真贋 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 725
レビュー : 93
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062770057

作品紹介・あらすじ

「小説や詩を読むことで心が豊かになると妄信的に信じている人がいたら、ちょっと危いと思います。世の中の『当たり前』ほど、あてにならないものはありません」-今こそ「考えること」に真剣に向き合ってみませんか。突き詰めた思考の果てにうまれた、氏の軽妙かつ深遠な語りにどうぞ耳を傾けてください。

感想・レビュー・書評

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  • この人の本は以前から読みたかったのだが本気の本は内容がまったく理解できそうになさそうで敬遠していたが、書店で見つけたこの本はとてもライトで書かれた時代も10年くらい前のものでしっかりと頭に入ってくるので購入。
    著者の考え方がはっきりとしているのですべてに共感できることではないが
    ・あらゆるものに利と毒がある。
    ・いい作家とは俺にしか分からないだろうと多くの読者に思わせること。
    ・良好な人間関係とは言いにくいことをはっきりと言える関係。
    ・以前は作者の文学的成熟と社会的成熟の時間経過を世の中が待ってくれていたが現在はそれを持ってくれない。
    だから大家が生まれにくくなる。
    ・戦時中など社会全体が悪になっている時は個人個人の倫理観が高くなる。しかし平和な時は逆に個人個人の倫理観が低くなる。
    などなど。
    おもしろい考え方を教えてもらった気がする。

  • インタビューを書き起こしたものなので、吉本の本にしては
    簡単に読める。

    利と毒、の話と小説論が印象的。

  • シブヤパブリッシングアンドブックセラーで買ったと思う

    こういう説教じみたことを言うようになると終わりだな、と、思うけど、まぁ、80超えてればそんなもんか?

    ばななの帯にだまされて読んだけど、半分より後ろは1分くらいで流した

    吉本隆明といえども、老いる

  • インタビューを元に編集者がまとめた形になっていて読みやすい。全面的に同意できる内容とは思わなかったけれど、「善悪二元論の限界」はよかった。
    善悪二元論を推進しているのは間違いなくアメリカで、アメリカ発のソーシャルネットワークサービスだって二元論。ソーシャルと言いつつ、フレンドやフォロワーは好きな人、あるいは関心のある人。そうじゃない人はフレンドやフォロワーにはしない。そう言えば、Facebookも出発点は女子学生の二択だったよなぁ…などと今回は本の主題から大きく外れてみたり。

  • 【要約】

    【ノート】
    ・珍しく本屋で気になり、そのまま購入した。読んでる途中(昨日)、吉本さんの逝去。
    ・今まで吉本さんの著作を読んだことはなかったが、糸井重里さんがエラく推すので気になり始めた。
    ・サラサラっと読めるけど、もっと深いんだろうな。

  • <blockquote>でも、自分にとって真に重要なことは何なんだと突きつけられたら、僕ならこう答えるでしょう。その時代時代で、みんなが重要だと思っていることを少し自分のほうに引き寄せてみたときに、自分に足りないものがあって行き得なかったり、行こうと思えば行けるのにどうしても乗らなかったりする、その理由を考えることだ、と。</blockquote> p210

  • 時事、政治、人生、思想と様々な関心ごとについて吉本隆明の脳内をそのまま開陳したようなインタビュー。統計ではなく印象で語ると言いきっており、内容のほとんどが飲み屋のでのオヤジ談義のようで、吉本隆明だから活字になり出版されてるだけのことである。また、構成的に明確な主題もなく、話題がとんだりダラダラと続いたりしている。
    戦争という悪のもとでの庶民の暮らしは意外にも倫理的であった一方、平和な時代に暮らす者の方が比較的荒んでいるという指摘は、あくまで印象論であろうが多くの戦中派の世相の見方を特徴付けるものである。吉本隆明が三島由紀夫を述べるとき、外観上では自身と大きく信条が異なりながらも理解を示している。戦中派として、経験のベースを同じくしていることが前提にあるように見える。
    戦時中の清廉さを感じていない私にとっては、むしろ戦後の堕落と怠惰に対してかけがえのない価値を感じ、一方で戦時中の社会に対してひたすらに虚妄と狂気を印象づけられている。どちらが歴史の正しい見方というのではなく、パースペクティブの違いであろう。個人的にあらためて強烈な断絶を感じた。

