カラスの親指 by rule of CROW’s thumb (講談社文庫 み 63-1)

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (520ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769778

作品紹介・あらすじ

ど派手なペテン、仕掛けてやろうぜ!!
「このミス」常連、各文学賞総なめの文学界の若きトップランナー、最初の直木賞ノミネート作品
道尾秀介の大人気作品がついに文庫化!
第62回日本推理作家協会賞受賞作品

人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは? 息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。道尾秀介の真骨頂がここに!

感想・レビュー・書評

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  • 道尾秀介さん著「カラスの親指」
    第62回日本推理作家協会賞受賞作品。
    道尾さんの作品は自分にとっては「雷神」以来の2作目。今回の作品は映画化もされているとの事。

    詐欺師のタケと相棒のテツが繰り広げる人情味溢れるサスペンス。
    最近重たい作品を好んで読んでいたから軽いタッチで描かれていく物語展開が凄く心地よかった。

    読む前から「大どんでん返し」が潜んでいる作品だと知っていたので伏線を見落とさないように、ミスリードに気を付けながら読んでいたのだが最後の展開は想像以上で見事にやられてしまった。

    しかし読後、結果的にだいぶ「大どんでん返し」に傾倒した作品だと思えてしまい、物語が持っていた緊張感やスリリングさが最終的に損なわれてしまった印象を強くうける。
    サスペンス作品だと思っていたのでその目線で読んでしまった。後半まで続いていた騙し騙されの連続が凄く面白かったのだが、最後の結末にはサスペンス作品としてならば空虚感を感じてしまう。

    もちろん登場人物の相関等はクリアになり全てが伏線回収されていくのだが、こんなにも長い間一人の掌の上で何人もの人間を使いながら何人もの人間を騙し転がしていられるものか?と感じてしまう。
    だいぶ無理があり窮屈さが拭えない。

    ただしこの作品をサスペンス作品だと思わないでコメディタッチのコンゲーム作品だとして見てみれば凄く面白い作品だったと感じる。サスペンス作品として真剣に読みすぎてしまっていたのかもしれない。もっと軽く読むべき作品だったと今は感じている。

    次作「カエルの小指」も読んでみようと思っているが、今回を踏まえて心持ち軽く読んでみようと思っている。

  • ブク友のひろさんにお薦めしていただいた本です。
    ひろさんありがとうございました。最後にやられました。

    道尾秀介さんの初期の代表作だったようです。
    最近の道尾さんの作品『N』『雷神』などは既読ですが初期の作品は知りませんでした。

    序盤はちょっとショボい二人の中年の詐欺師の話、そこに三人と一匹が加わってという、ごく普通の展開。
    なぜこの作品をひろさんがお薦めしてくださったのかという疑問は最後の最後に判明しました。

    解説の市川真人さんのことばがそのものズバリなのでお借りします。
    「幾人もの登場人物がおのおのの心の闇を抱えてそれぞれ罪に手を染める…かに読者を思わせておいて、ハンカチ一閃、オセロの駒が次々裏返り、黒一色となるかに見えた盤面が一枚を残してすべて白に塗り替えられる作者の手つきは、見事なまでに計算し尽されている。
    まさにその通り」

    ちょっともの悲しいラストシーンでもあるのですが、計算されつくしたお見事な展開です。
    一番よかったのは猫の”トサカ”。
    本当によかったね”トサカ”!!。

    • ひろさん
      まことさん、こんにちは♪
      読んでくださったのですね(*>ᴗ<*)
      最後の最後でやられますよね!そこがこの作品の見どころだと思います。
      猫のト...
      まことさん、こんにちは♪
      読んでくださったのですね(*>ᴗ<*)
      最後の最後でやられますよね!そこがこの作品の見どころだと思います。
      猫のトサカ!!ほんと良かったですよね!(*ˊᵕˋ*)ホッ
      もの悲しさもありながら後味は爽やかなところもよくて、お勧めさせてもらいました。
      また読みたくなりました!素敵な感想ありがとうございます(*ˊᗜˋ*)⸝
      2023/01/08
    • まことさん
      ひろさん♪こんばんは。
      コメントありがとうございます!
      最後の最後、道尾マジックには、やられました!
      とにかく、凄い仕掛けでした。
      最後数ペ...
      ひろさん♪こんばんは。
      コメントありがとうございます!
      最後の最後、道尾マジックには、やられました!
      とにかく、凄い仕掛けでした。
      最後数ページは、ページをめくる手がとまりませんでした。
      道尾秀介さんの、初期の作品は『向日葵の咲かない夏』しか読んでいなかったので、道尾さんの、昔の作風も、わかり、よかったです。
      猫のトサカは、本当によかった!
      真実をまひろとやひろに教えてあげたいですよ。
      お薦めありがとうございました!
      2023/01/08
  • 500ページで読みごたえあり
    ドン底の人生~詐欺を生業として生きる中年二人組
    ひょんな事から同居人も増え
    残酷な過去、鬼畜な闇金業者とのバトル!!

