浜村渚の計算ノート (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769815

作品紹介・あらすじ

「数学の地位向上のため国民全員を人質とする」。天才数学者・高木源一郎が始めたテロ活動。彼の作った有名教育ソフトで学んだ日本人は予備催眠を受けており、命令次第で殺人の加害者にも被害者にもなりうるのだ。テロに対抗し警視庁が探し出したのは一人の女子中学生だった。新時代数学ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 『むかしむかしあるところに、…』や『赤ずきん、』でシリーズ話題作の多い青柳碧人さん初読みの『浜村渚の計算ノート』の概要と感想になります。

    概要です。
    千葉の中学二年生、浜村渚はお気に入りのシャーペンとさくらんぼの計算ノートを持って、今日も数学で世界を支配しようとする謎の組織と警察の間で起きる事件を解決するために頑張る!!

    感想です。
    早坂吝さんの『探偵AIのリアル・ディープラーニング』が好きな方にはオススメします♪
    数学をテーマにした作品は理解が難しくてエンタメに不向きといった印象を、本作はラノベ?のような読みやすさと浜村渚という女子中学生のキャラクターで抵抗なく楽しめる作品かなと思います。一方で児童書向きと感じてしまう展開に、やはり(数学のテーマは)加減が難しいのだろうなぁ〜と思った次第です。

  • 面白い。好き。

    4÷0 はやつてはいけない。数学史上最も重要な約束とな。0÷4は良い。無いものを割るのは良いからとな。

    ローマ数字はゼロの考えがないから、記号が永遠と続くが、インド人がマル(ゼロ)という考えを見出した事で、数学という学問が進歩した。ゼロは悪魔の数字とな。

    直径に3.14をかけたら、だいたい円周になる。これをケーキに例えて、説明していた知らんかった。

    解説を読んで「たけしのコマ大数学科」の動画があれば見てみようよと思った。フィボナッチ数列をためしている。

  • 数学に鬼強い女子中学生がキュートに大活躍するミステリー。数学の世界にどっぷり浸れる秀作!

    数学の学習価値が減退してしまった世界で、激怒した数学者がテロ活動を次々と実行。対抗するカギは数学とわかり、幼気で数学オタクの主人公が呼ばれて、次々と難事件を解決していく。

    四色問題、フィボナッチ、円周率といった数学の知識が詰め込まれていて面白いっ
    ライトノベルで読みやすく、中学、高校生のときに出会いたい本ですね。きっと数学を好きになれるきっかけになるかも。謎解き要素もひねりが効いていて、ワクワクが止まりません。

    そしてなんといっても浜村渚が可愛すぎで危険です。魅了され過ぎないように注意が必要です。次回作も楽しみな一冊でした!

  • 中学校の図書館にあって、すごく印象に残ってた作品です。今回やっと購入できて2回目が読めました。
    私が初めてPOPを作ったのもこの作品なので私にとってこの本は本当に大切なもの...
    私は数学は大嫌いなんですが、数学嫌いでも楽しく読めて難しい言葉も渚が解説してくれます。
    まだまだこれからシリーズで読んでいくので先の展開が楽しみです。

  • 事の起こりは、少年犯罪の急増を理由に「心を伸ばす教科」を中心に据えた教育内容に刷新したことによる。
    道徳や音楽、芸術、読書などの教科が重視されるようになり、
    理数系の科目は「心を尊重し他人を慈しむ人間性を否定しうる」として
    週に1回程度になってしまった。
    数学の復活を目指す数学者がテロ組織「黒い三角定規」を率いて巻き起こす事件を
    数学の得意な中学生・渚が警察に協力して解決していく。


    四色問題、ゼロの起源、フィボナッチ数列、円周率
    平行にひかれた直線に針を落として共有点を持つ確率
    ストーリーの随所にちりばめられた数学の問題。
    章の番号を平方数の平方根(ルート1、ルート4など)で表したり
    常用対数を用いたり、
    数学に関心を持つ人なら、ニヤリとすることでしょう。

    「たけしのコマ大数学科」を見ていた私には、
    あとがきを竹内薫さんが書いているのも興味深い。

    子どもの頃から、最も好きな教科は算数・数学だった。
    「過不足なく」とか、「必要十分」とかスマートだなぁと思っていた。
    合理的なことに憧れがあったのかも・・・。
    現実には、曖昧やいい加減とバランスをとりながら生活しているのだけれど。


    「一生チャレンジし続けられることがあるなんて、うらやましいです」(P272)

    渚ちゃんが事件が収束する過程で放つ言葉は、なかなかいい。
    数学の世界と現実との間をつなぐことのできる様々な言葉の力に
    はっとさせられるのは間違いない。

    ただ、個人的には殺人は起こらない方がよかったな。
    だって、国や教育を憂う気持ちが大きすぎてテロを起こしてしまったわけで、
    正当なやり方より荒療治を選んだ、「やり方は多少過激だけれど、確かに一理ある」
    みたいな感じと茶目っ気があったら、なおいいのに、と思った次第です。