  • 高校の頃にはずいぶんとかぶれていた。ま、例の共同幻想論に。
    大学以降は肩の力の抜けた語りに魅せられた。
    生活する知識人、知識人的生活者、に。
    そんな吉本隆明による、大・放・言!
    きっと女性には受け容れがたいであろう母親責任論、戦中派の持つマチズモ、には苦笑い。
    そう、つい苦笑いしながら、またあの偉い爺さんがねぇ、と。
    ビジネス書的切り口の多さには辟易したが、やはりこの人の文芸評論は再度見直さなければ。
    ・物事の両面。
    ・人間の精神は悪くなる一方。
    ・本の毒。
    ・運命すなわち性格に素直に生きる。
    ・親鸞の逆説。天国は実体としてはない。宗教にとどめ。
    ・欲望自体が懐かしい。
    ・俺だけにしかわからない、と思わせるのがいい作品。
    ・起源をとらえる。
    ・天皇はもとは神主さん。
    ・言いにくいことを言うということ自体が自己解放。

  • 「育ちがいい」「育ちが悪い」というのが何回も出てきて、自分はどうかなって思った。育てられた者として、育てるものとして。

  • 吉本隆明氏(2012年逝去)の晩年にインタビューに基づいて書籍化され(2007年)、2011年に文庫化された。
    私は全共闘に影響を与えた時代の吉本氏は知らないが、氏が晩年に記した著作やインタビューから、多くの示唆を与えてもらったように思う。
    本書では、1.善悪二元論の限界、2.批評眼について、3.本物と偽物、4.生き方は顔に出る、5.才能とコンプレックス、6.今の見方、未来の見方、が取り上げられているが、特に印象に残ったセンテンスは以下である。
    ◆善悪二元論の限界~「明るいからよくて、暗いからだめだという善悪二元論で考えると、物事の本質を見誤る恐れがあります。無意識のうちに答が決まっている価値判断は、無意識のうちに人の心を強制します」、「いまという時代は、善悪両面から見る、あるいは善悪という価値観を脇において物事自体を見ようとする、そういう見方が必要な時代なのです」
    ◆批評眼について~「一番大事にしているのは自分の肌感覚というか、身のまわりの印象です」
    ◆本物と偽物~「僕は、男女関係に限らず、一般の人間関係においても、いい関係かどうかを判断する基準というものを持っています。それは、・・・お互いが言いにくいことをきちんと言えるかどうかです」
    ◆才能とコンプレックス~「大切なことはその都度変わっていきます。だから何が人生で重要だというふうに言われたら、ずっと一貫して、大切なものと現状の自分との距離について考えていくことだと思うのです」
    ◆今の見方、未来の見方~「一つはっきり言えるのは、いいことをいいと言ったところで無駄だということです。それは歴史が何回も証明してきました。いいか悪いかではなく、考え方の筋道を深く追わなければ、問題の本質が見えてきません。考え方の微細な筋道をたどっていかないと、解決の糸口を見失ってしまうでしょう」
    吉本氏の思想の一端が分り易くまとめられた一冊である。
    (2007年5月了)

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著者プロフィール

1924年、東京・月島生まれ。詩人、文芸批評家、思想家。東京工業大学工学部電気化学科卒業後、工場に勤務しながら詩作や評論活動をつづける。日本の戦後思想に大きな影響を与え「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。2012年3月16日逝去。

「2019年 『吉本隆明全集20 1983-1986』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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