    そして最後には…

    読んでて「え~!!」と何回もなりました。
    う~ん これは面白い

    • yhyby940さん
      こんばんは。読み応えある作品でしたよね。私は映画から先に見てしまったんですが、映画も面白かったですよ。機会があれば、ご覧になってください。面...
      こんばんは。読み応えある作品でしたよね。私は映画から先に見てしまったんですが、映画も面白かったですよ。機会があれば、ご覧になってください。面白くなかったら、ごめんなさい
      2021/08/09
  • 映画は観たけど、覚えてなかったんで、新鮮に読むことが出来た!
    最後に、大どんでん返しがあるのは、分かってはいたけどね。

    終活になるんかな…
    寂しい終活にはなるんやけど。
    やり直しは、いつでも出来るとは思う。
    自身が、その気にさえなれば…
    そのキッカケを作った大仕掛けの中に潜む更に大きな仕掛け!
    仕掛け自体は、凄いけど、やっぱり騙しやねんな…
    しかし、これはバレて更に効果倍増って感じ。
    面白かった〜
    でも、こんなのは、今回限りにして、これからは、真っ当に生きて下さい〜
    (でも、続編あるし、やはり…でも、読みたい!)

    「親指だけが、正面からほかの指を見ることができるんです。ぜんぶの指の中で、親指だけが、ほかの指たちの顔を知ってるんですよ」
    (掌コロコロモードって事やな(^^;;)

    多分…私は親指にはなれん…
    コロコロ転がってる1人やな…(^◇^;)

    • ultraman719さん
      まだ、3本あるので、描かれるかは、売れ次第かな?(笑)
      まだ、3本あるので、描かれるかは、売れ次第かな?(笑)
      2023/05/07
    • 風鎮さん
      なるほど。
      だから指折り数えるって訳ですね(笑)
      なるほど。
      だから指折り数えるって訳ですね(笑)
      2023/05/07
    • ultraman719さん
      面白い!
      座布団10枚で!笑点か!(笑)
      面白い!
      座布団10枚で!笑点か!(笑)
      2023/05/07
  • 主人公は、ベテラン詐欺師。彼を騙そうとした新米詐欺師と、成り行きでコンビとなる。これに美人姉妹とその彼氏が加わって、5人の同居生活が始まる。彼らの過去は痛ましい。詐欺からの闇金、過酷な取り立て家族の死去。詐欺師は姉妹が自分が自殺に追いやった女性の娘たちである事を知り、この生活から抜け出す為の大規模詐欺を実行する。
    テンポ良く、実話と虚構が入り混じる。そして、最後に振り出しに戻るとは。
    理想的な詐欺は、相手が騙された事に気がつかない事。マジックは、相手が騙された事を自覚する事。
    最初にヒントがありましたね。道尾さんのマジック小説です。

