虚夢 (講談社文庫)

著者 : 薬丸岳
  • 講談社 (2011年5月13日発売)
3.83
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769716

虚夢 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 舞台は北海道。
    ある雪の日。
    三上佐和子と娘の留美は通り魔事件に巻き込まれるのだが、刑法三十九条「心神喪失者の行為は、これを罰しない。心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する」が犯人を保護することとなった。
    この事件を機に三上夫妻は離婚する。
    事件から4年後、三上のもとに元妻佐和子から「犯人を見た」との連絡があり…

    薬丸岳さんの本は4冊目になります。
    初めて読んだのが3か月前のこと。
    何で、今まで読んでこなかったんだろうと、改めて思っています。
    精神を病んだ加害者と刑法三十九条。
    とても重く、難しいテーマを描いたこの本は、ずっしりと心に響きます。
    重いテーマだけに、読み進めるのがしんどいと感じることもあるのに、読み進めないわけにはいかない。
    一気に読み切りました。

  • 刑法39条
    本の刑法は39条において、心神喪失者を責任無能力として処罰せず、また、心神耗弱者を限定責任能力としてその刑を減軽することを定めている。

    犯行時の責任能力が問われなかったとしても自分自身の罪の重さを自覚できるような精神状況にまで回復したとき、自身の罪を何を持って償う事ができるのだろう。
    その現実の重さに、病ゆえに罪を犯してしまった人は耐えられるのだろうか?

    基本的に被害者目線での展開ではあるが、
    だからといって一辺倒な描かれ方ではなく、
    大きな問題提起を含む作品。
    正義と悪はそれぞれの立場によって白にも黒にもなる。

  • 心神喪失者だから罰せられない。
    心神耗弱者だから刑が減軽される。
    となると被害者の気持ちはどこへ持っていけばいいのだろうか。
    加害者も病気だから行動を抑制できなかったわけだし、その周囲の人々も辛い思いをする。
    加害者、被害者ともに厳しい状況だなぁ。
    悪用する人が出ないことを望む。

  • 刑法39条の問題を取り上げた意欲作。
    心神喪失者は、重大犯罪を犯しても、39条によって罰せられない。しかし、被害者およびその家族の感情・気持ちは、どう折り合いをつければよいのか、加害者にどう立ち向かえばよいのか。
    加害者の人権は守らなければならないが、それでは被害者の救済はどうするのか。
    そんな市民感情を反映して、(一般の犯罪が対象であるが)裁判員裁判では、刑の厳罰化の傾向が表れている(しかしながら、加罰の均衡性を重視する最高裁等で否決修正されてしまっているが)。
    作者には、こういった避けては通れない問題に今後とも、果敢に取り組んでもらいたい。
    なお、この作品には、319頁以降、推理小説ならではのサプライズが用意されている。何とも楽しめる贅沢なエンターテイメントといってよいだろう。

  • ちょうど名古屋で女子大生が人を殺してみたかったという事件があったばかりで、これも精神鑑定して、異常が認められ、罪が軽くなるのかなー、たまらんなーと思っているときに読んだので、やっぱり精神鑑定とか基準が不明だなって強く思った本。
    怨恨による殺人以外の、通り魔的な事件は精神異常だからやることであって、それを理由にお咎めなしなんてありえない!と思う。
    あ、本の感想は面白かった。良い意味で裏切られ、ナルホドーー。

  • 心の病を抱えた人々と 日々関わっている身として、
    とても考えさせられる作品だった。

    精神疾患を抱える人とその周囲の人と
    全く関わりを持たない人の間に立つ壁が高すぎて、
    社会的にもっと 何かできないものか、
    訴えるのは簡単だけど、本当に 難しい問題だと思う。

  • 刑法39条心神喪失者の行為は罰しない

    幼い娘が殺されたのに犯人は
    統合失調症で不起訴。
    裁判にもならず、
    犯人の言葉を何1つ
    貰えないまま終わらせられてしまう。

    ラストというか、妻の手紙は驚愕。
    犯人への復讐なんかよりも
    もっと大きな、社会や医師たちに
    対しての復讐、問題提起でした。

    少年法に対して考えた時も思ったけど、
    加害者に対する人権が
    守られすぎだよね。
    精神病の人たちに対しても、
    罪を犯した人に対しては
    入院が終わってからも
    なにかしらの縛りを設けないと。
    作中でもあったけど、
    癌だったら治ることもあるし、
    癌の人を見て、
    その苦しみを想像したり、
    理解することができる。
    でも統合失調症に関しては
    それらが全くできない。
    難しい問題だけど、
    もっと密な決まりを作らないと
    被害者は苦しいだけだ。


    2017.4.28 読了

  • 出だし初っ端から結構キツい内容。
    目の前で娘を殺されると言うハードな出だし。
    一層の事、一緒にあそこで死ねればラクだったのだろうな、と佐和子と自分を置き換えてつい考えてしまう。

    精神の病を持つ青年が犯人なのだが、これまたいつ自分の身に降りかかるかと考えると更に怖い。

    しかし作者も作中で触れていた通り、精神病を患っている人が起こす犯罪率より、健常者が起こす犯罪の数の方が多いと言う事実。
    こことても大事な所ですね。

    闇雲に恐れる事はしたくない。


    娘を殺された夫婦、どうにか頑張って生きていって欲しいと思ったのですが、何だかそれすらも酷な言葉に思われます。

  • 読めば読むほど苦しくなった。
    登場人物がみんな苦しく悲しい。
    統合失調症の藤崎に子供を殺された夫婦。
    何人もの人を通り魔的に殺しても刑法39条によって精神を病んでいた加害者は4年もすれば社会に解き放たれるという現実。
    それを逆手にとって自ら犯人と同じ統合失調症を患った演技をして復讐を計画する佐和子。

    よく殺人をした加害者に対して責任能力だとか、心神喪失状態だとかいう言葉を聞くけど
    被害者にしてみたら加害者の精神状態なんて全く関係のない話。
    精神が病んでいたら殺人しても罪に問われないなんてやっぱりおかしくないか?

    読後も重い気持ちになったけれど、考えさせられた。

  • 通り魔無差別殺人事件に、我子が、巻き込まれて、死亡してしまう。
    かばった妻も、重体に陥るが、命は助かる。
    しかし、子供を失った心の傷は、治らない。
    妻は、自ら、自分を精神異常者に、なるように仕向け、殺人を犯した、精神異常者が、刑法39条で、守られていることに、矛盾を感じていた。

    殺人犯なのに、少しの期間で退院し、普通の生活をしているのを、目のあたりにして、復讐に燃える。
    その殺人犯と、心を通わす、ゆき自体自分のした事のおぞましい事を消し去りたい思いで、精神をおかされている。

    精神の病気を持つ家族もだが、訳もなく殺されてた遺族も、人生を、どのように、過ごして行けばよいのか?、、、つらいと、思う。
    重たい本の内容であった。

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