新装版 ムーミン谷の彗星 (講談社文庫)

制作 : 下村 隆一  山室 静  冨原 眞弓 
  • 講談社
3.89
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本棚登録 : 1305
レビュー : 148
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769327

作品紹介・あらすじ

長い尾をひいたおそろしい彗星が地球にむかってくるというので、いつも静かなムーミン谷は大さわぎに。ムーミントロールは仲よしのスニフと遠くの天文台へ出かけ、彗星をしらべてくることに。道中、スナフキンや可憐なスノークのお嬢さんと友だちになるけれども、ぐんぐん彗星は近づいてきて……。

世界中で愛されているフィンランドの作家、ヤンソンが描く「ムーミントロール」のお話は全部で9つ。このお話は、幻の第1作「小さなトロールと大きな洪水」が発表されるまでの長い間、第1作とされていたものです。

感想・レビュー・書評

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  • 小学生くらいのときに一度、ムーミンシリーズを読んでみようと思ったのですが、途中で挫折しました。
    …というのも、登場人物たちがみんな自分勝手だと思ったから。
    私の目には、彼らが超マイペースだったり、自分のことばかり考えているように映っていました。
    「お姉ちゃんだから我慢」と言われることの多かった私は反発したくなってしまったのです。

    今回読んでみたら、ずいぶん印象が変わっていて驚きました。
    彼らのマイペースさや好きなことを好きなようにやっている感じは"自分が自分らしくふるまえて、周りもそれがあたりまえだと思っている"…ということなのですね。
    そう思えたのは、自分が大人になったこともあるし、長女の呪縛を気にしなくなったからかもしれません。
    彗星接近という大ピンチにも関わらず、自分の蒐集している切手のことばかり考えているヘムルのことも「しょうがないなぁ…」と苦笑しながら温かい目で見守る余裕ができていました。

    ムーミントロールが、スノークのお嬢さん(アニメだとフローレンでしょうか)を大切にしたい、という気持ちがひしひし伝わってくるのがよかったです。
    スナフキンから彼女の話を聞いたときには「女の子はみんなばかだよ」なんて言ってたくせに。
    男の子のかわいらしい一面にほっこりさせられました。

  • 脇を固める有名登場人(?)物、初お目見えらしい。
    子供たちが、自分の狭い世界から飛び出す
    ちょっとした冒険から始まって、
    世界の終りとそれにも動じない風変わりな大人たちと
    出会いながら主人公たちが成長する冒険物語?
    それにしてもムーミンママ呑気だね~
    そしてスニフちゃんは、もうちょっと周りを見て、
    空気読もうよ。
    感傷的で正常な主人公の『星の王子様』
    クレイジーな仲間と悲観的主人公の
    『銀河ヒッチハイク・ガイド』
    自分の中では、それらと同種

  • 過去、何度か読みかけたが、憂鬱なきもちになるので挫折。
    「不安」と「孤独」と「世界の終わり」についての寓話。…J.G.バラードっぽいんだよね。

    干上がった海底を、竹馬で歩くムーミン一行の情景が、寂しくも美しい。
    「ムーミン谷の黙示録」あるいは「ムーミン谷のアルマゲドン」で。

  • 初ムーミン(本屋に洪水が売ってなかった)。
    思ってたよりずっと暗い雰囲気。暗いというよりは不安か。解説にあるように戦争の雰囲気を引きずってるというのもわかる気がする。
    赤で星だもんな。まさにソ連。そう考えると彗星に対する発言や、カタストロフを連れてくるだのひとりぼっちで気が狂ってるだの、洞窟に隠れるシーンなど、防空壕に避難する家族、いろいろとまたちがった読み方ができる。
    ま、それはさておき、ムーミン谷の話として楽しんで読めたから、それはそれで。

  • こんな不安な雰囲気もびっくりだし、スナフキンやらスノークのお嬢さんとかとの出会いもこれが始めてで驚いたけども、何より〝ムーミントロール〟という単語の衝撃。

  • 無邪気で朗らかな反面、根底に横たわる不安感を無視できない。
    それぞれブレないキャラクターを持ちつつも、悩みうろたえ動揺する姿がとても人間的。
    平和で優しさに満ちた世界に見えるけど、意外と登場人物たちは冷めているよう。
    例えば、自己肯定感が低くわがままばかりのスニフに手を差し伸べたり咎めたりする者もなく、まさに彗星迫る中でのママの愚かで呑気な行為を諭す者もなく、基本的にみな他人に強いて影響を及ぼそうとしない。
    自分は自分、他人は他人、干渉せずという思想が、可愛らしいキャラクターたち全員に備わっているように思う。
    そのアンバランス加減が世界から愛される理由なのかしら、と思った。
    そんな奇妙な魅力がクセになる。
    また、おしつけがましい訓戒が込められているわけでもなく、ただ日々が記録されているような淡白さも気に入った。

  • ムーミン一家がムーミン谷に落ち着いたところから始まるけれど、彗星がどんどん近づいてきてムーミン谷の近くに落ちるということがわかるという、ディザスターな設定。
    第二次大戦の傷跡が残っていることがわかる切ないお話。アニメとは違うシビアなテイスト。面白い!