  • 何度も騙されて面白かった。最後は「えっー、そう来るの?」って感じで楽しめました。

    途中、ちょこちょこ意識の深いところに引っ掛かる違和感が、最後にどんどん回収されていく爽快感はとてもよかったです。

    • yhyby940さん
      機会があれば是非。返信ありがとうございます。
      機会があれば是非。返信ありがとうございます。
      2021/04/24
    • tomooさん
      raindropsさん
      いつもいいねありがとうございます。raindroosさんの感想がいつも素直で率直で素敵です。
      あと文中の違和感に気づ...
      raindropsさん
      いつもいいねありがとうございます。raindroosさんの感想がいつも素直で率直で素敵です。
      あと文中の違和感に気づくって才能ですねえ~。わたしはどんな作品でもまんまと引っかかります。どんでん返しで毎回腰抜かします。raindropsさん感受性の豊かさに感服です。
      2021/12/18
    • raindropsさん
      tomooさん、コメントありがとうございます。
      感想は大したこと書いてないんで、そういう風に言ってもらうと照れてします。
      違和感も「あれ、は...
      tomooさん、コメントありがとうございます。
      感想は大したこと書いてないんで、そういう風に言ってもらうと照れてします。
      違和感も「あれ、はっきり分からないけど何かへンだなあ」ぐらいで、まんまと引っ掛かるのは私も一緒です。
      私は森博嗣さんが大好きなのでtomoo さんの感想は楽しみにしています。面白い本があったら教えてくださいね。
      2021/12/18
  • 【感想】
    いやもう、後半100ページのドンデン返しが衝撃だった!
    読み手の自分自身、ものの見事に引っかけられたと思う。
    正直なところ、この作品が何でこんなにも高評価だったのか途中まで分からなかったが、最後まで読んでみて凄く納得できた。

    こんな感じでうまく出し抜かれて、作者にまるで魔法のような「詐欺」を掛けられる物語は本当に面白いです。


    【あらすじ】
    「ど派手なペテン、仕掛けてやろうぜ!!」
    人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。
    ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。
    「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。
    各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは?

    息もつかせぬ驚愕の逆転劇、そして感動の結末。
    道尾秀介の真骨頂がここに!


    【メモ】
    p102
    沙代の弔いが終わると、武沢は周囲との関係を断った。
    すべてが嫌だった。逃げ出したかった。あの連中から。これ以上の報復から。死の思い出から。
    借りた金の数十倍もの金額を、馬鹿みたいに真面目になって返そうとし、連中の言いなりになり、一人の女性を自殺させ、挙句は組織の書類を盗み出し、それによって大切な娘を死なせてしまった。

    真面目さ。
    間違いを正そうとする気持ち。
    それが一体何になるというのだ。
    善意や正義や正直が、何の役に立つというのだ。

    正直者が馬鹿を見るこの世の中を、武沢は別の人間に生まれ変わって、もう一度生きてやろうと思った。
    ただし、今度は損はしない。今度は負けはしない。


    p295
    「暴力に暴力で対抗しちゃ分が悪すぎますよ。相手はその道のプロみたいなもんなんですからね。ここは一つ、得意技で攻めてみましょう。武器や腕力じゃなくて、頭を使う。命を狙うんじゃなくて、金を狙う。なんたってお二人は、そっちのプロなんです。」
    「勝算は十分にあります。いやむしろ、こちらを見くびっている相手のほうが、ずっと分が悪いくらいですよ」


    p481
    「全部うまくいったでしょ?
    まひろとやひろは自堕落な生き方を卒業して真面目に新生活をスタートさせた。
    タケさんは長いこと心にまだかまっていたヤミ金組織との関わりを断ち切ることができた。
    まひろとやひろも、もう母親を自殺させた男を恨んではいない。
    タケさんはヒグチの影に怯えることもない」


    p485
    「タケさんがいつか言ってたでしょ?仕事を成功させるには演技するんじゃなくって、その役になりきるんだって。
    自分、ほんとにろくでもない人生を送っちゃいましたからね。家族もいない、仲間もいない、何もない。だから、せめて死ぬ前に、あの世に持っていけるような思い出が欲しかったんですよ。
    家族と、仲間と一緒に過ごして、力を合わせて何かに立ち向かっていくような、そんな格好いい物語が欲しかったんです」


    p487
    「あのとき、自分を親指だって言いましたよね」
    「あれには二つの意味があったんです。一つは勿論、自分は父親だって意味。もう一つは」
    「親指だけが、正面から他の指を見ることができるんです。全部の指の中で、親指だけが、ほかの指たちの顔を知ってるんですよ」

