10歳の放浪記 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062768757

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  • 【本の内容】
    「お父ちゃん、明日はご飯を食べられる?」―昭和35年、10歳の著者は父と共に東京・池袋でホームレスとして暮らしていた。

    健気に生きる少女を支えてくれたのは、貧しくも心優しい人々だった。

    40年以上も胸に秘めてきた、つらく悲しい記憶を辿る著者の心の旅。

    生きる人すべてを勇気づける児童作家の自叙伝。

    [ 目次 ]
    放浪への序章(椎名町;大塚;狭山貯水池;鮫洲;滝野川;高尾山)
    放浪の始まり(九十九里村;根津八重垣町;池袋;秋津;房総へ)

    [ POP ]
    芸人なら自分の境遇をネタにできるが、一般にはハードルが高い。

    惨めさ、辛さを客観的に語るには、主観(=親)の死を待たなければならないからだ。

    著者は1950年生まれ。

    小学校教員を経て、児童文学者に。

    長年封印してきた記憶を解き放つ自伝だ。

    時は昭和35年、舞台は池袋周辺。

    戦争未亡人の母は戦後、父と一緒になり、主人公「なこ」を産んだ。

    事業に失敗した父は、酔っては高学歴で気位の高い母を殴り、やがて生活は困窮。

    なこは日雇いの仕事をする父と簡易宿泊所を転々とする。

    子供は学校に行くのが仕事とはよく言ったもので、なこには行く所がない。

    お父さんを捜すという名目で映画館に潜り込み、いよいよお金がなくなればパチンコ屋の床から玉を拾い、親切な従業員の操作で現金を稼ぐ。

    極道のあんちゃん、床屋のお姉さん、食堂「もうからんや」の店員など、西のじゃりン子チエ周辺には負けるが、関東ローム層にだって人情味の幾ばくかはある。

    “人間の価値は学歴で決まる”というリフレインはわびし過ぎるが。

    なこが新聞で読むように、昭和35年は17歳の少年が浅沼社会党委員長を刺殺した年。

    その山口二矢繋がりで、以後の2号を続けます。

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    [ 参考となる書評 ]

著者プロフィール

『さんまマーチ』でデビュー以来『さんまラプソディー』(国土社)『コロッケ天使』(学研)『ぼくのおじいちゃん、ぼくの沖縄』(汐文社)『わすれたって、いいんだよ』(光村教育図書)、ホームレス同然の暮らしをした体験をつづった『10歳の放浪記』や、『月と珊瑚』(講談社)などたくさんの作品がある。作家活動と並行して児童館の館長を務めたほか、埼玉県教育委員会の教育委員、同委員長も務めた。現在、沖縄在住。

「2021年 『シェフでいこうぜ!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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