父のようにはなりたくない (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062769990

作品紹介・あらすじ

中2の息子が「高校に行かない」と言い出した。その原因が自分にあるなんて…。表題作をはじめ、どこの家にも起こりうる、ささやかだけど重要な"事件"たち。泣き虫の息子と、息子を叱ってばかりの夫。娘が見せた家とは違う顔。息子のヌード雑誌にうろたえる妻。子育ての悩みがほぐれていく8つの短編集。

感想・レビュー・書評

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  •  どこの家庭にもそれぞれ子育ての悩みを抱えている。学校の先生から言われる姿と家で見せる姿が全く違う娘、突然「お父さんのようにはなりたくない」と言い出す息子などなど。子どもにとっては普通に過ごしていることでも、親から見ると「え?」とか「ん?」と思うことも多い。そんなちょっとしたすれ違いにスポットを当てた8編収録の短編集。
     どの家庭でも様々な事件は起きているもの。人はどうしても自分の物差しで判断してしまうもの。少し視点を変えることの重要性が分かってくる。

  • タイトルに少し驚いて手にとって、一気に読めた

    親子像、夫婦像、父母像、色々あってそれがいい。
    私は子供を経たので、これから親になりたい!
    けど、不安もある。それはそれで、自分なりでいいんだと思った
    それぞれの子供への関わり方、パートナーへの関わり方があった

    自然に戯れる何気ない時間が素敵だなぁとも思った

    中学生から大人まで、読んで面白そうな短編集でした。


  • 高3のある朝、起きてみると机の上にこの本が置いてあった。父がくれたのだ。父は何か伝えたいことがあるとき、こうして回りくどく主張してくる時がある。もう大学への合格通知を手にした後の出来事だった。私は父と同じ大学の同じ学部学科に進学することが決まっていた。

    表題作の「父のようにはなりたくない」は中学の頃、国語の授業で扱われていた気がする。しかし、中学で読むのと、高校卒業を目前にして読むのでは重みが違った。中学の頃は父のようになることもできれば、ならないという選択もできる、完全に自由な状態だった。一方で、高3の私はその時点で父のようになるレールの上に乗りかかっていた。どういう意図で、そのタイミングで父がこの本をくれたのか分からなかった。もう進路が決定したその後に。今更変えられないけど、私が父と同じ大学を選んだのが嫌だったのかな、なんて思いが浮かんでは消え、混乱した。

    「やり方は色々ある」そんなこといつもなら絶対言うような父ではないのに。厳しくて、保守的で違うやり方を選んだら真っ向から反対してくるような人だとばかり思っていたのに。仕事が、上司が大変だといつも愚痴っているのに。吾郎とはかけ離れた存在だと思っていたのに。なぜ?

    父にはわかっていたのかもしれない。とある一流大学に行けという祖母の重たい期待をかわすために、私があえて父と同じ大学を選んだことを。父と同じ大学であれば、あからさまに非難されることも、がっかりされることもないだろうと思っている私の魂胆を。私の逃げを。その上でその選択を肯定して、背中を押す気持ちでこの本を贈ってくれたのかもしれない。

    大学の選択に後悔は一切ない。自分のやり方がたまたま父と被っただけで、そのやり方にたどり着くまで自分なりに悩み抜いた上で決断したことだから。祖母のことも大学を決める一要素にはなったけれど、それだけで決めたわけではない。父と同じ道を歩んで、決められたレールに乗っているだけのように一見見えるかもしれないが、私は私の人生を生きている。父よ、安心して見ていてください。

  • 思春期の少年少女たちと、その親たちの話。
    最初は「分かる分かる」と頷きながら読んでいたが、全部読み終えてみると、共感できない話の方が多かった。男(書き手)と女(読み手)の感じ方の違いもあるかな。

  • すごく読みやすい。男女で思うことが全然違うであろう作品。

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著者プロフィール

1960年愛知県生まれ。名古屋芸術大学を卒業後、幼稚園絵画講師、書店店長などを経験。『泣けない魚たち』で第11回坪田譲治文学賞・第6回椋鳩十児童文学賞をダブル受賞、『ライギョのきゅうしょく』が2000年全国読書感想文コンクール課題図書に選ばれた。『オタマジャクシのうんどうかい』で第14回ひろすけ童話賞を受賞。『オグリの子』は、NHKでドラマ化された。

「2018年 『ゲンちゃんはおサルじゃありません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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