新装版 ムーミン谷の十一月 (講談社文庫)

制作 : 鈴木 徹郎  冨原 眞弓 
  • 講談社
4.05
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本棚登録 : 436
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769396

作品紹介・あらすじ

ものさびしい気配がおしよせるムーミン谷の十一月。ムーミン一家に会いたくて、ムーミン谷へ行きたくて、集まってくる六人。
ムーミンママになぐさめてもらいたいホムサ、ひとりでいるのがこわくなったフィリフヨンカ、自分でないなにかになりたいヘムレンさん、養女にいった妹のミイに会いたくなったミムラねえさん、ずっと昔にいったムーミン谷の小川で気ままにすごしたくなったスクルッタおじさん、五つの音色をさがしにムーミン谷へもどったスナフキン。
ところが、ムーミン屋敷はもぬけのから。待てど暮らせどムーミン一家はもどってきません。六人の奇妙な共同生活がはじまります。

「ムーミン」シリーズ最終巻!

感想・レビュー・書評

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  • ムーミン谷での穏やかな生活に、ついに我慢ならなくなったムーミンパパ。
    パパのイライラが頂点に達し、追い詰められたムーミンママは、パパの希望を叶えるため灯台のある島への引っ越しを決める。どうなるムーミン一家!?

    今までで一番暗い話ですね。住みよい我が家を離れて孤島に住み、心を病むママ。
    パパは身勝手だ!というご意見も頷けてしまう作品ですが、まあそんなパパを選んだママですから結局は凹みっぱなしではない。
    家族って、みんな善良で淑やかで賢ければそれで良いってものでもないのかも知れません。ガタガタ・トゲトゲでもなんとか転がっていくのが家族なのかも。

    9冊あるムーミンシリーズを最近になってちょくちょく読み、残すところ後一冊。
    新装版は装丁が美しいです。揃えるならこれかな。BOXもあるし。

  • ものさびしい気配がおしよせるムーミン谷の十一月。ムーミン一家に会いたくて、ムーミン谷へ行きたくて、集まってくる六人。ムーミンママになぐさめてもらいたいホムサ、ひとりでいるのがこわくなったフィリフヨンカ、自分でないなにかになりたいヘムレンさん、養女にいった妹のミイに会いたくなったミムラねえさん、ずっと昔にいったムーミン谷の小川で気ままにすごしたくなったスクルッタおじさん、五つの音色をさがしにムーミン谷へもどったスナフキン。ところが、ムーミン屋敷はもぬけのから。待てど暮らせどムーミン一家はもどってきません。六人の奇妙な共同生活がはじまります。「ムーミン」シリーズ最終巻!
       
    ムーミンの再読・初読をしてようやく全9巻読み終わりました。最終巻の本書は初めて読んだ一冊です。前作『ムーミンパパ海へいく』でムーミン親子とミイがムーミン谷を去ってしまったため、最終巻なのにムーミン一家は登場しません(これにはビックリしました)。でも、スナフキンたち6人がムーミン一家を思い出すと、不思議とムーミンたちの姿が頭に浮かんできます。全編を通して冬の訪れと夜の雰囲気をまとったお話しですが、ラストシーンは決してムーミン物語の終わりではなく、これからもムーミンたちの楽しい生活が続いていくことを予感させてくれました。

  • この巻は前の巻と対になっているなと感じた。新たな生活と驚きとを求めてムーミン谷から灯台の島へと移住したムーミンパパとフィリフヨンカ、ヘムレンは、皆普段の生活にうんざりし、今の自分とは違う立派な者になりたいと望む。無茶したりイライラしたりを繰り返す内に、何か他の者になるのでなしに、自分が本当にやりたいこと、やらずにいられないことを再発見してまた自分の家へと帰って行く。彼らはすごく大人気がなくて、時々イラっとするけど、どこか身近な感じもする。空想(妄想?)を大きく膨らませ過ぎホムサも少し怖いけれど可愛らしい。
    対するミムラ姉さんとスナフキンには大人というかどっか悟っているとこに100%好感持てたけど、実際にはいないよなこんな人…じいさんは、ただただめっちゃ怖かった。