  • 読みやすい!とっつきやすい!著者・青柳さんのほとばしる数学愛を感じられる。
    物語の中に散りばめられた数学的な豆知識にほうほうとうなずき多し。

    押しつけられる学問としての数学ではなく
    単純に「すごい!」「美しい!」「カッコいい!」と感動できる数学。

    数学に絡めた事件を起こすテロ組織「黒い三角定規」に立ち向かう警察官達と、天才数学娘のお話。

    ミステリー的な深さはあまり求めず、ライトに楽しめる一冊。

    普段はボーッとしている数学娘・浜村渚の、数学を語るときだけ見せる豹変ぶりが可愛らしい。

    この情熱、ときめきは…私知ってる
    あれよ、あれ
    小川洋子さんの「博士の愛した数式」を再読したくなりました…


    ◉数学ポイント

    ・目次が1 2 3ではなく√1 √4 √9
    ・フィボナッチ数列が出てくる章は1 1 2 3 5
    ・悪魔の数字0について
    (0÷4はいいけど4÷0はやっちゃダメな話)
    ・パイナップルとフィボナッチ数列の関係
    ・円周率とはそもそもなんぞや?

  • 「心の教育」が重要視され理数系学科がなくなっていく政策に反旗を翻した有名数学者がテロリストになった!彼の教育に触れた事のあるものは操作されてテロの手先になる可能性があるので、僅かに除外された対象者で彼に挑む。事件は「四色問題」や「円周率」など数学的要素が含まれるので数学の天才中学生渚が協力者として解決に手を貸すんだけど数学以外は普通なのにこと数学になると変態めいてくるのが面白い。好きな物に没頭するのってこうだよね。数学的要素は判りやすく説明されるので事件解決の流れもよく理解できるしちょっと数学好きになれるかもなおまけつきかな?

  • 気になっていたところ、弟が買ったので、借りて読んだ
    弟が「予想以上に面白かった」って言ってたけど、その通りだった
    これは数学好きな人はもちろん、数学が苦手な人でも楽しめると思う

    一方で、一話目はもちろん、全体を通して、読んでて思ったのが、作中の教育改革の案を提唱・推進する人が普通に今にも出てきそう、ってこと そしてそれにちょっとぞっとした
    どの教科にも優劣は本来ないはずだけど、どうしても優劣、優先順位を付ける必要は出てくる中で、作中のような極端なことに現実の将来でもならないことを願う

    あと、殺人以外の方法で世に数学の良さを知らしめることは出来なかったのかなぁとは思わずにいられない
    高木が数学以外を卑下してるのが気に食わんし、彼に同調してる人も然り
    数学を使った殺人を行えば政府が、世間が、他の科目より数学の必要性を考え直すと思ってるけど、人に考えを改めさせるために殺人という手段を取る時点で、他の数学を使わない殺人者と同じなんだろうな しかも一話目なんて言ってしまえば無差別殺人なところがまた、最低だなと思わずにはいれんかったわ
    そして、結局、作品の始めの方にあったように、人々に、「数学は殺人鬼を育てる学問」であるというイメージを作り上げてしまうんだろうな・・・

    内容は結構テンポよくて、さくさく読めちゃったけどね


    主人公がまさかの中学生でびっくりしたけど、数学の知識はすごいし、計算も当然早い
    数独の空白を頭の中で全部埋めちゃうなんて絶対真似できない!
    普段は無口っぽし人見知りだけど、数学ー得意分野ーのことになると饒舌になる、ビブリアの栞子さんと一緒だなと思いながら読書スタート それにしても彼女は、殺人事件に関わっているのに、本名と学校名と学年まで簡単に教えすぎな気がする
    にしても毎回ちょっと良いこと言ってくのは何なんだろう・・・一話目とか、「社会もたまには役に立ちますね」、からの一言が最高だったわ

    二話目にあった、「0で割っちゃダメ」、っていうのの渚の証明が分かりやすいだけでなく、面白いなって思った
    渚の説明は数学的、瀬島の説明はどこか文系向きで、それはそれで分かり易かった 数字だけの説明じゃなくて、りんごと人間を使って例を挙げてるからより身近な感じがするからかな あと、割り算の意味を利用した説明の仕方だったねー

    三話目が関西弁の人達の登場もあって、一番軽快だったけど、切ない終わりやったなぁ (それにしても違和感のある京都弁やったけど)

    四話目はカルト臭が漂ってたなぁ
    でも最後の渚の上原への一言はよかったね
    上原も良いキャラしてたし、鑑識23班の面々も気になるとこです

    主要人物はみんな良いキャラしてて結構好きだし 奈良県警の西村さんも結構好き また出てきたらいいなー


    これ読んでて、特にフィボナッチのくだりを読んでて、久々に『数の悪魔』が読みたくなったな

  • 数学大好きな女子中学生が色々な事件を解決していく物語。

    数学の話は難しいかもしれんけど読みやすい作品。
    大学生の自分からしたら物足りなさはあったけど、久々にミステリーを読んだこともあって面白かった。
    数学をさらに好きになれた。

    浜村渚に会ってみたいなぁ。

  • ストーリーがよく出来ていて面白くとても惹かれる内容で問題や謎の解説なども書かれていて読みやすい本だった

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著者プロフィール

1980年千葉県生まれ。2009年『浜村渚の計算ノート』で第三回講談社birth小説部門を受賞しデビュー。「ブタカン」「西川麻子」「猫河原家の人びと」などシリーズ多数。2019年刊行の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』が各ミステリーランキングや書店年間ランキングにランクインし、本屋大賞にもノミネートされた。

「2023年 『あかがみんは脱出できない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

青柳碧人の作品

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