    • yhyby940さん
      私も面白く読みました。ところで、映画は、ご覧になりましたか。阿部寛さん、村上ショージさん、のんさん。なかなか面白かったですよ。
      私も面白く読みました。ところで、映画は、ご覧になりましたか。阿部寛さん、村上ショージさん、のんさん。なかなか面白かったですよ。
      2020/08/20
    • トミーさん
      ありがとうございます。映画も探してみます。
      面白そうですね。
      阿部ちゃんは、ずいぶん上手くなりましたね。
      ありがとうございます。映画も探してみます。
      面白そうですね。
      阿部ちゃんは、ずいぶん上手くなりましたね。
      2020/08/20
    • きのPさん
      トミーさん、yhyby940さん
      コメント有難うございます!
      映画はまだ見た事がないので、今度見てみます(^^)
      トミーさん、yhyby940さん
      コメント有難うございます!
      映画はまだ見た事がないので、今度見てみます(^^)
      2020/08/21
  • ずっと読みたかった道尾先生の作品。
    詐欺師として生活をするタケとテツ、そしてある日、一人の少女が二人の前に現れ・・・
    人生の底から這いあがるため、最初で最後のド派手なペテンを仕掛けることになるのだが・・・
    久々に道尾先生の作品を読みました!!
    いつものような?暗くどんよりした内容ではなく(いい意味です)、
    気持ちよくすらすらと爽やかに読むことができる作品でした。
    道尾先生の作品を読む度にどんな仕掛けがあるのか、どんな結末になるのか、
    ただでは終わらないであろう。と分かっていても毎回まんまと驚かされます。
    今回ももちろんしてやられました・・・笑
    本当に自分もペテンを仕掛けられたかのうような感覚で、
    思わず笑ってしまいそうになりました。
    と、同時に心も温まるような素敵な作品です。
    誰かを欺くことは悪いことだけではなく、
    誰かを救うこともあるのかもしれないなと思いました。
    続編は騙されないように気を付けます!!(多分また騙されます)

  • 数冊目の道尾さん。
    チョー有名な代表作。
    前半面白いが私の集中力の問題なのか、集中が途切れてしまい(・・;)
    面白いですが、勝手に期待値爆上げしてしまっていた自分。
    あとは自分メモとして、、
    道尾さんの動物の表現の仕方がどうもダメ、苦手。
    ひまわり〜を思い出したけど、きつい。

    なんだかあまり相性よくないのかもなあ 

    手の指の名前と繋がりはなるほどなあと。

    それよりも、ラーメン屋、馬馬亭?行きたい
    もやしラーメン食べたい!

  • 道尾秀介作品の最高傑作と呼ばれる作品。
    ヒグチ達に報復する決意をするまでが凄く長く感じた。5人が出会うまでにここまで長くかけるのかとすら思ったが、その分キャラクターにいとおしさを感じることが出来ました。そして報復→決行という所に向かっていくがそれでもいまいち何でここまでこの本がここまで評価されているのかがわからなかった。結局は作戦は失敗しわずかなお金しか得ることが出来ないまま終わってしまう。しかもその後、テツさんは亡くなってしまうという事であまり良いラストではないなぁと思っていたが、最後の最後でひっくり返された。まさか、全てが嘘だったとは思わなかった。今回の物語に出てきたヒグチはまさかの全くの別人であり、そもそも現在のヒグチのグループがそもそもでっち上げだったことも全て驚いた。節目節目の行動は思い出すとテツが上手く誘導していたなぁという感じで上手くできているなと思った。この真相を知る事でこの物語がとても爽やかな物になっているのがとても良かったです。復讐物語ではなく更生物語であるという所でまた道尾さんに騙されたのだなと思いました。
    最初はまひろとやひろがヒグチの喋り方の特徴から彼の娘なのかなという所でミスリードになっていて完全に騙されてしまいました。まさかの八代亜紀のBGMの件がこのミスリードを上手く促しているのがとても上手いと思いました。
    次のカエルの小指も読むのが楽しみです。

    この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
    武沢竹夫:諏訪部順一
    入川鉄巳:吉野裕行
    河合まひろ:富田美憂
    河合やひろ:愛美
    石屋貫太郎:畠中祐
    ヒグチ:古川登志夫
    ノガミ:乃村健次
    セイリヤ:杉田智和
    老ソラマメ:大塚芳忠

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

道尾秀介の作品

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