さざなみ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 89
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062768832

感想・レビュー・書評

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  • アリガタ迷惑なんてことは確かにありうることで、想像の翼を広げれば広げるほどこの連鎖は空恐ろしくなる。序盤の食いつきが弱いのが難か。

  • 2016.06.25

  • 再読する。多分、2度目のほうが味わえると思う。ホントは著者の別作品が読みたいなと思っていて、そちらへの期待もこめての★3つ。

  • 変わった構成の作品なのだが、それが災いしてか、今ひとつ物語にのめり込めなかった。

    『カタブツ』『あやまち』の面白さに比べるとはるかに劣る。

  • この現代において「執事」をやる羽目になった借金まみれの男。
    何かを渡す事に苦心するも、それが叶わず苦しむサラリーマン。
    それぞれの幕間に差し込まれる、ちょっとした人々の話。

    「水の中に小石を落とすと、その周りに輪になって広がっていくでしょ。たとえていうと、そんなふうなものが見てみたくなった」という女主人の無理難題をクリアするため、にわか執事が考え出したアイディアとは。
    そして、広がっていく波紋の反響はどこへ返っていくのか。

    断片的に語られる話が徐々にまとまっていく、恩田陸『ドミノ』や伊坂幸太郎『ラッシュライフ』に似た構成。
    こちらは「話が一つにまとまっていく」というより、「根っこが繋がってくる」、という感じ。
    全体の構成が巧く、内容もテーマやタイトルとよくマッチしている。

  • 空き時間にサクッと読むにはちょうどいい小説。バラバラの話がやがて収束していく感じを、どれだけ楽しめるかですね。伊坂幸太郎ほど巧みではないけど、清涼院流水ほどカオスでもないです。

  • 買って読むの忘れていたので1年経って、読み終わった。

    3つのストーリー(秋庭/奥山/その他)が少しずつ進んでいく。

    その中で唯一分かるのが秋庭の話くらいで、奥山が何に対してあのような状況になっているのかも不明、そしてその他(CASE○という形で毎回登場人物が違う)なんか「?」状態で進んでいく。

    最終的に理由は分かるんだけど、それでも「え?」ってなった。個人的にはそれらが「伏線」とも思えなくて…。

    謎に対して「ワクワクすること」よりも「よく分からない」といった気持ちの方が大きいまま読み進めた感じ。

  • ①とある貴人の執事となり、彼女の無理難題に応える借金まみれの男
    ②他人に親切を働くため、困った人を探す中年サラリーマン
    ③いろいろな人物が入れ替わり立ち代り物語を紡ぐ
    この3つが順繰りに進む。

    まず借金男の場面以外、よく意味がわからないまま進む。
    特に③は、男に会うため田舎町に来たのにペディキュアが剥がれてしまい除光液とマニキュアを探しさまよう女、ATMで金を振り込みたい男、宗教の勧誘を始める女、ヒッチハイクの振りをした強盗などが唐突に主人公となり意味不明。

    最終的に、借金男が貴人の願いをかなえるために考えた策略がすべてのはじまりだとわかる。
    そして話は繋がり、確かになるほど、よくできている、なんだけど。
    八合目あたりまで意味不明だからそのもやもやが強く残ってしまった。
    借金男の策略がイマイチ納得がいかなくてもやもやである。

    登場人物に共感できず、今一歩。

  • 「シマウマは白地に黒なのかしら、黒地に白なのかしら」
    思わずこの質問の答えを真剣に考えてしまった。
    絹子さんの思いつきから発生した白(善意)とも(悪意)とも判別しきれないグレーゾーンの波紋。
    ほんとうに、水面に広がっていく波紋のように目を凝らさないと見えないけれども、見えるところでははっきり判別できる。
    「ペイ・フォワード」のようでもあるが、そこまで脳天気に善意だけでもない。
    まさしくこの小説の雰囲気そのものがグレーな感じだった。
    心がほっこりしかけて、ふと小さな氷の塊に気づいて瞬間冷える。そんな感じ。
    沢村さんの4文字シリーズはこれで全部読んだことになるが、これがいちばんグレー度が高い気がする。
    「いい話だった!」と言い切ることもできないし、「悪を堪能したぜ」とも言えない。
    ものすごく面白いというわけでもないが、決して退屈でもつまらなくもない。
    3つの視点のうち「奥山史嗣」という人物の話がいちばん胸に迫ったかも。

    世の中のことはそう簡単に白黒つけられないんだよということか。

  • 繋がりの見えない3つのストーリーが交互に繰り返される進み方は、繋がりを探しながら読むから面白い。扱ってるテーマはとても興味深かった。でもなんだろう、もう少し煮詰めてうまみを凝縮させたいような、ちょっと物足りない感じが残った。

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著者プロフィール

1963年広島県生まれ。鳥取大学農学部卒業。91年に日本ファンタジーノベル大賞に応募した『リフレイン』が最終候補となり、作家デビュー。98年、『ヤンのいた島』で第10回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞。骨太な人間ドラマで魅せるファンタジーや、日常のひだを的確に切り取るミステリーなど、様々な世界を展開している。その他の著作に『瞳の中の大河』『黄金の王 白銀の王』『あやまち』『タソガレ』『ディーセント・ワーク・ガーディアン』『猫が足りない』「ソナンと空人」シリーズなど多数。

「2023年 『旅する通り雨』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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