きのない、実に人間臭い部分を見せつけられて、この「カッコいいじゃん」と「は? なんだ、コイツ」を行き来させられる。

    途中から「なるほど」と納得も行くし、コミカルな部分も多くて、ちょっとしたラブコメ映画が脳内再生される感じ。

    個人的には大家さんが素敵だと思ったけど、よく考えてみると大家さんは自覚して、自白しているし、過去の話だからなんとなく受け流せるけど、なかなかにえぐい色恋の流れがあって、登場人物はほどよく美しく、愛らしく、忌々しく、哀れ。

    大きくネタバレではないと思うけど、最終的には全てが落ち着くところへ落ち着いていく感じ

    同作家さんの他の作品を読んだことがないので、手探り感だけど、呼吸とリズムは自分とは馴染めた。

    表示と内容から若い女性向け作品かなという感触で、どこかそわそわする、落ち着かない作品だった。

  • ストーリーは面白かったけど、表現に回りくどさを感じたりして、難解ではないのに読みづらかった。時間の前後もわかりにくかったなぁ。
    好みの文体ではないのかも知れない。

    あと、全編にわたって何度も出てくる「オブリガート」「ハーモニクス」って何?
    著者が一人で舞い上がっているみたいで
    痛々しい感じだった。

  • なかなか読み進められなかったけど、
    読み終わったら「あーあっというまだったなー」となった。

    最初は麻里も大家も落合もヒロエも嫌な人ーとおもってたけど、
    読み終わるころには、なんか好きになっていた。

    最後がよかったなー
    最後の鍵屋の言葉がよかった

  • 2017/09/07

  • 片思いの主人公に、アパートの大家が伝授した言葉
    「好かれようとしない」ことよ

  • ゆげちゃん。
    鍵屋
    ヒロエo
    大家

  • なかなか読み進められず、半年かかって読了。
    ふわふわした表現を繰り返すのがあまり好みではなくて。
    でも設定は好みで。
    最終的に望みどおりの結果になったから良いか。
    脇役の詳しい事情がわからないままだが。

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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