  • 冒険を経てムーミン達の新しい故郷となったのもつかの間、世界の何もかもが不吉にどす黒くなってしまったムーミン谷。じゃこうねずみの「地球がほろびる」と言う予言を受けて、ムーミンとスニフはまだ知らぬ天文台へ繰り出した。道すがらスナフキンやスノークのおじょうさんと友達になり冒険は賑やかになるけれど、恐ろしくどこか寂しげな赤いもの、彗星は刻一刻と谷に近付いていて――

    最近パペットアニメーションも公開&発売された第一作目。小さなトロールと~も大概だったけどこの作品の終末感もすごい。何と言うか第一作目なのに最初からクライマックスである。ムーミンの都市伝説に「人類が滅んだあとの世界」って言うのがあったと思うけどもしかしなくともこの彗星の印象の所為ではあるまいかひょっとして。空が黒いのも怖いけど海が干上がったりしてるのもすごい怖い。スノークが「カタストローフ」と言ってたけどそのオンパレードな気がしました。でも破壊があって創造がある、不安があって平穏があるもので彗星が去った後は次に来るのが「たのしいムーミン一家」であることからもわかる通りの平穏(かどうかは未読なので知らんけど)ですね。最初の二作にあえて危機を持ってきたからこそ後の作品が引き立つのだろう。あとこういう世界の終末がやってきてもあんまり慌ててないママとかパパとか自分の趣味が第一のヘムル(ヘムレン)さんとかマイペースかくありたし、みたいですごく面白かったw
    スナフキンが出てきてから読書のスピードあがったのでわかりやすい奴だと自分でも思います。スノークのおじょうさんのこと最初に聞いた時はいけすかない奴みたいな風に思ってたのに夢に見ちゃってたりピンチを救ったりとかしてめっちゃムーミン可愛かったしおじょうさんのこと好きなんじゃん…って愛しくなった。解説にもあったけど彗星について「みんなにこわがられるようになると、あんなに、ひとりぼっちになってしまうのさ」と言うスナフキンの言葉や「彗星って、ほんとにひとりぼっちで、さびしいだろうなあ…」と言うムーミンの言葉に切なくなった。今もあの彗星はひとりぼっちで宇宙のかなたを行方もわからないままぐるぐるしているのだろうか、なんて思ったりもしてしまうよね。

  • 表紙が素敵だったのでついつい購入。今年(2014年)は色んなところでムーミンを見かけるなあと思っていたら、トーベ・ヤンソンの生誕100周年の年なのだとか。
    本の内容は、イメージ的に小学生くらいの子どもたちがわいわい騒ぎながら冒険しているような感じで、良いものや手柄は全部自分のものにしたいスニフの存在が際立っていました。挿絵も綺麗なので、そちらも楽しめます。

  • ムーミンやしきに転がり込んできたじゃこうねずみの「地球が滅びる」という予言により、ムーミントロールが仲間のスニフと原因究明の旅に出るという物語です。
    旅の途中、放浪の詩人スナフキンやスノークの兄妹に出会い…
    かつてのテレビアニメでもおなじみムーミンの物語です。
    実をいうとアニメはあまり覚えていないのですが、作者のヤンソン自身の挿絵も豊富で、すんなりと世界に入り込むことができました。
    結構大変で大きな出来事を扱っている割には、最初に思っていたよりも話が飄々と淡々と進んでいく感じがありました。
    ☆一つ減らしたのは、そのイメージの違いに少し戸惑った部分があっただけで、決してつまらないという意味ではないです。
    シリーズの残りも楽しみに読んでいきたいです。

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著者プロフィール

1914年フィンランドの首都ヘルシンキ生まれ。ストックホルムとパリで絵を学ぶ。1948年に出版した『たのしいムーミン一家』が世界中で評判に。「ムーミン」シリーズ全9作のほか、伝記的作品に『彫刻家の娘』、短編集に『少女ソフィアの夏』がある。(ともに講談社)。2001年6月没。

「2019年 『リトルミイ ノート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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