  • 五つの音色をムーミン谷に忘れたスナフキン。幻想でなく本物のムーミンママに会いたいホムサ。ムーミン一家に会うため会いに旅に出かけるフィリフヨンカ、ムーミンパパに話したいことがあるヘムレンさん。さあ、あの谷へ、あの一家のもとに行こう。そうして彼らはムーミン谷に向かうが、そこにムーミン一家の姿はなくて――果たしてムーミン達は帰ってくるのか、それともこの谷を捨てたのか? ムーミン不在の冬迫る谷で、一家の帰りを待つ人々の奇妙な共同生活が始まった。ムーミンシリーズの最終作。

    これまでのムーミンシリーズに比べて章が細かく分かれていたので読みやすかった。読書のペースがとみに落ちてるので一日一章か二章くらい目標を定めて読めたのがよかったね。
    ムーミン原作の最終巻、なのに肝心のムーミン一家が不在!どことか、前作のことを考えるとムーミン谷に永遠に戻ってこない可能性もある……不在によって存在を描くといった「タイトルロールの不在」型の物語ですな(そんな類型ちゃんとあるんかいな)
    フィリフヨンカ、ヘムレン、ホムサ、そしてスナフキンまでもどこかしら欠陥を抱えた人たちがみんなムーミン一家に会いたいと思って谷に集うのに、そこには誰もいない……(スクルッタおじさんとミムラ姉さんはいたけど)なんか一家が望んでも得られない奇跡や理想のように描かれてて、でも徹底して登場する気配は見せないので、ああ……もうムーミンたちは永遠にいなくなっちゃったんだなあ……ととにかく切なくなった。なんでこんな終わり方にしたんだよー!ヤンソンのばかやろー!そもそも海に行くの時点でなんかおかしかったんだよー! って精神的に泣きわめいてた
    でもムーミン一家に成り代わったかのようになし崩し的に共同生活をするって言う筋書きは好き。考えてみればそれぞれがなんかムーミン一家の存在として描かれているような。フィリフヨンカはママ、ヘムレンはパパ、そしてホムサがムーミン……かな? ある意味では「海」と対比出来そうな気もする。ちびちび無視がモランっぽいなと感じたもので。
    最後の方、それぞれが自分のやるべきことやしたいことを見つけて家へ帰っていくっていう筋書きもすごくいい。こういうのにも弱いんですよ。そんで最後のさいご、深い森の中でホムサの幻想が失われていくっていうのも一見残酷なようだけど新しい世界が開けたような感じがして前向きに感じた。何より、ラスト!ラスト!!あれはホントにムーミン一家なのかな?って疑いもあるけど、一つ成長したホムサへの最高のご褒美のようだったし、何より私も救われた。ガチでもう帰ってこないんだろうなって思ってたら…! なんか帰ってきたドラえもんみたいだけど、希望の灯りを灯してくれてよかった。これがなかったらムーミンは今ほど世界で愛されてはいないでしょう…… 今度はコミックスも読んでみたいな!あとアニメも見たい。

  • ムーミン一家のいないムーミン谷。
    暗くて魅力のないキャラクターばかりが活躍するお話( ほめてます)だけど、一生懸命に生きていてよかった。ずっと本を読み続けるホムサが印象的。

  • 「ムーミンパパ海へ行く」を読んだ後だったので、いつものムーミン谷のほのぼした雰囲気に少しほっとした。ムーミン一家がいなくなった家に友達が集まっていつの間にか共同生活が始まる。不思議な事にムーミン家の人達は誰にも何も告げないで灯台の島に渡ったようだ。

