小さなトロールと大きな洪水 (講談社文庫)

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本棚登録 : 775
感想 : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769402

作品紹介・あらすじ

パパはいないけど、もう待っていられない。冬がくる前に家を建てようと、ムーミントロールとママはおそろしい森や沼を抜け、荒れ狂う海をわたって、お日さまの光溢れるあたたかい場所をめざします。第二次世界大戦直後に出版され、世界中で復刊が待ち望まれていた、ムーミン童話シリーズの記念すべき第一作。

感想・レビュー・書評

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  • トーベヤンソンは、祖父母が建てた大きな家で、彫刻家の父と画家の母の長女として、1914年に生まれる。1歳半の時にお母さんの真似をして、絵を描いていたという。それから、絵を描き物語を作るのが好きだった。本人は、お母さんを目標として、画家を目指した。
    父親は、トーベが3歳のときに勃発したフィンランド内戦に政府側の兵士として戦争に行く。幼い頃の思い出が、その父親がいないことが、お母さんと一緒にパパを探す物語のモチーフになる。
    美術学校にも行き、絵の才能が認められ、展覧会にも出品していた。しかし、フィンランドにソビエト軍が押し寄せ、ドイツ軍と手を組むことで、ユダヤ人狩りも行われた。父親は、その政府の立場を支持していた。トーベヤンソンは、その戦争好きで、ユダヤ人を排斥する父親に反対して、衝突し、絶縁状態にもなる。絵を描いても、戦争によって色彩を失われていくことで絵を書くのを断念する。トーベヤンソンは、ムーミンの物語を書き始めて、1945年の戦争中にこの物語を作り発表する。
    トーベヤンソンは、童話にはハッピイエンドが必要だと考えていて、パパ探しは、パパと会うことと大きな家を見つけることとなる。トロールとは妖精の意味で、叔父の家に少女の頃泊まった時に、お腹が空いて冷蔵庫でつまみ食いをする。そのことで、叔父から、暖炉の裏からトロールが、出てきて首筋に息を吹きかけるという話から、熟成されてムーミントロールとなる。この第1作は、まだムーミントロールはふくよかではなく痩せている。パパを探す時に、いつも母親は力強く困難を乗り越えていく。青い髪の美しい少女チューリッパ、大変な怖がりのスニフ、パパはニョロニョロと一緒に旅をする。
    そんな中で、大きな洪水で流されたパパを発見するのだ。
    私は、ムーミンの物語って、もっとほのぼのしたものだと思ったが、戦争の中で苦しんだトーベヤンソンがあったことを初めて知った。そして、彼女は、戦争に男はいくのだからといって、恋をするが結局子供を産まないという決断さえもする。そういう背景が、豊かな詩情あふれ、パパに対する思いを綴る物語を紡ぐ。

  • 文庫版で再読。

    ムーミンシリーズの最終巻になってはいるが、実はこれが幻の第一作目で、ムーミンの物語はここから始まる。これには他のおとぎ話の要素も含まれており、まだ確固としたムーミンの世界は出来上がっていないが、これはこれで楽しい。この本も含めムーミンシリーズで一番重要なのは、ムーミンママの偉大さということではないかと。わがまま勝手な登場人物を、懐の深いママがしっかりまとめている。かといって口うるさいわけではないし、パパよりもむしろ責任感が強いママは母親の鑑だなと思う。それが一番分かるのがこの幻の第一作目だと思う。

  • ムーミンの最初のお話 ムーミンパパが家を出て行ってしまった理由がよくわからなかったけど ここからムーミンの話が始まったのねぇ~感は、十分味わえました!!

  • 少し文字の多い絵本のような感じ。
    ムーミンのママが少しイライラしている姿に新鮮さを覚えた。

  • 一気読みしました。他作品と比べるとボリューム控えめです。ムーミンたちは最初からムーミン谷に住んでるイメージしかなかったので、ムーミン谷に住む事になった経緯があり、そこからシリーズが始まっていったと知り、感慨深いです。あとママ、パパ大好きなんだなと。会いた過ぎてスニフへの対応辛辣(笑)

  • ここから始まったムーミンの物語。いなくなったパパをムーミンとママが探しにいく。スニフも同行。ニョロニョロも登場。ムーミンの物語を読んでいると一緒に森の中を彷徨っている感じがする。闇と光の物語。この暗さと眩しさは北欧フィンランドならではのものなのかなと思う。

  • 挿絵が可愛い。

  • ムーミンとムーミンママが、住む家を探す最中にかつて家を出て行ったムーミンパパの消息を掴み、旅先で出会った仲間たちと共にムーミンパパを探す話。
    ムーミンシリーズ第0作目と言える本作はとても短く、そして可愛い挿絵がいっぱい。キャラクター設定も定まっておらずニョロニョロに足が生えていたり、ムーミンもママもスリムだし、ママはけっこう感情的で過激。第1作以降のものに比べて、対象年齢を下げたような語り口。執筆時に戦争の影が落ちていたこともあり暗い森の中を進みながら家族との再会を願い涙する。いろいろな意味でシリーズにとって重要な位置にあるだろう。

  • 初ムーミン。ムーミンってこんなかんじなんだ、かわいいなあ。続きも読まねば。

  • 長年、ムーミンが読みたいな、と思いながらもあまり良いイメージがなかったので躊躇していた。
    子どもの頃にアニメを見ていたことから興味を持って本を読んでみたのだけれど、あまり面白くなかった記憶があるからだ。

    大人になって手にした今、意外にも楽しめた。

    これは、ムーミンシリーズの1番初めの物語だが、邦訳されたのは1番最後だと言う。
    著者のトーベヤンソンの当時の心の中や世界情勢が反映されているのか、明るくスッキリとはならない。

    スニフは昔から嫌いだった。今でもやはり苦手に感じるけれど、ほんの少し、どこか愛らしく思えるのは私がそう思えるだけの経験を積んできたからなのだろうと思う。大人になってから再読することの面白さを改めて感じたように思う。

    ムーミンパパはどこかにいなくなってしまっていたが、ムーミンママとムーミンは住処を求めて旅に出る。
    2人は道中で小さくて怖がりだけど見栄っ張りのスニフと出会い、ともに来るように促す。

    洪水に巻き込まれ、大変な思いをするものの、ムーミンパパと再会。パパがひとりで建てた家も見つかり、新しい生活が始まる。

    もしかしたら、この時代はこういう家族が多かったのかもしれない。戦後の日本にも通じるところがあって、読み終えた時にはどこかほっとする気持ちになった。

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著者プロフィール

1914年、フィンランドのヘルシンキ生まれ。1945年にムーミンシリーズ第1作目『小さなトロールと大きな洪水』を出版。以降書きつづけられたムーミンの童話、絵本、コミックスは世界中で評判となり、いまも愛されるロングセラーとなっている。2001年6月逝去。

「2021年 『ムーミン ぬりえダイアリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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