    ここに集まった人達はミムラ姉さんを別にして、本来1人でいることの好きな人達なんだ。誰かと関わるのは少々面倒で煩わしい。それでいてやっぱり誰かと関わっていたくてムーミン家の雰囲気を求めてやってきた。お互いの存在を気にかけ、時に気に障り、時に気遣う中で、それぞれ自分らしさの断片をみつけて、少しほっとしていつもの生活に戻って行く。

    「ムーミン谷の夏祭り」にしろ「ムーミン谷の冬」にしろ、このシリーズはキャンプをしているようなムードが漂う。誰しも通常の生活の中で生きている。しかし時にいつもと違う暮らし方をやってみると、それまで見えなかった自分の暮らし方や自分自身が見えてくる。

    このシリーズ、「夏祭り」までは楽しく読み進めることができたが「冬」以降はだんだん読むのがキツくなってきた。
    でもせっかく出会えた本なので、いずれ時機を見て読み返してみたい。

  • ムーミンのシリーズはどれも好きで、小学生の頃から定期的に読みつづけていますが、
    大人になってからはこの「ムーミン谷の十一月」がいちばん好きかもしれない。
    今年も十一月が来たからまた読んだ。

    ムーミンシリーズなのに、ムーミン一家が登場しない本。
    ヘムレンさんとかフィリフヨンカとか、どこか生きづらそうにしている脇役たちばかりが登場する本。

    フィリフヨンカが無心でハーモニカを吹くところで、いつも感動します。

    トーベ・ヤンソンは、人の心の微かな動きを言葉にするのが何と上手いんだろう。
    そしてフィンランドに行きたい。

  • ムーミン一家が出てこない ムーミン谷の話し

  • シリーズ8冊通しての感想です。

    今読むと、ムーミン谷って天災多いですね(苦笑)。よって大別すると、天災から逃れて漂流する系の長編と、ムーミン谷周辺のさまざまなキャラクターにスポットを当てたホームドラマ系の2種に分けられると思います。個人的に好きなのは、後者のキャラもの短編のほう。登場人物はみんな人間ではありませんが、なんか身近に「あるある」「いるいる」系の、ちょっと一癖ある変なキャラが面白い。妙に理屈っぽかったりネガティブなキャラも多いし、こういうとこ、大人むけですよねえ。

    好きなキャラは昔から変わらずスナフキンで、次点でミムラ姉さん、ミイ、ムーミンママも大好き。キライなのもこれまた変わらずムーミンパパ。ムーミンパパものの2作は何度読んでもイラっとする(苦笑)。ずらっとまとめて読んだトータルの感想としては、翻訳者がまちまちなので、各キャラクターの言葉遣いが安定しないのがちょっと気になりました。言葉遣いってイコールキャラの印象に直結しちゃうと思うので、もうちょっと繊細に扱ってほしかったなあ。

  • 留守にしているムーミン家に、スナフキン、ミムラ姉さん他、何かをムーミン一家に求めて集まった人々が晩秋をムーミン邸で過ごす異色作です。合わない個性が噛み合わないまま過ぎていく気まずく重苦しい共同生活です。自己不信を抱え存在意義を見失いつつある自分を変えたい、見詰め直したいフィリフヨンカやヘムル、内面世界を生きるホムサなど、読者が感じる自分の問題を登場人物の中に見出すこともあると思います。私はいつも“がんばれフィリフヨンカ”と応援していました。終り方は希望の持てるものでした。これは童話ではなく純文学ですね。

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著者プロフィール

1914年フィンランドの首都ヘルシンキ生まれ。ストックホルムとパリで絵を学ぶ。1948年に出版した『たのしいムーミン一家』が世界中で評判に。「ムーミン」シリーズ全9作のほか、伝記的作品に『彫刻家の娘』、短編集に『少女ソフィアの夏』がある。(ともに講談社)。2001年6月没。

「2019年 『リトルミイ ノート』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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